コンテンツにスキップ

直木孝次郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
直木 孝次郎なおき こうじろう
人物情報
生誕 (1919-01-30) 1919年1月30日
兵庫県神戸市
死没 (2019-02-02) 2019年2月2日(100歳没)
奈良県奈良市
国籍 日本の旗 日本
出身校 京都帝国大学文学部史学科
学問
研究分野 日本古代史
学位 文学博士
主な受賞歴 大阪文化賞
和島誠一賞[注釈 1]
井上靖文化賞
テンプレートを表示

直木 孝次郎(なおき こうじろう、1919年1月30日[3][4] - 2019年2月2日)は、日本歴史学者大阪市立大学名誉教授[4]学位は、文学博士京都大学論文博士1969年[5])。日本古代史研究を代表する研究者[6]

経歴

[編集]
出生から修学期

1919年、兵庫県神戸市で生まれた[4]1936年兵庫県立第一神戸中学校を卒業。1938年第一高等学校文科乙類へ入学。1941年に第一高等学校を卒業し[7]京都帝国大学文学部史学科に進んだ。太平洋戦争の時局悪化に伴い、1943年に京都帝国大学文学部史学科を卒業[4]。卒業後は、海軍[4]土浦海軍航空隊に入隊した[8]

1945年、終戦により復員。最終的な階級は海軍中尉であった。翌1946年、京都帝国大学特別研究生として研究の道に戻った[4]

日本古代史研究者として

1950年大阪市立大学法文学部助手に採用された[4]1955年 に大阪市立大学文学部助教授となり、1966年教授昇格。1969年、学位論文『日本古代兵制史の研究』を京都大学に提出して文学博士号を取得[9]1981年3月、大阪市立大学を退職し[4]、同大学名誉教授となった。

同1981年4月からは岡山大学文学部教授として教鞭をとった。1984年、岡山大学教授を定年退職。相愛大学となった。1987年1月、宮中歌会始召人を務めた[10]1989年相愛大学人文学部教授を退職し、甲子園短期大学教授となった。1998年甲子園短期大学教授退職。

2019年2月2日、老衰のため逝去[11]

受賞・栄典

[編集]
受賞理由「実証に徹した穏健な論文は、弥生時代から奈良時代までにまたがって五百編にも及び、隠された歴史、史実に新たな光をあてた。また、全国の遺跡保存運動にも尽力した[4]

家族・親族

[編集]

著書

[編集]

単著

[編集]
  • 『日本古代国家の構造』青木書店 1958年
  • 持統天皇』(人物叢書)吉川弘文館 1960年
    • 新装版 1985年
  • 壬申の乱』(塙選書)塙書房 1961年
    • 増補版 1992年
  • 『日本古代の氏族と天皇』塙書房 1964年
  • 『古代国家の成立』(日本の歴史2)中央公論社 1965年
    • 中公バックス 1970年
    • 再版 中公バックス 1983年
    • 文庫版 中公文庫 1973年
    • 文庫版 2004年
  • 『日本古代兵制史の研究』吉川弘文館 1968年
  • 奈良時代史の諸問題』塙書房 1968年
  • 『神話と歴史』吉川弘文館 1971年
    • 吉川弘文館 (歴史文化セレクション) 2006年
  • 『奈良 古代史への旅』岩波新書 1971年
  • 『倭国の誕生』(日本の歴史1)小学館 1973年
  • 『飛鳥奈良時代の研究』塙書房 1975年
  • 『古代史の人びと』吉川弘文館 1976年
  • 『日本の誕生』(ジュニア日本の歴史1)小学館 1978年
  • 『わたしの法隆寺』塙書房 1979年
    • 改訂『新編 わたしの法隆寺』塙新書 1994年
  • 『古代史の窓』学生社 1982年
  • 『古代日本の争乱』(エコール・ド・ロイヤル古代日本を考える2)学生社 1983年
  • 『歴史との出会い 追憶と随想』社会思想社 1984年
  • 『法隆寺の里-わたしの斑鳩巡礼』旺文社文庫 1984年
  • 『夜の船出-古代史からみた万葉集』塙書房 1985年
  • 『古代遺跡見学-奈良・大阪・京都・滋賀』岩波ジュニア新書 1986年
  • 『日本古代国家の成立』社会思想社 1987年
  • 『古代日本と朝鮮・中国』講談社学術文庫 1988年
  • 『日本神話と古代国家』講談社学術文庫 1990年
  • 『飛鳥-その光と影』吉川弘文館 1990年
    • 吉川弘文館 (歴史文化セレクション) 2007年
  • 難波宮と難波津の研究』吉川弘文館 1994年
  • 秋篠川のほとりから-奈良歴史散歩』塙新書 1995年
  • 『飛鳥奈良時代の考察』高科書店 1996年
  • 『日本古代国家の成立』講談社学術文庫 1996年
  • 山川登美子与謝野晶子』塙書房 1996年
  • 『わたしの歴史遍歴-人と書物』吉川弘文館 1999年
  • 『万葉集と古代史』(歴史文化ライブラリー)吉川弘文館 2000年
  • 『古代河内政権の研究』塙書房 2005年
  • 『日本古代の氏族と国家』吉川弘文館 2005年
  • 額田王』(人物叢書)吉川弘文館 2007年
  • 『私の歴史散歩 直木孝次郎と奈良・万葉を歩く 秋冬』吉川弘文館 2008年[16]
  • 『私の歴史散歩 直木孝次郎と奈良・万葉を歩く 春夏』吉川弘文館 2009年[17]
  • 『直木孝次郎 歴史を語り継ぐ』吉川弘文館 2013年[8]
  • 『日本古代史と応神天皇』塙書房 2015年
  • 武者小路実篤とその世界』塙書房 2016年
著作集

『直木孝次郎古代を語る』(全14冊) 吉川弘文館 2008年-2009年

  1. 古代の日本
  2. 邪馬台国卑弥呼
  3. 神話と古事記・日本書紀
  4. 伊勢神宮と古代の神々
  5. 大和王権と河内王権
  6. 古代国家の形成 雄略朝から継体欽明朝
  7. 古代の動乱
  8. 飛鳥の都
  9. 飛鳥寺と法隆寺
  10. 古代難波とその周辺
  11. 難波宮の歴史と保存
  12. 万葉集と歌人たち
  13. 奈良の都
  14. 古代への道

編著

[編集]
  • 正倉院文書索引』平凡社 1981年
  • 『奈良-古代を考える』吉川弘文館 1985年
  • 難波京と古代の大阪』学生社 1985年
  • 『王権の争奪-大古墳と剣が語る』(日本古代史4)責任編集集英社 1986年
  • 『難波-古代を考える』吉川弘文館 1992年
  • 『謎につつまれた邪馬台国-倭人の戦い』(史話日本の古代2)作品社 2003年

共著

[編集]
  • 伊勢神宮』(三一新書藤谷俊雄と共著) 三一書房 1960年
    • 新日本出版社(新日本新書) 1991年
  • 『神話と教育』(新日本新書)新日本出版社 1969年
  • 『白鳥になった皇子-古事記』(平凡社名作文庫、直木著・太田大八絵)平凡社 1979年
    • 改題『直木孝次郎が語る「古事記物語」』(かたりべ草子 9)1983年
  • 『万葉びとの夢と祈り』(飛鳥-奈良日本歴史展望2、直木・岩本次郎責任編集)旺文社 1981年
  • 『古代国家の謎を追う』(田辺昭三と共著)徳間書店 1982年

共編著

[編集]
  • 『近代日本をどうみるか 上』中塚明と共編、塙書房(塙新書) 1967年
  • 『近代日本をどうみるか 下』中塚明と共編、塙書房(塙新書) 1968年
  • 『明日香村史 上巻』明日香村史刊行会 1974年
  • 『日本書紀・風土記』(鑑賞日本古典文学 2) 西宮一民岡田精司と共編 角川書店 1977年
  • 『飛鳥と万葉 仏教伝来の波』(日本の美と文化 2)講談社 1983年
  • 『続日本紀』1 (東洋文庫457)平凡社 1986年
  • 『続日本紀』2(東洋文庫489)平凡社 1988年
  • 『続日本紀』3(東洋文庫524)平凡社 1990年
  • 『クラと古代王権』小笠原好彦と共編、ミネルヴァ書房 1991年
  • 『続日本紀』4(東洋文庫548)平凡社 1992年
  • 飛鳥池遺跡 - 富本銭]と白鳳文化』鈴木重治と共編、ケイ・アイ・メディア 2000年
  • 『飛鳥池遺跡と亀形石 - 発掘の成果と遺跡に学ぶ』鈴木重治と共編、ケイ・アイ・メディア 2001年
  • 世界遺産平城宮跡を考える - 考古学・歴史学・地質学・環境論・交通論から』(歴史遺産 3)鈴木重治と共編、ケイ・アイ・メディア 2001年
  • 『古代の難波と難波宮-シンポジウム』中尾芳治と共編 学生社 2003年

対談

[編集]
  • 『古代史の真実を探究して-戦中・戦後の研究を振り返る』(対話講座なにわ塾叢書66)ブレーンセンター 1997年

論文

[編集]

参考文献

[編集]
  • 直木孝次郎「わたくしの学究生活をふり返る(『直木孝次郎 古代を語る』刊行記念インタビュー)」『本郷』第78号、吉川弘文館、2008年、2-10頁、NCID AN1046456X 

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 文化財保存全国協議会[1]が、遺跡保存と歴史的環境の保存運動を先駆的に行った和島誠一(1909年 - 1971年、考古学者)の活動に因んで作った賞[2]
  2. ^ 遺跡保存を積極的に進め、文化財保護思想の普及を広く提起し実践した考古学者和島誠一の名を冠した賞。

出典

[編集]

外部リンク

[編集]