粉塵爆発

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ワッシュバーン製粉所の粉塵爆発を記したステレオグラフ(1878年

粉塵爆発(ふんじんばくはつ、: Dust explosion: Staubexplosion)は、ある一定の濃度の可燃性の粉塵大気などの気体中に浮遊した状態で、火花などにより引火して爆発を起こす現象である。

原理[編集]

粉塵爆発の5要素として、可燃性粉塵、支燃物としての酸素、点火源(以上は燃焼の3要素)、拡散状態(粉塵雲)、空間的制約が揃わなければならない[1]

  1. 可燃性粉塵
    粉塵の物性には可燃性のものと不燃性のものがある[1]。一般的には石炭炭素硫黄など物質の燃焼熱が高まるほど粉塵爆発の危険性も高まる[1]マグネシウム酸化第二鉄など酸化しやすい物質は粉塵爆発が起こりやすい[1]。また、帯電しやすい粉塵ほど粉塵爆発を起こしやすい[1]
  2. 支燃物(酸素
    粉塵の粒子は細かいほど比表面積(単位質量あたりの表面積)は大きくなり、化学的活性が増加する。また吸着する酸素が多くなるほど爆発が生じやすくなる[1]
  3. 点火源
    • 火気はもちろんのこと、掃除機など電気機器のスパーク、研磨の際などに出る火花および静電気が挙げられる。静電気は粉じんそのものの摩擦によっても起こる。
  4. 拡散状態(粉塵雲)
    原因となる粉塵による粉塵雲が形成されている必要がある[1]
  5. 空間的制約
    粉塵の濃度も可燃性ガスと相似し、爆発を引き起こす濃度範囲には上限値(爆発上限値)と下限値(爆発下限値)がある[1]。ただし、粉塵は爆発上限値が高いため、一般には爆発下限値のみを記載することが多い[1]

過程[編集]

粉塵爆発には3つのステップがある。

  • 第一ステップ - 浮遊する粉塵が熱源の作用で乾留・気化[1]
  • 第二ステップ - 可燃性ガスと空気の混合・燃焼[1]
  • 第三ステップ - 粉塵の燃焼により放出される熱量により、さらに付近に浮遊する粉塵が気化・燃焼し、燃焼の循環が漸次的に行われ反応速度が持続的に加速[1]

爆発の危険性評価[編集]

2002年に、JIS規格で測定法が制定されている。

独立行政法人産業安全研究所からも指針が出されている。危険性評価は、頻度と強度の両面から評価される。一般的なリスク管理では、発生頻度が低いほど安全ではあるが、爆発事故が発生した場合の被害は、設備被害、人的被害の両面で極めて大きいため、僅かな発生頻度でもリスクが高いと評価される。粉塵爆発の場合には一般的な火薬学の理論は適用できないため、リスク評価にはFK理論と呼ばれる熱爆発理論を用いた計算が利用されている。

特性値[編集]

爆発の危険性は、以下の特性値を基に判断される。

  • 爆発発生特性
  • 爆発強度特性
    • 爆発圧力
    • 圧力上昇速度
    • 火炎伝播速度
    • 爆発跡ガス

可燃性粉塵の法規制[編集]

日本[編集]

日本においては、アルミニウム、亜鉛を始め多くの金属の粉末は消防法上第2類危険物(可燃性固体)に指定されている。

中国[編集]

中国においては、粉塵爆発防止安全規程(GB 15577-2007)などが定められている[1]

発生状況[編集]

過去46年間[いつ?]の統計では、281件の事故が発生し、負傷者587人、死者110人が出ている(粉塵爆発火災対策より引用)。

種類 負傷者 死者
石炭 41 7
金属 158 42
農産物 111 17
化学合成品 62 6
有機化学薬品 68 13
繊維 94 8
その他 25 7

事例[編集]

ワッシュバーン製粉所大爆発の遺構

脚注[編集]

[脚注の使い方]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 于飛. “粉塵爆発事故発生の原因分析と予防策”. 中央労働災害防止協会. 2022年1月25日閲覧。
  2. ^ 直江津工場爆発火災事故 現状について”. 信越化学工業 (2007年4月19日). 2017年9月23日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2017年9月23日閲覧。
  3. ^ Color Play Asia fire claims another life, after five months Taipei Times 2015年11月30日
  4. ^ INC., SANKEI DIGITAL (2018年11月20日). “粉塵爆発の連鎖が原因 静岡の15人死傷工場火災” (日本語). 産経ニュース. https://www.sankei.com/affairs/news/181120/afr1811200068-n1.html 2018年11月23日閲覧。 
  5. ^ コニカミノルタ系の工場で爆発 先月にも火災”. 2021年8月15日閲覧。

参考資料[編集]

  • 日本粉体工業技術協会粉じん爆発委員会 編 『粉じん爆発・火災対策』オーム社、2006年10月。ISBN 4-274-20312-3ISBN 978-4-274-20312-1 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]