笠井寛司

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笠井 寛司(かさい かんじ、1933年11月2日[1]- 2002年2月2日)は、日本女性器学者産婦人科医。元滋賀医科大学助教授

経歴[編集]

京都市左京区岡崎生まれ。京都大学薬学科を経て、1961年京都大学医学部医学科を卒業。1966年に京都大学医学部の博士課程修了。1968年に京大から医学博士を授与される。1969年(昭和44年)日本バプテスト病院産婦人科に勤務。その後、1976年(昭和51年)滋賀医科大学助教授となる。組織内分泌学の研究と解剖学的体型要素を分析した。女性のセックス(女性問題)と女性器研究と女性の性行動に実態調査を行った。

女性器研究[編集]

1995年に日本で初めて世界性科学学会が開催されて、女性器研究が盛んになった頃、笠井寛司は『日本女性の外性器の統計学的形態論』をフリープレス社から出版した。この女性器事典は日本人女性8530人の外性器を30年の長い期間にかけて観察して大量撮影した書物である。陰核(クリトリス)の形や陰毛ヘアヌード)の生え方や濃さや形式や色、小陰唇大陰唇の形や大きさや生え方や膣入口の位置などを女性の年齢・出産経験・女性の性体験・女性の体重・女性の身長などの細かいデーターで比較して、さらに肌に色と色素沈着の度合いなどの相関関係を解明した女性器事典である[2]。豊富な資料写真と独自の研究は、海外の研究者から高い評価を受けた[3]

しかし、女性器の資料写真が猥褻文書販売に当たるとして市民団体が検察に告発状を提出(のちに不起訴処分。検察審査会が不起訴処分不当と議決するも再度不起訴処分となる)など女性器事典が世間に知られて一部の人権団体や女性運動家との軋轢が生じた。さらに女性器の写真が女性患者の同意がない盗撮に当たる行為として、女性患者の女性器が大量に撮影されて女性の尊厳を傷つけたとして、社団法人自由人権協会が『笠井元助教授は、患者として来院した女性の外性器を無断撮影し、かつその同意を得ることなく、その写真をおよそ学術書とはいえない内容で出版したことにより、医療を求める女性を不安に陥れ、女性の尊厳を傷つけた。よって笠井元助教授はそのことを率直に反省し、責任を明らかにすべきである』とする厳しい非難声明を発表した[4]。それに対し、笠井は医学上重要だと反論していた。

1996年(平成8年)に滋賀医科大学から訓告処分を受け、その後大学を依願退職して[5]性科学者として活動した。2002年(平成14年)2月2日食道動脈破裂で急死した。享年69。

1990年(平成2年)から第10回日本性科学学会の学会長をつとめた。組織内分泌学の研究と、生物学老化医学哲学ジェンダーの観点から女性の女性器研究を行った。女性の男性との性経験の統計など男女の性行動の実態を調査して、『女性器とは何か』の性の問題について徹底的に追及した。

理論[編集]

  • 中絶などの行為で生命の誕生を意図的に操作するのは怠慢である[6]
  • 精子の冷凍凍結を実施する事は、100年前と100年後の人物の父子関係・200年前と200年後の人物の親子関係が成立する危険性がある[7]
  • 精子ドナー卵子ドナーなどの不妊治療ヒトラー優生思想につながる[8]
  • 男女産み分けについては反対の立場であり、男女の産み分けを実施する事は親のエゴイズムであり、親が子供の性別を自然に選ぶべきである[9]
  • 子供は親の所有物の概念があり、日本で戦後増加した子供のいじめ自殺など自殺行為については不幸な出来事だが、自殺する動物は人間のみである[10]
  • 不妊症は生物的には自然な現象でもあり、自分の跡継ぎを残したいという家意識や跡継ぎ意識がある事から大部分の人が子供を望んでいる。不妊である事が本当に病気であるのかは自分は疑問である[11]
  • 男性男性器の順番で老化する[12]
  • 身長のスパートと呼ばれる身長が伸びる時期に、女子の月経が開始して、未成年の少年や少女に陰毛が生えてくる[13]
  • 乳房は女性の美の象徴で、最近は女性の巨乳の乳房で興奮する男性がいるが、本来男性が興奮するのは女性器陰毛などの下半身性器である。

著書[編集]

  • 『名器の科学―3200人の精密測定データが解明!』(ごま書房1985年2月)
  • 『ヒップと“女性”の科学』(講談社1986年2月)
  • 『女が歓ぶ房中術入門―中国・王侯貴族だけに伝えられた性の奥義』(ごま書房、1987年12月)
  • 『前戯の技術―古代インド性典に隠されていた性の奥義』(ごま書房、1988年8月)
  • 『女の具合い―よく歩く女は感度がいい』(ごま書房、1991年11月)
  • 『名器の研究―8000人の最新データから解明された女性器の性反応』(ポケットブック社、1992年3月)
  • 『Vの本―ヴァギナの研究 よく歩く女には“名器”が多い』(ポケットブック社、1995年8月)
  • 『日本女性の外性器―統計学的形態論』(日本性科学大系 1)(フリープレスサービス、1995年9月、増補改訂版2004年9月)
  • 『笠井博士のエクスタシー体位566』(ポケットブック社、1996年10月)
  • 『幸せの性革命』(小学館1996年、文庫2000年7月)
  • 『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』(フリープレス、2007年5月)

参考文献[編集]

  • 笠井寛司『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』

脚注[編集]

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  1. ^ 『現代日本人名録』1987年
  2. ^ 週刊現代 2012年11月3日号173頁第1段落16行目-22行目
  3. ^ 週刊現代 2012年11月3日号173頁第2段落2行目-6行目
  4. ^ 『週刊現代 2012年11月3日号』173頁第3段落3行目-7行目
  5. ^ 公開講座vol.7 産婦人科医療を問う! ウィメンズカウンセリング京都
  6. ^ 『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』96頁-99頁
  7. ^ 『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』100頁
  8. ^ 『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』101頁-104頁
  9. ^ 『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』58頁-60頁
  10. ^ 『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』62頁
  11. ^ 『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』93頁-95頁
  12. ^ 『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』208頁
  13. ^ 『両親が教えてくれない男のからだ・女のからだ』140頁