石川理夫

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石川 理夫(いしかわ みちお、1947年 - )は、日本の温泉評論家。日本温泉地域学会会長。環境省中央環境審議会温泉小委員会専門委員[1]

経歴[編集]

仙台市生まれ[1]東京大学法学部卒業[1]。出版社勤務後、企画編集会社を起業。その傍ら、国内外の温泉地と国内外の温泉地取材と温泉史・共同湯・温泉文化論の研究活動に携わり、日本における温泉評論の草分けとなる。NHKBS『ふだん着の温泉スペシャル』『ぜんぶ、温泉!』やNHKラジオ深夜便温泉紀行担当をはじめテレビ・ラジオ出演、雑誌・新聞等での温泉執筆や講演会などを数多くこなす。日本温泉地域学会主催「温泉観光士養成講座」では温泉文化論を担当している。温泉執筆や評論活動はよく知られているが、共同湯の考察をはじめ温泉史・温泉文化論に関する研究活動も行っている。とくに「惣(総)湯」の歴史的考察に関する一連の論文は注目される。

年譜[編集]

  • 1947年 宮城県仙台市生まれ
  • 1971年 東京大学法学部卒業
  • 2003年 日本温泉地域学会創立、副会長
  • 2004年 環境省中央環境審議会温泉小委員会発足、臨時委員
  •  同       長野県温泉審査部会委員(4期)
  • 2007年 環境省中央環境審議会温泉小委員会専門委員
  • 2009年 温泉関係功労者環境大臣表彰受賞
  • 2012年 日本温泉地域学会会長
  • 2014年 熱海市制施行80周年記念『熱海温泉誌』監修・編集委員長

著書[編集]

単著[編集]

  • 『のんびり温泉100 湯』PHP研究所、1993年
  • 『湯治で元気になる! 厳選50湯』双葉社、1999年
  • 『本物の温泉 ここが一番!』宝島社、2000年
  • 『温泉で、なぜ人は気持ちよくなるのか』講談社プラスα新書、2001年
  • 『山歩きで楽しむ本物の温泉』アテネ書房、2002年
  • 『心とからだを癒す四国遍路と温泉の旅』宝島社新書、2002年
  • 『温泉♨法則』集英社新書、2003年
  • 『極上ゆシュラン』双葉社、2003年
  • 『温泉巡礼』PHP研究所、2006年
  • 『温泉の平和と戦争』彩流社、2015年
  • 『本物の名湯ベスト100』講談社現代新書、2016年
  • 『温泉の日本史』中公新書、2018年

共著[編集]

  • 『ムラに生きる マチに生きる』径書房、1991年
  • 『おふろの楽園』求龍堂、1994年
  • 『歴史の舞台を旅する 伊能忠敬』近畿日本ツーリスト出版部、1999年
  • 『面白いほどよくわかる世界史』日本文芸社、2001年
  • 『美を伝える人たち』求龍堂、2001年
  • 『入門 おとなの温泉旅ドリル』ダイヤモンド社、2006年
  • 『温泉で健康になろう 関東編』JAF出版社、2007年
  • 『日本温泉地域資産』日本温泉地域学会、2008年
  • 『温泉 自然遺産と文化遺産』日本温泉協会編、2008年
  • 『温泉図鑑 文化編』日本温泉協会編、2010年
  • NHKテレビテキスト『極める! 友近の温泉学』日本放送協会、2010年
  • 『温泉とっておきの話 甘露寺泰雄×阿岸祐幸×石川理夫』海鳴社、2013年
  • 『熱海温泉誌』熱海市、2017年
  • 『新版 日本温泉地域資産』日本温泉地域学会、2019年

論文[編集]

〔共同湯論〕
  • 「共同湯における『総湯』の歴史的考察」日本温泉地域学会誌『温泉地域研究』創刊号、2003年
  • 「石川県山中温泉『総湯』の成立過程と<総有>の歴史的考察」『温泉地域研究』第6号、2006年
  • 「共同湯の原点『惣湯』としての長野県野沢・渋温泉『大湯』の成立」『温泉地域研究』第9号、2007年
  • 「『箱根七湯』における歴史的『惣湯』について」『温泉地域研究』第10号、2008年
  • 「温泉地における共同湯の意義の再評価--惣湯考察を受けて--」『温泉地域研究』第12号、2009年
  • 「上杉氏領国下のもう一つの歴史的惣湯--新潟県大湯温泉--」『温泉地域研究』第13号、2009年
  • 「温泉利用の公衆浴場数全国一の長野県における共同湯の現状」『温泉地域研究』第19号、2012年
  • 「鳥取県の温泉地と共同湯の成立過程の考察」『温泉地域研究』第23号、2014年
  • 「静岡県の共同湯の現況と歴史、その特色」『温泉地域研究』第33号、2019年、共著
〔温泉史・温泉文化論他〕
  • 「温泉教授本のパッチワーク的温泉言説と湯治“文化論”の陥穽」『温泉地域研究』第7号、2006年
  • 「温泉資源保護をめぐる各都道府県の現状と取り組み」『温泉地域研究』第8号、2007年
  • 「野沢の温泉資源と共同湯を支える地域共同体の意義」温泉科学会学会誌『温泉科学』第60巻第1号、2010年
  • 「温泉地のアジール性についての考察-戦国時代の禁制と近世ヨーロッパの温泉地中立地帯宣言-」『温泉地域研究』第17号、2011年
  • 「菅江真澄が見つめた北東北の温泉文化・信仰」『温泉地域研究』第18号、2012年
  • 「箱根の温泉霊場『姥子の湯』にみる温泉(地)の聖性と共同性」『温泉地域研究』第21号、2013年
  • 「日本の『温泉神』の成立構造と特質」『温泉地域研究』第25号、2015年
  • 「江戸時代の温泉番付にみる温泉地の受容と変遷」『温泉地域研究』第27号、2016年
  • 「『湯治』という用語の登場と温泉とのかかわりについての考察」『温泉地域研究』第29号、2017年
  • 「中世の史料に見る有馬温泉の『湯女』の成立と呼称」『温泉地域研究』第31号、2018年

論稿[編集]

  • 「地域(温泉地)に内在する資源の発掘・活用による地域再生の調査研究〜あおもりの温泉地活性化をめざして」
    平成15年度青森県民政策研究リポート、2003年
  • 「地域資源としての温泉」『別冊東北学』VOL8、東北芸術工科大学東北文化研究センター、共同、2004年
  • 「温泉の癒し・ケアの力と地域共同性」『季刊at』、太田出版、2008年
  • 「温泉の評価を考える」『観光文化』第222号、公益財団法人日本交通公社、2014年
  • 「温泉と温泉地を評価する『指標』とは」『地理』5月号、古今書院、2017年
  • 「公開講演Ⅱ 温泉の日本史と別府」『温泉科学』第68巻第3号、2018年

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c 『温泉の日本史』/石川理夫インタビュー”. web中公新書 (2018年7月9日). 2022年6月17日閲覧。

参考文献[編集]

  • 温泉図鑑-文化編―、(一社)日本温泉協会、56頁、2010年
  • 石川理夫『温泉の平和と戦争-東西温泉文化の深層-』、235頁、彩流社、2015年

外部リンク[編集]