符号関数

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実数に対する符号関数 y = \sgn x

符号関数 (sign function, signum function) は、実数に対しその符号に応じて1-10のいずれかを返す関数

 \sgn x = \begin{cases}
  1 & :\ x > 0 \\
  0 & :\ x = 0 \\
 -1 & :\ x < 0 \end{cases}

およびそれを拡張した複素関数。

記号は \sgn x\, のほかに、 \sgn(x)\,\operatorname{Sgn}\,x\operatorname{sign}\,x なども使われる。

英語から「サイン関数」とも呼ぶが、この名は正弦関数 \sin と非常に紛らわしい。区別するためにsignのラテン語形のsignum(シグヌム、英語読みはシグナム)から「シグナム関数」 (signum function) と呼ぶことがある。英語以外でもドイツ語などいくつかの言語でsignum系の名前で呼ばれる。

複素数への拡張[編集]

実数に対する符号関数は

\sgn x = \begin{cases}
  {x}/{|x|} & :\ x \ne 0 \\
  0         & :\ x = 0 \end{cases}

と書くこともできる。符号関数の複素数への拡張は、この式を複素数へも適用することで得られる。複素数に対する符号関数は、複素数平面上でベクトルに対し同方向の単位ベクトルを求める操作と同等である(ただし零ベクトル以外のとき)。

なおこのほかに、gnuplotでは、複素数に対し符号関数を

 \sgn x = \sgn \operatorname{Re}\,x

と定義している。またMaple Vでは

\operatorname{csgn}\,x = \begin{cases}
       \sgn \operatorname{Re}\,x & :\ \operatorname{Re}\,x \ne 0 \\
       \sgn \operatorname{Im}\,x & :\ \operatorname{Re}\,x = 0 \end{cases}

という関数を定義している(\operatorname{Re}\operatorname{Im} はそれぞれ複素数の実部と虚部)。しかしこれ以降は、これらの定義は使わず、最初の定義の符号関数について述べる。

性質[編集]

符号関数は、以下のような性質を持つ(これらは複素数に対し成り立つ)。

極形式との関係:

  • |\sgn x| = \begin{cases}
  1 & :\ x \neq 0 \\
  0 & :\ x = 0 \end{cases}
  • \arg \sgn x = \arg x \, 、ただし \arg は偏角
  • x = (\sgn x) |x| \,
  • \sgn x = e^{i \arg x} \quad (x \ne 0)

符号の演算:

  • \sgn -x = -\sgn x \,
  • \sgn \frac{1}{x} = \frac{1}{\sgn x} \quad (x \ne 0)
  • \sgn xy = \sgn x \sgn y \,
  • \sgn \frac{x}{y} = \frac{\sgn x}{\sgn y} \quad (y \ne 0)
  • \sgn x^y = (\sgn x)^y\,

実数に対しては、加えて次のような性質を持つ。