石井大智
阪神タイガース #69 | |
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![]() 2022年3月26日 京セラドーム大阪 | |
基本情報 | |
国籍 |
![]() |
出身地 | 秋田県秋田市 |
生年月日 | 1997年7月29日(26歳) |
身長 体重 |
175 cm 77 kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 右投右打 |
ポジション | 投手 |
プロ入り | NPB / 2020年 ドラフト8位 |
初出場 | NPB / 2021年3月26日 |
年俸 | 1250万円(2023年)[1] |
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度) | |
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この表について
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石井 大智(いしい だいち、1997年7月29日[2] - )は、秋田県秋田市出身のプロ野球選手(投手)。右投右打。阪神タイガース所属。
経歴[編集]
プロ入り前[編集]
秋田市立旭川小学校3年で「旭川スポーツ少年団」に入団し野球を始める[3]。秋田市立秋田東中学校時代は同校の軟式野球部に所属。2年時までエースだったが、3年時に同学年の成田翔がエースとなり、自身は内野手となる[4]。
秋田工業高等専門学校に進学。元は中学で野球をやめる予定で、「工業系の仕事に進みたい」という理由で進学を選択した[5]。専攻は環境都市工学だった[6]。しかし野球を続け、入部当時は「遠投は80メートル、球速は120キロ出ていたかどうか」という選手であったと当時の監督・白根弘也は述べている[6]。球速を向上させた2年生の秋からエースとなり[6]、3年夏の秋田大会では初戦の大曲農業高校太田分校戦で3安打完封勝利[7]。2回戦の秋田修英高校戦で0-7で敗退[7]。高野連の大会出場資格を失った4年および5年時は体力づくりに専念し、練習試合で実戦感覚を養う[5]。4年生の時に就職活動し、いったんは大手企業から内定を得たものの、5年生になる頃に監督の白根にプロ選手志望を打ち明けた[6]。中学時代のチームメイトだった成田翔がロッテに入団したことで「同じ舞台で戦いたい」とNPB入りを目指したためだった[4][5]。白根はこれに応えるべく、四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスが実施した独自トライアウトに石井を参加させ、高知監督の駒田徳広から内々定を得た[6]。一方学業では木造住宅の耐震性を研究テーマに選び、上位1/4に常に入る成績を収め[8]、指導教官・寺本尚史の研究室にダンベルを持ち込むことまでしたという[9]。
2017年11月に実施されたアイランドリーグのドラフトに高知から4巡目で指名され入団[10]。背番号は17[11]。当時の球速は136 - 137km/hで、獲得を決めた駒田は独立リーグでは通用してもNPBに行けるとは正直思っていなかったと2021年に述べている[12]。
四国IL高知時代[編集]
2018年は21試合に登板し、2勝4敗、防御率2.08を記録[13]。オフにはみやざきフェニックス・リーグの四国IL選抜チームに選出された[14]。
2019年は開幕戦の徳島インディゴソックス戦に先発し、9回を15奪三振、被安打を初回の岸潤一郎の二塁打1本のみに抑え完封勝利を挙げた[15]。シーズンでは18試合に登板し、チーム最多の108回1/3を投げ6勝5敗、防御率1.50を記録[16]。122奪三振を挙げ最多奪三振のタイトルを獲得した[17]。ストレートの最速は151km/hを計測[4]。2年連続でみやざきフェニックス・リーグの四国IL選抜チームに選出された[18]。このシーズン頃には直球の球速が150km/h台にまで向上し、駒田は「練習への取り組み方が他の選手とは違っていたね」と後に話している[12]。
2020年は17試合に登板し、6勝7敗、防御率1.69、129奪三振を記録[19]。9月には自己最速を2km/h更新する153km/hを計測した[5]。10月23日の徳島との首位攻防戦に先発するが、7回3失点(自責点0)で敗戦投手となり、徳島のリーグ連覇を許した[20]。このシーズンにはNPB10球団から調査書が届いた[5]。
2020年のドラフト会議で阪神タイガースから8巡目指名を受け[21]、契約金1500万円、年俸550万円で仮契約を結んだ[22]。背番号は69[23]。高等専門学校出身者がNPBドラフト会議で指名を受けるのは鬼屋敷正人以来2人目[24]、高等専門学校卒業者及び国立高等専門学校出身者では史上初である[25][注 1]。
阪神時代[編集]
2021年2月のキャンプでは一軍メンバーに入り[26]、そのまま開幕一軍入り[27]。公式戦初登板は3月26日、開幕戦となる対ヤクルト戦(神宮)の7回で、1点リードの場面から塩見泰隆に同点となる三塁打を打たれた[9]。5試合に登板したのち、4月19日に登録を抹消され、二軍降格[28]。その後も二度、一軍昇格と二軍降格を繰り返し、8月26日の登録抹消後は一軍復帰はならず、初年度の成績は18試合に登板して0勝1敗、防御率6.23だった[29]。
2022年も引き続き救援投手としてマウンドに上がり防御率0.75と前年より大幅に良化。ただ、シーズン中に新型コロナウイルス陽性判定を受けたこともあり登板数は前年と同じ18試合に留まった。
2023年、5月11日のヤクルト戦でプロ入り初勝利を挙げ、NPB初の高専卒の勝利投手となった[30]。しかし、このときの登板で腰を痛め、当初予定されていたヒーローインタビューに登壇できなかった。登板13試合で1勝5ホールド、防御率0.60の好成績を挙げていたが、翌12日、腰痛を理由に出場選手登録を抹消された。故障内容についてスポーツ紙では「腰部の疲労骨折の可能性が高い」と報じている[31]。
選手としての特徴[編集]
オーバースローから最速153km/hのストレートとシンカー、スライダー、カットボール、カーブを投げる[3][32]。シンカーは潮崎哲也を参考にして習得した[32]。
詳細情報[編集]
年度別投手成績[編集]
年 度 |
球 団 |
登 板 |
先 発 |
完 投 |
完 封 |
無 四 球 |
勝 利 |
敗 戦 |
セ 丨 ブ |
ホ 丨 ル ド |
勝 率 |
打 者 |
投 球 回 |
被 安 打 |
被 本 塁 打 |
与 四 球 |
敬 遠 |
与 死 球 |
奪 三 振 |
暴 投 |
ボ 丨 ク |
失 点 |
自 責 点 |
防 御 率 |
W H I P |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2021 | 阪神 | 18 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .000 | 75 | 17.1 | 17 | 3 | 6 | 1 | 0 | 16 | 1 | 0 | 12 | 12 | 6.23 | 1.33 |
2022 | 18 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .000 | 94 | 24.0 | 11 | 2 | 9 | 2 | 2 | 24 | 2 | 0 | 4 | 2 | 0.75 | 0.83 | |
2023 | 44 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 19 | .500 | 165 | 40.0 | 43 | 2 | 8 | 1 | 1 | 29 | 0 | 0 | 8 | 6 | 1.35 | 1.28 | |
通算:3年 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 19 | .250 | 334 | 81.1 | 71 | 7 | 23 | 4 | 3 | 69 | 3 | 0 | 24 | 20 | 2.21 | 1.16 |
- 2023年度シーズン終了時
年度別守備成績[編集]
年 度 |
球 団 |
投手 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 | ||
2021 | 阪神 | 18 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1.000 |
2022 | 18 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1.000 | |
2023 | 44 | 1 | 3 | 0 | 0 | 1.000 | |
通算 | 80 | 1 | 7 | 0 | 0 | 1.000 |
- 2023年度シーズン終了時
記録[編集]
NPB[編集]
- 初記録
- 投手記録
- 初登板:2021年3月26日、対東京ヤクルトスワローズ1回戦(明治神宮野球場)、7回裏に3番手で救援登板、2/3回1失点[33]
- 初奪三振:同上、7回裏に山田哲人から空振り三振
- 初ホールド:2023年4月1日、対横浜DeNAベイスターズ2回戦(京セラドーム大阪)、10回表に6番手で救援登板、1回無失点[34]
- 初勝利:2023年5月11日、対東京ヤクルトスワローズ9回戦(阪神甲子園球場)、8回表に2番手で救援登板、1回無失点[35]
- 打撃記録
独立リーグでの投手成績[編集]
年 度 |
球 団 |
防 御 率 |
登 板 |
勝 利 |
敗 戦 |
セ 丨 ブ |
完 投 |
完 封 |
無 四 球 |
投 球 回 |
打 者 |
被 安 打 |
被 本 塁 打 |
奪 三 振 |
与 四 球 |
与 死 球 |
失 点 |
自 責 点 |
暴 投 |
ボ 丨 ク |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018 | 高知 | 2.08 | 21 | 2 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 56.1 | 226 | 43 | 1 | 62 | 13 | 2 | 20 | 13 | 7 | 0 |
2019 | 1.50 | 18 | 6 | 5 | 0 | 5 | 2 | 1 | 108.1 | 419 | 62 | 2 | 122 | 35 | 3 | 24 | 18 | 15 | 0 | |
2020 | 1.69 | 17 | 6 | 7 | 0 | 3 | 0 | 2 | 101 | 396 | 82 | 2 | 129 | 11 | 2 | 26 | 19 | 3 | 0 | |
IL:3年 | 1.69 | 56 | 14 | 16 | 0 | 8 | 2 | 3 | 265.2 | 1041 | 187 | 5 | 313 | 59 | 7 | 70 | 50 | 25 | 0 |
- 各年度の太字はリーグ最高
背番号[編集]
- 17(2018年 - 2020年)
- 69(2021年 - )
登場曲[編集]
- 「明日はきっといい日になる」高橋優(2021年)
- 「絶頂は今」高橋優(2022年)
- 「HIGH FIVE」高橋優(2023年 - )
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 鬼屋敷は、私立の近大高専出身であり、3年次在籍中に2009年のドラフト会議で読売ジャイアンツに指名された。
出典[編集]
- ^ “阪神 - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2022年11月19日閲覧。
- ^ 『阪神タイガース リーグ優勝!プロ野球2023シーズン総括BOOK』コスミック出版、2023年11月12日発行、35頁。ISBN 978-4-7747-4319-6。
- ^ a b “阪神ドラ8石井「真っすぐには自信」球児魂継承する”. 日刊スポーツ (2020年11月3日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ a b c “第46回 最速151キロ!侍ジャパンで活躍する盟友の姿を胸に四国で躍動する石井大智”. 高校野球ドットコム (2019年5月18日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ a b c d e “独立リーグ高知・石井、ロッテ成田の影響でプロ意識”. 日刊スポーツ (2020年10月24日). 2020年10月24日閲覧。
- ^ a b c d e “異色の「阪神ドラフト最下位」選手は“下克上”なるか 出身は秋田の高専、大企業を蹴ってプロの道へ”. AERA.dot. (2021年3月3日) 2021年3月5日閲覧。
- ^ a b “社説:ドラフト会議指名 県出身3人の活躍期待”. 秋田魁新報 (2020年10月28日). 2020年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月23日閲覧。
- ^ “阪神石井大智、高専特有の2年間がプロへの礎 卒研のかたわら野球も研究 (1/2ページ)”. 日刊スポーツ. (2021年4月12日) 2021年4月12日閲覧。
- ^ a b “阪神石井大智、高専特有の2年間がプロへの礎 卒研のかたわら野球も研究 (2/2ページ)”. 日刊スポーツ. (2021年4月12日) 2021年4月12日閲覧。
- ^ “四国アイランドリーグplusドラフト会議の結果について”. 四国アイランドリーグplus (2017年11月13日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “高知FD ドラフト指名選手入団合意 及び背番号決定のお知らせ”. 四国アイランドリーグplus (2017年11月18日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ a b “駒田徳広氏、阪神D8位・石井大智への思い「元日本ハム・武田久みたいなクローザーに」”. サンケイスポーツ. (2021年4月14日) 2021年4月17日閲覧。
- ^ “2018年シーズン 投手成績(全選手)”. 四国アイランドリーグplus. 2020年11月13日閲覧。
- ^ “第15回みやざきフェニックス・リーグの出場メンバーについて”. 四国アイランドリーグplus (2018年10月5日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “高知FDが開幕戦勝利 石井が徳島を15K完封”. 高知新聞 (2019年4月7日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “【独立リーグ】個人投手成績-四国アイランドリーグplus2019後期公式戦”. 一球速報.com. 2020年11月13日閲覧。
- ^ “四国アイランドリーグplus2019個人タイトル確定”. 四国アイランドリーグplus (2019年9月13日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “第16回みやざきフェニックス・リーグの出場メンバーについて”. 四国アイランドリーグplus (2019年10月2日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “【独立リーグ】個人投手成績-四国アイランドリーグplus2020シーズン公式戦”. 一球速報.com. 2020年11月13日閲覧。
- ^ “徳島が連覇 福原が涙の決勝打「恩返しができた」四国アイランドリーグ”. デイリースポーツonline (2020年10月23日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “阪神8位・石井、指名の瞬間あ然「自分の名前を忘れていました」目標は藤川球児”. デイリースポーツ (2020年10月26日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “阪神ドラ8石井大智が仮契約「与えられたところで結果を出したい」”. デイリースポーツonline (2020年11月16日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “阪神ドラ2伊藤将司は「27」/新人背番号一覧”. 日刊スポーツ (2020年12月7日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “11年ぶり高専出身のドラフト指名 四国IL高知の153キロ右腕が阪神8位”. Full-Count (2020年10月26日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “どん尻の“隠し玉” 阪神ドラ8・石井 得意の奪三振ではい上がる 高専5年制卒業では初の指名”. Sponichi Annex (2020年10月27日). 2021年6月23日閲覧。
- ^ “矢野監督「十分通用する」8位石井大智の投球絶賛”. 日刊スポーツ. (2021年2月2日) 2021年4月12日閲覧。 “阪神・石井大智 ルーキーとして見ていない。ドラ8の右腕が躍進中/春の一番星を探し”. 週刊ベースボールONLINE. (2021年3月7日) 2021年4月12日閲覧。
- ^ “阪神8位石井大が開幕1軍「ここまでこれるとは…」”. 日刊スポーツ. (2021年3月23日) 2021年4月12日閲覧。
- ^ “阪神石井大智と加治屋、両救援が2軍降格 阪神投手の登録抹消は今季初”. 日刊スポーツ. (2021年4月19日) 2021年5月1日閲覧。
- ^ “【球界ここだけの話(2537)】阪神・石井大智は悔しさをバネに2年目に臨む オフは思い出の担々麺でパワーチャージ⁈”. サンケイスポーツ. (2021年12月18日) 2021年12月27日閲覧。
- ^ “【阪神】石井大智NPB史上初「高専卒」プロ1勝 特殊な環境下で研究室にダンベル持ち込み鍛錬”. 日刊スポーツ. (2023年5月11日) 2023年5月13日閲覧。
- ^ 「【阪神】前夜プロ初勝利の石井大智「腰痛」で登録抹消 腰部疲労骨折の可能性で長期離脱も」『日刊スポーツ』、2023年5月13日。2023年5月15日閲覧。
- ^ a b “阪神ドラ8石井「実感あまりない」指名挨拶に笑顔”. 日刊スポーツ. 2020年11月13日閲覧。
- ^ “【阪神】ドラフト8位・石井大智、開幕戦でプロ初登板初失点のほろ苦デビュー”. スポーツ報知. (2021年3月26日) 2023年4月2日閲覧。
- ^ “【阪神】石井大智が3年目でプロ初ホールド 緊張乗り越え「吹っ切れてマウンドに上がれた」”. 日刊スポーツ. (2023年4月1日) 2023年4月2日閲覧。
- ^ “阪神 また3連敗阻止!今季12球団で唯一 八回野選で決勝点 石井がプロ初勝利/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online. 2023年5月11日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 個人年度別成績 石井大智 - NPB.jp 日本野球機構
- 選手の各国通算成績 Baseball-Reference (Japan)、The Baseball Cube
- 石井 大智 (@SrgCra) - Twitter