砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(さとうがしのだんがんはうちぬけない、A Lollypop or A Bullet)は、桜庭一樹による日本青春小説

概要[編集]

2004年富士見ミステリー文庫より文庫本が刊行される(帯文には冲方丁による推薦コメントが掲載されていた)。挿絵担当はむー少女小説風の文体や萌え系の挿絵・表紙(単行本では挿絵は全て削除)とは裏腹に、非常にショッキングかつグロテスクなストーリー展開で、読者に衝撃を与えた。そのため単発作品でありながら、2006年度「このライトノベルがすごい!」で3位になるなど、異例の快挙を成し遂げる。この小説で桜庭一樹は一般文芸界に注目されるようになる。

2007年2月に富士見書房から単行本が発売され、2009年2月に角川文庫に収録された(辻原登による解説が収録されている)。ライトノベル系文庫本発売後に単行本が発売され、その後に一般文庫本が発売されるのは、出版業界としては異例の措置である。

内容はサスペンスで、主人公とその兄が山に登りながら、これまでの出来事を回想していくという構成が取られており、徐々に衝撃的な事実が明かされる冒頭は評価が高い。このような時間を遡っていくような構成は直木賞受賞作である同じ著者の『私の男』にも見られる。

また、番外編に「暴君」と「脂肪遊戯」があり、それらは井上雅彦の『異形コレクション』に収録されている。また、「脂肪遊戯」は2007年版『推理小説年鑑』にも収録された。

富士見書房『月刊ドラゴンエイジ』2007年2月号から2008年2月号まで、杉基イクラ作画によるコミック版が連載された。

余談だが、上述のライトノベル系文庫本発売後に単行本が刊行された例は、文庫本発売の3年後、2007年に単行本となった有川浩塩の街』や橋本紡半分の月がのぼる空』が存在するが、こちらの作品の場合は単行本発売にあたり人物設定・エピソードなどが大きく変更されている。

あらすじ[編集]

山田なぎさは、片田舎に住む「早く大人になりたい」と願う女子中学生。ある日、彼女の通う中学に、自分のことを「人魚」と言い張る少女・海野藻屑が、東京から転校してくる。藻屑に振り回されるなぎさだが、藻屑の秘密に触れていくにつれ親交を深めていく。しかし、藻屑の父親である海野雅愛の虐待が悪化の一途を辿ると同時に、なぎさと藻屑に別れの時が迫っていた。

主な登場人物[編集]

山田なぎさ(やまだ なぎさ)
鳥取県市営住宅で、母と兄とともに暮らす少女。動物好き。リアリストで、早く卒業して社会に出ることを望んでいる。不器用ながらも藻屑と親交を深めるようになる。
海野藻屑(うみの もくず)
東京から、山田なぎさのクラスに転校してきたボク少女。自分のことを人魚と言い張り、いつもミネラルウォーターを飲んでいる。実父の雅愛から日常的な虐待を受けているが、本人はそれを「愛情表現」と称し、彼を庇うような言動をとっている。また、虐待の後遺症で足と左耳に障害を持っている。
花名島正太(かなじま しょうた)
野球部に所属している坊主頭(コミック版では短髪)の少年。山田なぎさや海野藻屑のクラスメイト。海野藻屑に好意を抱いている。
山田友彦(やまだ ともひこ)
山田なぎさの兄。絶世の美少年だが、あるきっかけにより引きこもりとなった。山田なぎさに言わせると「貴族」。物事を静観するようなそぶりを見せている。
海野雅愛(うみの まさちか)
藻屑の父親。芸能人で歌手。藻屑を執拗に虐待している。藻屑の母親だった妻にも(離婚するまで)暴力を受けさせていた模様。暴力的な面を持つと同時に、藻屑同様、精神が病んでいた。

書誌情報[編集]

小説[編集]

文庫本
  • 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(富士見ミステリー文庫、2004年11月) ISBN 4-8291-6276-7
    • 第1章 砂糖菓子の弾丸とは、なかよくできない
    • 第2章 砂糖菓子の弾丸と、ふたりぼっち
    • 終章 砂糖菓子の弾丸とは、もうあえない
  • 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(角川文庫、2009年2月) ISBN 978-4-04-428104-5
単行本

コミック[編集]

関連項目[編集]