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第73次長期滞在

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ISS第73次長期滞在
前半のクルーが写った宣伝用ポスター
任務種別ISS長期滞在
運用者NASA / Roscosmos
任務期間233日 3時間 44分
長期滞在
宇宙ステーション国際宇宙ステーション
開始2025年4月19日
終了2025年12月9日
到着
出発
乗員
乗員数7-11
乗員
EVA3
EVA期間1時間47分

第73次長期滞在の徽章
アクシオム ミッション4(黒いつなぎ)と第73次長期滞在前半(白いつなぎ)のクルー
第73次長期滞在のクルー

第73次長期滞在(だい73じちょうきたいざい、Expedition 73)は73回目の国際宇宙ステーションでの長期滞在。このミッションは2025年4月19日のソユーズ MS-26の出発によってJAXA大西卓哉宇宙飛行士を指揮官として開始され、2025年12月9日のソユーズ MS-27の出発で完了した[1]。このミッションではISSで行われている広範な科学研究を継続し、生物学、人体生理学、物理学、材料科学など、さまざまな分野に焦点を当てていた。クルーは宇宙ステーションのシステムの保守とアップグレードも実施した。

背景、クルー、イベント

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第73次長期滞在は、NASAの宇宙飛行士アン・マクレイン英語版ニコール・エアーズ英語版ジョニー・キムJAXA大西卓哉ロスコスモスキリル・ペスコフ英語版セルゲイ・リジコフアレクセイ・ズブリツキイ英語版らのクルーで開始された。

この長期滞在では、これまでに3回の船外活動が行われている。2025年5月1日、マクレインとエアーズが5時間44分の船外活動を実施して、将来的に7基目のiROSAを設置できるようにステーションのトラス構造左舷側に改造キットを設置し、接近および離脱する民間の有人および貨物宇宙船と通信するためのアンテナを移動させた。

2025年6月26日、アクシオム ミッション4クルードラゴン グレイスに乗り込んだ指揮官のペギー・ウィットソンアメリカ合衆国)、パイロットのシュバンシュ・シュクラ英語版インド)、ミッションスペシャリストのスワヴォシュ・ウズナンスキ=ヴィシニェフスキ英語版ポーランド)とカプ・ティボール英語版ハンガリー)がクルーに加わった[2][3]。このミッションは、インド、ポーランド、ハンガリーにとって40年以上ぶりの有人宇宙飛行への復帰となった[4]。ISSでの2週間の滞在中、宇宙飛行士たちは31カ国が計画した60の実験を実施した[3][5]

NASAジーナ・カードマンマイケル・フィンクJAXA油井亀美也ロスコスモスオレグ・プラトノフ英語版を乗せたスペースX Crew-11が8月2日にISSに到着した。このミッションでは、Crew-10のクルーとの間で6日間の引き継ぎが行われた。大西は8月5日にステーションの指揮権をリジコフに受け渡した。マクレイン、エアーズ、大西、ペスコフが乗ったCrew-10は、8月8日にステーションを離れた。

10月16日、リジコフとズブリツキイがMLMのフレームにEkran-Mのペイロードを設置し、いくつかのカメラと固定プラットフォームを廃棄し、ズヴェズダサービスモジュールの窓を清掃し、SSKパネルとバイオリスクコンテナーを取り除くために6時間9分の船外活動を実施した。

10月28日にリジコフとズブリツキイがMLMのフレームに最後のペイロードセットを設置し、IPIプラズマインジェクターをスロット2および3に取り付け、ERAの制御パネルを再配置し、MLMの科学用窓を清掃し、Ekran-Mペイロードのカセットを交換するために6時間54分の船外活動を実施した。

NASAの宇宙飛行士クリストファー・ウィリアムズ英語版およびロスコスモスのセルゲイ・クド=スヴェルチコフ英語版セルゲイ・ミカエフ英語版を載せたソユーズ MS-28国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。

2025年12月1日、シグナス NG-23ユニティモジュールに再係留された後、ISSの運用開始以来初めて、8つのISSドッキングポート全てが同時に使用されることとなった。シグナスは11月24日、ラスベット天底ポートにあるソユーズ MS-28の接近経路を確保するために、カナダアーム2に一時的に配置されていた。この時点で宇宙ステーションにはスペースXのドラゴン2宇宙船2機(Crew-11CRS-33)、ノースロップグラマンの拡張型シグナス輸送機(NG-23)、JAXAのHTV-X輸送宇宙船(HTV-X1)、ロスコスモスのソユーズMS有人宇宙船2機(MS-27とMS-28)およびプログレスMS輸送宇宙船2機(MS-31MS-32)の8機の宇宙船ががドッキングしている[6]

引き継ぎ期間後の12月7日、リジコフがISSの指揮権をフィンケに引き渡した。この長期滞在は、12月9日にリジコフ、ズブリツキイ、キムが登場したMS-27の出発をもって終了した。

イベント時系列

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有人宇宙船関係のイベントは太字で表す。

先行ミッション:第72次長期滞在

2025年4月19日 - ソユーズ MS-26ドッキング解除、公式に第72次長期滞在に移行

2025年4月22日 - CRS SpX-32ドッキング

2025年5月1日 - EVA 1 (US-93) マクレイン/エアーズ:5時間44分

2025年5月23日 - CRS SpX-32ドッキング解除

2025年6月26日 - アクシオム ミッション4ドッキング(非長期滞在クルー)

2025年7月1日 - プログレス MS-29ドッキング解除

2025年7月5日 - プログレス MS-31ドッキング

2025年7月14日 - アクシオム ミッション4ドッキング解除(非長期滞在クルー)

2025年8月2日 - スペースX Crew-11ドッキング

2025年8月5日 - 第73次長期滞在の指揮官英語版大西卓哉からセルゲイ・リジコフに交代

2025年8月8日 - スペースX Crew-10ドッキング解除

2025年8月25日 - CRS SpX-33ドッキング

2025年9月9日 - プログレス MS-30ドッキング解除

2025年9月13日 - プログレス MS-32ドッキング

2025年9月18日 - CRS NG-23捕捉および係留

2025年10月16日 - EVA 2 (VKD-64) リジコフ/ズブリツキイ:6時間9分

2025年10月28日 - EVA 3 (VKD-65) リジコフ/ズブリツキイ:6時間54分

2025年10月29日 - HTV-X1捕捉および係留

2025年11月27日 - ソユーズ MS-28ドッキング

2025年12月7日 - 第73次長期滞在の指揮官英語版セルゲイ・リジコフからマイケル・フィンクに交代

2025年12月9日 - ソユーズ MS-27ドッキング解除、公式に第74次長期滞在に移行

後続ミッション:第74次長期滞在

クルー

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フライト クルー 第1期 第2期 第3期 第4期
2025年4月19日-8月2日
2025年8月2日-8日
2025年8月8日-11月27日
2025年11月27日-12月9日
ソユーズ MS-27 ロシアの旗 セルゲイ・リジコフRoscosmos
3
フライトエンジニア
ロシアの旗 アレクセイ・ズブリツキイ英語版Roscosmos
1
フライトエンジニア
アメリカ合衆国の旗 ジョニー・キムNASA
1
フライトエンジニア
スペースX Crew-10 アメリカ合衆国の旗 アン・マクレイン英語版NASA
2
フライトエンジニア 帰還後
アメリカ合衆国の旗 ニコール・エアーズ英語版NASA
1
フライトエンジニア 帰還後
日本の旗 大西卓哉JAXA
2
指揮官 帰還後
ロシアの旗 キリル・ペスコフ英語版Roscosmos
1
フライトエンジニア 帰還後
スペースX Crew-11 アメリカ合衆国の旗 ジーナ・カードマンNASA
1
搭乗前 フライトエンジニア
アメリカ合衆国の旗 マイケル・フィンクNASA
4
搭乗前 フライトエンジニア
日本の旗 油井亀美也JAXA
2
搭乗前 フライトエンジニア
ロシアの旗 オレグ・プラトノフ英語版Roscosmos
1
搭乗前 フライトエンジニア
ソユーズ MS-28
(進行中)
ロシアの旗 セルゲイ・クド=スヴェルチコフ英語版Roscosmos
2
搭乗前 フライトエンジニア
ロシアの旗 セルゲイ・ミカエフ英語版Roscosmos
1
搭乗前 フライトエンジニア
アメリカ合衆国の旗 クリストファー・ウィリアムズ英語版NASA
1
搭乗前 フライトエンジニア

宇宙船目録

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宇宙船 目的 ポート ドッキング日 ドッキング解除日
第72次長期滞在から引き継いだ宇宙船
ロシアの旗 プログレス MS-29 貨物 ラスヴェット 天頂 2024年11月23日 2025年7月1日
ロシアの旗 プログレス MS-30 貨物 ラスヴェット 後方 2025年3月1日 2025年9月9日
アメリカ合衆国の旗 スペースX Crew-10 "エンデュランス" 72/73次クルー ハーモニー 前方 2025年3月16日 2025年8月8日
ロシアの旗 ソユーズ MS-27 "Favor" 72/73次クルー プリチャル 天底 2025年4月8日 2025年12月9日
第73次長期滞在中にドッキングした宇宙船
アメリカ合衆国の旗 CRS SpX-32 貨物 ハーモニー 天頂 2025年4月22日 2025年5月23日
アメリカ合衆国の旗 Ax-4 "グレイス" 民間ミッションの訪問 ハーモニー 天頂 2025年6月26日 2025年7月14日
ロシアの旗 プログレスMS-31 貨物 ポイスク 天頂 2025年7月5日 2025年12月
アメリカ合衆国の旗 スペースX Crew-11 "エンデバー" 73/74次クルー ハーモニー 天頂 2025年8月2日 2026年4月(74次)
アメリカ合衆国の旗 CRS SpX-33 貨物 ハーモニー 前方 2025年8月25日 2025年12月
ロシアの旗 プログレスMS-32 貨物 ズヴェズダ 後方 2025年9月13日 2026年2月(74次)
アメリカ合衆国の旗 CRS NG-23 貨物 ユニティ 天底 2025年9月18日 2026年3月(74次)
日本の旗 HTV-X1 貨物 ハーモニー 天底 2025年10月29日 2026年1月(74次)
ロシアの旗 ソユーズ MS-28 "Gyrfalcon" 73/74次クルー ラスヴェット 天底 2025年11月27日 2026年7月26日(74次)
セグメント アメリカ合衆国の旗 アメリカ軌道セグメント ロシアの旗 ロシア軌道セグメント
期間 ハーモニー 前方 ハーモニー 天頂 ハーモニー 天底 ユニティ 天底 ラスヴェット 天底 プリチャル 天底 ポイスク 天頂 ズヴェズダ 後方
2025年4月19–22日 スペースX Crew-10 空き 空き 空き 空き ソユーズ MS-27 プログレス MS-29 プログレス MS-30
2025年4月22日–
5月23日
CRS SpX-32
2025年5月23日–
6月26日
空き
2025年6月26日–
7月1日
Ax-4
2025年7月1–5日 空き
2025年7月5–14日 プログレス MS-31
2025年7月14日–
8月2日
空き
2025年8月2–8日 スペースX Crew-11
2025年8月8–25日 空き
2025年8月25日–
9月9日
CRS SpX-33
2025年9月9–13日 空き
2025年9月13–18日 プログレス MS-32
2025年9月18日–
10月29日
CRS NG‑23
2025年10月29日–
11月27日
HTV-X1
2025年11月27日-12月9日 ソユーズ MS-28

プリチャルの前方、後方、右舷および左舷ポートはモジュールが宇宙ステーションにドッキングして以来使用されていないため表から割愛した。

脚注

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  1. ^ 大西卓哉宇宙飛行士のISS船長(ISSコマンダー)就任決定” [Astronaut Takuya Onishi appointed as ISS Commander]. JAXA (2024年12月2日). 2024年12月24日閲覧。
  2. ^ Axiom Mission 4”. nasa.gov. NASA. 2025年6月25日閲覧。
  3. ^ a b Harwood, William (2025年6月26日). “Ax-4 crew docks with International Space Station after 28-hour rendezvous”. cbsnews.com. CBS News. 2025年6月27日閲覧。
  4. ^ India, Poland, Hungary make spaceflight comeback with ISS mission”. france24.com. Agence France-Presse (2025年6月25日). 2025年6月27日閲覧。
  5. ^ Polska na orbicie. Misja IGNIS wystartowała!”. gov.pl. Ministerstwo Rozwoju i Technologii (2025年6月25日). 2025年6月25日閲覧。
  6. ^ Space Station First: All Docking Ports Fully Occupied, 8 Spacecraft on Orbit - NASA” (英語) (2025年12月1日). 2025年12月2日閲覧。