猿の惑星 (映画)
| 猿の惑星 | |
|---|---|
| PLANET OF THE APES | |
|
| |
| 監督 | フランクリン・J・シャフナー |
| 脚本 |
マイケル・ウィルソン ロッド・サーリング |
| 原作 | ピエール・ブール |
| 製作 | アーサー・P・ジェイコブス |
| 出演者 |
チャールトン・ヘストン ロディ・マクドウォール キム・ハンター モーリス・エヴァンス ジェームズ・ホイットモア ジェームズ・デイリー リンダ・ハリソン |
| 音楽 | ジェリー・ゴールドスミス |
| 撮影 | レオン・シャムロイ |
| 編集 | ヒュー・S・ファウラー |
| 製作会社 | APJACプロダクションズ |
| 配給 | 20世紀フォックス |
| 公開 |
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| 上映時間 | 112分 |
| 製作国 |
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| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $5,800,000 |
| 興行収入 |
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| 配給収入 |
2億8789万円[2] |
| 次作 | 続・猿の惑星 |
『猿の惑星』(さるのわくせい、PLANET OF THE APES)は、1968年のアメリカ合衆国の映画。ピエール・ブールによるSF小説『猿の惑星』を原作とする『猿の惑星』シリーズ全5作の第1作。
あらすじ[編集]
ケネディ宇宙センターから打ち上げられた一隻の宇宙船が、4人の宇宙飛行士を乗せた長い宇宙飛行を続け、今まさに地球への帰還を目指していた。他の3人はすでに人工冬眠装置によって眠りについており、船長のテイラー(チャールトン・ヘストン)は出発からおよそ6か月が過ぎて、船内時間が1972年7月14日、地球時間が2673年3月23日であることを確認し、準光速航行のハスライン理論に従えば、今頃地球では西暦2673年頃になっているはずだと語りながら、睡眠薬を自ら注射して冬眠状態に入った。それからどれだけの時間が過ぎていったか…。突如発生したトラブルにより、船はとある惑星の湖上へと不時着水した。着水と同時に装置が自動的に開いて、テイラーたち男性3人はようやく目覚めた。もう1人がいないことに気づいたテイラーがその様子を覗うと、そこに入っていた女性宇宙飛行士のスチュアートは、装置の故障による空気漏れで死亡し、無惨にもミイラ化していた
残されたテイラー、ドッジ、ランドンの3人は、沈みゆく船から急いで脱出し、近くの岸辺へと到着した。地球とよく似た青い空に赤茶けた大地、湖水は青々しい水。3人はゴムボートに乗って川を内陸部へと遡っていった。テイラーの信じる学説では、もはや地球では2000年もの長い歳月が過ぎ去っている計算となり、そこに帰ることはもはや不可能であった。3人は未知の土地へと探検に向かった。最初は一望の荒野であったが、やがて緑を見つけた。しかし、水浴びの途中で何者かに衣服や物資を盗まれ、その後を追いかけて行くうちに、彼らは裸の人間の群れと遭遇した。全く襲われる気配がないのでひとまず安心したが、やがて目を疑う光景に3人は思わず息を飲んだ。彼らの行く手に、銃で武装し馬に跨った猿の騎兵たちが突然大挙して現れ、逃げ惑う人間の群れに銃撃を加えながら追い詰めて行き、3人もその中で逃げ切れずに、ドッジは射殺され、ランドンも捕えられ、そしてテイラーも兵士に狙撃されて首に重傷を負い、そのまま意識を失った。
やがて気が付くと、彼は手術台の上に固定されて輸血を受けていた。そこは動物病院の手術室であった。そこでは大勢の人間が飼育され、主に生体解剖や動物実験などに利用されていた。彼の治療を担当していたのは、チンパンジーの獣医であるジーラ博士(キム・ハンター)であった。また彼女には、同じチンパンジーの婚約者で考古学者のコーネリアス( ロディ・マクドウォール)がおり、更に彼らの上司がオランウータンのザイアス博士(モーリス・エヴァンス)であった。彼らにとって人間は、知能も低く、文化や言葉を持たない野蛮な下等動物に過ぎなかった。しかしジーラは、猿は元々人間から進化したものと考えて、それを立証すべく、独自に研究を続けていた。一方のコーネリアスも、彼女の学説には少し懐疑的ではあったが、猿社会ではタブーとされている「禁断地帯」を調査して、これまで真理とされてきた考えに大きな疑問を抱いていた。
そしてジーラは、その行動が他の人間とは全く違い、しかも言葉を発しようとするテイラーに強く興味を示していた。だがザイアス博士は、彼に対して不気味なものを感じていた。この時テイラーは、怪我の後遺症で咽喉がまだ使えず、言葉を全く話せなかった。そしてジーラが同じ檻に入れた若い女性に、テイラーは自ら「ノバ」と名付け、ジーラとコーネリアスの2人には、自分は言葉が分かることを紙に書いて伝えた。当の2人は信じられないとは思いつつも、テイラーがこれまでの出来事を書いた紙を訝しながら読むのであった。だが実は、2人よりも先にその事実を既に知っていた者がいた。ザイアス博士である。テイラーを強く危険視した彼は、テイラーに去勢手術と脳外科手術を施そうとするも、それを知ったテイラーは1人檻から逃げ出し、公衆の面前で捕まった時に初めて言葉を発し、ジーラを始め周囲の猿たちを大いに驚かせた。
やがて裁判が開かれた。ところがこの法廷の真の目的は、何故テイラーが言葉を発するのかという議論ではなく、ジーラとコーネリアスによる、これまで猿社会では当然の真理とされてきた思想に公然と刃向う異端的言動を、大きな重罪として断罪する事にあった。裁判官は、テイラーはジーラたちの陰謀によって生み出されたものと見なしていた。それ以外には全く考えられなかったのである。たとえ他の惑星からやって来たとは言っても、彼らには到底想像もつかないことで、単なる戯言としか受けとめられなかった。
しかしザイアス博士は、テイラーをあくまで人間の突然変異と見なしていた。閉廷後、テイラーは一人ザイアスの執務室に呼ばれた。ザイアスは人間は下等動物で、猿は高等動物であることを断じて疑わなかった。そしてテイラーに対し、「おまえは脅威だ」、「人間は害悪だ」と迫った。ザイアスは恐れていたのであった。彼はテイラーを、「禁断地帯」として彼らの「聖典」では禁足地とされている場所からやって来た別種の人間だと考えていた。そして、その通りに自供しなければ去勢し、更にランドンのように脳手術で廃人にすると脅した。テイラーはザイアスが一体何を恐れているのかが分からなかった。そして審理の結果、重い処分を下されたジーラとコーネリアスは自ら「禁断地帯」へと向かい、自説の正しさと異端の無実を証明しようと決意し、ジーラの甥のルシアスにテイラーをわざと逃亡させ、共に禁断地帯へと向かった。やがて海岸に到着した彼らは、すぐ後を追って来たザイアスを釈明の為に岸壁の洞窟へと連れ込んだ。ザイアスは、そんなコーネリアスとジーラを背教者だと強く非難するのであった。
コーネリアスが以前、洞窟で発掘した出土品からは、約1200年前に書かれた「聖典」とは全く矛盾する、はるかに古い時代の遺物がいくつも発見されており、テイラーはそれらが人間の遺物である事を話して聞かせた。しかしザイアスは、それを一切認めようとはしなかった。彼はそれまで猿社会で真理とされてきた歴史観が大きく覆る事を強く恐れていた。テイラーは、今の猿の文明は全て過去の人類文明の遺産であると説明し、窮地に追い込まれたザイアスもとうとう、実は自身も密かにそう考えていた事を自ら明らかにした。彼は聖典と矛盾する事実をずっと隠蔽し続けていたのだ。しかしザイアスは言う。「それならば、なぜ人間は滅びたのだ?」、「私は聖典を信じる」と。
やがてテイラーはジーラたちに別れを告げると、愛するノバと馬に跨り、共に長い海岸線を辿って行った。一方のザイアスは、部下たちに命じて洞窟をただちに爆破させた上で、異端の説は一切認めないとして、結局テイラーは追わずにその場を後にした。残されたコーネリアスとジーラはテイラーたちの行く末を心配していた。そしてほどなくテイラーは、懐かしい自由の女神像の変わり果てた姿に驚愕し、この惑星の真実を知ることになる。つまり、ここは地球だったのである。
キャスト[編集]
| 役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||
|---|---|---|---|---|
| TBS版 | フジテレビ版 | ソフト版 | ||
| ジョージ・テイラー大佐 | チャールトン・ヘストン | 納谷悟朗 | ||
| コーネリアス | ロディ・マクドウォール | 山田康雄 | 近石真介 | 富山敬 |
| ジーラ博士 | キム・ハンター | 中村メイ子 | 楠トシエ | 平井道子 |
| ザイアス博士 | モーリス・エヴァンス | 熊倉一雄 | 大塚周夫 | 熊倉一雄 |
| 議長 | ジェームズ・ホイットモア | 久米明 | 久松保夫 | 槐柳二 |
| オノリアス | ジェームズ・デイリー | 小林昭二 | 大木民夫 | 村松康雄 |
| ノバ | リンダ・ハリソン | 酒井環 | ||
| ルシアス | ルー・ワグナー | 納谷六朗 | 富山敬 | 鈴置洋孝 |
| マクシマス | ウッドロー・パーフレイ | 北村弘一 | 八奈見乗児 | 杉田俊也 |
| ジョン・ランドン中尉 | ロバート・ガンナー | 富田耕生 | 木村幌 | 仲村秀生 |
| トーマス・ドッジ中尉 | ジェフ・バートン | 小林清志 | 田中信夫 | 飯塚昭三 |
| マリアン・スチュアート中尉 | ダイアン・スタンレー | |||
| ジュリアス | バック・カータリアン | 渡部猛 | 相模太郎 | 池水通洋 |
| 騎兵隊長 | ノーマン・バートン | 石井敏郎 | 宮内幸平 | 峰恵研 |
| ガレン医師 | ライト・キング | 寺島幹夫 | 村松康雄 | |
| 聖職者 | ポール・ランバート | 石井敏郎 | 峰恵研 | |
| 翻訳 | 岡枝慎二(字幕) | トランスグローバル | 飯嶋永昭 | |
| 演出 | 山田悦司 | 田島荘三 | ||
| 調整 | 杉原日出弥 | |||
| プロデューサー | 熊谷国雄 | 山崎宏 | ||
| 制作 | トランスグローバル | 東北新社 | ||
| 解説 | 荻昌弘 | 高島忠夫 | ||
- TBS初回放送:1973年12月24日21:00-23:26『月曜ロードショー』※ノーカット
- フジテレビ初回放送:1975年4月11日21:00-22:55『ゴールデン洋画劇場』(約98分)
- ソフト版初出1981年発売二ヶ国語版レーザーディスクより[3]。アルティメット・エディションDVD、BDに収録。
- 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンの「吹替の帝王」シリーズ第6弾として、ソフト版に加えTBS版とフジテレビ版の計3種類の吹き替え版を収録したBlu-ray Discが2014年9月3日に発売。ただしTBS版は、現在では不適切とされる4つの文言[4]がカットされている1976年の通常枠版と1978年の拡大枠での再放送版しか発見できなかったため一部が原語となる[5]。また、特典としてテレビ版の吹替台本2冊が付属している。
メカニック[編集]
- イカルス号
- ANSA(アメリカ国立宇宙管理局。現実のNASAに相当する宇宙機関)に所属する恒星間航行用超光速宇宙船。正式名称はリバティー1。船体は二等辺三角形に近いくさび形で、船内には4人掛けのコックピットと4台の長期睡眠装置が、また機首上部とコックピット、コンソール下には脱出ハッチが、更に基底部にはリアハッチがそれぞれ設けられている。なお、機首内部は脱出トンネルとなっており、機首側とコックピット側とを繋いでいる。本船は1972年1月15日、テイラーら4名の宇宙飛行士を乗せてアメリカのケネディ宇宙センターから打ち上げられ、船内時間で約半年間、地球時間で約700年間宇宙飛行を続けた。その後、搭乗員全員が長期睡眠に入り、以後、自動操縦で地球へ帰還する予定であったが、その直後に発生したコンピューターのトラブルにより、船は禁断地帯のとある内海に不時着水し、まもなく水没してしまう。なお、不時着時の地球時間は3978年11月25日、船内時間は1973年6月16日(劇中で直接の描写はない)ごろとなっており、出発から地球時間で約2000年、船内時間では約18月ほど経過していた。
- 『続・猿の惑星』には同型船が登場し(船名はリバティー2)、テイラー隊の捜索と救助のためブレントら2名を乗せて打ち上げられるが、本機もまた未来の地球に不時着した。『新・猿の惑星』ではイカルス号がチンパンジーのマイロらによって湖から引き揚げられて修理され、マイロとコーネリアス、ジーラの3人が未来の地球から脱出する際に使用された。
- なお、リブート作品『猿の惑星: 創世記』には同名の火星探査船が消息を絶っていることが劇中で報道されている。旧シリーズとの直接的な関係性は不明であったが、新シリーズの監督であるマット・リーヴスは本作と繋がる作品である旨を述べており、実際3作目『猿の惑星: 聖戦記』に登場する口を利けない少女ノバは本作のノバと同一人物とされている。ただし年代やイカルス号の特徴などに矛盾が生じているため、厳密に繋がっているわけではない。
製作[編集]
脚本[編集]
20世紀フォックスのプロデューサー、アーサー・P・ジェイコブスの依頼を受けロッド・サーリングが執筆した脚本は、最終的にマイケル・ウィルソンによって大きく改変された。
主人公が猿達から理不尽な扱いを受ける描写には、ウィルソンが共産主義者とみなされたために赤狩りの対象になった経験が反映されている。なお、ウィルソンはピエール・ブール原作の『戦場にかける橋』やチェ・ゲバラを題材にした『ゲバラ!』の脚本も担当している。
原作との違い[編集]
原作では猿は独自の言語を用い、主人公がそれを習得して猿たちと意思疎通をするという展開であるが、映画では猿は初めから英語を話している (そしてそれが作品の結末への伏線になっている)。
原作では主人公たちが到着したのは、オリオン座の主星ベテルギウスとなっており、結末の場面で「地球もまた、猿の惑星となっていた」となるが、映画では人類が原始人並の知能しか持たず、逆に猿に似た類人猿が高い知能を持って文明を築いており、その謎が判明するのが作品の結末となっている。ちなみにベテルギウスは赤色超巨星であり、恒星としての寿命が非常に短い上、大きさ・明るさも短期間で大きく変動するなどの理由により、実際には地球生物の居住可能な惑星を従えている可能性はないとされる。また、地球からベテルギウスまでの距離はおよそ497光年程度と考えられている[6]。
エピソード[編集]
- 猿を演じる役者達に施された特殊メイク(ジョン・チェンバース)の技術は、当時のレベルでは飛び抜けて精巧なものだった。メイク担当のジョン・チェンバーズはアカデミー名誉賞を受賞したが、メイクアップ賞が設立されたのは10年以上経った1981年である。
- 小説家・劇作家のウィリアム・サローヤンの甥は本作の製作に関わっており、猿の惑星が日本で上映された事を驚いたという。原作者のピエール・ブールは、フランス領インドシナで有色人種を使役していた農場の監督であり、戦時中に日本軍の捕虜となって、白人と有色人種の立場の逆転を経験し、それが原作小説である『猿の惑星』の執筆動機になっており、「人間を支配する猿=日本人」という暗喩が込められていたからであると言われていた。しかし、実際にブール本人がこの事について言及したことはなく、またブールは日本軍の捕虜になったことはなく、彼を捕虜にしたのはヴィシー政権下のフランス軍であり、日本人を猿に見立てて描かれたという説には証拠となるものが無い。
- 猿の惑星の正体が判明する本作のラストシーン(米ソ冷戦の成れの果てをイメージしたと言われている)は非常によく知られており、2005年に20世紀フォックスホームエンターテイメントより発売された日本版DVDでは、最大級のネタバレであるにもかかわらず大々的にパッケージイラストに描かれている。
参考文献[編集]
- ^ “Planet of the Apes”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2011年5月4日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)251頁
- ^ 品川四郎「吹替洋画新聞 第四号」、『宇宙船』Vol.112(2004年5月号)、朝日ソノラマ、2004年5月1日、 112頁、 雑誌コード:01843-05。
- ^ テイラー大佐が猿に向かって言う『気狂い』『気違い猿』など
- ^ “20世紀FOXホームエンターテイメント”. 2015年1月1日閲覧。
- ^ 『理科年表 平成25年』 丸善 2012年刊
外部リンク[編集]
- 公式ウェブサイト (英語)
- 公式ウェブサイト (日本語)
- 猿の惑星 - allcinema
- 猿の惑星 - KINENOTE
- Planet of the Apes - オールムービー(英語)
- Planet of the Apes - インターネット・ムービー・データベース(英語)
- Planet of the Apes - Rotten Tomatoes(英語)
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