第35功洋丸事件

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第35功洋丸事件(だい35こうようまるじけん)は、日本漁船第35功洋丸の船主および船長が、ソ連国境警備隊の指示により、日本の国内情報をソビエト連邦に提供していたレポ船事件である[1]1982年昭和57年)12月29日北海道警察検挙[1]

概要[編集]

第35功洋丸の船主は、日本の北方海域において漁業を営んでいたが、1962年(昭和37年)以降、ソ連国境警備隊と連絡をとり、ソ連の主張する領海内で安全に操業する代償として、自衛隊の配備状況等の情報を差し出していた[1][注釈 1]

北海道警察釧路方面本部は、1982年12月29日、第35功洋丸の船長を、翌1983年(昭和58年)4月1日、船主をそれぞれ逮捕した[1]釧路地方裁判所根室支部は、1983年4月13日、船主に対し、検疫法違反の罪で罰金1万円の判決を下した[1]。また、船長に対しては、1983年3月17日北海道海面漁業調整規則違反で懲役1年、執行猶予4年の判決を下した[1][注釈 2]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 択捉島国後島色丹島歯舞群島、すなわち「北方領土」と称される島々については、ソビエト連邦(現、ロシア連邦)が自国の領土として、また、基線から12海里を領海として実効支配しており、日本側はそれに対し、「日本固有の領土」であることを主張して返還を求めている(北方領土問題[2]
  2. ^ 日本にはスパイ活動そのものを取り締まる法律が存在しないため、防衛秘密の漏洩を含むスパイ活動事件を取り締まることができないのが実情である。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 『戦後のスパイ事件』(1990)p.42
  2. ^ 北方領土問題とは?”. 日本の領土を巡る情勢. 外務省 (2021年3月31日). 2022年6月2日閲覧。

参考文献 [編集]

関連文献[編集]

  • 外事事件研究会『戦後の外事事件―スパイ・拉致・不正輸出』東京法令出版、2007年10月。ISBN 978-4809011474