現業
現業(げんぎょう)とは、一般には現場で行われる業務、または事務に対する現場の業務を指す語である[1]。日本の行政・労働法の文脈では、歴史的には国や地方公共団体が営む事業的・現場的性格の強い業務、およびこれに従事する職員を指す用語として用いられてきた[1]。現代日本では、主として地方公共団体における技能労務職員ないし地方公務員法第57条の「単純な労務に雇用される者」の文脈で用いられる[2][3]。
概要
[編集]「現業」は、工場、作業場、運転、保守、清掃などの実地の業務を意味する一般語であり、これに従事する者を指す場合もある[1]。一方、日本の公務員制度や公企業史の文脈では、政策立案や一般行政事務に対置される、事業的・現場的性格の強い部門ないし職員を指す用語として用いられてきた[1]。
歴史
[編集]戦後日本では、国の事業部門や公共企業体をめぐって「現業」という語が広く用いられ、いわゆる三公社五現業という表現も存在した[4]。また、「現業官庁」「現業庁」という語も用いられ、林野庁や、かつての印刷局・造幣局などが例とされてきた[5][6]。
その後、日本国有鉄道・日本電信電話公社・日本専売公社の民営化、郵政事業の再編、さらに国有林野事業の一般会計化などにより、国の現業は縮小した[7]。厚生労働省資料では、2013年4月の国有林野事業の一般行政化により、日本には国営企業としての現業が存在しなくなったと整理されている[8]。
法制度上の位置づけ
[編集]地方公共団体の実務では、「現業職員」は一般に技能労務職員を指すものとして説明される。堺市の資料は、地方公共団体の技能労務職員を地方公務員法第57条に規定する「単純な労務に雇用される者」と位置づけている[9]。また、自治総研論文も、地公労法の適用対象として「単純な労務に雇用される職員」(以下「現業職員」という)を挙げている[3]。
地方公共団体の経営する企業および特定地方独立行政法人の職員には、地方公営企業等の労働関係に関する法律が適用される[10]。地方公務員の労働関係法制については、非現業職員と、現業職員・地方公営企業職員とで異なる法的枠組みが採られてきたことが指摘されている[11]。
国の側では、現在この語は主として歴史的文脈で用いられる。他方、現行法としては、行政執行法人の職員について行政執行法人の労働関係に関する法律が定められている[12]。
地方公共団体における主な職種
[編集]自治体によって範囲や名称は異なるが、現業職員の例としては、清掃作業員、ごみ収集作業員、学校用務員、調理員、運転手、施設保守関係職員などが挙げられる[2]。
脚注
[編集]- 1 2 3 4 “現業”. コトバンク. 2026年3月31日閲覧。
- 1 2 “用語説明”. 堺市. 2026年3月31日閲覧。
- 1 2 “地公法と労基法上の労使協定―教育職員への一年単位の変形労働時間制導入を契機に” (PDF). 自治総研. 2026年3月31日閲覧。
- ↑ “三公社五現業”. コトバンク. 2026年3月31日閲覧。
- ↑ “現業官庁”. コトバンク. 2026年3月31日閲覧。
- ↑ “現業庁”. コトバンク. 2026年3月31日閲覧。
- ↑ “2013年4月1日(第50号)”. 林野庁中部森林管理局. 2026年3月31日閲覧。
- ↑ “【配付資料】98号条約年次報告案” (PDF). 厚生労働省. 2026年3月31日閲覧。
- ↑ “堺市技能労務職員の給与等の見直しに向けた取組方針” (PDF). 堺市. 2026年3月31日閲覧。
- ↑ “地方公営企業等の労働関係に関する法律”. e-Gov法令検索. 2026年3月31日閲覧。
- ↑ “「地方公務員の労働関係に関する法律案」の内容と課題(上)” (PDF). 自治総研. 2026年3月31日閲覧。
- ↑ “行政執行法人の労働関係に関する法律”. e-Gov法令検索. 2026年3月31日閲覧。