猪俣健

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

猪俣 健(いのまた たけし、1961年 - )は、日本考古学者マヤ研究者。

略歴[編集]

東京大学で考古学を学んだ。1983年から1985年まで青年海外協力隊事業としてホンジュラスコパン県ラ・エントラーダ (スペイン語版) の発掘事業に参加した[1]。1986年に卒業、1988年に東京大学修士の学位を取得した。その後は渡米してヴァンダービルト大学アーサー・デマレストのもとでグアテマラペテシュバトゥン地方、とくにアグアテカの発掘を行った。1995年にヴァンダービルト大学の博士の学位を取得した[2]

1995年にマイケル・D・コウの後任として[3]イェール大学の助教に就任した。2000年にアリゾナ大学に移り、2002年に准教授、2009年に教授に昇任した[2]

1996年から2005年まで国際的な考古調査団の団長としてアグアテカの考古学調査を行った。その後はセイバルを調査している[2][4]

アグアテカ中心部の発掘では、アグアテカが放火・破壊されたことが判明した。支配者層は取るものもとりあえず戦火を逃れて避難したために遺跡にはヒスイ、貝殻などの貴重品が散らばり、土器などがそのまま残されていた。古典期の都市の放棄がこれほど詳細にわたって記録されたのは初めてのことだった[5]

2013年に、セイバルの宗教施設が紀元前1000年にさかのぼることを発見し、大きく報道された。これによってマヤ文明がオルメカ文明より新しいとは言えなくなり、オルメカ文明からマヤ文明が発達したという説は再検討が必要になった[6][7]。この調査結果は、2013年に世界考古・上海論壇で「世界フィールド考古学の十大発見」(10项世界重大田野考古发现)に選ばれた[8]

主な著書[編集]

  • 『メソアメリカの考古学』同成社〈世界の考古学2〉、1997年。青山和夫と共著)
  • Royal Courts of the Ancient Maya. Westview Press. (2000-2001). (2冊、スティーブン・ハウストンと共編)
  • The Archaeology of Settlement Abandonment in Middle America. University of Utah Press. (2003). (Ronald Webb と共編)
  • Archaeology of Performance: Theaters of Power, Community, and Politics. Altamira Press. (2006). (Lawrence Coben と共編)
  • Warfare and the Fall of a Fortified Center: Archaeological Investigations at Aguateca. Vanderbilt University Press. (2007). 
  • 「アグアテカ遺跡」『マヤ文明: 密林に花開いた都市文明の興亡』伊藤和子、井上暁子、藤原隆雄訳、日経ナショナルジオグラフィック社、日経BP出版センター、2007年。
  • The Classic Maya. Cambridge University Press. (2009). (ハウストンと共著)
  • Burned Palaces and Elite Residences of Aguateca: Excavations and Ceramics. University of Utah Press. (2010). (Daniela Triadan と共編)
  • Mesoamerican Plazas: Arenas of Community and Power. University of Arizona Press. (2014). (塚本憲一郎と共編)
  • Life and Politics at the Royal Court of Aguateca: Artifacts, Analytical Data, and Synthesis. University of Utah Press. (2014). (Daniela Triadan と共編)

翻訳[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 青山和夫2カトゥン目のマヤ文明の研究」『古代アメリカ学会会報』第21巻、2007年、 1-4頁。
  2. ^ a b c (doc) Curriculum Vitae: Takeshi Inomata, School of Anthropology, the University of Arizona, https://anthropology.arizona.edu/sites/anthropology.arizona.edu/files/user-cvs/Inomata%20Current%20CV_0.doc 
  3. ^ 『マヤ文字解読辞典』の監修者あとがきによる
  4. ^ 市川(2014) p.55
  5. ^ サイモン・マーティン、ニコライ・グルーベ『古代マヤ歴代誌』中村誠一監修、長谷川悦夫徳江佐和子訳、創元社、2002年、96頁。ISBN 4422215175
  6. ^ Takeshi Inomata; Daniela Triadan; Kazuo Aoyama; Victor Castillo; Hitoshi Yonenobu (2013). “Early Ceremonial Constructions at Ceibal, Guatemala, and the Origins of Lowland Maya Civilization”. Science 340 (6131): 467-471. doi:10.1126/science.1234493. http://science.sciencemag.org/content/340/6131/467. 
  7. ^ 『マヤ文明の起源に迫る祭祀跡を発見』 ナショナルジオグラフィック日本版、2013年4月26日http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7890/ 
  8. ^ 危地马拉塞哇遗址的早期祭祀遗迹和玛雅文明起源(世界重大田野考古发现) 中国考古、2013年10月25日http://www.kaogu.cn/cn/xueshuhuodongzixun/2013nian_shijiekaogushangh/2013/1025/29919.html 

参考文献[編集]