福岡空港ガルーダ航空機離陸事故

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ガルーダ・インドネシア航空 865便
McDonnell Douglas DC-10-30, Garuda - Indonesian Airways AN1018724.jpg
事故機のPK-GIE
出来事の概要
日付 1996年6月13日
概要 タービンブレードの金属疲労、及び離陸決心速度超過後の離陸中断操作によるオーバーラン
現場 日本の旗 福岡空港
乗客数 260
乗員数 15
負傷者数
(死者除く)
109(地上53)
死者数 3
生存者数 272
機種 DC-10-30
運用者 インドネシアの旗 ガルーダ・インドネシア航空
機体記号 PK-GIE
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当該機の座席配置図 (死亡者の座席は34K、35K、35J)

福岡空港ガルーダ航空機離陸事故(ふくおかくうこうガルーダこうくうきりりくじこ)は、1996年6月13日日本福岡県福岡市にある福岡空港で発生した航空事故である。

事故の概略[編集]

1996年6月13日、福岡空港からインドネシアバリ島デンパサールを経由し、同国の首都ジャカルタに向かう計画であったガルーダ・インドネシア航空865便(DC-10-30、機体記号PK-GIE、1979年製造)は、午後0時8分に滑走路16を離陸滑走中に右翼第3エンジンが故障した。機長は離陸中止を決断し実行したが、すでに機体が僅かに上昇しており、滑走路内で止まりきれずオーバーランし滑走路端の緑地帯で擱座した。

擱座した際の衝撃で右翼のランディング・ギア(車軸)が燃料タンクを貫通したために炎上した。この事故で乗員15名・乗客260名の合わせて275名のうち乗客3名が死亡し、乗員2名・乗客16名の計18名が重傷、91名が軽傷を負った。また、救助活動や消火活動に従事していた消防士のうち53名が漏洩していたジェット燃料に長時間接触したことによる化学熱傷を負った[1]

また、事故機は滑走路をオーバーランした際、福岡空港南側に位置する福岡県道45号福岡空港線を横切った。事故発生時に県道を通行していた車両などはなかったが、事故発生直後の報道では「県道45号を走行中の、車数台、トラック1台が巻き込まれた模様」との誤報があった。

死亡した3名はそれぞれ座席番号34K、35J、35Kと機体右窓側に着席していたが、34K、35Kの2名については右側ランディング・ギアが胴体を直撃した衝撃で即死しており、35Jの乗客は気を失い焼死したと推測されている。その他の乗客は機体が全焼する前に脱出したが、脱出時に客室乗務員による避難誘導が十分に行われなかったとの指摘が多くの乗客らからあがった。これは乗客の大半が日本人であり、一部の客室乗務員の呼びかけが乗客に十分に伝わらなかったものと報告書は推測している。しかしながら、乗客の多くから乗員が乗客よりも先に脱出したとの批判は根強かった。また事故機に搭載された「安全のしおり」には英語とインドネシア語の表記しかなく、脱出時に非常口の位置を知ることができず混乱を生じたという指摘もある[2]

事故の原因[編集]

事故の引き金となった第3エンジンの故障であるが、エンジン内の高圧タービンブレード疲労により破断したことが原因であった。この種類の疲労亀裂は、通常の検査方法では発見するのが難しいものであった。またブレードは製造メーカーのゼネラル・エレクトリック社が推奨する廃棄の目安となる使用サイクルを超過していたという。

日本の運輸省航空・鉄道事故調査委員会(当時)は、1997年11月20日に報告書を公表し、離陸を中断した機長の状況判断が適切でなかったとした。機長は「離陸を中断しなければ空港周辺にある建物に衝突するおそれがあるため、離陸の中断を決意した」と証言した。これは離陸した滑走路から先に山並みがあり、飛び越せないと瞬間的に判断したと思われるが、離陸を中断した時点では中断するかどうかを判断するポイントの離陸決心速度(V1,279km/h)を超過していたため、そのまま上昇してから緊急着陸したほうが事故の被害を小さくできた可能性が高かった。そのため本事故のように、適切でない判断が事故機が滑走路を飛び出し炎上する結果となったといえる。

航空安全の碑[編集]

航空安全の碑
碑文(クリックで拡大)
事故現場付近に建立された航空安全の碑

事故現場となった福岡空港の滑走路南側にある月隈1号緑地内には「航空安全の碑」が事故関係者の会によって建立されている。

脚注[編集]

  1. ^ 『実戦NBC災害消防活動』 全国消防長会、東京法令出版、2009年、3訂版、178-179頁。ISBN 978-4809022913
  2. ^ ガルーダ航空に限らず、タイ国際航空ルフトハンザドイツ航空エールフランス航空デルタ航空エア・カナダなど、日本に乗り入れている外国航空会社の多くで、「安全のしおり」に日本語表記が使われていない。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

いずれもオーバーランした事故機の画像が掲載されている。