皇帝のかぎ煙草入れ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

皇帝のかぎ煙草入れ』(こうていのかぎたばこいれ、原題:The Emperor's Snuff-Box )は、アメリカ推理作家ジョン・ディクスン・カーによる推理小説。発表は1942年。ノン・シリーズものの長編作品で、カーの中期の代表作である。

あらすじ[編集]

前夫ネッド・アトウッドと離婚したイヴ・ニールは、その後向かいの家に住むトビー・ローズと婚約するが、ある夜、ネッドがイヴの家の寝室に忍びこみ復縁を迫る。ネッドに部屋から出て行くよう訴えている最中、イヴは向かいの家で殺害されたトビーの父親と、茶色の手袋をはめた犯人と思しき人物が部屋から出て行くところを目撃してしまう。ところが状況証拠からイヴに殺人の嫌疑がかかり、身の証を立てることができない彼女は窮地に陥る。

主な登場人物[編集]

イヴ・ニール
美貌で裕福な女主人公
ネッド・アトウッド
イヴ・ニールの前夫
トビー・ローズ
イヴ・ニールの婚約者
モーリス・ローズ卿
トビーの父。骨董品収集家
ヘレナ・ローズ
トビーの母
ジャニス・ローズ
トビーの妹
ベンジャミン・フィリップス(ベンおじさん)
ヘレナの兄
アリスティド・ゴロン
ラ・バンドレットの警察署長
ダーモット・キンロス博士
ゴロン署長の友人。心理学者
イヴェット・ラトゥール
イヴ・ニールの女中
プリュー・ラトゥール
イヴェットの妹。トビー・ローズの愛人

作品の評価[編集]

話題[編集]

アガサ・クリスティの「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」という文章がしばしば引き合いに出されるが、この出典は不明である。英国版のカバー裏、「カー讃」というコーナーにある“Very few detective stories baffle me nowadays, but Mr. Carr's always do.”というクリスティの一文は、カー作品全体への讃辞であり、本作に対する評ではない。

出版[編集]

題名 出版社 文庫名等 訳者 巻末 カバーデザイン 初版年月日 ページ数 ISBN 備考
皇帝の嗅煙草入 早川書房 世界探偵小説全集 No.167
(現「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」)
西田政治 1954年 197   絶版
皇帝のかぎ煙草入れ 東京創元社 ディクスン・カー作品集 第10 井上一夫 1958年 203 絶版
皇帝のかぎ煙草入れ 東京創元社 創元推理文庫118-11 井上一夫 1961年 294 978-4488118112 絶版
皇帝の嗅ぎ煙草入れ 中央公論社 世界推理小説名作選 中村能三 1962年 217 絶版
皇帝のかぎ煙草入れ 角川書店 角川文庫 守屋陽一 1963年 300 絶版
皇帝の嗅煙草入れ 旺文社 旺文社文庫603-01 吉田映子 1976年   絶版
皇帝の嗅ぎ煙草入れ 講談社 講談社文庫 宇野利泰 1977年6月 307 絶版
皇帝のかぎ煙草入れ 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫5-13 斎藤数衛 1983年1月 297 978-4150703639 絶版
皇帝の嗅ぎ煙草入れ 嶋中書店 嶋中文庫
グレート・ミステリーズ
中村能三 2004年11月 365 978-4861563133 絶版
皇帝のかぎ煙草入れ 東京創元社 創元推理文庫 駒月雅子 2012年5月18日 318 978-4488118327 新訳版

映像化作品[編集]

映画[編集]

  • "That Woman Opposite" (イギリス 1957年)(アメリカでのタイトルは"City After Midnight"
監督・脚本:コンプトン・ベネット 音楽:スタンリー・ブラック
出演:フィリス・カーク(イヴ)、ダン・オハーリー(ダーモット・キンロス)、ウィルフリッド・ハイド=ホワイト(モーリス・ローズ卿)、ペトゥラ・クラーク(ジャニス・ローズ)、ウィリアム・フランクリン(ネッド・アトウッド)、ジャック・ワトリング(トビー・ローズ)

テレビドラマ[編集]

  • 窓の中の殺人 離婚した女 嫌いな前夫が私を犯す… (テレビ朝日 1983年)
監督:井上芳夫 脚本:須川栄三 音楽:小川よしあき
出演:いしだあゆみ関口宏中尾彬谷隼人高田敏江須川栄三
※1983年12月10日、土曜ワイド劇場枠での放送。

脚注[編集]

  1. ^ カー短編全集5『黒い塔の恐怖』(創元推理文庫)所収。
  2. ^ 第1位のグループ6作品には筆頭に『帽子収集狂事件』、次いで『プレーグ・コートの殺人』などが挙げられている。
  3. ^ カーの作品(カーター・ディクスン名義含む)では他に、『火刑法廷』(14位)、『三つの棺』(26位)、『ユダの窓』(35位)が挙げられている。
  4. ^ 他に、『火刑法廷』(10位)、『三つの棺』(16位)、『ユダの窓』(44位)が挙げられている。

関連項目[編集]