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精子形成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
精子発生のプロセス
1. 一次精母細胞
2. 二次精母細胞
3. 精細胞
4. 精子

狭義の精子形成(せいしけいせい)[1]または精子完成(せいしかんせい)[2]: Spermiogenesis)は、精子発生の最終段階であり、精細胞が成熟精子へと発達する過程を指す。この段階の初期では精子細胞はゴルジ体中心小体ミトコンドリアを含むほぼ円形の細胞であるが、過程の終わりまでに、その形状は頭部、中片部、尾部を備えた細長い精子へと根本的に変容する。

形成過程

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ヒト精子の微細構造
マウス精子細胞における細胞内構造の形成過程。残余小体と尖体の形成を示す。

(狭義の)精子形成の過程は伝統的に、ゴルジ期、先体期、尾部形成期、成熟相の4段階に分けられる[3]

ゴルジ期

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これまでほぼ放射対称性英語版であった精細胞は、極性を持ち始める (非対称的になる)。片方の端ではゴルジ体先体となる酵素を生成して頭部が形成される。もう一方の端にはミトコンドリアが集まる肥厚した中片が形成され、遠位の中心小体は軸糸英語版を形成し始める。

精子細胞のDNAは高度に凝縮されてパックされる。DNAはまず特定の核塩基性タンパク質で梱包され、その後精子細胞の伸長中にプロタミンに置き換えられる。結果として生じる密集したクロマチンは転写的に不活性である。

先体期/頭帽期

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ゴルジ体は凝縮した核を取り囲み、先体(: acrosomal cap)となる。

精子の尾部が内側を向いている。この向きは先体期に生じる。

尾部の形成

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細胞の中心小体の1つが伸長し、精子の尾部となる。袖飾り[訳語疑問点]: manchette)と呼ばれる一時的な構造がこの伸長の扶けとなる。

成熟相

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レゴーの残余小体(: residual body of Regaud[4])と言われる過剰細胞質は、精巣内の精子細胞周囲に居るセルトリ細胞によって貪食される。

排精

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成熟した精子はそれを保護していたセルトリ細胞から精細管の腔内に放出される。その後、排精(: Spermiation)と呼ばれる過程が起こり、この過程で残存する不要な細胞質細胞小器官が除去される[5]

こうして生成された精子は成熟しているが運動性を欠いており、不妊状態である。運動能力のない精子は、セルトリ細胞が分泌する精巣液[訳語疑問点]: testicular fluid)中を蠕動運動の助けを借りて精巣上体へと運ばれる。

精巣上体内で、精子は運動性を獲得する。しかし、成熟精子が男性生殖器系を通過する際の輸送は、精子自身の運動性ではなく筋肉の収縮によって達成される。先体を覆う糖蛋白質の被殻は、精子が男女の生殖管を通過する前に卵子と受精するのを防いでいる。精子の受精能獲得は前立腺で産生される受精促進ペプチド(: fertilization promoting peptide; FPP)と女性生殖管内のヘパリンによってこの被殻を除去することで達成され、これにより精子が卵子に結合することが可能となる[6]

ゲノムの完全性

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精子形成期、すなわち雄の生殖細胞形成における減数分裂後の単数体段階では、幾つかの根本的な課題に直面する。[7]

  1. 2回の減数分裂が完了すると、染色分体DNA二本鎖損傷に対して脆弱になる。そのような損傷を正確に修復するには通常、姉妹染色分体または相同染色体が必要になるためであるが、これらは長期間(数日または数週間)亘って利用不可能となるからである[7]
  2. 精子ゲノムは精子形成過程において転写を行うことができず、DNA損傷などに新たに対応する能力が阻害される[7]
  3. 成熟生殖細胞を形成するための適切なゲノム梱包の工程でヒストン蛋白質結合からプロタミン蛋白質結合への移行が起こる。この移行はDNA二本鎖切断の発生と関連している[7]

これらの課題がどのように克服されるかは、依然として充分に解明されていない。

出典

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  1. 岩永敏彦、渡部剛『標準組織学 各論』(第6版)医学書院、2022年3月15日、297,300頁。ISBN 978-4-260-04132-4
  2. 獣医発生学用語 第2版”. 日本獣医解剖学会/獣医解剖分科会. 2026年2月4日閲覧。
  3. ANAT D502 – Basic Histology[要文献特定詳細情報]
  4. Residual body of Regaud”. 2026年2月1日閲覧。
  5. O'Donnell, Liza; Nicholls, Peter K.; O'Bryan, Moira K.; McLachlan, Robert I.; Stanton, Peter G. (2011). “Spermiation”. Spermatogenesis 1 (1): 14–35. doi:10.4161/spmg.1.1.14525. PMC 3158646. PMID 21866274.
  6. Fraser, L. R. (September 1998). “Fertilization promoting peptide: an important regulator of sperm function in vivo?”. Reviews of Reproduction 3 (3): 151–154. doi:10.1530/ror.0.0030151. ISSN 1359-6004. PMID 9829549.
  7. 1 2 3 4 “Running the gauntlet: challenges to genome integrity in spermiogenesis”. Nucleus 15 (1). (December 2024). doi:10.1080/19491034.2024.2339220. PMC 11005813. PMID 38594652.

外部リンク

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