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紅林麻雄

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くればやし あさお
紅林 麻雄
Kurebayashi Asao 1959.JPG
『週刊文春』(1959年12月21日)掲載の写真
生誕 1908年明治41年)
現在の静岡県藤枝市
死没 1963年9月(昭和38年)(満55歳没)
国籍 日本の旗 日本
別名 拷問王
職業 警察官
著名な実績 担当した事件で数多くの人物を冤罪の被害者にした。

紅林 麻雄(くればやし あさお、1908年 - 1963年9月)は、日本の警察官静岡県警察部から国家地方警察静岡県本部を経て静岡県警察に所属した。最終階級は警部。担当した事件で数多くの冤罪を作ったことで知られる。

人物

現在の静岡県藤枝市出身。国家地方警察静岡県本部刑事課員として1941年昭和16年)8月から翌1942年(昭和17年)8月にかけて起きた浜松連続殺人事件などの数々の事件を解決した名刑事であると言われ、数多くの表彰を受けた。

その一方で自身が担当した幸浦事件死刑判決の後、無罪)・二俣事件(死刑判決の後、無罪)・小島事件無期懲役判決の後、無罪)・島田事件(死刑判決の後、無罪)の各事件で無実の者から拷問自白を引き出し、証拠を捏造して数々の冤罪を作ったと批判された。

また、取調べにおいて拷問とそれによって得た自白をいかにして合法とし証拠とするかを考案したとして「拷問王」と評された。紅林はさまざまな拷問の手法を考案したが、実行には直接関与せず部下に指示を出していた。また、二俣事件における山崎兵八の書籍においては真犯人と思われる人物からの収賄の疑惑も暴露されている。

上記4事件のうち島田事件を除く3事件が一審・二審の有罪判決の後に無罪となり、島田事件も最高裁での死刑判決確定後の再審で無罪が確定した。幸浦事件・二俣事件の有罪判決破棄差し戻しの時点で御殿場警察署次席警部の地位にあった紅林は、非難を浴びた静岡県警上層部によって吉原警察署駅前派出所へ左遷された。しかも、交通巡視員待遇という実質的な二階級降任だった。

紅林は世間や警察内部から非難され精神的に疲弊しきっていたが、1963年7月に幸浦事件の被告人に対する無罪判決が確定したことにより気力がつきて警察を引退。同年9月に脳出血により急死した。

紅林の捜査法

前述の通り、紅林は拷問による尋問・自白の強要・自己の先入観に合致させた供述調書の捏造のような捜査方法の常習者だった。また、アリバイが出てきそうになった場合は犯行現場の止まった時計の針を動かしたトリックを自白させ、被疑者が推理マニアであることや被疑者の周辺で時計の針を動かすトリックがある探偵映画が上映されていることなどの傍証を積み重ねる手法でアリバイを否定しようとした。

これらについて二俣事件の裁判では同僚の捜査員である山崎兵八が「県警(島田事件のみ、これ以前は国警静岡県本部)の組織自体が拷問による自白強要を容認または放置する傾向があった」と証言。県警当局は山崎を偽証罪で逮捕(ただし『妄想性痴呆症(妄想型統合失調症の旧称)』として不起訴処分)したうえ懲戒免職処分にした。また幸浦事件では自分達が先に被害者の遺体が埋められている場所を探知しておきながら、被疑者に自白させた後に発見したようにして秘密の暴露を偽装した疑惑があるほか、主犯とされた男性は拷問によるためか持病(てんかん)の悪化により僅か34歳で上告中に死亡した。

紅林の捜査法に見られるような強制・拷問または脅迫によるなど任意性に疑いのある供述調書は、刑事訴訟法第322条第1項および第319条第1項により証拠とすることができない。小島事件では実際に紅林の捜査法に最高裁の判断が下された。この最高裁判決では被告人(当時は被疑者)が取調べ中に留置場に戻ってくるたびに赤チン(局所殺菌剤)を塗るなど治療を受けていたという証言などを認定し被告人が主張する程度の過酷な拷問があったかについて疑義を呈しつつも、紅林主導の下で作成された供述調書の任意性を否定し被告人に有罪を言い渡した原判決を破棄差戻しとした(後に無罪確定)[1]

脚注

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参考文献

  • 佐藤友之、真壁旲『冤罪の戦後史』図書出版社、1981年。ISBN 4809981916
浜松事件での紅林の功績は偽りのもので、実際は当時の県警刑事課長の怪我の功名によるものだったとある。その後、紅林はしくじって免職しかけるが、浜松事件解決の「功労者」として後継の刑事課長によって県警に引き上げられたという。以上は二俣事件で被告側の証人になった元刑事の南部清松の談である。南部は島田事件でも冤罪を証明する活動をしている。
浜松事件と二俣事件を中心に紅林の経歴を多数の資料に基づいて記述しており、伝記的事実から人物像を浮かび上がらせている。

関連項目