箱船

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箱船(はこぶね)とは、の一種で、その形状から分類される。すなわち、方形の形をした船をいう。箱舟方舟とも書かれる[1]

神話の箱船[編集]

箱船は、『旧約聖書』『創世記』に登場するノアの方舟が良く知られている。これは神ヤハウェが邪悪な人間を滅ぼすため起こした大洪水にあって、善良なる人であったノアとその一族だけを例外として救うため、ノアに命じて箱船を造らせた物語である。ノアたちはこの箱船に乗船して、大洪水による滅亡を逃れた。

一方、類似した話・伝承が他の文化圏の神話などでも伝わっている。ギリシア神話では、「青銅の時代」の人間が悪に堕したため、神ゼウスが大洪水を起こし、青銅の人間を滅ぼしたという神話のなかで登場する。プロメーテウスの息子デウカリオーンは、父より大洪水による滅亡の計画を教えられ、箱船を建造して、妻ピュラーと共に難を逃れたとされる。

箱船を意味する英語の「ark(アーク)」には、箱船以外に様々な意味や用法がある。一般に「方形」をしたものを指す。また、そこからの派生語などがある。ユダヤ教聖櫃契約の箱なども英語では、「Ark」と呼ばれる。これらはいずれも、方形の箱である。

箱船が現実の舟を意味しているとは限らない。箱船は「大洪水=滅び」(大洪水とは人類を滅ぼす災厄の一種、つまり譬え・象徴であり、水関係でなくともよい)において、洪水前の世界と洪水後の世界を橋渡しする、ごく一部の人間を救済する存在である。そのように、人類が滅びる危機的状況において、人類を救済する存在、即ち、「神」や「救世主」や「神殿=宗教組織」などを、「四角形=箱」(平面でも立体でもよい)で表しているとも考えられる。 

上記のように箱船を危機的状況における「不動の存在」として書く一方で、箱舟を「常に動き続ける存在」と考えることもできる。

つまり、箱船を、円環の歴史において、始まりから終わりまで、「円環上を航海する船」、「人類を導く存在」、であると、考えることもできる。箱船は、「世界の歴史そのもの」であるともいえる。そうした、存在を、世界の歴史を、船で具象化した「もの」なのである。つまり、譬え・象徴の一種であり、船でなくともよく、別の「もの」で表現されることもある。

歴史の始まりの刻から、我々は既に箱船に乗っている。しかし歴史の終わりの刻において、ほとんどの人間はそこ(世界の終わりの刻=滅び)で降ろされ、箱船に乗ったまま、世界の始まりの刻へ渡れる(戻れる)のは、選ばれたごく一部の人間だけなのである。箱船の逸話は、その最終局面を書いたものなのである。

この「不動の存在」と、「常に動き続ける存在」は、一方が箱船ならもう一方は大洪水となる関係となっている。つまり「不動の存在」が箱船ならば、「常に動き続ける存在」は「不動の存在」にとっての大洪水となり、「常に動き続ける存在」が箱船ならば、「不動の存在」は「常に動き続ける存在」にとっての大洪水となる。

脚注[編集]

  1. ^ 『大辞林』第二版

関連項目[編集]

  • 大洪水
  • ノアの方舟 - ノアの方舟には内側にも外側にもタールが塗られているので、黒いはずである。
  • デウカリオーン
  • サートゥルヌス - 土星神は、「黒い太陽」とも呼ばれ、「黒い立方体」で表現される。
  • カアバ - イスラーム教の「黒い立方体」の神殿。
  • メー
  • 」、「×」、「」、「」 - これらは全て、「神=天体」「世界(歴史)の終わりと始まりの場所」を表す記号である。具体的な建造物としては、「〇」をストーンサークル、「×」を十字架や柱や大樹、「△」をピラミッドジッグラト、「□」を神殿や都城などで表す。
  • - 死者を納める棺も、アークのように直方体である、