田久保眞紀
| 田久保 眞紀 たくぼ まき | |
|---|---|
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2025年7月3日、静岡県伊東市にて | |
| 生年月日 | 1970年2月3日(56歳) |
| 出生地 |
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| 出身校 |
静岡県立伊東城ケ崎高等学校卒業 東洋大学法学部除籍[注釈 1] |
| 前職 | 飲食業 |
| 所属政党 | 無所属 |
| 配偶者 | なし(未婚) |
| 公式サイト | 田久保まき後援会 |
| 当選回数 | 1回 |
| 在任期間 | 2025年5月29日 - 2025年10月31日 |
| 当選回数 | 2回 |
| 在任期間 | 2019年9月30日 - 2025年5月18日 |
田久保 眞紀(たくぼ まき、1970年〈昭和45年〉2月3日[1] - )は、日本の政治家。静岡県伊東市長(1期)、伊東市議会議員(2期)を歴任した。
来歴
[編集]生い立ち
[編集]千葉県船橋市出身。10歳の時に父が病死し、中学3年生の時に静岡県伊東市に転居する。伊東市立北中学校、静岡県立伊東城ケ崎高等学校を卒業し[2]、東洋大学法学部へ進学するも除籍となった[3][注釈 1]。その後、バイク便ライダーやイベントに人材を派遣する会社勤務を経て、広告業界で独立した。2010年、伊東市に帰郷し、カフェを経営[4]。
2015年10月6日、伊東市は、伊豆メガソーラーパーク合同会社(代表社員:ハンファエナジージャパン)[注 1]の申請した同市八幡野の土地利用事前申請を承認した。同社は約43万平方メートルの山林を伐採して、約11万9千枚の太陽光パネルを設置する計画(以下、「伊豆高原メガソーラー計画」とする)を立てており[7]、これらの事柄は2016年12月の市議会で明らかとなった[8]。2018年2月15日、伊東市は宅地造成等規制法に基づく工事許可を出した[5]。2月22日、事業の白紙撤回を求めて「伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会」が結成され[9]、田久保は事務局長に就任した[10]。7月、静岡県が森林法に基づく林地開発許可を与えた[11][12]。8月22日、田久保は経済産業省を訪れ、業者の資格取り消しを求める陳情を行った。この際には衆議院議員の細野豪志が同席し、業者による森林の伐採などが違法なものであることを訴えた[13]。
2019年2月13日、市は、事業者から申請のあった八幡野川の河川占用許可について不許可処分を下した[14][15]。同年、田久保は伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会の代表に就任した[16]。
伊東市議会議員
[編集]2019年9月22日に行われた伊東市議会議員選挙に立候補し初当選した[17]。
2021年2月9日、伊豆高原メガソーラー計画を巡り、当時の小野達也市長は事業者宛てに「控訴棄却の場合は速やかに河川占用を許可する」などの「確約書」を提出した[18][19]。小野は同年5月の市長選で再選されるが、同年6月、小野が公文書となる確約書を独断で作成し、特定の市職員を通じてメガソーラー事業者に接触したことが発覚。12月、伊東市政治倫理審査会は市長等の政治倫理に関する条例違反だとする結論を出した[20]。これを受け、市は業者との仲介役を果たした建設部の50代職員を、地方公務員法で定める信用失墜行為の禁止などに違反したとして、戒告の懲戒処分にした[21]。
2022年3月の定例会で、田久保はこの問題を取り上げ、「確約書が作成され、署名されるまでの経緯にあって、事業者との本件やり取りについて、副市長、担当部長及び顧問弁護士には相談をしなかったとも報告がされており、報告書の内容を勘案すれば、市長の使者としてメッセンジャー的な役割だけを果たしたとは考えられず、また、この担当職員が確約書作成と同時に、確約書作成の契機となった八幡野川への河川占用不許可処分取消請求裁判を同時に担当していたことを考えれば、非常に重大かつ深刻な事態が起きてしまったと扱うことが妥当ではないかと考えます」と陳述した[22][23]。
2023年9月24日に行われた市議選に立候補し、定数20人中20位で再選を果たした。
2025年5月伊東市長選挙
[編集]2025年4月4日、任期満了に伴う伊東市長選挙へ立候補する意向を表明[24]。
同年5月18日、市長選挙が告示。総額約42億円の図書館建て替え計画の是非が争点となった。市内桜木町の伊東マンダリン岡本ホテル跡地への新図書館の建設[25][注 2]を初当選以来公約に掲げている現職の小野達也と、建設計画に反対する田久保がそれぞれ立候補の届出をした。これにより、田久保は同日付で市議を自動失職となった[29]。
小野は自民党や公明党、連合静岡、観光や建設など約70の組織や団体の推薦を得て組織戦を展開した[30]。田久保は日本保守党所属の元荒川区議会議員の小坂英二らが伊東市で開いた勉強会で講師を務め、選択的夫婦別姓制度に反対するなど、思想信条は右派・保守であったが[31][32][33]、日本共産党の重岡秀子市議は田久保を応援した。伊東市は伝統的に革新勢力が強く、このあとの2025年7月の参院選では共産党の比例得票率は県内市町トップの5.9%だった。共産党は伊東市に元からある保革拮抗の構図をつくり出し、田久保の自主支援を打ち出した[31][34]。
伊東市は南北に長く、北側の伊東駅を中心とする温泉街のエリアと、南側の別荘地中心の伊豆高原エリアに分かれる[35][36]。伊豆高原では「北部の宇佐美在住の小野市長[37]による政治は利権にまみれ、伊豆高原のために何もしない」と考える人たちがいた。そこへ高校時代を伊豆高原で過ごし、Uターンした田久保が現れた。北部の桜木町の新図書館建設計画[38]を中止するとの訴えは、伊豆高原を中心とする南部の人々の心をつかんだ[36]。伊東市八幡野の元伊豆オルゴール館館長の平澤宗一郎も田久保の陣営に入った[39][40][41]。「伊東市のバックには『悪の組織』がいて裏で市を操っている。市役所から経済3団体まで合わせて約8000人の『悪の組織』が海の家から按針(あんじん)祭まで担っている」と主張する熱狂的な支持者らに支えられながら[36]、5つのSNSで動画を配信し、知名度不足をカバーした[42]。5月23日、静岡新聞は終盤情勢を報道。「小野と田久保は激しく競り合ったまま」と記した[43]。
同年5月25日、投開票が行われ、田久保は小野を破り初当選した[30]。女性市長は初で、非自民党系の市長も革新の芹沢昭三以来の31年ぶりとなった[42]。
同月26日、中村一人副市長、岸弘美副市長、高橋雄幸教育長は辞表を小野に提出し、受理された。小野の任期が切れる28日付で退職した[44]。5月27日、「伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会」の代表を退き、後任は前述の平澤宗一郎が就いた[45]。5月29日、伊東市長に就任した[46]。
同年6月初旬、市議全員に対し「東洋大学法学部卒とされている田久保の学歴は誤り」と主張する文書が郵便で届いた。6月10日の議会運営委員会で田久保の学歴が議題に上がり[47]、後述する学歴詐称疑惑が浮上した。
同年7月7日、伊東市川奈の建設会社社長が、公職選挙法違反の疑いで田久保を刑事告発した[48]。同年9月1日、伊東市議会は同市議会での百条委員会による調査に発展するなど「学歴詐称疑惑で市民を困惑させ、補正予算の編成が大幅に遅れるなど、市政を停滞させた責任は重大」として市長不信任決議案を提出、出席した市議19人全員の賛成一致で可決された。また同日に市議会は田久保が証人尋問への出頭や卒業証書とされる書類の提出を拒否している事から、田久保を地方自治法違反の疑いで刑事告発を行う事も全会一致で可決され、静岡県警伊東警察署に刑事告発状が提出され、受理された。田久保は地方自治法の規定により10日以内に市長辞職もしくは市議会の解散を選択することとなり[49][50][51]、期限の前日となった9月10日、田久保は市議会を解散した。これにより、40日以内に市議会議員選挙が行われることとなった[52]。
10月12日、伊東市議会議員選挙が告示され、前職18人と新人12人が立候補した[53]。田久保は不信任に唯一「反対」を明言した片桐基至を選挙期間中ずっとついて回って応援した[54]。片桐は2016年に阿賀野市議会議員選挙に幸福実現党公認で当選し[注 3]、その後、参政党に一時所属していた。19日に投票が行われ、投票率は59.22%と前回の48.88%を大きく上回った[56]。選挙により前職18人・新人2人が当選した[57]。片桐は初当選を果たした。残りの19人の当選者は不信任に賛成の意見であった。
10月31日、伊東市議会は田久保への不信任決議案を賛成19・反対1の賛成多数で可決。2度目の不信任決議が可決され、地方自治法の規定により、田久保は同日付で市長を失職した[58]。
2025年12月伊東市長選挙
[編集]2025年11月19日、自身の失職に伴う市長選へ立候補する意向を正式に表明した。記者会見を開き「強みはメンタル」と答えた[59]。
同年12月7日に伊東市長選挙は告示され、田久保に加え、前回の市長選で破った前職の小野、前市議の杉本憲也など新人を含む計9人が立候補の届出をした。前回選で田久保は「『悪の組織』に裏で市が操られている」と主張する熱心な支持者の後押しを受けて当選を果たしており[36]、田久保が街頭で「しがらみと利権がない政治を目指す」と演説すると、支持者は「田久保の市政復帰を嫌がる巨大勢力が働いている」「実際には大学を卒業できていたにもかかわらず、政治家と報道機関が結託して除籍扱いにした」などと訴えた[60]。同月14日の投開票の結果は小野と杉本の一騎打ち状態となり、杉本が当選(13,522票)。田久保はこの2名に大きく離された4,131票にとどまり3位で落選した(ただし、得票率10%を突破したため供託金没収は回避)[61]。
人物
[編集]
- 2024年4月28日実施の衆議院東京15区補欠選挙で日本保守党は中東イスラム研究者の飯山陽を擁立した。飯山がX(旧ツイッター)で「再生可能エネルギー推進で得をするのは利権を持つ議員と、業者と、中国だけだ」と主張すると、田久保はすぐにリツイートし、「飯山あかり候補と日本保守党の再エネに対するスタンスを引き続きウォッチしていきたい」と述べた[62]。
- 2025年3月16日、日本保守党所属の元荒川区議会議員の小坂英二らが伊東市八幡野で同党の報告会と勉強会を開いた際、田久保は「伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会」の代表として講師を務めた[31][32]。それから約半月後の3月30日、田久保が伊東市長選挙への出馬の意向を固めたことが報道により明らかになった[63]。
- 選択的夫婦別姓制度の導入に反対する[33]。
- お酒の類を嗜まない、いわゆる「下戸」であるにもかかわらず、支援者がいる酒の席にはコーラで乾杯するために参上するなど、親しみやすい人柄と周囲に認識されている[64]。
- 車とバイクが趣味で現在の愛車は、スズキ・スイフトスポーツ(ZC33S)[64][65]。
- 東洋大学時代には当時没頭したバイク以外にも趣味としてアマチュアのハードロック・バンドを結成し本人は本格派ボーカルとして真剣にメジャーデビューを目指していた[66]。
学歴詐称疑惑と不信任決議
[編集]2025年
[編集]市長選当選後の2025年6月初旬、伊東市議会議員全員に「東洋大学法学部卒とされている田久保の学歴は誤り」とする匿名の投書が届いた。投書には「彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している」などと記載されていた。6月4日、田久保は当時の市議会議長の中島弘道と副議長の青木敬博に卒業証書とされる文書を「ちらっと見せた」(中島の証言)[40]。同月6日、市議会は各派代表者会議を開き、中島から再度田久保に確認を求めることを決めた。中島は同日、田久保に「いろんなうわさが出ているので証明書を出してほしい」と伝えたが、田久保は「怪文書を情報源とする要請には応えられない」として提出を拒んだ[47]。6月10日、議会運営委員会で中島は田久保に断られたことを報告。委員会の休憩中も議論が続き、百条委員会の設置という案も出た[47]。
同年6月25日の市議会本会議の代表質問で杉本一彦がこの件に関する質問をしたことにより、疑惑がメディアでも報じられる事となる[67]。質問に対し田久保は明確な答弁を避けつつ、前述の通り議長や副議長ら関係者に必要な書類を提示していると説明していた。しかし中島弘道議長や杉本の説明によると、正副議長が市長と面会した際、市長からは卒業証書だとする文書の提示を一瞬だけ受けたのみで、その内容の詳細は確認できなかった上、卒業証書の写しや卒業証明書の提出要請については断られたとされる[68][69][70][71]。
同日、田久保は議会の休憩中に取材に応じ、投書について『怪文書』とした上で、「会見などの対応をすることで、怪文書を出した人間の欲求を満たすことになるためそれには一切応じない」と述べた[69]。その上で翌26日付でX(旧Twitter)で「昨日の議会で杉本一彦議員が百条委員会設置を求める発言をしたことが報道されたことを受けて、法的手続きに入ることと致しました」と述べ、「怪文書のような匿名の誹謗中傷には毅然と対応する」と表明した[72](7月4日時点で該当投稿削除)。自身の支持者に対し卒業証書と称するものを見せ、“こういう証拠もあるので卒業は間違いない”という趣旨の説明も行っていた[73]。
しかし、その後7月2日の会見にて、田久保は「卒業は確認ができず、除籍であることが判明した」と発表した。ただし、会見は「市を代表した立ち位置のものではない」という理由から市役所ではなく田久保自身の後援会主催で行われ、伊東市役所と顧問関係にない田久保個人の顧問弁護士がその場に同席し、市役所職員は立ち入りが一切禁じられていた[74]。また、公職選挙法違反の可能性を指摘された際も、「大学卒業を自ら公表したわけではないから、法に違反していない」と釈明した[75][3]。東洋大学での在学年数については「自由奔放な生活で、バイクに乗って住所不定のような状況。不真面目な学生でいつまで通っていたというような通学状況ではなかった」と曖昧に答え、大学卒業に必要な単位取得すら出来ていなかった状況を自らが説明しつつも、卒業したと認識していたかどうかについては明言しなかった[76]。
除籍理由については「一度卒業という扱いになって、今どうして除籍になっているのかについては、確認ができ次第、示していくしかない」とし、説明はしなかった[77]。東洋大学は「卒業後に除籍になることはない」とメディアに回答している[78][79]。また、議員になる以前に、自身のカフェの常連客との雑談の中で学歴の件について触れられた際に「卒業はしてない」趣旨の発言をしていたことが、近隣住民への取材で明らかになっていた[80]。
会見の翌日である7月3日、田久保は中島と青木と面会し、約30分間程度話し合うも、その間は騒動に関する謝罪の言葉はなく、「あくまで除籍であることが分かった」旨の報告に終始した[81]。その際に田久保は「事務局側とも話しているが、卒業資格を取り消された可能性がある」趣旨の主張を展開し、百条委員会を設置しないよう懇願するも、青木はメディアの報道内容を踏まえて「田久保が主張するような事態に至ることはない」と真っ向から彼女の弁明を受け入れなかった[82][83]。
7月4日、伊東市議会議会運営委員会にて『市長に対する辞職勧告』及び『地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委)設置』の2本の決議案を7日の本会議に提出し、採決することを全会一致で決め[84]、7月7日の市議会本会議の審議にていずれも全会一致で可決された[85]。同日に福島正洋弁護士を代理人として同席させ記者会見を開き、市長を辞職してその後執り行われる出直し市長選に再出馬する意向を表明した[86]。偽造の疑いがもたれている卒業証書などについては静岡地検に上申し、済み次第辞職し[87]、出直し市長選に臨む意向を明らかにした[88]。しかし事件は静岡地検には係属していない。
設置された百条委員会は7月11日から始まり、田久保に対し18日午後4時までに卒業証書の提出を求める通知を直接手渡したものの[89]、その申し出に対し田久保は最後まで「関係者と検討する」の一点張りで静岡地検への上申よりも百条委員会を優先すると明言することはなかった[90]。
7月18日、田久保は百条委員会に対して「『卒業証書』の提出を拒否します」という「回答書」を持参し、偽物ではないかと疑われている「卒業証書」については刑事告発されていることを理由に提出を拒んだ[91][92]。併せて7日時点では捜査を依頼するとしていた卒業証書と称するものは検察にも渡さない事も主張した[93]。
7月22日、中島宛てに「平成4年に東洋大学法学部を卒業した」と名乗る人物から「田久保眞紀の卒業証書なるものの真実をお知らせします」と記された告発文が届いた[94]。その告発文には「あの『卒業証書』は、彼女と同期入学で平成4年3月に卒業した法学部生が彼女に対するプレゼントとして手作りした偽物であり、卒業生の有志がそれらしい体裁で作ったものである」との趣旨が書かれていた[95]ほか、“卒業証書”が作られた経緯や制作過程、そして田久保が除籍に至るまでの経緯についても言及されていた。伊東市議会は、発端となる6月初旬の投書に示された内容が結果的に事実であったことを踏まえて、この告発文も同様に公文書として取り扱うことと、同日中に当時の市議会議員全員に複写が配布した[96]。
7月24日、18日の提出拒否を受け田久保に出されていた百条委員会の証人喚問への出頭要請について「証言を求められているのは、いずれも回答が事実上不可能な内容を含むものであり、不適切な請求だ」などとして、出頭を拒否する回答書を中島議長に提出した[97]。
7月28日、学歴詐称の田久保に対する刑事告発を静岡県警察が受理した[98]。
7月29日、百条委員会に田久保の知人が出席し、本人からかつて「大学を卒業していないと聞いた」と証言した。この知人によれば、田久保が2019年に市議選に初めて立候補した際には討議資料に「東洋大学」とだけ記されていたものの、2期目を目指した選挙の討議資料には「卒業」の2文字が加わっていたということで、今回の市長選に当たって各種報道で「東洋大学卒業」とされていたことについて「特段新しいことではなく、嘘を重ねて、それが彼女の中のスタンダードになってしまったのだなという思い」と振り返り、「この情報を同じように認識している人は、確信を持てるのは私以外に2人いる」と話した[99]。
7月31日、千葉県に住む公務員の男性が田久保に有印偽造私文書等行使の疑いなどで静岡県警察に告発状を提出し、新たな刑事告発が行われた[100]。
同日夜、会見を開き、「伊豆高原メガソーラー問題も新図書館建設計画も水面下で激しく動いている」と主張し、辞意を撤回した[101][102]。8月1日、企画部長は、前日の会見前に開催された会議の席上で田久保の続投宣言を受けて、「全部長の総意」として辞職して改めて市長選に立候補するよう申し入れたが、田久保が聞き入れることはなかった[103][104]。
8月8日、田久保は市の公式ウェブサイトで、自身の「水面下で激しく動いている」発言を訂正する文書を発表した[101]。同日、田久保が市長就任の翌日の5月30日に「河川の許可が出ることはなくなりましたからメガソーラー関係は終わり」と知人に送ったLINEメッセージのスクリーンショットが伊豆新聞の電子版に掲載された[105]。
8月13日、自身の学歴問題に関する市議会の調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問に出席。6月28日に東洋大を訪問した際に自身が同大を卒業せず除籍になっていたことを知ったと証言し、自身が持つ東洋大の「卒業証書」とされる書類にについては「卒業証書とされていたものだと思っている」と回答した[106]。卒業証書とされる書類を議長に見せたときの状況については、「報道であるような『チラ見せ』といった事実はありません。19.2秒ほど見ていただいた」などと述べた[107][注 4]。
8月14日、自身のXでの投稿の問題(7月29日の百条委員会には田久保の知人が証人として出頭し、「本人から大学を卒業していないと聞いた」と証言しているが、個人情報が伏せられたにも関わらず市長のSNSには市民から知人の身元が特定できるようなイニシャルや「精神病」と中傷する書き込みが寄せられた。また、田久保自身もこの書き込みに「いいね」ボタンを押している上、同様にイニシャルを記した返信をしている)について、田久保は報道陣から指摘を受けた。これに対して、「そのような書き込みをしているのは確かですので、削除依頼をしたいと考えている」と述べたが、8月16日午後6時現在で実行には移されていない[109]。
8月29日、百条委員会は田久保が東洋大学を卒業していないと認識しながら故意に「卒業」と公表したと結論付け、一連の調査を終えた。そして、「6月28日に初めて除籍と知った」という証言を虚偽と判定し、地方自治法違反の疑いで刑事告発することを全会一致で決めた[110]。
9月1日、市議会は田久保に対する不信任決議案と田久保を刑事告発する議案を全会一致で可決した[49][111]。これを受けて田久保は9月10日、市議会を解散した[112]。解散理由について、市議会が9月定例会で重要な議案の審議を行わず初日に不信任決議を行ったとし、「市民に信を問うべきと考えた」と説明した[113]。
10月19日、市議会の解散に伴い市議会議員選挙が実施された[114]。田久保の支持を明確に表明していた議員は、過去に幸福実現党や参政党に所属していた新人の片桐基至の一人だけであった[54][114]。
10月23日、前述の千葉県の男性は市議選の結果を受け、田久保と片桐、ほか1人に対し公職選挙法違反(虚偽事項公表罪)の疑いがあるとして、刑事告発状を静岡県警伊東警察署へ送付した。男性は、片桐が自己の当選を得るため「パイロット」と虚偽の経歴を公表したなどと告発した。片桐は伊豆新聞の取材に「間違いなく自衛隊で飛行機を操縦していた」と回答した[115]。
10月31日、市議会は臨時の議会を開催し、田久保に対する2度目の不信任決議案を可決した(賛成19・反対1)[116]。田久保は即日、失職した。在職期間は156日で伊東市史上最短となった。失職後には退職手当192万3750円が田久保に支給される予定[116]であったが、前述の通り浮上した田久保の犯罪が市長としての在職期間中に行われた疑いがあるとして、伊東市条例の規定により11月25日付で田久保への退職手当支給の一時差し止めが正式決定した。2026年同日までに後述の通り起訴されたため、田久保への退職手当は不支給となる見込みである[117][118]。副市長と教育長は最後まで任命できず在職中は空席のままであった。田久保の失職により本来代行者となる副市長が不在のために、部長級の市役所職員が職務代理者となった[116]。
10月19日に実施された市議会議員選挙で6300万円、12月14日の市長選挙で3700万円、計約1億円の公費がかかった[60][114]。
11月5日、2025年の新語・流行語大賞のノミネート30言が発表され、田久保をめぐる「卒業証書19・2秒」が選出された[119]。
2026年
[編集]2026年1月29日、代理人弁護士とともに警察署に出頭し、任意の事情聴取に応じた[120]。
卒業証書とされる書類の提出を静岡県警から求められたのに対し、「押収拒絶権を理由に卒業証書を出さない」とした趣旨の回答書を2月12日付で提出した[121]。
2月14日、静岡県警は田久保の自宅の家宅捜索を行った[122]。
2月27日、静岡県警が田久保を同日までに地方自治法違反の疑いで静岡地方検察庁に書類送検をしたことが報じられた[123]。
2月27日、入学以降4年間で卒業に必要な単位を取得することができず、在学5年目の授業料を納めず、除籍になったとみられることが報じられた[124][125]。なお、卒業に必要である132単位中、田久保が取得済みであったのは約半分の68単位だった[126]。そしてこの報道は、強制捜査を受けてもなお田久保氏を信じていた支持者らが一斉に離れていくきっかけになった模様[127]。
3月25日、卒業証書を偽造して市議会議長らに見せたとして、静岡県警は田久保を有印私文書偽造・同行使の疑いで静岡地検に追送検した。静岡県警は、静岡地検に起訴を求める「厳重処分」の意見をつけたという[128]。
3月30日、静岡地検は、地方自治法違反と有印私文書偽造・同行使の罪で田久保を静岡地方裁判所に在宅起訴した[129]。起訴状によると、田久保は大学を卒業していないのに、卒業したように学歴を偽ろうと考え、「文学博士○○之印」「法学博士○○之印」と、学長と法学部長の名前が刻まれた印鑑をインターネットを通じて印鑑製造販売業者に作成させて入手。2025年5月29日ごろから6月4日にかけて、これらの印鑑を押印するなどして自分の卒業証書を偽造し、6月4日に市役所で複数人に示した、とされ、また、自分が大学を卒業していない事実を以前から認識していたのに、8月13日にあった市議会の調査特別委員会(百条委員会)で、「私が卒業できていないという事実を知りましたのは、6月28日、大学の方に訪れたときになります」などと虚偽の陳述をしたとの疑惑が持たれている[129]。
5月7日、伊東市の市民団体は、議会解散に伴う市議選や市長選の費用計約8220万円を田久保に賠償させるよう求め市に住民監査請求した[130][131]。市の監査委員は18日付で請求を受理した[132]。
6月4日、前述の送検済み以外の田久保の刑事告発容疑についても捜査を完了した静岡県警は、2025年の伊東市長選時に報道機関に提出した経歴調査票にて実際には東洋大学を除籍されていたにも関わらず「卒業」と記載し公にした公選法違反、当選後に市の広報誌に虚偽の学歴を記載した虚偽公文書作成・同行使、市議会百条委員会への出頭を正当な理由無く拒否した地方自治法違反の疑いで田久保を静岡地検に追送検し、これを以て田久保の全刑事告発容疑が書類送検された[133]。
6月10日、静岡地検は、4日に公職選挙法違反など3つの容疑で行われた追送検分については、いずれも嫌疑不十分を理由に不起訴とした[134]。この内の虚偽公文書作成・同行使については、前述の刑事告発した千葉県の男性が不起訴処分を不服として検察審査会に申し立てを行う予定である[135]。
7月2日、市の監査委員は、市長に対する不信任決議可決に伴う市議会の解散は適法な手続きであるなどと指摘。市に田久保への損害賠償請求権が発生しているとは言えないとして住民監査請求を棄却した[136]。同月30日、田久保に選挙費用約4950万円を市が請求するよう求め、市民グループが杉本憲也市長を相手取る訴訟を起こした[137]。
8月24日、田久保は、卒業証書は「第三者が作成した可能性がある」として無罪を主張する書面を静岡地裁に提出した[138]。
8月25日、県警が2月に押収した田久保のパソコンから、偽造された卒業証書のデータが見つかったことが報道により明らかとなった[138]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ↑ 伊豆メガソーラーパーク合同会社の代表社員は2023年(令和5年)12月28日にハンファエナジージャパン株式会社から株式会社常(北九州市)に変更され、2024年(令和6年)2月8日に当該変更登記が行われた[5][6]。
- ↑ 熱海市を拠点とする岡本ホテルグループは2010年に経営破綻した。グループが経営する伊東市桜木町にあった「伊東マンダリン岡本ホテル」は取り壊され、2015年に市はホテルの跡地(約4千平方メートル)を2億500万円で購入した。このとき当時の伊東市長の佃弘巳は所有者の不動産業者の社長に、市が標準価格を大きく上回る金額で買い取ることを持ち掛け、見返りに計1300万円を受け取った。佃は2018年6月16日に収賄容疑で逮捕された[26][27][28]。
- ↑ 片桐基至は2016年の阿賀野市議会議員選挙では「横井基至」の名で立候補した[55]。
- ↑ この発言は「卒業証書 19.2秒」として、同年の新語・流行語大賞にノミネートされた[108]。
- 1 2 市長就任後の市の広報誌などには「平成4年 東洋大学法学部卒業」と記載され[2]、市長選前の報道機関の取材に対しても大学卒業と答えていた[3]。#学歴詐称疑惑と不信任決議も参照。
出典
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- ↑ “田久保前市長 大学“5年目”の授業料未納で除籍か…在学中の取得単位は卒業要件のわずか半分程度 本人は「卒業したと勘違いしていた」と弁明も|FNNプライムオンライン”. FNNプライムオンライン (2026年2月27日). 2026年2月28日閲覧。
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- ↑ “「もう言い逃れできない」「卒業証書はニセモノ」と静岡県警は断定 田久保前市長は起訴か…“68単位”発覚で支持者離反、現市長は1億円請求へ”. 集英社オンライン. 2026年3月28日閲覧。
- ↑ “田久保・前伊東市長を書類送検 卒業証書を偽造し議会側に提示か”. 朝日新聞. 2026年3月27日. 2026年3月27日閲覧.
- 1 2 “田久保・前伊東市長を在宅起訴 自ら押印して大学の卒業証書を偽造か”. 朝日新聞 (2026年3月30日). 2026年3月30日閲覧。
- ↑ “「前伊東市長に選挙費用請求を」 市民団体が住民監査”. 日本経済新聞. 2026年5月7日. 2026年5月7日閲覧.
- ↑ “選挙費用返還求め、住民監査請求 田久保・前伊東市長の学歴詐称で―市民団体”. 時事通信. 2026年5月7日. 2026年5月7日閲覧.
- ↑ “「市政顧みず保身」田久保真紀前市長巡る監査請求受理 静岡・伊東市、選挙費用巡り”. 産経新聞. 2026年5月20日. 2026年6月5日閲覧.
- ↑ “静岡・伊東市の田久保前市長、公選法違反など三つの容疑で追送検”. 朝日新聞. 2026年6月4日. 2026年6月4日閲覧.
- ↑ “伊東前市長・田久保眞紀 被告 追送検分については嫌疑不十分で不起訴 公職選挙法違反・虚偽公文書作成及び同行使等・地方自治法違反の3容疑 すでに地方自治法違反と有印私文書偽造・同行使の罪で在宅起訴済み”. FNNプライムオンライン (2026年6月10日). 2026年6月10日閲覧。
- ↑ “田久保眞紀 被告の不起訴処分は“不服” 刑事告発した男性が検察審査会に審査申し立てへ 虚偽公文書作成・同行使等の容疑 検察の判断は「嫌疑不十分」”. FNNプライムニュース. テレビ静岡 (2026年6月12日). 2026年6月12日閲覧。
- ↑ “田久保真紀前市長に選挙費用8220万円の支払い求める住民監査請求を棄却 静岡・伊東”. 産経新聞. 2026年7月2日. 2026年7月2日閲覧.
- ↑ “田久保真紀氏に選挙費請求を、提訴 議会解散権乱用と伊東市民ら―静岡地裁”. 時事ドットコム (2026年7月31日). 2026年7月31日閲覧。
- 1 2 “田久保真紀・前伊東市長、押収パソコンから偽造卒業証書のデータ…田久保氏は書面で無罪主張”. 読売新聞 (2026年8月25日). 2026年8月27日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 田久保まき後援会
- 田久保まき (@takubomaki) - X(旧Twitter)
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