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=== 武装・装備 ===
=== 武装・装備 ===
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;クロー
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2018年9月20日 (木) 04:06時点における版

ビグ・ザム (BYG-ZAM) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人搭乗操縦式の機動兵器「モビルアーマー(MA)」の一つ。初出は、1979年に放映されたテレビアニメ機動戦士ガンダム』。

作中の軍事勢力の一つである「ジオン公国軍」の試作機。大型機が多いMAの中でも特に巨大で、円盤のような胴体に2本の脚部、強力な火器を多数備えた異形の機体。ジオン宇宙攻撃軍司令「ドズル・ザビ」とその部下たちが搭乗し、主人公「アムロ・レイ」が所属する地球連邦軍の前に立ちはだかる。

当記事では、各派生作品に登場するバリエーション機、および発展型についても記述する。

機体解説

諸元
ビグ・ザム
BYG-ZAM
型式番号 MA-08
所属 ジオン公国
建造 ソロモン
全高 59.6m[1]
頭頂高 不明[1]/80m[2]
本体重量 1,021.2t[1]
全備重量 1,936.0t[1]250t[2]
装甲材質 超硬スチール合金[3]
出力 140,000kW[1](35,000kW×4[4][5])(200,000馬力[6]
推力 580,000kg[1]
センサー
有効半径
134,000m[1]
最高速度 マッハ7[6]
武装 大型メガ粒子砲
メガ粒子砲×28[3]
クロー×6
105mmバルカン砲×2[3]
特殊装備 Iフィールドジェネレーター
搭乗者 ドズル・ザビ
マイヤー
ガルマ・ザビ(ギレンの野望)

ビグ・ザムは攻撃力重視のコンセプトを末端拡大化した産物であり、一年戦争において開発された戦術兵器では最大かつ最強と推察されている[7][注 1]。機体としては対要塞攻撃用[5]、要塞防衛用とされる[4]。メガ粒子砲やIフィールド発生器といった重武装を有するが、その一方で生産コストは1機でムサイ級二隻分と高騰。また、宇宙空間では冷却能力に課題が残り、最大稼動時間はわずか20分以下であった[5][注 2][注 3]

乗員はメインパイロット1人とサブオペレーター2人の3人。高度な操縦システムを有するため、コクピットの大きさは突撃艇並となっている[10][注 4][注 5]。また、脚部は歩行ユニットであるとともに質量移動による姿勢制御システムの一部であり、緊急時には切り離す事も可能である[4]

開発はア・バオア・クーで行われた。当初の計画では量産化および地上での運用が検討されており、ビグザム1機につきムサイ1隻で運搬、ジャブローへ向け降下させたあとの、中隊規模の部隊編成による要塞の瞬時発見・殲滅という運用が期待されていた。実機がロールアウトしたのは初号機のみとされている[10]。量産型では大気圏突入能力、ミノフスキーフライトによる大気圏飛行と10時間以上の戦闘継続能力を有していたであろうと想像されている[5]

武装・装備

大型メガ粒子砲
機体中央部に装備。「大型偏向メガ粒子砲」と記述した資料もみられる[5][4]。一撃で戦艦を撃沈可能[11][4]
メガ粒子砲
胴体部の全周に装備されており、MSの接近を阻む効果を持つ[4]
「対空用偏向型メガ粒子砲」と記述した資料もみられる[4]
105mmバルカン砲
2門装備される[3][1][注 6]
クロー
脚部に装備する射出式のクロー[10]。「対空防御用クローランチャー」と記述した資料もみられる[3]。アニメーション作品『機動戦士ガンダム 3 めぐりあい宇宙』劇中ではスレッガーの搭乗するコアブースターをこれで撃破した。
Iフィールドジェネレーター
資料によって「Iフィールド発生器」「Iフィールド発生システム」[5]、「磁気バリアー」[10][注 7]、「対ビームバリヤー」とも[12]記述される。
これによってピグ・ザムは中長距離からのビーム兵器を完全に無効化する[3]。一方でフィールド内からのビーム攻撃は防げないや実体弾兵器の攻撃に対しては高い防御力を持たない[3][注 8]
機動兵器としてはビグザムではじめて搭載された[13]

劇中での活躍

テレビアニメ『機動戦士ガンダム』第35、36話および劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』中盤に登場。地球連邦軍によるソロモン攻略戦で活躍する。

テレビ版第35話で、ジオン公国のギレン・ザビより援軍としてア・バオア・クーからソロモンに送られる[11]が、ザビ家三男でソロモン司令官でもあるドズル・ザビは、「戦いは数だ」と逆に憤慨する[注 9]。本機は分解された状態でパプア級補給艦に積載され、ソロモンに到着。ただちに要塞内部のファクトリーで再組み立てが行われるが、ソロモン戦の序盤には間にあわず出撃はしない。

テレビ版第36話では、起死回生の一撃としてドズルら4人(操縦1、火器管制1、航法1、機長(ドズル)1)が搭乗し、先陣を切って残存兵力を糾合して出撃するも、ソーラ・システム第二照射を受けて全艦隊の1/4に相当するソロモン残存艦隊を損失。急遽作戦変更してソロモンから撤退するジオン公国軍艦艇の時間稼ぎ役となる。要塞内部に侵入したジムボール部隊などの連邦軍ソロモン侵攻部隊を殲滅するが、過剰な火力を要塞内部で使うことは味方の損害が大きいために要塞から出撃。ビーム砲による長距離攻撃で連邦軍宇宙艦隊のマゼラン級サラミス級を多数撃沈する。その中には、ティアンム艦隊旗艦「タイタン」も含まれる。以上の戦果から、ドズルは「ビグ・ザムが量産の暁には連邦なぞあっという間に叩いてみせるわ」とうそぶくが、すでに資源、運用人材両面でジオンにはビグ・ザムを量産する余力など残っていないと考えられた。

圧倒的な性能で、連邦軍を返り討ちにするビグ・ザムだったが、Iフィールドジェネレーターによるバリアシステムはゼロレンジからのビーム攻撃を無効化できないという弱点を連邦軍パイロットスレッガー・ロウに見抜かれ、アムロ・レイの操縦するガンダムを乗せたGファイター(映画版ではコア・ブースター)に肉薄攻撃をしかけられる。迎撃によりスレッガー機は撃墜されるものの、分離したガンダムが至近距離からビーム・ライフルで攻撃。さらにビーム・サーベルで白兵戦を挑むという攻撃により撃破される。

小説版においてはソロモン工廠にてドズル主導の元で開発が行われたという設定であり、コレヒドール宙域に出撃したドズル艦隊の旗艦ガンドワに曳航されて出撃した。メガ粒子砲の数は16門とされ、Iフィールドは搭載されておらずビームライフルでダメージを負っている。ガンドワ艦隊に切り込んだアムロ隊を迎撃するべく出撃したが、ニュータイプとして覚醒したアムロ隊には歯が立たず、ジムにより片足を失うなど苦戦。その後特攻をかけたガンドワとの連携でジムを打ち落としたものの、直後にガンダムのビームライフルで撃破された。

漫画『THE ORIGIN』では、もともとドズルがジオンのMS開発を主導していたという設定になっており、本機も小説版同様ドズル自身の命により開発されている。スレッガーの特攻はビグ・ザムの足がコア・ブースター部分を握り潰し、その結果分離したコア・ファイターが特攻するかたちに変更されている。

劇場版Ζ機軸で描かれた漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では、ジオン残党軍の所有機体がカラバと協力してティターンズキリマンジャロ基地攻略作戦に参加する。少なくとも8機が確認されており、かんじきを装着している。これらの機体は一年戦争アナハイム・エレクトロニクス社に吸収された旧ジオン開発者たちの手によってキャリフォルニアベース周辺で密かに生産・完成されている。

バリエーション

ビグ・ザム(ザビ家仕様)

ギレンの野望』シリーズ(『ジオンの系譜』以降)に登場するゲームオリジナルの機体(型式番号:MS-08S)。

ビグ・ザムにミサイルランチャーを装備することで武装が強化され、ミノフスキー・クラフトによる陸上での行動範囲の拡大も行われているが、飛行できるわけではない。また、機体の各エッジ部分に装飾が施されている。ガルマ・ザビ率いる「新生ジオン」のシナリオに登場し、初期搭乗者はガルマ。

ビグ・ザム(連邦軍仕様)

漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』に登場。

一年戦争時にドズル・ザビが最期に搭乗し、破壊されたものを連邦軍が改修した機体。その目的はジオン残党に完全なる絶望を与えるためであるとされる。本来は宇宙世紀0083年の観艦式のフィナーレに披露する予定であったが、ラングガンダム試作2号機を搭載し観艦式中の連邦軍艦隊へ強襲をかけるアナベル・ガトーに対し、グリーン・ワイアット大将が出撃を命じる。ラングの発射したビームをIフィールドで防ぎ切り、続けての突撃を正面から二本足で受け止めるなど防御性能は未だ健在である。

ビグ・ザム(アクシズ仕様)

ガンダムトライエイジ』ビルドMS第1弾に登場するゲームオリジナルの機体(型式番号:MA-08A[14]

アクシズによって強化改造を施されたという想定であり [15]キュベレイに似たカラーリングが施されている。

ビグザム改

漫画『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』に登場(型式番号:MS-08-2)。

宇宙世紀0091年、「巨神」の発動を阻止するためにネオ・ジオン軍により2機が投入されるが、発動した巨神によりいずれも撃破される。うち1機にはシャークマウス(と眼)のノーズアートが描かれている。

量産型ビグ・ザム

ゲーム『SDガンダム GGENERATION』に登場(型式番号:MA-09)。

ビグ・ザムの改設計案で[16]、外観は大幅に変更されており、脚部は胴体側面から生えた形となっている。全周囲メガ粒子砲は廃され、胴体下部に卵型の大型メガ粒子砲ユニットが配されている。ジャブロー攻略のため陸上での運用に特化されており、宇宙での行動能力は持たない[17]。行動時間延長のためにIフィールドは撤廃され、代わりに耐ビーム・コーティングが施されており[17]、余剰スペースおよび出力はミノフスキー・クラフトに回されている[18]。しかし量産化の目途がついた頃には戦局が悪化しており[17]、開発は中断されるが[19]、「使用されなかった」として実機の完成を示唆する資料もある[20]

漫画『機動戦士ガンダム カタナ』では、宇宙世紀0084年に地球連邦軍の軍閥「シン・フェデラル」所属機として登場。基地防衛用やベレーノ・アバッキオ機がするが、いずれも撃墜される。

マレーネ・カーン搭乗モビルアーマー

漫画『機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ』に登場。名称は仮のもので作中には出て来ず、作者の虎哉孝征も連載終了直後のイベントで「未だに名前決まってないんですよね」と発言している[21]

外観および武装はビグ・ザムに似ているが関連性は不明。脚の代わりに1本の長大なユニットが付いており、連邦軍兵士からは「コウモリガサ」と呼ばれる。全周囲メガ粒子砲はビットになっており、エルメス同様無線でのオールレンジ攻撃が可能となっている。また大型メガ粒子砲には上下に開くカバーが付いている。塗装はライト・パープル。

ドズル・ザビ中将の死を遠くから感じニュータイプに覚醒したマレーネ・カーンが搭乗し、一年戦争終結直前にゼナおよびミネバ・ザビを乗せアクシズへ向かうグワジン級の守備隊と追撃する連邦軍艦隊の戦闘に乱入。敵味方構わず攻撃を仕掛け、ドズルを失った逆恨みでゼナとシン・マツナガ大尉を狙うが、マツナガの高機動型ザクIIのジャイアント・ウォーハンマーにより撃破される。

ドグザム

メカニックデザイン企画『MSV90』に登場。

ビグ・ザムの発展型として構想された機体。汎用性の向上を目指しており、上部に1対のアームを持つMSの上半身が追加されている。終戦により、設計段階で開発は中止される。

ビグ・ザウーラ

メカニックデザイン企画『MS90'S』に登場するモビル・クルーザー。

宇宙世紀0090年に旧ザビ家派のジオン軍残党がネオ・ジオンに対抗すべく開発していたもので、α・アジールナイチンゲールなどを仮想敵としている。ムサイによって牽引されるというビグ・ザムの運用思想を可変MA的なものへと発展させており、ムサイに類似した艦型のクルーズ・モードへの変形機能を有する。主武装は超大型メガ粒子砲3門で、そのエネルギーはムサイのものを転用した大型ジェネレーターによって賄われる。艦艇として扱われていたようで、1番艦の艦名は「ソロモン」。

グランザム

ゲーム『機動戦士ガンダム フォーミュラー戦記0122 公式ガイドブック』が初出で、ゲーム『機動戦士ガンダム フォーミュラー戦記0122』では没となり登場しない(型式番号:OMAX-01)。

オールズ・モビル軍がビグ・ザムをベースに陸上用に再設計した超大型MA。シャルル専用の機体になるはずだったが開発が遅れ、実戦配備されていない。ビグ・ザムの胴体部に巨大なホバーユニットを接続したような形状となっている。

脚注

注釈

  1. ^ 小規模の宇宙艦隊に匹敵する火力を有するともされる[8][9]
  2. ^ すべてのメガ粒子砲を稼働させるために大型反応炉を全開稼働させる都合上、燃料を消費するため15分前後とした資料も存在する[10]
  3. ^ 冷却能力の問題に加え、多数装備したメガ粒子砲を運用するため、メガコンデンサに充填する必要性があるために稼働時間は20分以下とした資料もみられる[4]
  4. ^ 一方で、ビグザムは操縦手、射撃手、索敵手の3名で操縦し、コンピュータの補佐により1名でも操縦可能とした資料もみられる[4]
  5. ^ テレビ版第36話においてはドズルは部下を脱出させ、1人でビグ・ザムを操縦し、敵艦隊に特攻した。
  6. ^ 資料によっては22門ともされる[9]
  7. ^ 劇中では「磁界」「磁気バリア」と表現されるのみ。
  8. ^ 通常兵器には効果がないとした資料もみられる[10]
  9. ^ ドズルはリック・ドム10機の方がよいと怒るが、彼はシャアを重用するキシリアへの対抗意識からソロモン戦直前にコンスコン機動部隊をホワイトベース戦に投入。巡洋艦4隻とリック・ドム18機を失っている。

出典

  1. ^ a b c d e f g h 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、58-59頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  2. ^ a b 『テレビマガジン』1981年3月号付録『機動戦士ガンダム大事典』下巻(講談社)
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関連項目