第四次産業革命

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第四次産業革命 (Fourth Industrial Revolution、4IR) は、18世紀の最初の産業革命以降の4番目の主要な産業時代を指す。それは物理、デジタル、生物圏の間の境界を曖昧にする技術の融合によって特徴づけられる[1]。第四次産業革命はロボット工学人工知能 (AI) 、ブロックチェーンナノテクノロジー量子コンピュータ生物工学モノのインターネット (IoT) 、3Dプリンター自動運転車などの多岐に渡る分野においての新興の技術革新が特徴である。クラウス・シュワブはデジタル化と人工知能の経済に及ぼす影響の観点から第四次産業革命を「第二の機械時代」[2] と関連付けたが 、それに生物工学における進歩のためのより幅広い役割を加えた[3][検証用の引用文が必要]。第四次産業革命は全ての国のほぼ全ての産業を混乱させている。そしてこれらの変化の広さと深さは生産、管理、ガバナンスの全システムの変革を告げるものになる

シュワブはこの革命の一部を人工知能、ロボット工学、モノのインターネット、自動運転車、3Dプリンター、量子コンピュータ、ナノテクノロジーなどの分野における「新興の技術革新」とみている[4]。 産業革命の第四の波は破壊的な効果を伴う可能性の高いいくつかの新興技術が十分に実行された時に来ると予想されている[5]

産業革命の段階[編集]

第一次産業革命[編集]

蒸気機関「パッフィンビリー」の写真(ロンドンのサイエンス・ミュージアムで撮影)

第一次産業革命はヨーロッパとアメリカで18世紀から19世紀に渡って起きた。この時期に主に農耕・地方社会の工業化・都市化が進んだ[6]。鉄と繊維工業は蒸気機関の発展と共に産業革命において中心的な役割を担った。この時点では工場を中心とした機械の導入が行われた。

第二次産業革命[編集]

第二次産業革命は1870年から第一次世界大戦直前の1914年までの間に起きた[7] 。既存の産業の成長に加え、鋼鉄、石油、電気などの新たな産業も拡大していき、電力を使い大量生産を行った。この期間における主要な技術的進歩は電話機電球蓄音機内燃機関などがある[8]。この時点では、広範なエネルギー利活用のためのインフラが完成した。

第三次産業革命[編集]

第三次産業革命またはデジタル革命は、アナログ回路及び機械デバイスから今日用いているデジタル技術への技術的進歩を指す。この時代は1980年代から始まり、現在も継続中である[9]。第三次産業革命における進歩は、パーソナルコンピュータインターネット情報通信技術 (ICT) などがある。これらの技術革新は人間の知的作業の効率化を実現した。この時点での情報技術は知的作業の大幅な高速化に寄与したが、あくまで従来のアナログ的な道具の置き換えでしか無かった。この時点のコンピュータは極めて他律的で融通が効かず、情報システムの動作を規定するソフトウェアの殆どは、人間がルールベースでコーディングを行っていた。しかし、1つの到達点として、インターネットに常時接続されたスマートフォンノートパソコンなどの情報機器が携帯可能になった事で、場所を選ばない協働や、人間の擬似的な能力強化が可能になった。しかし、情報技術への依存度が強くなり、インターネット依存症歩きスマホなども問題になった。この革命は以前の革命と比較して極めて急速に進行した。

第四次産業革命[編集]

1983 Industrial Robots KUKA IR160/60, 601/60

2010年代第三次産業革命で十分に発達し安価になった情報技術を援用しながら、全世界で技術開発競争が繰り広げられた。技術規格の提唱時から大幅に進歩したWebソフトウェアが多数公開され、誰でも簡単にソフトウェアを利用できるようになり、開発にも参入できるようになった。結果として、ソフトウェアエンジニアが人気の職業になった。その中で、人工知能でブレークスルーが起き、産業応用が進められた事で、第四次産業革命の姿が見え始めてきた。

第四次産業革命はデジタル革命を大前提としており、技術が社会内や人体内部にすら埋め込まれるようになる新たな道を表している[10]。第四次産業革命はロボット工学人工知能 (AI) 、ブロックチェーンナノテクノロジーバイオテクノロジー量子コンピュータ生物工学モノのインターネット (IoT) 、3Dプリンター自動運転車仮想現実拡張現実複合現実などの多岐に渡る分野においての新興の技術革新を特徴とする。これらの技術革新は2030年代までには機械の自律性や柔軟性を極限まで高め、機械が人間にとって創造的でない仕事を肩代わり出来るようにする。それどころか、次第に生物機械を区別できなくし、最終的にはバイオテクノロジーナノテクノロジーを用いた人体改造でポストヒューマンを生み出す事を可能にする(詳しくは技術的特異点を参照)。その時点で、人間の思考は機械の情報処理と統合され、真の意味で拡張可能になり、人類進化は次のステージに進むことになる。第四次産業革命の究極の到達点では、人間の定義すらも覆る可能性があるが、技術的特異点という仮説では2045年にはその状況が現れるとしている。技術的特異点以後は人間の定義が覆るため、もはや生身の人間では想像が及ばない時代となる。

世界経済フォーラムの創設者兼会長のクラウス・シュワブ教授は、自著『The Fourth Industrial Revolution』で第四次産業革命が主に技術の発展によって特徴づけられた過去の三度の産業革命とは根本的に異なると説明した。これらの技術は数十億人をウェブに繋げ続け、事業と組織の効率性を劇的に改善し、より良い資産管理を通じて自然環境の再生に役立つ大きな可能性がある[11]

スイスのダボスで開かれた2016年の世界経済フォーラムの年次会議では「第四次産業革命の理解 (Mastering the Fourth Industrial Revolution)」がテーマとなった。

Arik Segalによれば、第四次産業革命は人間のコミュニケーションと紛争の解決を改善する独特の機会を持っているという[12]

「第四次産業革命」というフレーズは2016年の世界経済フォーラムにおいて初めて使用された[13]

関連リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ The Fourth Industrial Revolution: what it means and how to respond”. World Economic Forum. 2018年3月20日閲覧。
  2. ^ Compare: Schwab, Klaus (2017). The Fourth Industrial Revolution. New York: Crown Publishing Group. ISBN 9781524758875. https://books.google.com/books?id=ST_FDAAAQBAJ 2017年6月29日閲覧. "Digital technologies [...] are not new, but in a break with the third industrial revolution, they are becoming more sophisticated and integrated and are, as a result, transforming societies and the global economy. This is the reason why Massachusetts Institute of Technology (MIT) professors Erik Brynjolfsson and Andrew McAfee have famously referred to this period as 'the second machine age,' [...] the title of their 2014 book [...]." 
  3. ^ Schwab, Klaus (January 11, 2016). The Fourth Industrial Revolution. World Economic Forum. ISBN 1944835008. 
  4. ^ Compare: The Fourth Industrial Revolution: what it means, how to respond”. World Economic Forum. 2017年6月29日閲覧。 “The possibilities of billions of people connected by mobile devices, with unprecedented processing power, storage capacity, and access to knowledge, are unlimited. And these possibilities will be multiplied by emerging technology breakthroughs in fields such as artificial intelligence, robotics, the Internet of Things, autonomous vehicles, 3-D printing, nanotechnology, biotechnology, materials science, energy storage, and quantum computing.”
  5. ^ Ab Rahman, Airini (2017). “Emerging Technologies with Disruptive Effects: A Review”. PERINTIS eJournal 7 (2). https://www.researchgate.net/profile/Umar_Zakir_Abdul_Hamid/publication/321906585_Emerging_Technologies_with_Disruptive_Effects_A_Review/links/5a38fb87a6fdccdd41ff013d/Emerging-Technologies-with-Disruptive-Effects-A-Review.pdf 2017年12月21日閲覧。. 
  6. ^ "Industrial Revolution". History Channel.
  7. ^ “Second Industrial Revolution: The Technological Revolution - RVA” (英語). Richmond Vale Academy. (2016年7月21日). http://richmondvale.org/second-industrial-revolution/ 2016年12月12日閲覧。 
  8. ^ “The Second Industrial Revolution, 1870-1914 - US History Scene” (英語). US History Scene. http://ushistoryscene.com/article/second-industrial-revolution/ 2016年12月12日閲覧。 
  9. ^ “What is the Digital Revolution? - Definition from Techopedia”. Techopedia.com. https://www.techopedia.com/definition/23371/digital-revolution 2016年12月12日閲覧。 
  10. ^ What is the fourth industrial revolution?”. World Economic Forum. 2016年12月12日閲覧。
  11. ^ Marr, Bernard. “Why Everyone Must Get Ready For The 4th Industrial Revolution”. Forbes (blog). https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2016/04/05/why-everyone-must-get-ready-for-4th-industrial-revolution/#4816522279c9 2016年12月12日閲覧。 
  12. ^ Conflict Resolution in the Fourth Industrial Revolution”. OpenMind. 2018年2月14日閲覧。
  13. ^ “제4차 산업혁명” (朝鮮語). http://terms.naver.com/entry.nhn?docId=3548884&cid=42346&categoryId=42346 2018年3月24日閲覧。