略式手続

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

略式手続(りゃくしきてつづき)とは、一般に正式な方法ではない簡略化した手続きを指し、特に刑事訴訟法では公判を行わず簡易な方法による刑事裁判の公判前の手続きを指す。

検察官が所管の裁判所簡易裁判所)にこの手続を行うことを略式起訴(りゃくしききそ)、この手続により公判前に裁判所から出される命令を略式命令(りゃくしきめいれい)という。刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第6編(第461条~第470条)に規定されている。

略式手続にできる要件[ソースを編集]

  1. 簡易裁判所の管轄に属する事件であること。
  2. 100万円以下の罰金又は科料を科しうる事件であること。
  3. 略式手続によることについて、被疑者に異議がないこと。

略式手続の請求[ソースを編集]

検察官が略式命令の請求をする際は、所管の簡易裁判所に公訴の提起と同時に、書面でおこなわなければならない(刑事訴訟法第462条1項)。ただし、実務上は、起訴状に略式命令請求の文言を加えることで足りるとされ、別個の請求書を作成することはない。

検察官は、被疑者に対し、あらかじめ略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならず、検察官が略式命令を請求する際に添付される(刑事訴訟法第461条の2、第462条2項)。

略式命令[ソースを編集]

簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、執行を猶予し、没収を科し、その他付随の処分をすることができる(刑事訴訟法第461条)。

略式命令には、

  1. となるべき事実
  2. 適用した法令
  3. 科すべき刑及び付随の処分
  4. 略式命令の告知があつた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる旨

を示さなければならない(刑事訴訟法第464条)。

正式裁判の請求[ソースを編集]

略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から14日以内に公判請求をすることができる。この請求は、略式命令をした裁判所に、書面で行う。請求があったときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知することとなっている(刑事訴訟法第465条)。

なお、請求は、第一審の判決があるまでこれを取り下げることができる(刑事訴訟法第466条)。

また、事件の内容が複雑で書面審理だけでは真相究明が難しい場合や罰金以外の刑が相当と裁判所が判断した場合、通常の裁判を行わなければならないとしている(刑事訴訟法第463条)。

略式命令の効力[ソースを編集]

略式命令は、正式裁判の請求期間の経過により、確定判決と同一の効力を生ずる。正式裁判の請求を取下げたときや、正式裁判の請求を棄却する裁判が確定したときも、同様である(刑事訴訟法第470条)。

一方、正式裁判の請求により判決をしたときは、略式命令は、その効力は失われる(刑事訴訟法第469条)。

関連項目[ソースを編集]

外部リンク[ソースを編集]