素粒子 (朝日新聞)
素粒子(そりゅうし)は、朝日新聞の夕刊に連載されているコラム。皮肉を含ませた社会風刺などを扱う。朝日新聞に載ったニュースについて、主に一項につき2~3行・全体で約200字で書かれる[注釈 1][2][3]。担当の同紙論説委員が執筆しており、2025年11月現在は市川美亜子[4]が担当している。
朝日新聞の夕刊には1921年から「今日の問題」(のちに「三角点」に改題)という社会風刺コラムが連載されており、それを引き継ぐ形で1959年4月1日に改名されて今日まで至っている[2]。毎日新聞の「近事片々」(1952年連載開始)、読売新聞の「よみうり寸評」と並ぶ長寿コラムである。
「素粒子」の題字の書体は、第1回から現在に至るまで、変わらず続いている。
かつては1年分の抄録が書籍化されていいたことがある(詳細は後述)。
執筆者
[編集]| 時期 | 担当者 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| 担当者名 | 担当者名 | ||
| 1959 ~ 1977 | 不明 | ||
| 1977/9/1 ~1988 | 日比野和幸 | [3][5] | |
| 1989 ~ 1999 | 轡田隆史 | [6] | |
| 不明 ~ 不明 | 真田正明 | [7] | |
| 2018/4/2 ~ | 坪井ゆづる | 恵村順一郎 | [7] |
| 2021/5 ~ | 坪井ゆづる | [8] | |
| 2022/10/24 ~ | 坪井ゆづる | 渡辺雅昭 | [9] |
| 2023/12 ~ | 市川美亜子 | 渡辺雅昭 | [10] |
| 2025/11 ~ | 市川美亜子 | [4] | |
批判・不祥事
[編集]「死に神」
[編集]2008年(平成20年)6月18日、死刑囚13人の死刑執行を命じた鳩山邦夫法務大臣について「永世死刑執行人 鳩山法相。『自信と責任』に胸を張り、2カ月間隔でゴーサイン出して新記録達成。またの名、死に神」と表現。これを全国犯罪被害者の会が「犯罪被害者遺族の感情を逆撫でされる苦痛を受けた」と抗議した[11][12][13][14]。鳩山法相本人も、6月20日の閣議後の記者会見で「極刑を実施するのだから心境は穏やかではないが、どんなにつらくても社会正義のためにやらざるを得ない」「司法の慎重な判断、法律の規定があり、苦しんだ揚げ句に執行した。死に神に連れていかれたというのは違うと思う。記事は執行された方に対する侮辱だ」と抗議し[15][16]、兄の鳩山由紀夫も「弟は法に従っただけ。私も死神の兄と言われては困る」と発言した[17]。
6月30日に朝日新聞社は「鳩山法相を中傷する意図はありませんでした」と回答したが[18]、謝罪はしなかったため、被害者の会は「真正面から質問に応えることを避けている」として、再度質問状を朝日新聞社に送付した[12][19]。7月14日に朝日新聞社は再回答をしたが[20]、被害者の会にとって満足のいく回答ではなかったため、同月23日に被害者の会は記者会見を開き、要望書を発表した[12][21]。問題の記事の掲載から1か月以上の8月1日、ようやく「適切さを欠いた表現だったといわざるを得ない」として自らの行動を反省し、事実上謝罪した[22]。
被害者の会はこれを受け入れ、一連の記事を巡る動きは収束した[12][23][24]。朝日新聞はコラム自体は撤回せず、縮刷版からの削除等も行っていない。
書籍
[編集]- 朝日新聞論説委員室 編「ザ・ニュース : 朝日新聞素粒子 1980」 晶文社 1981
- 朝日新聞論説委員室 編「朝日新聞「素粒子」 1982」立風書房 1983
- 朝日新聞論説委員室 編「朝日新聞「素粒子」 1983」立風書房 1984
関連書籍
[編集]- 日比野和幸「新聞のヘソ」晶文社 1987 (ISBN 978-4794959416)
- 轡田隆史「壁が崩れるとき : 朝日新聞『素粒子』ノート」 すずさわ書店 1990 (ISBN 978-4795405356)
- 真田正明「朝日新聞記者の200字文章術-極小コラム「素粒子」の技法」さくら舎 2021 (ISBN 978-4865813173)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ https://diamond.jp/articles/-/375433
- ^ a b 『ザ・ニュース : 朝日新聞素粒子 1980』晶文社、1981年3月20日。
- ^ a b 日比野和幸『新聞のヘソ』晶文社、1987年10月。
- ^ a b “<おことわり>:朝日新聞” (日本語). 朝日新聞. (2025年11月7日) 2025年11月29日閲覧。
- ^ “川柳,もの申す! 大伴閑人 著|人文・社会科学書”. 岩波書店. 2025年11月30日閲覧。
- ^ 轡田隆史 (2009年9月). “万物流転すってんコロリ”. 日本記者クラブ JapanNationalPressClub (JNPC). 2025年11月29日閲覧。
- ^ a b 「<お知らせ>「素粒子」の筆者、交代します」『朝日新聞デジタル』2018年3月31日。オリジナルの2018年4月1日時点におけるアーカイブ。2025年11月29日閲覧。
- ^ “<おことわり>:朝日新聞” (日本語). 朝日新聞. (2021年4月30日) 2025年11月29日閲覧。
- ^ “<お知らせ>「素粒子」の筆者、2人に:朝日新聞”. 朝日新聞 (2022年10月24日). 2025年11月29日閲覧。
- ^ “<お知らせ>「素粒子」の筆者、交代します:朝日新聞”. 朝日新聞 (2023年11月30日). 2025年11月29日閲覧。
- ^ 朝日「死に神」報道、あすの会が抗議「犯罪被害者や遺族をも侮辱」、産経新聞、2008年6月25日。
- ^ a b c d 朝日新聞「死に神」問題、全国犯罪被害者の会 - 2023年5月30日閲覧。
- ^ 【朝日新聞社に公開質問状提出】、全国犯罪被害者の会、2008年6月25日。
- ^ “朝日新聞社に抗議と質問状を出しました。”. 新全国犯罪被害者の会(新あすの会) (2008年). 2025年11月30日閲覧。
- ^ 鳩山法相、「死に神」報道に反論、NIKKEI NET(日本経済新聞社)、2008年6月20日。
- ^ 朝日「死に神」報道に法相激怒 「死刑執行された方に対する侮辱」、産経新聞、2008年6月20日。
- ^ 「弟は死に神ではない」 民主・鳩山氏、法相を擁護、産経新聞、2008年6月21日。
- ^ 冠省 貴会から弊社社長秋山耿太郎宛に、08年6月25日付で「抗議および質問」をいただきました。、朝日新聞社、2008年6月30日。
- ^ 【朝日新聞社に再質問書を送付しました】、全国犯罪被害者の会、2008年7月7日。
- ^ 冠省 貴会から弊社社長秋山耿太郎宛に08年7月7日付で 「再質問」をいただきました。、朝日新聞社、2008年7月14日。
- ^ 【朝日新聞社へ更なる誠実な対応を要望しました】、全国犯罪被害者の会、2008年7月23日。
- ^ 冠省 貴会から弊社社長秋山耿太郎宛に、 08年7月23日付で文書をいただきました。、朝日新聞社、2008年8月1日。
- ^ 「死に神」コラムで朝日新聞が「謝罪」 「自らの不明を恥じるしかありません」、J-CASTニュース、2008年8月1日。
- ^ 【「素粒子」問題は終わりにしました】、全国犯罪被害者の会、2008年8月4日。
外部リンク
[編集]- 素粒子一覧 - 朝日新聞デジタル
- 『ザ・ニュース : 朝日新聞素粒子 1980』 - 国立国会図書館デジタルコレクション(図書館送信参加館・個人送信限定)
- 『朝日新聞「素粒子」 1982』 - 国立国会図書館デジタルコレクション(図書館送信参加館・個人送信限定)
- 『朝日新聞「素粒子」 1983』 - 国立国会図書館デジタルコレクション(図書館送信参加館・個人送信限定)