特殊無線技士

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特殊無線技士
略称 特技
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 電気・通信
認定団体 郵政省(現総務省
根拠法令 電波法
特記事項 みなし規定により書換えは不要
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特殊無線技士(とくしゅむせんぎし)とは電波法令に規定する海上特殊無線技士航空特殊無線技士陸上特殊無線技士を総合した通称である。

引用の促音、拗音、送り仮名の表記は原文ママ

概要[編集]

1950年(昭和25年)の電波法制定時にアマチュア無線技士とともに無線従事者の一種別として新設された。 当時は、VHFUHFの利用が開始され、小規模で近距離用の通信機器が実用化され始めた時期であった。また、これらの機器は周波数変調パルス変調など従来は無かった技術を利用している。 そこで、

  • 無線通信士を必要とするほどではない通信操作ができること
  • 初歩的な技術知識をふまえた技術操作ができること

を想定して資格が設定された [1] ものである。 省令[2]により種別が規定され、改廃に電波法改正を要せず変遷が激しかった。 国家試験においても、他資格が一次試験と二次試験(後に予備試験と本試験)と二段階であったものが、一段階のみ[3]であった。

無線通信士や無線技術士(現陸上無線技術士)より下位資格であり、アマチュア無線技士の操作範囲も含まれず、国際通信、海上通信も重要なものは扱えないものとして制定された。 なお、余談であるが、制定当時は日本人による航空機の運行は禁止されており、航空通信はできなかった。 それでも当初はレーダーファクシミリなど当時としては特殊な無線設備は、無線通信士や第二級無線技術士では操作できず、特殊無線技士が必要とされた。 しかし、無線従事者制度が整備されるにつれ操作範囲も階層化され、通信操作は海上通信における一部の国際通信の操作または国内通信の操作に、技術操作は原則として小規模の無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものに限定されたものとなった。

1989年(平成元年)11月の電波法改正により、無線従事者の資格は海上、航空、陸上と利用分野別に再編 [4] され、法令上では分野を冠することになった。 翌1990年(平成2年)5月にこの改正法令が施行されたため、単なる「特殊無線技士」では通称にすぎなくなった。 本項目で扱うのは主にこの時点までとする。

「特殊無線技」と誤記されることがある。

種別と操作範囲[編集]

資格再編時[5]のものを掲げる。[6]

種別 操作範囲
レーダー レーダーの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
国際無線電話 1.次に掲げる無線設備の通信操作(国際電気通信業務の通信のための通信操作を除く。)及びこれらの無線設備(多重無線設備を除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
船舶安全法第4条(船舶安全法施行令第1条において準用する場合を含む。)の規定により無線電信又は無線電話を施設しなければならない船舶以外の船舶(漁船を除く。)及び漁船に施設する空中線電力50W以下の無線電話で1606.5kHzから4000kHzまでの周波数の電波を使用するもの
移動局の空中線電力50W以下の無線電話(航空機に施設する無線電話を除く。)で25000kHz以上の周波数の電波を使用するもの

2.前号に掲げる操作以外の操作で特殊無線技士(無線電話甲)の操作の範囲に属するもの

無線電話甲 移動局(航空機局を除く。)、陸上局航空局を除く。)及び固定局の無線設備(レーダーを除く。)で次に掲げるものの国内通信のための通信操作(モールス符号による通信操作を除く。)並びにこれらの無線設備(多重無線設備を除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
1.空中線電力10W以下の無線設備で1606.5kHzから4000kHzまでの周波数の電波を使用するもの
2.空中線電力50W以下の無線設備で25000kHz以上の周波数の電波を使用するもの
無線電話乙 特殊無線技士(無線電話甲)の操作の範囲に属する技術操作
無線電話丙 航空機(航空運送事業の用に供する航空機を除く。)に施設する無線設備及び航空局(航空交通管制の用に供するものを除く。)の無線設備で次に掲げるものの国内通信のための通信操作(モールス符号による通信操作を除く。)並びにこれらの無線設備(多重無線設備を除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
1.空中線電力50W以下の無線設備で25000kHz以上の周波数の電波を使用するもの(航空交通管制用トランスポンダを除く。)
2.航空交通管制用トランスポンダ
無線電話丁 船舶に施設する空中線電力5W以下の無線電話で25000kHz以上の周波数の電波(156MHzから157.45MHzまでの周波数のものを除く。)を使用するものの国内通信のための通信操作及びその無線電話(多重無線設備を除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
多重無線設備

1.空中線電力500W以下の多重無線設備(多重通信を行うことができる無線設備でテレビジヨンとして使用するものを含む。以下同じ。)で30MHz以上の周波数の電波を使用するものの技術操作
2.空中線電力500Wをこえる多重無線設備で30MHz以上の周波数の電波を使用するものの技術操作であつて第一級無線技術士の指揮の下に行なうもの
3.特殊無線技士(無線電話甲)の操作の範囲に属する技術操作

国内無線電信 陸上に開設する無線局(海岸局及び航空局を除く。)の無線電信の国内通信のための通信操作

歴史[編集]

できごと
1950年
(昭和25年)
6月 電波法施行時の資格と従事範囲は、「特殊無線技士 電波監理委員会規則で定める無線設備の操作」とあるだけであった。

電波法施行規則(以下、「施行規則」と略す。)制定時に

  • 特殊無線技士甲
  • 特殊無線技士乙

が制定された。 また、同時に制定された無線従事者国家試験及び免許規則(昭和58年に無線従事者規則と改称。以下、「従事者規則」と略す。)では、国家試験を

  • 特殊無線技士甲は、4月、8月、12月
  • 特殊無線技士乙は、随時

に実施するとされた。

8月 特殊無線技士甲の国家試験が実施された。[7]
11月 施行規則全部改正時に次のように新設・廃止された。

新設

  • 特殊無線技士(レーダー )
  • 特殊無線技士(超短波移動無線電話)
  • 特殊無線技士(超短波多重無線電話)
  • 特殊無線技士(簡易無線電話)
  • 特殊無線技士(有無線連絡装置)
  • 特殊無線技士(中短波固定無線電話)
  • 特殊無線技士(中短波移動無線電話)
  • 特殊無線技士(中短波固定無線電信)
  • 特殊無線技士(中短波移動無線電信)
  • 特殊無線技士(国際無線電信)
  • 特殊無線技士(国内無線電信)

が制定された。(以下、()内のみ記す。)

廃止(みなし規定無し。)

  • 特殊無線技士甲
    • 国家試験合格者は、超短波移動無線電話、超短波多重無線電話、簡易無線電話、中短波固定無線電話、中短波移動無線電話の合格者にみなされた。
  • 特殊無線技士乙

また、同時に全部改正された従事者規則では、国家試験は随時実施するとされた。

1951年
(昭和26年)
11月 次のように新設・改廃された。

新設

  • 超短波陸上無線電話
  • 超短波海上無線電話
  • 中短波陸上無線電話
  • 中短波海上無線電話
  • フアクシミリ
  • 国内無線電信乙

廃止(みなし規定無し。)

  • 超短波移動無線電話
  • 中短波固定無線電話
  • 中短波移動無線電話

改称

  • 国内無線電信 → 国内無線電信甲
1953年
(昭和28年)
11月 次のように改廃された。

廃止

  • 有無線連絡装置[8]

改称

  • 超短波多重無線電話 → 超短波多重無線装置
1955年
(昭和30年)
9月

超短波海上無線電話および中短波海上無線電話の免許証に「国際電気通信条約附属無線通信規則に規定する無線電話通信士制限証明書に該当する」旨の英訳文が付記されることとなった。

1957年
(昭和32年)
9月 次のように新設・改定された。

新設

  • 無線電話甲
  • 無線電話乙
  • 陸上無線電信
  • 国内無線電信

みなし

  • 超短波海上無線電話、中短波海上無線電話 → 無線電話甲
  • 中短波陸上無線電話 → 無線電話乙
  • 中短波固定無線電信、中短波移動無線電信 → 陸上無線電信
  • 国内無線電信甲、国内無線電信乙 → 国内無線電信

無線電話甲の免許証には「国際電気通信条約附属無線通信規則に規定する無線電話通信士制限証明書に該当する」旨の英訳文が付記されるものとされた。

1958年
(昭和33年)
11月 政令無線従事者操作範囲令が制定され、種別および操作範囲はこれによることとされた。

改称

  • 超短波多重無線装置 → 多重無線設備

みなし[9]

  • フアクシミリ → 無線電話乙[10]
  • 超短波多重無線装置 → 多重無線設備

みなし規定[9]の適用を受けるが、操作範囲は従前の例[11]によるとされた種別[12]

  • 簡易無線電話
  • 国際無線電信
  • 陸上無線電信

5日現在に有効な免許証は終身有効とされた。

1965年
(昭和40年)
9月 養成課程により取得できることとされた。
  • 養成課程は日本電波協会(後に日本無線協会に統合)が実施することとなった。
1971年
(昭和46年)
6月 無線電話丙が新設された。
12月 無線電話甲に交付される免許証から免許の内容の英語での付記が削除された。
1972年
(昭和47年)
5月 沖縄返還に伴い、沖縄の特殊無線技士[13]は、各々本土の次の資格とみなされた。
  • 特殊無線技士(レーダー ) → レーダー
  • 特殊無線技士(中短波海上無線電話) → 無線電話甲
  • 特殊無線技士(超短波移動無線電話) → 無線電話甲
  • 特殊無線技士(無線電話乙) → 無線電話乙
  • 特殊無線技士(超短波陸上無線電話) → 無線電話乙
  • 特殊無線技士(中短波固定無線電信) → 無線電話乙
  • 特殊無線技士(中短波陸上無線電話) → 無線電話乙
  • 特殊無線技士(多重無線設備) → 多重無線設備
  • 特殊無線技士(国内無線電信) → 国内無線電信
  • 特殊無線技士(国内無線電信甲) → 国内無線電信
  • 特殊無線技士(国内無線電信乙) → 国内無線電信

旧第三級無線技術士は無線電話甲の国家試験の無線工学が免除されることとなった。

1982年
(昭和57年)
7月 国際無線電話が新設された。
1984年
(昭和59年)
10月 無線電話丁が新設された。
1985年
(昭和60年)
1月 国家試験は、無線従事者国家試験センター(現日本無線協会)が実施することとなった。
1989年
(平成元年)
11月 電波法改正により無線従事者資格が海上、航空、陸上と利用分野別に再編されることとなった。
12月 無線従事者の操作の範囲等を定める政令が制定され、従前の種別は次のようにみなされることとなった。
  • レーダー → レーダー級海上特殊無線技士
  • 国際無線電話 → 第一級海上特殊無線技士および第二級陸上特殊無線技士
  • 無線電話甲 → 第二級海上特殊無線技士および第二級陸上特殊無線技士
  • 無線電話乙 → 第二級陸上特殊無線技士
  • 無線電話丙 → 航空特殊無線技士
  • 無線電話丁 → 第三級海上特殊無線技士
  • 多重無線設備 → 第一級陸上特殊無線技士
  • 国内無線電信 → 国内電信級陸上特殊無線技士
    • 新設の第三級陸上特殊無線技士にみなされる種別は無い。
    • 陸上特殊無線技士に電話の電気通信術は課されなくなった。

廃止[14]

  • 簡易無線電話
  • 国際無線電信
  • 陸上無線電信
1990年
(平成2年)
5月 改正電波法令が施行され、種別は前年に制定されたものによることとなった。

これ以後は、海上特殊無線技士航空特殊無線技士陸上特殊無線技士を参照。

種別の変遷[編集]

電波法施行規則および無線従事者操作範囲令に規定されていた時期毎に分割して図示して再掲する。

電波法施行規則制改定の施行日
1950年
(昭和25年)
6月30日[15]
1950年
(昭和25年)
11月30日[16]
1951年
(昭和26年)
12月11日[17]
1953年
(昭和28年)
11月25日[18]
1957年
(昭和32年)
9月28日[19]
1958年
(昭和33年)
11月5日[20]
  超短波多重無線電話 ――――――――→ 超短波多重無線装置 ――――――→ 多重無線設備
  超短波海上無線電話 ――――――――→ 無線電話甲―→ 無線電話甲
中短波海上無線電話 ――――――――→
超短波陸上無線電話 ――――――――→ 無線電話乙―→ 無線電話乙
中短波陸上無線電話 ――――――――→
フアクシミリ ――――――――→ フアクシミリ―→
レーダー ―――――――――――――――――――――――――→ レーダー
国内無線電信 国内無線電信甲 ――――――――→ 国内無線電信→ 国内無線電信
  国内無線電信乙 ――――――――→
簡易無線電話 ―――――――――――――――――――――――――→ 簡易無線電話
中短波固定無線電信 ―――――――――――――――――→ 陸上無線電信→ 陸上無線電信
中短波移動無線電信 ―――――――――――――――――→
国際無線電信 ―――――――――――――――――――――――――→ 国際無線電信
特殊無線技士甲→ 廃止
特殊無線技士乙→ 廃止
  超短波移動無線電話→ 廃止
中短波移動無線電話→ 廃止
中短波固定無線電話→ 廃止
有無線連絡装置 ――――――――→ 廃止
無線従事者操作範囲令制改定の施行日
1958年
(昭和33年)
11月5日[20]
1971年
(昭和46年)
6月1日[21]
1982年
(昭和57年)
7月13日[22]
1984年
(昭和59年)
10月1日[23]
1990年
(平成2年)
5月1日[24]
多重無線設備 ――――――――――――――――――→ 第一級陸上特殊無線技士
無線電話甲 ――――――――――――――――――→ 第二級海上特殊無線技士および第二級陸上特殊無線技士
無線電話乙 ――――――――――――――――――→ 第二級陸上特殊無線技士
  無線電話丙 ――――――――――――→ 航空特殊無線技士
  国際無線電話 ―――――→ 第一級海上特殊無線技士および第二級陸上特殊無線技士
  無線電話丁→ 第三級海上特殊無線技士
レーダー ――――――――――――――――――→ レーダー級海上特殊無線技士
国内無線電信 ――――――――――――――――――→ 国内電信級陸上特殊無線技士
簡易無線電話 ――――――――――――――――――→ 廃止
陸上無線電信 ――――――――――――――――――→ 廃止
国際無線電信 ――――――――――――――――――→ 廃止

取得者数[編集]

資格再編直前の平成元年度末現在のものを掲げる。

種別 取得者数(人)
レーダー 235,375
国際無線電話 10,092
無線電話甲 243,882
無線電話乙 730,107
無線電話丙 22,258
無線電話丁 43,580
多重無線設備 84,775
国内無線電信 10,350
簡易無線電話 295
陸上無線電信 635
国際無線電信 221
1,381,653
平成2年版通信白書による。

取得制度の変遷[編集]

試験方法及び科目

電気通信術は実地、その他は筆記によることとされていた。 なお、法規に国際法が含まれ、かつ英語(英会話)が科目とされたのは特殊無線技士(国際無線電話)のみであった。 また、無線工学(従前の相当する科目を含む。)の水準は中学校または高等学校卒業程度であったが、特殊無線技士(多重無線設備)(前身の種別を含む。)のみ他の種別より高く工業高等学校電気科または電気通信科卒業程度であり、 養成課程については改正前の無線従事者規則第13条第9項(現行の第21条第3項に相当)に規定されていた。

電気通信術

電気通信術の能力について、従事者規則に無線従事者操作範囲令制定以前に規定されたもの及び資格再編前の直近の改正時[25](特殊無線技士(国際無線電話)制定時)のものにより網羅する。

資格 種別
電信(欧文暗語) 電信(和文) 電話(和文)
国際無線電信 100字/分
送受各5分
85字/分
送受各5分
国内無線電信[26] 80字/分
送受各5分
75字/分
送受各5分
国内無線電信甲 75字/分
送受各5分
国内無線電信乙 75字/分
送受各5分
国内無線電信[27] 75字/分
送受各5分
無線電話甲 50字/分
送受各3分
資格 種別
電話(欧文) 電話(和文) 電信(和文)
国際無線電話 50字/分
送受各2分
50字/分
送受各2分
無線電話甲 50字/分
送受各2分
無線電話丙 50字/分
送受各2分
50字/分
送受各2分
国内無線電信 75字/分
送受各3分

国家試験の科目免除

科目合格による免除は、規定されていなかった。 他資格の所持者に対する免除については、種別の変遷に伴い対象が変化した。 従事者規則の主要な制改定の施行時のものを示す。

制定当初の科目免除は現有資格の国家試験合格月の月初から1年間であった。

1950年(昭和25年)6月30日[28]
現有資格 受験資格 免除科目
























[29]













































第二級無線通信士
第三級無線通信士
電話級無線通信士
無線技術士
第一級アマチユア無線技士
第二級アマチユア無線技士[29]
特殊無線技士甲
特殊無線技士乙以外
特殊無線技士乙
1951年(昭和26年)12月11日[30]
現有資格 受験資格 免除科目
特殊無線技士





|

|









































































第一級無線通信士
第二級無線通信士
第三級無線通信士
航空級無線通信士
電話級無線通信士
第二級無線技術士
1952年(昭和27年)11月5日施行[31]
現有資格 受験資格 免除科目
特殊無線技士





|

|









































































第一級無線通信士
第二級無線通信士
第三級無線通信士
航空級無線通信士
電話級無線通信士
第二級無線技術士
1958年(昭和33年)11月5日施行[32]
現有資格 受験資格 免除科目
特殊無線技士























第二級無線通信士
第一級アマチュア無線技士
第二級アマチュア無線技士

これ以後の科目免除は終身有効とされた。

1986年(昭和61年)7月1日施行[33]
現有資格 受験資格 免除科目














特殊無線技士


































第二級無線通信士
第三級無線通信士
航空級無線通信士
電話級無線通信士
無線技術士
第一級アマチュア無線技士
第二級アマチュア無線技士





国際無線電話
無線電話甲
無線電話乙
無線電話丙
多重無線設備
1990年(平成2年)5月1日施行[34]
現有資格 受験資格 免除科目





























































第二級総合無線通信士
第三級総合無線通信士
第四級海上無線通信士
陸上無線技術士
航空特殊無線技士

資格再編後は、アマチュア無線技士の特殊無線技士に、および特殊無線技士の他の特殊無線技士に対する科目免除は規定されていない。 この他、琉球政府の旧第三級無線技術士は特殊無線技士(無線電話甲)の無線工学が免除されていたが、資格再編後は第二級海上特殊無線技士の無線工学が免除される [35] こととなった。

養成課程の授業時間

無線従事者養成課程における科目毎に標準となる授業時間数について、資格再編時[33]のものを示す。

授業時間
資格 科目 講習時間数
レーダー 法規 6時間以上
無線工学 10時間以上
国際無線電話 電気通信術 4時間以上
法規 17時間以上
英語 30時間以上
無線工学 12時間以上
無線電話甲 電気通信術 2時間以上
法規 16時間以上
無線工学 12時間以上
無線電話乙 法規 12時間以上
無線工学 11時間以上
無線電話丙 電気通信術 4時間以上
法規 15時間以上
無線工学 10時間以上
無線電話丁 法規 6時間以上
無線工学 3時間以上
多重無線設備 法規 11時間以上
無線工学 60時間以上
国内無線電信 電気通信術 200時間以上
法規 11時間以上

注 地方電波監理局長又は地方電気通信監理局長(沖縄郵政管理事務所長を含む。)が認めた方法による場合は変更できた。

上述のとおり、特殊無線技士(多重無線設備)のみ学力制限があり、業務経歴や資格保有などもなければ、選抜試験の合格を要した。

経過措置[編集]

特殊無線技士は、免許証の書換えを必要としない。[36]

  • 改正電波法令の施行日以降でも国家試験合格の日又は養成課程修了の日から3ヶ月以内に免許申請したものであれば、特殊無線技士として免許された。[37]

特殊無線技士(多重無線設備)は、1993年(平成5年)4月まで第一級無線技術士の指揮の下、空中線電力500Wを超える多重無線設備の操作ができた。[38]

特殊無線技士(無線電話丙)・(無線電話丁)以外は、従前の操作範囲の操作並びに電波法第39条第2項に反しない限り操作の監督もできる。 [39]

  • 特殊無線技士(レーダー)は、すべてのレーダーの操作又はその監督ができる。レーダー級海上特殊無線技士は、海上無線航行用のレーダーしか操作又はその監督をできない。

免許証の再交付を受けた場合、資格の名称は現行のものとなるが、それによっても従前の操作範囲の操作を行える。

  • 特殊無線技士(国際無線電話)の免許証には免許内容の英文での付記が無い。ポートステートコントロールの際には不便であり、この対策としては再交付の申請をして第一級海上特殊無線技士の免許証を得る。なお特殊無線技士(国際無線電話)は第二級陸上特殊無線技士にもみなされるので、免許証には二つの種別が併記される。

操作範囲の拡大

  • 資格再編時
    • 特殊無線技士(無線電話丙)は、航空無線航行用のレーダーも操作範囲に含まれた。
    • 特殊無線技士(多重無線設備)・(国際無線電話)・(無線電話甲)・(無線電話乙)は、無線標定用(海上・航空無線航行用以外の)レーダーも操作範囲に含まれた。
    • 特殊無線技士(国際無線電話)・(無線電話甲)・(無線電話乙)は、人工衛星局により中継する陸上の多重無線設備も操作範囲に含まれた。
  • 資格再編後
    • 第一級・第二級・第三級海上特殊無線技士の操作範囲は、制定以後に拡大[40][41][42]された。これにより特殊無線技士(国際無線電話)・(無線電話甲)・(無線電話丁)も操作範囲が拡大されたことになる。海上特殊無線技士#変遷を参照。
    • 第三級陸上特殊無線技士の操作範囲が、制定以後に拡大[43]された。これに伴い第二級陸上特殊無線技士の操作範囲も拡大されたので、特殊無線技士(国際無線電話)・(無線電話甲)・(無線電話乙)も操作範囲が拡大されたことになる。陸上特殊無線技士#変遷を参照。

脚注[編集]

  1. ^ 衆議院会議録(第7回国会衆議院電気通信委員会第6号 昭和25年2月15日)
  2. ^ 但し、制定当初の2年間は総理府外局である電波監理委員会の規則であった。
  3. ^ 特殊無線技士甲を除く。
  4. ^ 無線従事者制度の改革 平成2年版通信白書 第1章平成元年通信の現況 第4節通信政策の動向 5電波利用の促進(4)(総務省情報通信統計データベース)
  5. ^ 昭和60年政令第31号による無線従事者操作範囲令改正(資格再編前の最終改正)
  6. ^ #歴史にあるとおり(簡易無線電話)・(陸上無線電信)・(国際無線電信)の三種別は、資格再編時まで制度上は存在していたが、操作範囲は割愛する。
  7. ^ 昭和25年7月27日無線従事者国家試験公告
  8. ^ 無線従事者を必要としないものとされた。
  9. ^ a b 昭和33年法律第140号電波法の一部を改正する法律附則第2項
  10. ^ 操作範囲に無線電話乙の範囲が含まれていたことによる。
  11. ^ 無線従事者操作範囲令附則第3項
  12. ^ 以後、国家試験は実施されず、養成課程の対象にもならず、事実上の廃止であった。
  13. ^ 他に(国際無線電信)があったが、本土の同名種別とは異なり主に印刷電信に従事するための資格で、電気通信術の試験はテープさん孔や符号判読だった。みなし規定無し。
  14. ^ 平成元年法律第67号電波法の一部を改正する法律附則第2条第1項により政令で定める資格の免許を受けたものとみなされたものの、これを受けた無線従事者の操作の範囲等を定める政令には規定されなかった。一方、従来操作範囲の根拠とされてきた無線従事者操作範囲令附則が同令全部改正により消滅したことから(全部改正により従前の附則が消滅することについて、林修三 『法令作成の常識(第2版)』 日本評論社1975年11月10日、111頁。ISBN 4-535-00406-4)、操作範囲の根拠がなくなった。ただし、通信白書の無線従事者の取得者数推移には平成9年版まで計上されていた。
  15. ^ 昭和25年電波監理委員会第3号制定
  16. ^ 昭和25年電波監理委員会規則第14号による施行規則全部改正
  17. ^ 昭和26年電波監理委員会第9号による施行規則改正
  18. ^ 昭和28年郵政省令第57号による施行規則改正
  19. ^ 昭和32年郵政省令第24号による施行規則改正
  20. ^ a b 昭和33年政令第306号無線従事者操作範囲令制定
  21. ^ 昭和46年政令第164号による無線従事者操作範囲令改正
  22. ^ 昭和57年政令第195号による無線従事者操作範囲令改正
  23. ^ 昭和59年政令第2号による無線従事者操作範囲令改正
  24. ^ 平成元年政令第325号無線従事者の操作範囲等を定める政令制定
  25. ^ 昭和57年郵政省令第40号による従事者規則改正
  26. ^ 昭和25年電波監理委員会規則第14号による施行規則全部改正時に制定
  27. ^ 昭和32年郵政省令第24号による施行規則改正時に制定
  28. ^ 昭和25年電波監理委員会規則第6号制定
  29. ^ a b 後に電話級アマチュア無線技士に、現行の第四級アマチュア無線技士にみなされる。通称旧2アマ。
  30. ^ 昭和26年電波監理委員会規則第10号による従事者規則改正
  31. ^ 昭和27年郵政省令第38号による従事者規則改正(航空級無線通信士制定時)
  32. ^ 昭和33年郵政省令第28号による従事者規則全部改正(無線従事者操作範囲令制定時)
  33. ^ a b 昭和61年郵政省令第30号による従事者規則改正(資格再編前の最終改正)
  34. ^ 平成2年郵政省令第18号による従事者規則全部改正(資格再編後)
  35. ^ 平成2年郵政省令第24号による沖縄の復帰に伴う郵政省関係法令の適用の特別措置等に関する省令改正
  36. ^ 平成元年法律第67号による電波法改正附則第2条第1項
  37. ^ 同上附則第2条第2項
  38. ^ 無線従事者の操作の範囲等を定める政令附則第4項
  39. ^ 政令電波法施行令附則第3条第2項に無線従事者の操作の範囲等を定める政令附則第5項はなお有効であるという形で規定されている。
  40. ^ 平成2年政令第216号による無線従事者の操作の範囲等を定める政令改正
  41. ^ 平成5年政令第381号による無線従事者の操作の範囲等を定める政令改正
  42. ^ 平成13年政令第245号による電波法施行令改正
  43. ^ 平成13年政令第422号による電波法施行令改正

関連項目[編集]

参考文献[編集]