真性特異点

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真性特異点 z=0 を中心とした函数 exp(1/z) の図。色調は偏角を表し、輝度は絶対値を表す。この図では、異なる方向から本質的特異点に近付くことで異なる挙動が得られることが分かる(極の場合は反対に、どの方向から近付いても一様に白である)。
複素函数 6w=exp(1/(6z)) の真性特異点を表すモデル

数学複素解析の分野において、ある函数の真性特異点(しんせいとくいてん、: essential singularity)とは、その近くで函数が極端な挙動を取るようなある「厳しい」特異点のことを言う。

真性特異点が分類されるカテゴリーは、「残り物」あるいは「特に取り扱いづらい」特異点の集団である。すなわち定義によると、ある方法で取り扱うことの出来る二つの特異点のカテゴリーである可除特異点に分類されないものが、真性特異点である。

正式な定義[編集]

複素平面 C のある開部分集合 U を考える。aU の元とし、f : U / {a} → C をある有理型函数とする。点 a がその函数 f の真性特異点であるとは、それが可除特異点およびのいずれでもないことを言う。

例えば、函数 f(z) = e1/z に対して z = 0 は真性特異点である。

その他の定義[編集]

a を複素数とし、f(z) は a で定義されないが複素平面内のある領域 U において解析的であるとする。また、a のすべての近傍U の交わりは空でないとする。

\lim_{z \to a}f(z)   および   \lim_{z \to a}\frac{1}{f(z)}   のいずれも存在するなら、af および 1/f可除特異点である。
\lim_{z \to a}f(z)   は存在するが   \lim_{z \to a}\frac{1}{f(z)}   が存在しないなら、af零点であり、1/fである。
\lim_{z \to a}f(z)   は存在しないが   \lim_{z \to a}\frac{1}{f(z)}   は存在するなら、af の極であり、1/f の零点である。
\lim_{z \to a}f(z)   および   \lim_{z \to a}\frac{1}{f(z)}   のいずれも存在しないなら、af および 1/f の真性特異点である。

その他の真性特異点の特徴として、その点における fローラン級数の負の次数の項が無限個存在する(すなわち、そのローラン級数の主要部が無限和)というものがある。それに関連する定義として、ある a に対する f(z)(z-a)^n が任意の整数 n > 0 に対して微分可能でないなら、af(z) の真性特異点、というものがある[1]

真性特異点の近くでの正則函数の挙動は、カゾラーティ・ワイエルシュトラスの定理ピカールの大定理によって表現される。後者の定理では、ある真性特異点 a のすべての近傍において、函数 f は(1 は除かれることもあるが)すべての複素数値を無限回取る。

参考文献[編集]

  1. ^ Weisstein, Eric W.. “Essential Singularity”. MathWorld, Wolfram. 2014年8月5日閲覧。
  • Lars V. Ahlfors; Complex Analysis, McGraw-Hill, 1979
  • Rajendra Kumar Jain, S. R. K. Iyengar; Advanced Engineering Mathematics. Page 920. Alpha Science International, Limited, 2004. ISBN 1-84265-185-4

外部リンク[編集]