空の自由

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空の自由(そらのじゆう、:Freedoms of the air) とは、ある国の航空会社が運航する航空機が別の国の領空内でどのような行動が取れるかについて定めた商業航空権の集まりのことである。これはシカゴ条約として一般に知られる1944年の国際民間航空条約で、国ごとに航空の自由化の程度に関する意見が相違した結果策定されたものである。アメリカ合衆国は州間で交渉する際の標準化された一連の個別の航空権を要求していたが、他のほとんどの国々は厳密な規則がなければ規模の大きいアメリカの航空会社が世界中の航空産業を支配する可能性を懸念していた。空の自由は、国際民間航空路線網の基本的な構成要素である。

最初の2つの自由は外国の領空と空港を通る民間航空機の通過に関するもので、それ以外の自由は旅客・郵便・貨物の輸送に関するものである。この内第1の自由から第5の自由の5項目は国際条約、特にシカゴ条約によって公式に列挙されている。これ以外にもいくつかの自由が追加されており、そのほとんどは広く適用される国際条約の下で正式に承認されていないが多くの国が合意している。小さい番号の自由は比較的普遍的なものであり、大きい番号のものはより稀で物議を醸している。似たものであるオープンスカイ協定はしばしば空の自由よりも制限が少ない形式の航空協定のことを指して使われ、全てではないにしても多くの自由を含んでいる。

概要[編集]

空の自由は民間航空に適用される[1][2]:145–146。"自由" (freedom) と"権利" (right) という用語は、2つ以上の国の間で許可されている国際サービスの種類を指す簡単な方法である[2]:145–146。そのようなサービスが国によって許可されていても、航空会社は条約の条件または他の理由でそれらへのアクセスに対する制限に直面するかもしれない[2]:145–146[3]:19

航空機を運航する会社の国(青)と他国(赤・黄)を円で表した空の自由の図
自由 内容
第1の自由 空港への着陸を行わずに他国の領空を通過する権利[4] メキシコの航空会社がメキシコからカナダへ向けて航空機を運航する際にアメリカの空港に着陸せず領空を通過した。
第2の自由 旅客・貨物の取扱を行わず給油または整備を行うために他国の空港へ着陸を行う権利[4] イギリスの航空会社がイギリスからアメリカへ向かう航空機を運航する際にアイルランドの空港で給油を行った。
第3の自由 自国から他国へ向けて航空機を運航し旅客・貨物の輸送を行う権利[4] ニュージーランドの航空会社がニュージーランドから日本へ向けて航空機を運航し旅客を輸送した。
第4の自由 他国から自国へ向けて航空機を運航し旅客・貨物の輸送を行う権利[4] ブラジルの航空会社がチリからブラジルへ向けて航空機を運航し旅客を輸送した。
第5の自由 自国を発着する便において発着国以外の第三国で旅客・貨物の取扱を行う権利[4] アラブ首長国連邦の航空会社の航空機がアラブ首長国連邦からニュージーランドへ向かう途中にオーストラリアで旅客の追加搭乗を行った。
第6の自由 自国を経由しながら他国と他国の間を結ぶ権利[4] フランスの航空会社の航空機がニュージーランドからアメリカへ向かう途中にフランス領ポリネシアで旅客の追加搭乗を行った。この例ではアメリカの航空会社が同じ経路を運航した場合第5の自由の適用範囲となり、また第6の自由を適用しているフランスの航空会社とのコードシェア便を運航することもできる。
改訂第6の自由 自国を経由しながら他国の2点間を結ぶ権利[4] カナダの航空会社の航空機がアメリカのニューヨークからロサンゼルスへ向かう途中にトロントで旅客の追加搭乗を行った。
第7の自由 自国の領空に一度も入ることなく他国間を結ぶ権利[4] ハンガリーの航空会社の航空機がハンガリーの領空を通過せずポーランドからイスラエルへ向かった。
第8の自由 発着地と同じ国を経由しながら自国と他国を結ぶ権利[4] イギリスの航空会社の航空機がロンドンからフランスのボルドーへ向かう途中にパリで旅客の追加搭乗を行った。
第9の自由 自国の領空に一度も入ることなく他国の2点間を結ぶ権利[4] イギリスの航空会社の航空機がイギリスの領空を通過せずドイツのフランクフルトからベルリンへ向かった。

通過権[編集]

第1の自由と第2の自由は他国で旅客・貨物の取扱を行わずに通過することを認める権利であることから"通過権" (Transit rights) と呼ばれる[2]:146。シカゴ条約ではこの2つの自由を国際航空サービス輸送協定 (International Air Services Transit Agreement, IASTA) または"2つの自由協定" (Two Freedoms Agreement) として全ての署名国がこの権利を有しているという多国間協定を作成した。条約は2007年半ばの時点で129ヶ国が承認した[5]

通過権を与える国は権利のために料金を課すことがあり、料金の適正さについて時々論争を引き起こした。

第1の自由[編集]

IASTA参加国 (とその属領)
アメリカは自国の領空(黄)とICAOに航空管制の責任が委任されている空域(青)を通過する航空機に対して料金を請求する権限を有している。ただし、アメリカを発着する国内線・国際線は着陸料が支払われているため空域通過による料金の請求は行われない。

第1の自由は着陸を行わずに他国の領空を通過する権利である[6]:31。これは着陸を行わずに条約国の領空を通過する権利を与える。国際航空サービス輸送協定の加盟国は航空機が指定された航空路を使用することを条件に、他の加盟国にこの自由(と第2の自由)を認める[7][8]。2007年夏の時点でアメリカ、インド、オーストラリアなど129ヶ国がこの条約の締約国であったが、ブラジル、ロシア、インドネシア、中国は一度も参加せず、カナダは1988年に条約から脱退した[9]。これらの非IASTA加盟国は、他国の航空会社による自国の空域への進入に対する厳重な管理を維持し、ケースバイケースで他国との交通契約を交渉することを好んでいる[3]:23冷戦の期間中、ソビエト連邦と中国は他国の航空会社が自国内を通過することを一切許可しなかった。このため一部のヨーロッパ - 日本便がシベリア経由ではなく大西洋・太平洋経由の航路を取ることを余儀なくされ、航続距離が不足しているためアラスカで一旦給油を行ってから目的地へ向かっていた。冷戦終結以降、第1の自由ははほぼ完全に普遍的なものとなっている[2]:151。ほとんどの国では飛行前に事前の通知が必要であり、権利に対して相当の料金を請求することがある[10]

IASTAでは、各加盟国が空港(おそらく第2の自由にのみ適用可能)および"設備" (facilities) を使用するための"適正な" (reasonable) 料金を他国の航空会社に請求することができる[8]。IATAによると、その料金は同様の国際線運航を行っている国内航空会社に請求される料金より高くしてはならない[8]。このような料金は空港が使用されない場合、基本的に単なる領空通過の権利のためだけに請求されている[11]。例えばIASTA加盟国であるアメリカの連邦航空局は航空機のアメリカ管轄空域進入地点から管轄空域離脱地点までの間で大円距離100海里 (190km; 120mi) あたり60.08ドルの料金を請求している[12]。また、大西洋と北極海の一部と北太平洋の大部分を含むアメリカの管轄下にある国際海域を飛行する場合は、100海里あたり24.77ドルの低い料金 -海洋料金- が請求される[12]。IASTAの加盟国ではない国も同様に領空通過権利のための料金を請求することができる。その中でも特にロシアは北アメリカ・ヨーロッパとアジアの間をシベリアを横断して結ぶ北極航路で高い料金を請求することで知られている[11]。2008年、ロシアはルフトハンザ・カーゴが"上空飛行権利料金の支払い延期" (delayed payments for its flyover rights) を行ったため一時的に同社の航空機の領空通過を拒否した[13]。ヨーロッパの航空会社は、領空通過権利のために年間3億ユーロをロシアに支払っている[13]

第2の自由[編集]

第2の自由は旅客・貨物の取扱を行わずにテクニカル・ストップ[注釈 1]を行うことを可能にする権利である[6]:31。他国へ行く途中で、給油や整備のためだけに第三国の空港へ着陸することができる[2]:146。現代の旅客機は航続距離が大幅に延びているため第2の自由が適用されることは少ないが、貨物機では広く適用されており各国間で多かれ少なかれ普遍的である[11]

第2の自由の有名な例としてはヨーロッパで最もアメリカに近い空港と見なされたアイルランドシャノン空港に、1960年代までほとんどの大西洋横断飛行便が給油のために着陸していた事例が挙げられる。冷戦期間中には領空通過が禁止されたソビエト連邦と中国の空域を避けるために西ヨーロッパと東アジアを結ぶ便がアラスカのテッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港で給油を行い太平洋・大西洋を横断していた。また、アンカレッジ国際空港は冷戦後も2000年代まで中国や台湾の航空会社がアメリカやトロントへの便で給油のために着陸を行っていた。また、南アフリカ共和国アパルトヘイト政権が実権を握っていた際、多くのアフリカ諸国がアパルトヘイトに反対しヨーロッパと南アフリカを結ぶ航空機の領空通過を制限したため、しばしばセネガル共和国沖のカーボベルデ共和国サル島アミルカル・カブラル国際空港に給油のために着陸した。カナダニューファンドランド・ラブラドール州にあるガンダー国際空港はカリブ海、中央アメリカ、メキシコ、そして南アメリカへ向かう途中のソビエト連邦をはじめとする東側諸国の航空会社が頻繁に給油のために着陸していた。

交通権[編集]

"交通権" (Traffic rights) は通過権とは対照的に他国で乗客の取扱を行う場合の規定を定めており、条約加盟国間を結ぶ国際線あるいはその国で国内線を運航することが可能になる[2]:146。第3の自由から第5の自由は国家間で交渉されることが合意されたが、第1の自由から第5の自由までを交渉無しで全ての航空会社に対し認めることができる国際航空運送協定 (International Air Transport Agreement) あるいは"5つの自由協定" (Five Freedoms Agreement) と呼ばれる協定を結んでいる国もある[15]:108。残りの第6の自由から第9の自由までの4項目はいくつかの航空協定によって可能になるが、シカゴ条約によって言及されないので「公式 (officially)」なものではない[15]:108

第3の自由・第4の自由[編集]

第3の自由と第4の自由は2国間を結ぶ便を運航することが可能になる基本的な権利である[2]:146。第3の自由は自国から他国へ旅客や貨物を輸送する権利[6]:31、第4の自由は反対に他国から自国へ旅客や貨物を輸送する権利である[6]:31。ほとんどの場合、この2つの権利は二国間協定において同時に付与される。ただし、あくまでもこの権利は他国との間で航空機を飛ばすことを許可しただけのものであり、その他の契約や協定により航空機の容量や運航頻度、飛行が許可された航空会社、就航の許可された空港などの項目が制限される場合もある[2]:146–147

以遠権[編集]

以遠権は他国間を結ぶ国際線あるいは他国内で国内線を運航することが許可される権利である[2]:146。今日、これらの中で最も物議を醸しているのは第5の自由である[2]:146[15]:108–109[15]:112。その他の項目は物議を醸すほどではないが時にはまだ制限されている。比較的一般的なのは第6の自由である[2]:146[16]:94–95

これには自国と自国を結ぶ途中に外国の空港で旅客・貨物の取扱を行う場合や[2]:146、乗客が途中の空港で降機し接続する別の便に乗り継ぐストップオーバーも含まれている[注釈 2][2]:146。いくつかの国際線は他国の複数の空港に着陸することがあるが、輸送される旅客・貨物は自国から運ばれていないためこれはカボタージュではなく以遠権の一種となる[18]:110

第5の自由[編集]

第5の自由は自国を発着する国際線において、途中経由地の第三国で旅客・貨物の取扱を行うことができる権利である[19]。この権利では旅客・貨物を自国から他国へ向かい更に別の国へ輸送することができる。例としては2004年にエミレーツ航空がドバイからオーストラリアのブリスベンを経由しニュージーランドのオークランドへ向かう便を設定したのが第5の自由となる[6]:34

第5の自由は航空会社の長距離路線の経済的実行可能性を高めることを目的としているが、地元の航空会社や政府によって不当競争と見なされる傾向がある[20]:33–34。実際には少なくとも3つの異なる国の承認が必要であるため、第5の自由の交通権の交渉は長くなる可能性がある[注釈 3][17]:131

技術の進歩と旅客数の増加がより多くの直行便の運航を可能にした1980年代初頭まで、第5の自由は長距離飛行の経済的実行可能性に尽力した[6]:31–32。航空会社がフライトの最終目的地に向かう途中で第三国の1つ以上の空港に着陸することは珍しくなく、ヨーロッパとアフリカ、南アメリカと極東の間を結ぶ多数の便では第5の自由が適用されていた[6]:31–32。1980年代半ばのマルチセクターフライトの例としては、ローマからアテネ、デリー、バンコク、香港を経由して東京へ向かうアリタリア航空の便が挙げられる[6]:31–32。2000年代、東アジアでは第5の自由が特に東京香港バンコクへの便で一般的であった。特に後者の2つの目的地の間では、2004年には本拠地が香港にもバンコクにもなかった少なくとも4つの航空会社によってサービスが提供されていた[6]:32シンガポール - バンコク線も重要な第5の自由適用路線となっている。1990年代後半、2つの都市の間で利用可能な座席の半分は第5の自由の権利を保有する航空会社によって提供されていた[15]:112。ヨーロッパ、南アメリカ、カリブ海、タスマン海では第5の自由のその他の主要市場がある[6]:32–33, 36

第5の自由は非保護または不十分なルートを利用しようとしている航空会社、または第2の自由によって許可されている場所ですでにフライトが技術的に停止している航空会社によって求められている[6]:32。利用可能な座席数を増やすことで、政府(例:タイ)は観光を促進する方法として時々第5の自由を奨励することがある。しかし、自国のフラッグ・キャリアを保護するために過度に交通権を自由化することを避けようとする反動的な圧力がかけられることもある[15]:110。1990年代までに、第5の自由はそれらをホストしている国の航空会社に損失をもたらすサービスであるとしてアジアで論争を引き起こした[21]:16–19。特にアジアにおける米国の航空会社のサービスパターンへの抗議でアジアの航空会社にとって第6の自由度が重要性を増している一方で、第5の自由を許可することに寛容になっている国もある[15]:112

1952年の日米二国間航空輸送協定は、日本を経由し西アジア太平洋地域の目的地まで運航する指定されたアメリカの航空会社に無制限の第5の自由の権利が付与されているため、特に論議を呼んでいると見なされてきた。例えば1990年代初頭、日本政府がニューヨーク - 大阪 - シドニー便の運航を許可しなかった際にはアメリカ政府と申請を行った航空会社が抗議活動を行った。日本政府は対日自由貿易の最大の正当化は、無制限の第5の自由の適用を見直すことであることを明記し、日本 - オーストラリア間の航空便の約10%がアメリカの航空会社によるアメリカを発着する第3の自由と第4の自由の航空路線であると反論した。日本はアメリカ以外にも多くの未使用の第5の自由の権利を保有していたが、これらは日本の航空会社の運用コストの高さと地理的状況のために日本を経由するアメリカの航空会社が享受する第5の自由よりも価値が低いと見なされていた。日本は北アメリカの旅行者にとってアジアへの有用な玄関口として機能している。1995年には、アメリカの航空会社に対する選択的な制限を設けながら、日本の航空会社の米国の目的地へのアクセスを自由化することによって航空運送契約が更新された[21]:19–24

第6の自由[編集]

第6の自由は第3の自由と第4の自由を組み合わせたもので、自国を経由し他国と第三国へ旅客・貨物の輸送を行うことができる権利である[6]:31。また、運航会社の国を経由地とする第5の自由の形態と見なすこともできる。この見方はしばしば保護貿易政策として呼び出されることがある[20]:33–34。したがって、国によっては第6の自由度を第5の自由であるかのように規制しようとしている[17]:130

第6の自由は歴史的にアジアで広く行き渡っていた。タイ航空シンガポール航空のような東南アジアの航空会社がヨーロッパとオーストラリアの間のカンガルー航路を運航し、日本の航空会社が東南アジアとアメリカの間を結んだ[22]。また、エア・カナダはカナダのハブ空港を経由しアメリカとヨーロッパ・アジアの間で乗客を輸送する戦略を追求した[23]

第6の自由は法的に制限されていることは滅多にないが、第5の自由と同様に物議を醸すことがある。例えばカンタス航空は、エミレーツ航空シンガポール航空、およびその他の第6の自由の権利を保有している航空会社がヨーロッパとオーストラリアの間の航空市場で不公平な優位性を持っていると訴えた[22]

航空サービス協定の性質は本質的には交通権の公平な交換を目指す重商主義的交渉であるため二国間協定の結果は完全に相互的ではなく、むしろ2つの市場の相対的な規模と地理的位置を反映していることが多い[17]:129。また、より小さな国がより大きな国に第5の自由の権利を与えることと引き換えに、小さな国は大きな国から先の目的地への第6の自由の権利を得ることができるかもしれない[17]:129–130

第7の自由[編集]

第7の自由は第5の自由の派生形で、自国には一切サービスを提供せず他国と第三国の間で旅客・貨物の輸送が行える権利である[6]:31

カボタージュ[編集]

カボタージュとは、同じ国の2つの地点間で多国籍の船舶や航空機を運航することを規制する規則である。端的に言えば「沿岸水域での貿易または航海、あるいはその領空内で航空機を運航する国の独占的権利」である[24]

改訂 第6の自由[編集]

改訂 第6の自由は第6の自由では他国と第三国の間を自国経由で結ぶ権利であったものを他国の2点間を自国経由で結ぶことができるように修正された権利である。

例えばカナダの航空会社の航空機がアメリカのニューヨークからロサンゼルスへ向かう途中にトロントに着陸した場合は第6の自由ではなく改訂 第6の自由が適用される。

第8の自由(タグエンド・カボタージュ)[編集]

第8の自由は他国の2点間を直接結びつつ自国を発着する権利のことでタグエンド・カボタージュやコンセスティブ・カボタージュとも呼ばれる[6]:31。これは全ての欧州連合加盟国に与えられる権利であるためヨーロッパでは一般的であるがその他の地域では非常に稀である。他の例としては、1996年にオーストラリアとニュージーランドの間に設立された単一航空市場 (Single Aviation Market, SAM) や、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール間の「国際航空輸送自由化に関する多国間協定」(Multilateral Agreement on the Liberalization of International Air Transportation, MALIAT) の2001年議定書が挙げられる。また、1950年代から1980年代にかけてフランクフルトと西ベルリンの間を飛行するのはパン・アメリカン航空の権限であったが、国内の航空ネットワークの状態ではなく政治情勢がこれを決定づけた。1990年までは、西ドイツと西ベルリンの占領地との間で航空輸送を行う権利を有していたのは、フランス、イギリスおよびアメリカのみであった。2005年に、イギリスとニュージーランドは無制限のカボタージュ権利を与える協定を締結した[25]。両国間の距離を考えると、合意は近い将来これらの権利が取り上げられるであろうという期待よりもむしろ政治的原則を反映していると見ることができる。同様に、ニュージーランドは1999年にアイルランドと第8の自由の権利を交換している[26]

第9の自由(独立型カボタージュ)[編集]

第9の自由は他国の2点間を自国を経由せずに結ぶことができる権利である[27]。分かりやすくすると他国で国内線を運航することができる権利とも言える。これは"独立型カボタージュ" (Stand alone cabotage) とも呼ばれ、自国が関係しないことから"真のカボタージュ" (true cabotage) の定義からは外れている。この自由は、欧州経済領域を含む欧州連合において有効である。例えばノルウェーのノルウェー・エアシャトルはスウェーデン、デンマーク、フィンランド、イギリスで国内線を運航しており、アイルランドのライアンエアーはイギリス、ドイツ、イタリアで国内線を運航している。また、イギリスのイージージェットはドイツとフランスで国内線を運航している。

関連項目[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 給油のため、予期しない本質的な修理のため、もしくは速やかに着陸を行う必要がある緊急事態が発生した場合に着陸を行うこと[14]
  2. ^ 第5の自由が適用されている場合でも容量と頻度に対するさらなる制限により、航空会社はストップオーバーのみ、もしくは一切の運航が行えない可能性もある[17]:131
  3. ^ 第5の自由の権利は以下の3種類に分けられる。第三国から被付与国の間で、第三国から他国への権利が付与される'intermediate point'、付与国が航空機の運航を第三国へ継続することを許可する'beyond-point'、付与国が被付与国以外の他の目的地間でのサービスを許可する'behind-point'もしくは'anterior-point'[15]:108[17]:131

出典[編集]

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外部リンク[編集]