第一大蔵卿

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イギリスの旗 イギリス
第一大蔵卿
First Lord of the Treasury
現職者:
リシ・スナク
Rishi Sunak

(第83代)
就任日: 2022年10月25日
担当官庁 大蔵卿委員会
初代 初代ハリファックス伯爵
創設 1126年大蔵卿英語版の設置)
1612年6月17日(大蔵卿委員会の初設立)
1714年10月13日(大蔵卿委員会の恒常化)
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イギリスの旗 イギリス行政機関

大蔵卿委員会
Lords Commissioners of the Treasury
第一大蔵卿官邸(首相官邸)
第一大蔵卿官邸(首相官邸)
役職
第一大蔵卿首相兼任) リシ・スナク
第二大蔵卿(財務大臣兼任) ジェレミー・ハント
概要
設置 1714年
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第一大蔵卿(だいいちおおくらきょう、: First Lord of the Treasury)は、イギリス国庫を預かる大蔵卿委員会 (Lords Commissioners of the Treasury委員長のことで、イギリスの首相が兼任する役職。駐日英国大使館のウェブページでは、財務第一卿と称していた[1]

解説[編集]

大蔵卿英語版の官職は17世紀初より、1人が務めるのでなく委員会制がとられることが多かった。1714年以降は常に大蔵卿委員会が王室財政を担当している。その長である第一大蔵卿の歴史もこの時に始まる。

初期の大蔵卿委員は年功序列によって「第一大蔵卿」「第二大蔵卿」…と番号が割り振られていた(21世紀の現在では第一・第二卿、他に6人の委員、計8人がいる)が、次第に第一大蔵卿が政府の首席とみなされるようになる。1721年ロバート・ウォルポール以後、事実上の首相となり、以降財政を司るのは、大蔵卿委員会の次席である第二大蔵卿 (Second Lord of the Treasuryを兼務する財務大臣 (Chancellor of the Exchequerとなった。ただし、ウォルポール以降も第一大蔵卿を兼任しない首相が例外として存在し、その最後の1人がソールズベリー侯爵である。1902年に就任したアーサー・バルフォア以降は全員第一大蔵卿を兼任しており、慣例になっている。

「首相 (Prime minister」は、その後も俗称にすぎなかったが、アーサー・バルフォア内閣時代の1905年になって正式な官職となった。ウィリアム・ピット(小ピット)は、首相兼第一大蔵卿のあり方について「財政の先頭にある人であるべきだ(ought to be the person at the head of the finances.)」という言葉を残している[2]1942年までは英国議会庶民院院内総務又は貴族院院内総務も兼ねるのが通例であった。

なお、イングランドでは、宮廷内の財務を扱う大蔵省 (Treasuryと国家財政を扱う財務省 (Exchequerとが別箇の官庁であったが、グレイ伯爵内閣時代の1833年の行政改革により、大蔵省に統合された。

参考[編集]

  1. ^ 閣僚リストを教えて下さい”. 駐日英国大使館. 2012年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月25日閲覧。
  2. ^ Andrew Blick and George Jones (2010年6月). “The power of the Prime Minister” (English). History & Policy. United Kingdom: History & Policy. 2011年8月14日閲覧。

外部リンク[編集]