白髪三千丈

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)は、代の詩人・李白五言絶句「秋浦歌」第十五首の冒頭の一句。

縁愁似箇長(うれいによりてかくのごとくながし)」と続き、通常、「積もる愁いに伸びた白髪の長さは、三千丈(約9キロメートル)もあるかのように思われる」と解釈されている。日本においては、この一句のみを取り出して、中国の極端な誇張表現の例だとして、批判的に用いる状況にある。

どうして「三千丈」か[編集]

「三千丈」という表現の背景には、作詩上の制約がある。

白髪三千丈」の平仄について見れば、最初の二字「白髪」が仄仄であり、近体詩の規則によれば、続く二字は平平でなくてはいけない。一方、一~九までの漢数字及び十・百・千・万・億・兆という位数のうち、平声の字は「三」と「千」のみである(京も平であるが、通常使用される位数ではない)。この結果、句頭に「白髪」を示した時点で、次に続く数字はほぼ選択の余地なく「三千」に定まってしまうことになる。[1]また、句末の一字は、でなくてはいけないため、ここに長さを示す字を置くとなると、仄声である「寸」、「尺」、「丈」等から選択するしかない。

白髪三千丈に関する異説[編集]

白髪は「増えた」[編集]

日常の感覚として、白髪は、増えるものであって、「長く伸びる」とは言わない。また、「長」の字には、「大きい、多い」の意味もあることから、「愁いに増えた白髪の多さは、継ぎ足していけば三千丈の長さになるだろう」と解釈することもできる。

なお、人間の髪の毛の本数を約10万本、髪の毛の長さを約10~15センチメートルとすれば、その延べ長さは10~15キロメートルとなり、このとき、三千丈という表現は、換算すると約9.99キロメートルのため、実際にはむしろ控え目なものであることになる。

三千大千世界[編集]

仏法の 「三千大千世界」から、「三千」の語を、「極めて多い」、「極めて広い」などという意味で包括的な形容に使うようになったものであって、算術の「三千」ではない。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ 出典:高島俊男著『イチレツランパン破裂して お言葉ですが(6)』文春文庫138-143頁