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'''経営者'''(けいえいしゃ)は、組織の経営について責任持つ者。
'''経営者'''(けいえいしゃ)は、企業を[[経営]]([[マネジメント]])する役割担う人のこと<ref name="kotobank">ブリタニカ国際大百科事典、経営</ref>
狭義には最高経営責任者を指すが、広義には(実際には集団で意思決定したり、経営の仕事を分割して分担をしていることも多いので、経営集団のひとりとして)経営の役割を担当している人<ref name="kotobank" />。


== 概説 ==
* 経営の概念については、[[経営学]]を参照。
;種類
* 会社法上の規定については、[[代表取締役]]を参照。

* 労働法上の規定については、[[使用者]]を参照。
経営者には、所有経営者と、独立専門経営者がいる<ref name="kotobank" />。いわゆる「オーナー経営者」と「雇われ経営者」がいるのである。
* 会社組織における役職については、[[社長]]を参照。

* 個人事業主(自営業)については、[[個人事業主]]を参照。
*所有経営者とは、その企業を「所有」つまり、自身が主たる出資者で株式の過半数などを所有するなどして支配しており、なおかつ自身で経営(マネジメント)も行っている人である。
*独立専門経営者とは、「企業の所有と経営の分離」という現象・制度によって現れた存在であり、資本家(出資者や株主)が別におり(自身は基本的に出資をしておらず)、その資本家から委任される形で、自身が持っている経営管理の専門的知識や技術を活用して、企業を経営することを担当する人である。


;企業の成長段階と経営者に求められる仕事や人間的性質の変化

企業(事業)というのは、誕生してからどの段階にあるかによって、経営者が主に注力すべき仕事や、経営者に求められる人間像も変化してゆく。

一般に、経営や企業診断の教科書などでは、企業(事業)の成長には次のような段階がある、などと解説される。
*幼年期の段階
*成長期の段階
*成熟期の段階
*衰退期の段階

つまり、事業というのは、誰かが新規事業を思いついて[[起業]]([[スタートアップ]])する段階、(それがうまくいった場合に)次に成長させる段階(いわば青年期の段階)、(それがうまくいった場合には)成熟期の段階を迎えることができる。そして多くが、やがて衰退期を経験することになる(長年月にわたり継続する場合も、少ない割合ではあるが、ありはする。だが大多数は実際には衰退してゆく。)。それぞれの段階で、経営者がおこなうべき仕事、注力すべきこと、経営者に求められる人間的資質などが異なっている、と経営の教科書や[[中小企業診断士|企業診断士]]のための本などでは解説されている。

起業(スタートアップ)段階の仕事をうまく行える経営者が、必ずしも企業が大きくなってから、適切な経営をできるわけではない、といったことがマネジメントの教科書などには解説されている。逆に、資本家(大株主)から委任されて大企業で経営者の役割を担うと高い能力を発揮できる人が、自分で当たらしいビジネスを思いついて小さな会社をオーナーとして立ち上げ起業家としてうまく事業を成長させられるわけでもない、と解説されている。

起業(スタートアップ)段階の経営に求められるのは、強い思い入れ(情熱)、型にとらわれない発想、無秩序であることも苦にしない性質、全てを自分自身で確認し実行しようとしたがる性質(嫌がられても自分がさまざまなことに頭をつっこみ、自分で確認し、おせっかいを焼く性質)、人並みはずれた行動力、などである。
だが事業が成熟し組織の構成員の人数が大きく増えた後で求められるのは、反対に、冷静さや緻密さ、すでにある組織の秩序の尊重、経営の仕事を細かく分割し他の経営者(経営陣、取締役たち)に委譲し分業体制で組織を運営してゆくこと、などである。小さな規模のビジネスならば一人きりで抱え込んで仕事を進めることができる場合もあるが、ビジネスの規模が大きくなると、たとえどんなに能力があろうが気力があろうが、たったひとりの人間で全てを行うことはできなくなる。

そしてスタートアップの段階では、経営者は少人数の従業員との強い心理的な絆があればよく、多少非常識な人や多少品格に問題がある人でも従業員は赦してくれるが(たとえば家族・親族であるとか、幼馴染であるとか、同級生であるとかいった、特別な人間的つながりのおかげで、人間的欠陥があっても赦されてしまい問題も放置されてしまうが)、大組織の経営者ではそうはゆかず、大組織では、そうなるまでに求人を行い(家族・親族・幼馴染・同級生などでは一切ない、赤の他人を)雇用し、そういう従業員の割合のほうが圧倒的に増えてゆき、従業員ひとりひとりと経営者との個人的で特別なつながりは薄くなり、従業員を動機づけるのは主に雇用契約の内容や給与額や労働環境となるので、経営者には大組織で多人数の人々の上に立つのにふさわしい良識や品格も求められるようになってゆく。大組織の上部に良識を欠いたり品格に欠ける人間が経営者として居座っているだけで、従業員の多くが、そんな組織に身を置き、良識や品格の欠ける人間(経営者)とつながりを持ってしまっている自分自身に強い嫌悪を感じ、意欲を失い、しばしば仕事も嫌悪し、組織から離れていくという結果をうみがちである。だから大組織の経営者は、起業者、小組織の経営者のように単に仕事をバリバリとしさえすればそれでいいというものではなく、大組織にふさわしい人格や品格をも備えなければならなくなるわけである。
そして、しばしばそれが不可能なので、さんざん混乱を招いたあげく、別の経営者に経営をまかせなければならない事態に陥る。さもなくば、経営不振状態に陥ったり、あるいは運よく生き延びた場合でも、いわゆる「ブラック企業」のような企業になっていってしまうことが多いわけである。

== 関連用語 ==
* 最高経営責任者については[[代表取締役]]
* その他の経営責任者については[[取締役]]
* [[労働]]上の規定については、[[使用者]]


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[]]
* [[資本家]]
* [[プロ経営者]]
* [[サラリーマン経営者]]
* [[サラリーマン経営者]]
* [[プロ経営者]]
* [[マネジメント]]
* [[個人事]]


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[[Category:身分]]
[[Category:身分]]

2021年3月27日 (土) 16:52時点における版

経営者(けいえいしゃ)は、企業を経営マネジメント)する役割を担う人のこと[1]。 狭義には最高経営責任者を指すが、広義には(実際には集団で意思決定したり、経営の仕事を分割して分担をしていることも多いので、経営集団のひとりとして)経営の役割を担当している人[1]

概説

種類

経営者には、所有経営者と、独立専門経営者がいる[1]。いわゆる「オーナー経営者」と「雇われ経営者」がいるのである。

  • 所有経営者とは、その企業を「所有」つまり、自身が主たる出資者で株式の過半数などを所有するなどして支配しており、なおかつ自身で経営(マネジメント)も行っている人である。
  • 独立専門経営者とは、「企業の所有と経営の分離」という現象・制度によって現れた存在であり、資本家(出資者や株主)が別におり(自身は基本的に出資をしておらず)、その資本家から委任される形で、自身が持っている経営管理の専門的知識や技術を活用して、企業を経営することを担当する人である。


企業の成長段階と経営者に求められる仕事や人間的性質の変化

企業(事業)というのは、誕生してからどの段階にあるかによって、経営者が主に注力すべき仕事や、経営者に求められる人間像も変化してゆく。

一般に、経営や企業診断の教科書などでは、企業(事業)の成長には次のような段階がある、などと解説される。

  • 幼年期の段階
  • 成長期の段階
  • 成熟期の段階
  • 衰退期の段階

つまり、事業というのは、誰かが新規事業を思いついて起業スタートアップ)する段階、(それがうまくいった場合に)次に成長させる段階(いわば青年期の段階)、(それがうまくいった場合には)成熟期の段階を迎えることができる。そして多くが、やがて衰退期を経験することになる(長年月にわたり継続する場合も、少ない割合ではあるが、ありはする。だが大多数は実際には衰退してゆく。)。それぞれの段階で、経営者がおこなうべき仕事、注力すべきこと、経営者に求められる人間的資質などが異なっている、と経営の教科書や企業診断士のための本などでは解説されている。

起業(スタートアップ)段階の仕事をうまく行える経営者が、必ずしも企業が大きくなってから、適切な経営をできるわけではない、といったことがマネジメントの教科書などには解説されている。逆に、資本家(大株主)から委任されて大企業で経営者の役割を担うと高い能力を発揮できる人が、自分で当たらしいビジネスを思いついて小さな会社をオーナーとして立ち上げ起業家としてうまく事業を成長させられるわけでもない、と解説されている。

起業(スタートアップ)段階の経営に求められるのは、強い思い入れ(情熱)、型にとらわれない発想、無秩序であることも苦にしない性質、全てを自分自身で確認し実行しようとしたがる性質(嫌がられても自分がさまざまなことに頭をつっこみ、自分で確認し、おせっかいを焼く性質)、人並みはずれた行動力、などである。 だが事業が成熟し組織の構成員の人数が大きく増えた後で求められるのは、反対に、冷静さや緻密さ、すでにある組織の秩序の尊重、経営の仕事を細かく分割し他の経営者(経営陣、取締役たち)に委譲し分業体制で組織を運営してゆくこと、などである。小さな規模のビジネスならば一人きりで抱え込んで仕事を進めることができる場合もあるが、ビジネスの規模が大きくなると、たとえどんなに能力があろうが気力があろうが、たったひとりの人間で全てを行うことはできなくなる。

そしてスタートアップの段階では、経営者は少人数の従業員との強い心理的な絆があればよく、多少非常識な人や多少品格に問題がある人でも従業員は赦してくれるが(たとえば家族・親族であるとか、幼馴染であるとか、同級生であるとかいった、特別な人間的つながりのおかげで、人間的欠陥があっても赦されてしまい問題も放置されてしまうが)、大組織の経営者ではそうはゆかず、大組織では、そうなるまでに求人を行い(家族・親族・幼馴染・同級生などでは一切ない、赤の他人を)雇用し、そういう従業員の割合のほうが圧倒的に増えてゆき、従業員ひとりひとりと経営者との個人的で特別なつながりは薄くなり、従業員を動機づけるのは主に雇用契約の内容や給与額や労働環境となるので、経営者には大組織で多人数の人々の上に立つのにふさわしい良識や品格も求められるようになってゆく。大組織の上部に良識を欠いたり品格に欠ける人間が経営者として居座っているだけで、従業員の多くが、そんな組織に身を置き、良識や品格の欠ける人間(経営者)とつながりを持ってしまっている自分自身に強い嫌悪を感じ、意欲を失い、しばしば仕事も嫌悪し、組織から離れていくという結果をうみがちである。だから大組織の経営者は、起業者、小組織の経営者のように単に仕事をバリバリとしさえすればそれでいいというものではなく、大組織にふさわしい人格や品格をも備えなければならなくなるわけである。 そして、しばしばそれが不可能なので、さんざん混乱を招いたあげく、別の経営者に経営をまかせなければならない事態に陥る。さもなくば、経営不振状態に陥ったり、あるいは運よく生き延びた場合でも、いわゆる「ブラック企業」のような企業になっていってしまうことが多いわけである。

関連用語

関連項目

  1. ^ a b c ブリタニカ国際大百科事典、経営者