福島第一原子力発電所設備の仕様

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福島第一原子力発電所設備の仕様(ふくしまだいいちげんしりょくはつでんしょのせつびしよう)では東京電力福島第一原子力発電所で建設・運用された各設備の仕様について説明する。

なお、原則として福島第一原子力発電所事故以前を対象とする。更新のあった部分については都度説明し、一部は関連記事にて説明を行う。

建設参加企業[編集]

建設参加企業[1]
1号機 2号機 3号機 4号機 5号機 6号機
原子炉圧力容器 IHI IHI IHI バブコック日立 IHI IHI
原子炉格納容器 日立 IHI 日立 日立 IHI IHI
核燃料成形加工 GE GE 日本ニュクレア
フュエル
日本ニュクレア
フュエル
日本ニュクレア
フュエル
GE
ディーゼル機関 川崎重工 新潟鉄工 新潟鉄工 新潟鉄工 新潟鉄工 新潟鉄工
ポンプ 荏原製作所
電業社機械製作所
荏原製作所
電業社機械製作所
由倉工業
荏原製作所
電業社機械製作所
由倉工業
日立
電業社機械製作所
由倉工業
荏原製作所
電業社機械製作所
由倉工業
荏原製作所
電業社機械製作所
由倉工業
原子炉安全 GE GE 岡野バルブ 岡野バルブ 岡野バルブ 岡野バルブ
復水脱塩装置 オルガノ 荏原インフィルコ 荏原インフィルコ オルガノ 荏原インフィルコ 荏原インフィルコ
換気空調設備 新日本空調 新日本空調 新日本空調 日本プラント建設 新日本空調 新日本空調
採料採取装置 GE 北辰電機 日機装 日機装 日機装 北辰電機
日機装
プラント据付工事 東芝プラント建設
日立プラント建設
IHI
東芝プラント建設
IHI
東芝プラント建設
IHI
日立プラント建設 東芝プラント建設
石川島プラント建設
東芝プラント建設
石川島プラント建設
土木建築工事 鹿島建設
熊谷組
間組
前田建設
五洋建設
鹿島建設
熊谷組
前田建設
鹿島建設
熊谷組
間組
前田建設
鹿島建設
熊谷組
前田建設
鹿島建設
熊谷組
間組
前田建設
五洋建設
鹿島建設
熊谷組
前田建設
五洋建設
国産化率[2] 56% 53% 91% 91% 93% 63%

なお、GEが主契約者に入った1、2、6号機については三井物産代理店業務を行った[3]

この他、6号機の放射性廃棄物処理施設はGEの子会社であるGETSCOが受注し基本設計を実施した。GETSCOは日揮に詳細設計、建設工事、試運転を任せたが、TBFなど一部のユニットについてはGEからの支給品であったと言う[3]。プロセス計算機についても、2号機までは輸入品でGE/PAC-4020を使用していた[4]

主要建物建築仕様(建設時)[編集]

原子炉建屋外観(1999年)

1号機、2号機の主要な建屋の建築仕様については『原子力学会誌』、『発電水力』他で紹介されており、その建築の仕様は下記のようになっている[5]。原子炉建屋、タービン建屋、排気塔などはいずれも施工基面高10mであるが、取水路開渠付近に設けられたポンプ室の施工基面高はO.P.7.5mであり、超高圧変電所は施工基面:O.P.35mにある。

原子炉建屋[編集]

1号機原子炉建屋
  • 平面寸法:約41m×41m
  • 高さ:約49m
  • 階層:地上5階、地下1階
  • 構造:燃料取替床まで鉄筋コンクリート造、その上部は鉄骨メタルサイディング張り
  • 全重量:66,400t
    • 建物重量約55,000t
    • 原子炉本体他機器重量:約11000t
  • 常時接地圧:約36t/平方メートル
2号機原子炉建屋
  • 平面寸法:約45m×45m
  • 高さ:約62m
  • 構造:全部鉄筋コンクリート造
  • 全重量:99,900t

燃料取替室には燃料取替装置および天井走行クレーンが取り付けられている。また、運転員の移動のためのエレベータもある。内部は負圧に保たれ設計上の内圧は0.018kg/平方センチである。

3-5号機は2号機と同じBWR-4(GE型)であり、主要寸法は概略同様である。

タービン建屋[編集]

1号機タービン建屋
  • 張間:約48m
  • 桁行:104m
  • 高さ:35.4m(基礎底面から屋根間)
  • 階層:地下1階地上2階
  • 構造:鉄筋コンクリート造
  • 総重量:70,200t
  • 天井走行クレーン:125t吊り
2号機タービン建屋
  • 張間:約67.6m
  • 桁行:105m
  • 高さ:37m
  • 階層:地下1階地上2階
  • 構造:鉄筋コンクリート造
  • 総重量:110,400t
  • 天井走行クレーン:150t吊り

タービン建屋はいずれも1階および地下1階に原子炉給水ポンプ、給水加熱器、補助冷却系交換器、予備ディーゼル発電機、所内ボイラ等補機類が配置され、2階のタービン操作床と称する場所にタービンが据え置きされている。なお、タービン発電機の架台は構造的に建物と分離しており、基礎版から自立している。架台形式は高位同調型と呼ばれ、架台に要するコンクリート量だけで2700立方メートルとなる。

3-5号機は2号機と同じBWR-4(GE型)であり、主要寸法は概略同様である。

コントロール建屋[編集]

  • 階層:地下1階、地上2階
  • 幅:約17m
  • 長さ:約22m

自動制御室、計測装置、電子計算機を備えた中央操作室が2階にあり、1階以下にはケーブル処理室、バッテリー室がある。

廃棄物処理建屋[編集]

  • 幅:約22m
  • 長さ:約55m
排気塔
  • 高さ:約120m
  • 排気流速:約17.5m/sec

この他、1980年代に4号機の南側に大規模な放射性派生物集中処理施設が建設された。

使用済燃料貯蔵施設[編集]

各プラントの使用済燃料貯蔵プール容量の不足を補うため、1990年代に乾式、プール式の2施設が建設された。

建屋塗装[編集]

建設時から打ちっぱなしだった原子炉建屋、タービン建屋の外壁は、1986年から塗装された。防食と景観への配慮が目的で、1987年2月までに8億円を投じ、10平方メートルを塗装した。最初の塗色は薄茶とクリームの2色であった[6]が、後に1〜4号機はブルー、5、6号機はグリーンのモザイク模様に改められた。ブルーは海、グリーンは山を象徴してあしらわれたものである[7]

非常用発電機仕様[編集]

下記は、2011年の本発電所事故時点での非常用発電機の設置仕様である。

非常用発電機[8]
1号機 2号機 3号機 4号機 5号機 6号機
建屋形式 単独建屋 単独建屋 単独建屋 単独建屋 単独建屋 複合建屋[注 1]
非常用ディーゼル発電機設置配置 B1F(タービン建屋,DG/B[注 2]) B1F(タービン建屋)
1F(運用補助共用施設)
B1F(タービン建屋) B1F(タービン建屋)
1F(運用補助共用施設)
B1F(タービン建屋) B1F,1F(DG/B)

主要機器詳細仕様[編集]

本節は土木建築より据付した電気機械設備を中心として説明する。記述は文献発行時を基準とする。その後改造、交換された箇所については改造後の仕様を記述した文献について明記する。

主要設計仕様表
Principal design data table[9]
分類 項目 単位 1号機 2号機 3号機
一般プラント 原子炉熱出力
送電端電気出力
発電端電気出力
MWt
kW
kW
1,213
379,800
401,248
2,381
759,900
783,913
2,381
759,900
783,913
原子炉
および炉心
全冷却材流量
原子炉運転出力
t/h
kg/cm2g
21.8×103
70.3
33.8×103
70.7
33.8×103
70.7
炉心 実効高
等価直径
装荷ウラン量
mm
mm
kg
3,660
3,439
78,795
3,660
4,026
106,800
3,660
4,026
106,800
蒸気条件 蒸気流量
蒸気温度
t/h
2,140
285
4,440
286
4,440
286
核特性 U-235平均濃縮度 第一炉心
平衡炉心
wt%
wt%
2.17
2.50
2.20
2.58
2.20
2.58
燃焼度 第一炉心平均
平衡炉心平均
燃料集合体最高(第一炉心)
MWD/t
MWD/t
MWD/t
16,500
22,000
約26,000
21,000
27,500
約35,000
21,000
27,500
約35,000
熱特性 設計出力分布係数 半径方向
軸方向
局部
全出力分布係数
1.47
1.57
1.30
3.00
1.40
1.50
1.24
2.60
1.40
1.50
1.24
2.60
過出力係数
平均出力密度
最小限界熱流束比

最大線出力密度
炉心出口の平均蒸気重量率

kW/L


kW/cm
wt%
1.20
35.73
1.52
(120%出力時)
0.594
10.0
-
51.2
1.9
(100%出力時)
0.610
13.3
-
51.2
1.9
(100%出力時)
0.607
13.3
燃料 ペレット直径
ペレット材料
被覆管外径
被覆管材料
cm

cm

1.24
UO2
1.45
ジルカロイ-2
1.24
UO2
1.43
ジルカロイ-2
1.24
UO2
1.43
ジルカロイ-2
燃料集合体 集合体総数
燃料棒配列
集合体当たりUO2重量
集合体重量
チャネル材料


kg
kg

400
7×7
223
311
ジルカロイ-4
548
7×7
221
309
ジルカロイ-4
548
7×7
221
309
ジルカロイ-4
制御材 制御棒 材質形状


ピッチ



cm
ボロンカーバイド
十字形
97
30.48
ボロンカーバイド
十字形
137
30.48
ボロンカーバイド
十字形
137
30.48
ポイズンカーテン 材質形状

ボロンステンレス鋼
板状
172
ボロンステンレス鋼
板状
248
ボロンステンレス鋼
板状
248
液体毒物 系統数
毒物

主要機器


1
ボロン
(5ホウ酸ナトリウム)
貯蔵タンク1基
プランジャポンプ2台
(予備1台)
1
ボロン
(5ホウ酸ナトリウム)
貯蔵タンク1基
プランジャポンプ2台
(予備1台)
1
ボロン
(5ホウ酸ナトリウム)
貯蔵タンク1基
プランジャポンプ2台
(予備1台)
分類 項目 単位 1号機 2号機 3号機
圧力容器 内径×全高
母材厚さ
内張り厚さ

母材材質

内張材材質
重量
設計圧力
設計温度
適用規格
m
mm
mm




t
kg/cm2g


4.78×約19.0
約160
約5.6
ASME SA 302B

ASME SA 336
ステンレス鋼
約440
87.9
302
ASEM Sec.VIII
5.57×約22.0
約140
約5.0
ASME A 533Gr.B,C1.1
ASTMA 508 C1.2
ステンレス鋼
約500
87.9
302
ASEM Sec.VIII
5.57×約22.0
約140
約5.0
ASME A 533Gr.B,C1.1
ASTMA 508 C1.2
ステンレス鋼
約535
87.9
302
ASEM Sec.VIII
冷却材
再循環系
ループ数×口径
ジェットポンプ個数
再循環ポンプ流量
再循環ポンプ全揚程
再循環ポンプ電動機出力
再循環ポンプ電動機回転数


t/h
m
kW
rpm
2×610
20
5,600
103.6
2,000
1,380
2×712
20
7,570
153
3,750
1,380
2×712
20
7,760
152.4
3,750
1,380
主蒸気系 主蒸気管本数×口径
主蒸気隔離弁個数×形式
安全弁個数×形式
逃がし弁×形式
4×400mm
8×空気式
13×ばね式
3×電磁式
4×610mm
8×空気式
3×ばね式
8×先駆弁式
4×610mm
3×空気式
3×ばね式
8×先駆弁式
格納容器 ドライウェル 形状
球部内径×円筒部内径

m
フラスコ形
17.7×9.6
フラスコ形
20.0×10.9
フラスコ形
20.0×10.9
圧力抑制室 形状
円環中心線直径
円環断面内径
ベント管本数×内径
ヘッダ内径
下降管本数×内径
プール水量

m
m

m

m3
円環形
29.6
8.08
8×1.75m
1.25
80
1,750
円環形
33.5
8.9
8×2.057m
1.46
96×610mm
3,000
円環形
33.5
8.9
8×2.057m
1.46
96×610mm
2,991
設計圧力(内圧)
設計圧力(外圧)
設計温度
材質

kg/cm2g
kg/cm2g



4.35
0.14
138
ASTM A 201 Gr.B
またはA212 Gr.B
3.92
0.14
138
ASME SA 516 Gr.70

3.92
0.14
138
ASME SA 516 Gr.70

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 複合建屋とは格納容器を内包する二次格納施設(原子炉建屋原子炉棟)の外側に原子炉建屋付属棟を設置することにより建屋の地震時基礎浮き上り制限(接地率)を向上させる方式であり、単独建屋と比較して耐震性で優れる(電気事業連合会 2011, p. 2)
  2. ^ ディーゼル発電機を原子炉1基につき2台配置している場合、各々の発電機はDG/A,DG/Bと呼称する

出典[編集]

  1. ^ 電力新報 1979, p. 114
  2. ^ 電力新報 1979, p. 124
  3. ^ a b 電力新報 1979, p132,「福島第一原子力建設に参加して」
  4. ^ 葦原悦朗 1970, p. 1557.
  5. ^ 野村顕雄 1969, p. 53.
  6. ^ 「東電福島第一原発、建屋外壁を塗装」『日本経済新聞』1986年2月21日(地方経済面東北B)24面
  7. ^ 佐藤栄佐久 2011, pp. 230.
  8. ^ 電気事業連合会 2011, p. 13.
  9. ^ 1、2号機は稲葉栄治 1969, p. 23、3号機は葦原悦朗 1970, p. 1557

参考文献[編集]

論文

  • 鏑木宏「福島原子力建設工事の概要について」、『発電水力』、発電水力協会、1969年1月、 75-88頁、 NAID 40018433197
  • 稲葉栄治「東京電力株式会社福島原子力発電所二号機計画概要 (原子力発電(特集))」、『東芝レビュー』第24巻第1号、東芝技術企画室、1969年1月、 22-25頁、 NAID 40018135085
  • 野村顕雄「わが国の動力炉開発-5-東京電力(株)福島原子力発電所」、『日本原子力学会誌』第11巻第5号、日本原子力学会1969年5月、 306-314頁、 NAID 40018265967
  • 葦原悦朗「福島原子力発電所三号機計画概要」、『東芝レビュー』第25巻第12号、東芝技術企画室、1970年12月、 1553-1558頁、 NAID 40018135440
  • 電力新報「完成した福島第一原子力発電所」、『電力新報』、電力新報社、1979年12月

報告書

書籍

関連項目[編集]