猿の惑星 (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
猿の惑星
Planet of the Apes
監督 フランクリン・J・シャフナー
脚本 マイケル・ウィルソン
ロッド・サーリング
原作 ピエール・ブール
製作 アーサー・P・ジェイコブス
出演者 チャールトン・ヘストン
ロディ・マクドウォール
キム・ハンター
モーリス・エバンス
ジェームズ・ホイットモア
ジェームズ・デイリー
リンダ・ハリソン
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
撮影 レオン・シャムロイ
編集 ヒュー・S・ファウラー
製作会社 APJACプロダクションズ
配給 20世紀フォックス
公開 アメリカ合衆国の旗 1968年2月8日
日本の旗 1968年4月13日
上映時間 112分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $5,800,000
興行収入 アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $32,589,624[1]
次作 続・猿の惑星
テンプレートを表示

猿の惑星』(さるのわくせい、Planet of the Apes)は、1968年アメリカ合衆国の映画ピエール・ブールによるSF小説『猿の惑星』を原作とする『猿の惑星』シリーズ全5作の第1作。

あらすじ[編集]

ケネディ宇宙センターから打ち上げられた宇宙船が、4人の飛行士を乗せて飛行を続け、地球への帰還をめざしていた。他の3人はすでに睡眠カプセルで冬眠したままであり、船長のテイラー(チャールトン・ヘストン)は打ち上げてから6か月が過ぎて、船内の日時が1972年7月14日を確認し、準光速航行の説に従えば今ごろ地球は2673年になっていると語りながら、腕に注射をして睡眠カプセルに入って冬眠状態に入った。それからどれだけの時間が過ぎていったか・・・

急に宇宙船の自動航行に故障が生じて、ある惑星の大気圏内に突入して、救急避難の音が鳴り、睡眠カプセルが自動的に開いて、飛行士たち3人は目が覚めた。もう1人がいないことに気づいてそのカプセルを見ると、このカプセルに入っていた女性飛行士スチュアートは、空気漏れによるカプセルの故障で死亡しミイラ化していた。

宇宙飛行士のテイラー、ドッジ、ランドンの3人は、ある惑星の湖水に不時着して、船体から脱出し、近くの陸地に到着した。地球によく似た青い空に茶色の土をした陸、湖水は青々しい水。3人は救急ゴムボートに乗って川を漕ぎながら内陸に入っていった。テイラーが信じるハスライン博士の説ではもはや地球は2000年の過去に遠く離れ去っている計算となり、そこへ帰ることは不可能であった。3人は未知の奥地へと探検に向かった。最初は一望の砂漠であったが、やがて緑地を見つけた。しかし、水浴中に衣類を盗まれて追いかけて行くうちに、裸の人間の群れに遭遇した。襲われる気配がないので一安心したが、直後に意外な光景に3人は息を飲んだ。馬に跨って騎馬姿の猿が突然現れて、しかも野生で裸の人間の群れを追いかけて、銃で撃ちながら追いつめていき、やがて3人もその中で逃げ切れず、ドッジは射殺され、ランドンは行方不明、そしてテイラーは弾が首をかすり、出血して失神した。

やがて気が付くと台の上で縛られており、輸血を受けていた。そこは猿の獣医がいる研究室であった。そして檻の中に入れられて、やがてここが人間の脳を調べる実験室であることに気づいた。担当しているのはチンパンジーのジーラ博士(キム・ハンター )。もう1人のチンパンジーが恋人で考古学者のコーネリアス( ロディ・マクドウォール)で、上司がオランウータンのザイアス博士( モーリス・エバンス )で、彼らにとっては人間は野蛮で言葉を発しない下等な動物であった。しかしジーラは自分の研究から人間から猿に進化したものとして考えて、そのための研究を行っていた。コーネリアスはその説は支持していなかったが、以前に絶対に入ってはいけないとされている「禁断地帯」を探査して、これまで当然とされた考え方に疑問を持っていた。

そしてジーラは、その動作が他の人間と全く違い言葉を発しようとするテイラーに興味を示していた。だがザイアス博士はこの人間に不気味なものを感じていた。この時テイラーは被弾した怪我で咽喉がまだ使えず言葉を出せないのであった。ジーラが同じ檻に入れた若い女性に、テイラーは「ノバ」と名付けた。そしてジーラとコーネリアスの2人にはテイラーが自分は言葉が分かることを紙に書いて伝え、2人は信じられない思いながらテイラーがこれまでのことを書いた紙を読むのであった。しかし実は2人よりも早くそのことを知った者がいた。ザイアス博士であった。テイラーを危険視した彼は、去勢手術を施そうとしてそれを知ったテイラーは逃げ出し、皆の見ている前で捕まった時に、言葉を発してジーラを始め皆を驚かせた。

そして審問裁判が開かれた。ところがこの法廷の目的は、何故人間が言葉を発するかという議論ではなく、ジーラとコーネリアスの、これまでの猿社会で当然の真理とされてきた考え方に公然と刃向う異端とされる考え方を、犯罪として排除することにあった。裁判官はテイラーはジーラによって改造された者と見なしていた。それ以外に考えられなかったのである。他の惑星からやって来たと言っても、彼らには想像もつかぬことで、戯言でしか受けとめられなかった。

しかしザイアス博士は突然変異種と見ていた。裁判終了後にテイラーはザイアスの部屋に呼ばれた。ザイアスは人間は下等動物で猿は高等動物であることを疑わなかった。そしてテイラーに「おまえは脅威だ」「人間は害悪だ」と語った。ザイアスは恐れていたのだった。「禁断地帯」として彼らの「聖典」で入ることを禁じられている所からやって来た別種の人間であると考えていた。そう自供しないと去勢してランドンのように脳手術で廃人にすると脅した。テイラーはザイアスが何に恐れているのか分からなかった。そして追いつめられたジーラは、「禁断地帯」に入り自らの学説が真理であることを立証しないと異端とされ投獄されると考えて、甥をテイラーの檻に行かせて逃亡させて一緒に禁断地帯に向かった。海沿いの禁断地帯に到着してすぐにザイアスが来て、一緒に洞窟の中に入った。ザイアスはジーラとコーネリアスを背教者だと批判するのであった。

洞窟の中で過去にコーネリアスが発掘した遺跡から、1200年前に作成された「聖典」とは違い、それ以前の発掘品が出て、それが人間の遺品であることを説明した。しかしザイアスは認めなかった。それまで猿社会で真理とされた歴史観が覆ることを恐れていた。テイラーは発掘品の中に過去の人間が使っていた物を見て戸惑うのであった。テイラーは猿の科学や文化は人間からの遺産であったと説き、ザイアスも実は密かにそう考えていたことが分かった。彼は聖典と矛盾する事実を隠ぺいしていた。しかしザイアスは言う。「それならば、なぜ人間は滅びたのか?」「私は聖典を信じる」。

やがてテイラーはノバを連れて馬とともに海岸線を辿って行った。ザイアスは洞窟を爆破して、異端の説は認めないとし、テイラーを追わず、元の所に戻っていった。ジーラとコーネリアスはテイラーの行く末を心配していた。そしてテイラーは辿った末に懐かしい建造物の変わり果てた姿に驚愕して、この惑星の真実を知ることになる。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
TBS フジテレビ ソフト版
ジョージ・テイラー大佐 チャールトン・ヘストン 納谷悟朗
コーネリアス ロディ・マクドウォール 山田康雄 近石真介 富山敬
ジーラ博士 キム・ハンター 中村メイ子 楠トシエ 平井道子
ザイアス博士 モーリス・エバンス 熊倉一雄 大塚周夫 熊倉一雄
議長 ジェームズ・ホイットモア 久米明 久松保夫 槐柳二
オノリアス ジェームズ・デイリー 小林昭二 大木民夫 村松康雄
ノバ リンダ・ハリソン 酒井環
ルシアス ルー・ワグナー 納谷六朗 富山敬 鈴置洋孝
マクシマス ウッドロー・パーフレイ 北村弘一 八奈見乗児
ジョン・ランドン中尉 ロバート・ガンナー 富田耕生 木村幌 仲村秀生
トーマス・ドッジ中尉 ジェフ・バートン 小林清志 田中信夫 飯塚昭三
 マリアン・スチュアート中尉 ダイアン・スタンレー
ジュリアス バック・カータリアン 渡部猛 相模太郎
騎兵隊長 ノーマン・バートン 石井敏郎 宮内幸平 峰恵研
ガレン医師 ライト・キング 寺島幹夫
聖職者 ポール・ランバート 石井敏郎
翻訳 岡枝慎二 トランスグローバル 飯嶋永昭
演出 山田悦司 田島荘三
調整 杉原日出弥
プロデューサー 熊谷国雄  山崎宏
制作 トランスグローバル 東北新社
解説 荻昌弘 高島忠夫
  • TBS初回放送:1973年12月24日21:00-23:26『月曜ロードショー
  • フジテレビ初回放送:1975年4月11日21:00-22:55『ゴールデン洋画劇場
  • ソフト版初出:1981年発売二ヶ国語版レーザーディスクより[2]。アルティメット・エディションDVD、BDに収録。
  • 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンの「吹替の帝王」シリーズ第6弾として、ソフト版に加えTBS版とフジテレビ版の計3種類の吹き替え版を収録したBlu-ray Discが2014年9月3日に発売。ただしTBS版は、現在では不適切とされる文言[3]がカットされている1976年の通常枠版と1978年の拡大枠での再放送版しか発見できなかったため一部が原語となる[4]。また、特典としてテレビ版の吹替台本2冊が付属している。

メカニック[編集]

イカルス号
ANSA(アメリカ国立宇宙管理局。現実のNASAに相当する組織)に所属する超光速宇宙船。船体形状はくさび形で、船内にはコックピットと長期睡眠装置が、機首上部には脱出ハッチが設けられている。テイラーら4名の宇宙飛行士を乗せて1972年ケネディ宇宙センターから打ち上げられ、船内時間で半年間、地球時間で700年間飛行し続けた。それから乗組員は全員とも長期睡眠に入り、自動操縦で地球へ帰還する予定だったが、長期冬眠の開始後に事故が発生して猿の惑星の湖に不時着し、水没してしまう。なお、不時着時の地球時間は3978年11月25日となっている。
続・猿の惑星』には同型船が登場(船名は不明)。テイラーたちの救出のためにブレントらを乗せて打ち上げられるが、これも猿の惑星に墜落する。『新・猿の惑星』ではイカルス号がチンパンジーのマイロ博士によって湖から引き揚げられて修理され、マイロとコーネリアス、ジーラが猿の惑星から脱出する際に使用された。
なお、リブート作品猿の惑星: 創世記』には同名の火星探査船が登場し、消息を絶っているが、旧作との関係は無い。

製作[編集]

脚本[編集]

20世紀フォックスのプロデューサー、アーサー・P・ジェイコブスの依頼を受けロッド・サーリングが執筆した脚本は、最終的にマイケル・ウィルソンによって大きく改変された。

主人公が猿達から理不尽な扱いを受ける描写には、ウィルソンが共産主義者とみなされたために赤狩りの対象になった経験が反映されている。なお、ウィルソンはピエール・ブール原作の『戦場にかける橋』やチェ・ゲバラを題材にした『ゲバラ!』の脚本も担当している。

原作との違い[編集]

原作では猿は独自の言語を用い、主人公がそれを習得して猿たちと意思疎通をするという展開であるが、映画では猿は初めから英語を話している (そしてそれが作品の結末への伏線になっている)。また、原作における猿は手足が6本ある。

原作では主人公たちが到着したのは、オリオン座の主星ベテルギウスとなっており、結末の場面で「地球もまた、猿の惑星となっていた」となるが、映画では人類が原始人並の知能しか持たず、逆に猿に似た類人猿が高い知能を持って文明を築いており、その謎が判明するのが作品の結末となっている。ちなみにベテルギウスは赤色超巨星であり、恒星としての寿命が短い上、大きさ・明るさも短期間で変動するなどの理由により、実際には地球生物の居住可能な惑星を従えている可能性はないとされる。また、地球からベテルギウスまでの距離は497光年と考えられている[5]

エピソード[編集]

  • 猿を演じる役者達に施された特殊メイクジョン・チェンバース)の技術は、当時のレベルでは飛び抜けて精巧なものだった。メイク担当のジョン・チェンバーズはアカデミー名誉賞を受賞したが、メイクアップ賞が設立されたのは10年以上経った1981年である。
  • 小説家・劇作家のウィリアム・サローヤンの甥は本作の製作に関わっており、猿の惑星が日本で上映された事を驚いたという。原作者のピエール・ブールは、フランス領インドシナで有色人種を使役していた農場の監督であり、戦時中に日本軍の捕虜となって、白人と有色人種の立場の逆転を経験し、それが原作小説である『猿の惑星』の執筆動機になっており、「人間を支配する猿=日本人」という暗喩が込められていたからであると言われていた。しかし、実際にブール本人がこの事について言及したことはなく、またブールは日本軍の捕虜になったことはなく、彼を捕虜にしたのはヴィシー政権下のフランス軍であり、日本人を猿に見立てて描かれたという説には証拠となるものが無い。
  • 猿の惑星の正体が判明する本作のラストシーン(米ソ冷戦の成れの果てをイメージしたと言われている)は非常によく知られており、2005年に20世紀フォックスホームエンターテイメントより発売された日本版DVDでは、最大級のネタバレであるにもかかわらず大々的にパッケージイラストに描かれている。

参考文献[編集]

  1. ^ Planet of the Apes”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2011年5月4日閲覧。
  2. ^ 品川四郎「吹替洋画新聞 第四号」、『宇宙船』Vol.112(2004年5月号)、朝日ソノラマ2004年5月1日、 112頁、 雑誌コード:01843-05。
  3. ^ テイラー大佐が猿に向かって言う『気狂い』『気違い猿』など
  4. ^ 20世紀FOXホームエンターテイメント”. 2015年1月1日閲覧。
  5. ^ 『理科年表 平成25年』 丸善 2012年刊

外部リンク[編集]