真空装置

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真空装置(しんくうそうち)は、真空状態の持つ特性を利用した装置、機器である。

真空装置

真空装置はその目的を踏まえて基本仕様である真空システムを設計しなければならない。真空システムとは以下の構成要素に成り立っている。

  • 到達圧力
  • 真空の質
  • ガス放出
  • 真空チャンバーの体積
  • 真空ポンプの排気速度

真空システムとして以上の5つが決まればそれに沿って真空装置を設計する。真空装置は大まかに言うと以下2つの要素を持つ。

真空チャンバー
真空にする空間である。真空装置はこの内部で真空になることによる様々な現象を利用し処理を行う装置である。処理により構成材料や形状、内部の構造などを決めていく。
排気系
真空ポンプである。真空容器、ガス放出、真空の質などから適切な真空ポンプを選択する必要がある。

真空装置の構成[編集]

真空装置の種類はその目的により多岐にわたるが、基本的に4つの要素により構成される。あらかじめ設計された真空システムにのっとりこれらの要素の構成が決められる。これらの要素は様々な種類があるが、真空システムにより必要に応じて選択される。

  • 真空チャンバー - 真空用材料により構成され真空容器に何か作用を導入する場合には真空フィードスルーを使用する。
  • 真空ポンプ - 真空ポンプは到達圧力、真空容器の大きさ、排気する気体、真空の質などにより決定される。
  • 真空バルブ - 真空バルブは真空容器に対する外気や異なる圧力空間を隔離するバルブとガスの流量を可変させるコンダクタンスバルブとに大別される。
  • 真空計 - 真空計は真空容器の圧力を測定する全圧真空系と真空容器の気体の成分を測定する分圧真空計がある。

真空装置の種類[編集]

真空を利用した装置は多岐にわたる。

真空冶金装置[編集]

真空冶金装置とは冶金を真空中で行うことである。真空中で冶金を行うことには以下のメリットがある。

  • 純度の向上:真空中で溶解などを行うと金属中のガス成分を外へと排出する脱ガス効果が得られる。脱ガスによって望ましくない元素、スラグ、金属間化合物(酸化物、水素化物、窒化物など)、非金属混入物などが減少するため、結果として金属の純度が向上する。
  • 合金における添加元素の精密なコントロール:特殊合金製造工程では、真空中であれば大気成分や他の不純物などがほとんど無いため添加元素を厳密にコントロールできる。
  • 鋳肌の向上:真空中で金属を溶解させると脱ガスが効果的に行われるため鋳肌が向上し、品質が向上する。
  • 活性金属の溶解:チタンジルコニウム、タンタル、ウランなどの非常に活性な金属は従来の方法では溶解ならびに鋳造が不可能だが、真空中ではそれが可能になる。

真空化学装置[編集]

真空化学装置とは、化学反応および前後の操作を真空中で行う装置を示す。主な化学反応としては反応、分離、混合、冷却等があり、その化学反応のほとんどは、気体、液体、固体間の相変化を伴う。従って一般的にはエネルギー消費の多いプロセスである。

真空薄膜形成・加工装置[編集]

真空薄膜形成・加工装置は真空中での性質や反応を利用した薄膜の形成およびその薄膜の加工を行う装置である。光学レンズやガラスへの薄膜からシリコンウェハーへの薄膜形成・加工、他MEMSや太陽電池の形成、FPDの製造など現在最も多く使用される真空装置である。

排気装置[編集]

分析・試験装置[編集]

表面分析装置[編集]

表面分析装置で電子やその他の粒子(X線など)を利用した分析装置では大気分子による影響を排除するため真空中で行う物が多い。また、被測定物の表面の不純物や汚染物の除去のためにも真空にすることで排除することができるようになる。

試験装置[編集]

試験をおこなう装置でも真空中で行うものである。主に真空にすることで高温での試験や酸化を防ぐことができる。

その他の真空装置[編集]

関連項目[編集]