笹子トンネル (中央自動車道)

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笹子トンネル
概要
位置 山梨県
座標

北緯35度37分7.7秒
東経138度47分42.8秒
(上り)

北緯35度37分7.4秒
東経138度47分41.3秒
(下り)
現況 供用中
所属路線名 Chuo Expwy Route Sign.svg 中央自動車道
起点 山梨県大月市笹子町
終点 山梨県甲州市大和町
運用
完成 1975年(昭和50年)
開通 1977年(昭和52年)12月20日
所有 中日本高速道路株式会社
通行対象 自動車
技術情報
全長 (上り線)4,784 m
(下り線)4,717 m
道路車線数 (上り線)2車線
(下り線)2車線
設計速度 80km/h規制速度:70 km/h)
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笹子トンネル(ささごトンネル)は、山梨県大月市と同県甲州市の間にある、中央自動車道本線(西宮線)のトンネルである。

中央自動車道大月JCT(山梨県大月市)‐ 勝沼IC(山梨県甲州市)間にある[1]。全長は下り4717 m、上り4784 m(上下線ともに2車線)であり、中央自動車道では恵那山トンネルに次いで2番目に長い。

供用[編集]

2010年度の道路交通センサスによれば24時間交通量は上下線合わせて4万0576台[2]

通常時はトンネル内の制限速度時速70kmに規制されている[3]

速度制限と傾斜とがあいまって、速度が低下しやすく、土日・祝日などには上下線で10km以上の長い渋滞が発生しやすい。また、東京方面に向かう上り線は小仏トンネルを先頭とする渋滞がこのトンネルまで伸びてくることもある。

かつて上り線において土日や連休の午後になると笹子トンネル手前(甲府側)で車線規制を行うことがあった。これは、トンネル内の渋滞による追突事故の危険やトンネル内部の環境悪化の懸念があったために、意図的に笹子トンネルの手前で渋滞ポイントを作ることによって、交通量を絞り込みトンネル内に渋滞を発生させない工夫であった。2003年3月16日上野原IC‐大月IC間の上り線トンネルを片側3車線かつ勾配を抑制した新ルートに切り替えたため、中野トンネルを先頭とする渋滞は解消し、これらの措置は行われなくなった。

トンネル内ではAMラジオ放送の再送信をしている。

構造[編集]

全長
下り 4717 m、上り 4784 m(上下線ともに2車線)
換気方式
かつては、延長4kmを越える長大トンネルであることから横流換気方式を用いて、トンネル上部を天井板と隔壁板で2つに仕切って送気・排気ダクトを設けていた。天井板と隔壁板を構成するコンクリート板(PC板)には大中小があり、最大は約5×1.2メートル、重量1.7トンである[4]。後述の天井板落下事故発生後は、天井板と隔壁板を撤去しジェットファンを設置した縦流換気方式を採用している[5]

排気ガスの増加によるトンネル内部の空気環境悪化を防止するため、最大で2%の勾配が設けられている。

このトンネルの施工会社のうちの1社である飛島建設ホームページによると、トンネルの途中には200mにわたる破砕帯が存在し、トンネル工事の際には粘土化した地山と毎分6トンの湧水があったとされている[6]。供用開始前の1976年11月には、会計検査院によってトンネル建設施工時の監督が不適切だった為に強度不足の場所がある、という指摘を旧公団(JH)が受けていた[7][8]

歴史[編集]

年表[編集]

  • 1975年昭和50年)00年00日 - 完成。施工は大成建設と大林組の共同企業体[9]
  • 1977年(昭和52年)12月20日 - 供用開始[1]
  • 2005年平成17年)10月1日 - 日本道路公団民営化、中日本高速道路株式会社に継承
  • 2012年(平成24年)12月2日 - 上り線の東京寄りの場所で、天井が崩落する事故が発生。同日通行止めに[10]。詳細は笹子トンネル天井板落下事故を参照。
  • 2012年(平成24年)12月3日 - 上り線崩落事故を受けて、下り線トンネルの緊急点検を実施。
  • 2012年(平成24年)12月9日 - 下り線トンネルで天井板のボルトやナットに緩みが見つかる。同日に下り線トンネルの天井板を台車を使って取り除く工事を開始。
  • 2012年(平成24年)12月29日 - 下り線トンネルを対面通行化、仮復旧[11]
  • 2013年(平成25年)2月8日 - 上り線トンネルが完全復旧、対面通行解除。
  • 2015年(平成27年)9月6日 - 下り線トンネルに残る天井板一部を撤去するなどの工事開始[12][13]
  • 2015年(平成27年)12月1日 - トンネルの入口に信号機を設置。信号機がある高速道路のトンネルは山梨県内で初めて[14]。二次的事故を防ぐ目的があり、通常時は青が点灯、片側通行だと黄色が点滅、全面通行止めになると赤が点灯する[15]

天井板落下事故(2012年)[編集]

2012年12月2日午前8時5分頃(JST[16]、上り線トンネルの大月市側出口から1508m付近でトンネルの天井板であるコンクリート板およそ345枚(中壁を含む)が138mにわたって[17]V字型に折り重なるように崩れ落ちた[16]。現場を走行中であった自動車3台が落下した天井板の下敷きとなり死者9名、重軽傷者2名の事故となった[1][16][18][19][20][21][22][23][24]

NEXCO中日本(中日本高速道路株式会社)は、1年に一度は定期点検を行い、5年に1度は詳細点検を行っている[1]としていたが、2000年に行われた点検以降は打音検査すらしていなかったということが、山梨県警によるNEXCO中日本本社への家宅捜索による押収資料から発覚している[25][26]。尚、崩落事故発生後にNEXCO中日本は過去の笹子トンネルの安全検査について、説明を二転三転させており一部からは批判が出ている[27]

毎年笹子トンネル天井板崩落事故の慰霊場所としている笹子トンネル下り線東坑口付近のスペースに慰霊碑が置かれ、慰霊・一般開放施設として整備される予定である。[28]

[編集]

中央自動車道
(10)大月IC/(11)大月JCT - 初狩PA - 笹子トンネル - (12)勝沼IC

画像[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d “中央道トンネル崩落:現場で焼死体3体を確認”. 毎日jp (毎日新聞社). (2012年12月2日). オリジナル2012年12月16日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/20121216232733/mainichi.jp/select/news/20121203k0000m040001000c.html 2012年12月4日閲覧。 
  2. ^ 平成22年度道路交通センサス 一般交通量調査 箇所別基本表(山梨県)”. 国土交通省 (2011年9月18日). 2012年12月5日閲覧。
  3. ^ “笹子トンネルが全面開通=天井板崩落事故から2カ月―山梨”. 時事通信社. (2013年2月8日). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013020800677 2013年2月9日閲覧。 
  4. ^ 三上哲司、直野正和、中央自動車道笹子トンネルにおける天井板取付ロボットについて - 1981年の電算機利用に関するシンポジウム講演概要 土木学会 1981
  5. ^ “笹子トンネル:2カ月ぶり全面開通 天井板なくファン新設”. 毎日jp (毎日新聞社). (2013年2月8日). オリジナル2013年5月1日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/M1Gtl 2013年2月13日閲覧。 
  6. ^ 中央自動車道路 笹子トンネル(飛島建設HP(2012年12月2日閲覧))
  7. ^ 会計検査院 昭和50年度決算検査報告 http://report.jbaudit.go.jp/org/s50/1975-s50-0159-0.htm 2012年12月10日閲覧
  8. ^ 開通前、会計検査院が施行不良指摘 笹子トンネルMSN産経ニュース2012年12月3日00:48配信(配信日に閲覧))
  9. ^ 毎日新聞 2012年12月03日 , MSN産経 2012年12月02日
  10. ^ 中央道・笹子トンネル崩落、黒煙 けが人情報も中日新聞2012年12月2日09:37配信(配信日に閲覧)
  11. ^ 中央自動車道笹子トンネル(下り線)の開通見通しについて NEXCO中日本 2012年12月8日
  12. ^ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150907/k10010218641000.html
  13. ^ http://media2.c-nexco.co.jp/images/news/3691/81fa38314bb365ee800d233a5622e5ab.pdf
  14. ^ 天井板崩落の笹子トンネルに信号機 多重事故防止へ 朝日新聞 2015年12月3日閲覧
  15. ^ 笹子トンネル:中央道に信号機 事故防止で12月1日から 毎日新聞 2015年12月3日閲覧
  16. ^ a b c “中央道トンネル天井崩落、4人死亡・けが2人”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2012年12月3日). オリジナル2012年12月2日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/20121202063420/www.yomiuri.co.jp/national/news/20121202-OYT1T00248.htm 2012年12月5日閲覧。 
  17. ^ “NEXCO中日本、中央道 笹子トンネル(上り線)の天井板崩落事故現場を公開”. CAR WATCH (CAR WATCH). (2013年2月3日). http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130204_586239.html 2013年2月4日閲覧。 
  18. ^ “中央道:女性が自力で脱出、病院搬送…笹子トンネル崩落”. 毎日jp (毎日新聞社). (2012年12月2日). http://mainichi.jp/select/news/20121202k0000e040117000c.html 2012年12月5日閲覧。 
  19. ^ "突然の崩落はなぜ~緊急報告・中央道トンネル事故~". クローズアップ現代. NHK総合. NHK. 2012年12月3日放送. 2012年12月10日閲覧。
  20. ^ “【トンネル内崩落】ワゴン車から遺体発見か”. MSN産経ニュース (産経新聞社). (2012年12月2日). http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121202/dst12120215200009-n1.htm 2012年12月5日閲覧。 
  21. ^ “トンネル崩落、復旧のメド立たず 死者9人”. 日本経済新聞電子版. (2012年12月3日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0300T_T01C12A2MM0000/ 2012年12月7日閲覧。 
  22. ^ “中央道トンネル崩落:男性1人を救出も死亡確認”. 毎日jp (毎日新聞社). (2012年12月2日). http://mainichi.jp/select/news/20121203k0000m040085000c.html 2012年12月7日閲覧。 
  23. ^ “トンネル崩落、中日本高速を家宅捜索 現場検証も”. 日本経済新聞社. (2012年12月4日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0401M_U2A201C1MM0000/ 2012年12月5日閲覧。 
  24. ^ “笹子トンネル事故、死者9人に 乗用車から3人の焼死体”. 朝日新聞デジタル. (2012年12月3日). http://www.asahi.com/national/update/1203/TKY201212030208.html 2012年12月3日閲覧。 
  25. ^ トンネル崩落:00年の打音検査でナットの緩み見つけ補修 (毎日新聞 2012年12月06日00:38(配信日に閲覧))
  26. ^ 崩落事故 中日本高速の管理・点検資料を押収(NHK 2012年12月4日 18:08配信(2012年12月06日閲覧))
  27. ^ 「打音」の方法は?中日本高速の説明、二転三転YOMIURI ONLINE2012年12月6日14:50(配信日に閲覧))
  28. ^ 笹子トンネル天井板落下事故の慰霊碑の設置について”. NEXCO中日本 (2017年9月10日). 2017年10月7日閲覧。

外部リンク[編集]