経済効果

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経済効果(けいざいこうか)または経済波及効果(けいざいはきゅうこうか)とは、新規に発生した需要を満たすために、生産が連鎖的に誘発されることである。また、それにより発生する金額の合計額(生産誘発額)を指すこともある。生産誘発額は産業連関表を用いて算出される[1]。経済効果は公共事業や投資の費用対効果の計算に用いられるなど、実用的な意義がある[2]

経済効果の計算[編集]

一つのイベントや事象が発生した際、その経済効果は、「直接効果」、「一次波及効果」、「二次波及効果」の三種類の経済効果の合計で算出される[3]

例.世界遺産の登録[編集]

直接効果
登録された観光地に観光客が訪れ、飲食をして、宿泊して、お土産を買う。これらの消費をまとめて直接効果と呼ぶ。
一次波及効果
観光客の飲食は、飲食店に食材を卸している企業の売上を増加させる。このような企業の売上増加額を一次波及効果と呼ぶ。
二次波及効果
直接効果、一次波及効果によって企業や商店の売上が増加すると、それらの企業や商店の経営者や従業員の所得が増加する。その結果、経営陣や従業員はその所得増加の一部を消費に向ける。その消費増加額を二次波及効果と呼ぶ。

したがって、「ある市の観光の経済効果が10億円である」とは、その市に10億円の収入や税収があったということではなく、その観光の関連企業、下請け企業、周囲の産業などを含めた多くの関連企業の売上が増えたということである。

「経済効果」懐疑論[編集]

  • 2020年東京五輪の経済効果について、東京都や民間シンクタンクが発表する試算は約7兆円〜32兆円と大きなバラつきがある。米ミシガン大学のステファン・シマンスキーは、「スポーツイベントが経済効果を生むことを証明したまともな学術論文はひとつもない」と指摘するなど、経済効果に懐疑的な経済学者は多い[4]
  • 「経済効果」と一口に言っても、生産誘発額を示したり、二次波及効果を省いたりと、そもそも前提条件が異なる場合があり、同じ事象を調べていたとしても違った結果が公表されることがある[5]
  • 国や自治体が公共事業を実施したいという意図を持って経済効果を予測する場合には、できるだけ大きな額の経済効果があることを期待する。そのため、国や自治体は、公共投資額に比べて、非常に大きな経済効果があるという期待に沿った計算結果を導き出すことがある[6]
  • マスコミは計算の基になったデータや計算プロセスの正確さについては関心がなく、計算結果のみに関心を示す。大きな金額の経済効果が出ればそれを取り上げ、その数値が正確かどうかについてほとんど問題にしない。したがって、大きな金額を「言ったもん勝ち」になる恐れがあり、そのような傾向が続くと、「経済効果の分析」は社会的信用を失う恐れがある[6]

出典[編集]

  1. ^ 総務省|産業連関表|経済波及効果を計算して見ましょう”. 2021年2月20日閲覧。
  2. ^ 『「経済効果」ってなんだろう?』中央経済社、3頁。
  3. ^ 『「経済効果」ってなんだろう?』中央経済社、198-200頁。
  4. ^ 東京オリンピック「経済効果予測」のオカシさを暴こう”. 2021年2月20日閲覧。
  5. ^ 経済効果の⚪︎兆円って本当?”. 2021年2月20日閲覧。
  6. ^ a b 『「経済効果」ってなんだろう?』中央経済社、202頁。

参考文献[編集]

  • 宮本勝浩『「経済効果」ってなんだろう?』中央経済社、2012年。ISBN 978-4-502-69880-4