石井恭二
石井 恭二(いしい きょうじ、1928年2月13日[1] - 2011年11月29日)は、日本の出版者、評論家。
略歴[編集]
東京府東京市日本橋区江戸橋[1]の天ぷら屋の生まれ。東京府立第十一中学校(現・東京都立江北高等学校)の同級に森本和夫がいる。
日本共産党に籍があったがアナーキズムに接近し、同党と思想的に相容れないアンリ・ルフェーヴルや黒田寛一の本を出して脱党[2]。家業の天ぷら屋を経て[3]、1957年に現代思潮社を創業、埴谷雄高、吉本隆明、澁澤龍彦、サド、バタイユ、ブランショ、デリダなどの著作を先駆的に刊行する。
澁澤と共にサド裁判を闘い、1969年、わいせつ物頒布等の罪により最高裁判所で罰金10万円の有罪判決を受けた。
20歳代から道元に親しんだ。神郡周(かんごおり あまね)の筆名で古典の校注もしたが、1997年に現代思潮社が倒産すると同社を離れ、本名での著作活動を始めた。
2011年11月29日、乳頭部がんのため死去。83歳没[4]。
著書[編集]
- 性愛の智恵 大楽金剛不空真実三麼耶経 仏教と密教をめぐって (河出書房新社 1997年11月)
- 正法眼蔵の世界 (河出書房新社 2001年4月 のち文庫)
- 正法眼蔵覚え書 続正法眼蔵の世界 (現代思潮新社 2002年4月)
- 花には香り本には毒を サド裁判・埴谷雄高・澁澤龍彦・道元を語る (現代思潮新社 2002年9月)
- 心のアラベスク (現代思潮新社 2002年12月)
- 親鸞 (河出書房新社 2003年3月 のち文庫)
翻訳・編著など[編集]
- 完本神道集成 (水戸光圀 現代思潮社(続日本古典全集) 1979年9月)
- 狗張子 (釈了意 神郡周校注 現代思潮社(古典文庫) 1980年)
- 最暗黒の東京 (松原岩五郎 神郡周校注 現代思潮社(古典文庫) 1980年11月)
- 信長記 (小瀬甫庵 神郡周校注 現代思潮社(古典文庫) 1981年)
- 塵塚談 (小川顕道)/ 俗事百工起源 (宮川政運) (神郡周校注 現代思潮社(古典文庫) 1981年1月)
- 備前老人物語 / 武功雑記 (松浦鎮信撰 神郡周校注 現代思潮社(古典文庫) 1981年8月)
- 正法眼蔵 1-4 (道元 注釈・現代訳 河出書房新社 1996年 のち文庫)
- 埴谷雄高エッセンス (河出書房新社 1997年4月)
- 正法眼蔵 九十五巻本拾遺・十二巻本 別巻 (道元 河出書房新社 1998年11月)
- 武田泰淳エッセンス (河出書房新社 1998年6月)
- 永平広録 (道元 訓読・注釈・現代文訳 河出書房新社 2005年)
- 一休和尚大全 (訓読・現代文訳 河出書房新社 2008年3月)
脚注[編集]
- ^ a b 『サド裁判』下巻、306頁
- ^ 『花には香り本には毒を』p.156-157, 160
- ^ 『サド裁判』下巻、129頁
- ^ “現代思潮社創業の石井恭二さん死去 「悪徳の栄え」刊行”. 朝日新聞. - archive.today(2012年7月24日アーカイブ分)