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'''UNIV国際大学生会議'''([[英語]]:'''UNIV Forum'''または'''UNIV Congress''')とは、[[1968]]に[[オプス・デイ]]創立者である聖[[ホセマリア・エスクリバー]](1902-1975年)の後押しによって始まった大学生大規模交流イベントである。2018年現在まで、参加者は10万人以上である。
'''UNIV国際大学生会議'''([[英語]]:'''UNIV Forum'''または'''UNIV Congress''')とは、ローマで行われる大学生の大規模国際交流イベントである。カトリック教会の組織の一つである[[オプス・デイ]]属人区を創立した聖[[ホセマリア・エスクリバー]](1902-1975年)の後押しによって[[1968年]]に始まったのである。2018年現在まで、参加者は10万人以上であり、日本からも1970年代より毎年十数名の男女学生が参加している。


== 目的 ==
== 目的 ==
 世界の150校以上の大学から約3千人の学生が[[ローマ]]に集い、西洋文化・歴史・美術などに触れながら、現代社会における大学の役割や教育システムを考えて語り合うことがUNIVの目的である。また、UNIV は[[聖週間]]と呼ばれる[[キリスト教]]暦で最も重要な期間と重なるため、[[ローマ教皇]]との謁見やミサ、そして[[復活祭]](イースター)の諸行事に参加することができる。参加対象は男女高校生から青年社会人までであり、宗教や国籍は問わない。
 世界の150校以上の大学から約3千人の学生が[[ローマ]]に集い、西洋文化・歴史・美術などに触れながら、現代社会における大学の役割や教育システムを考えて語り合うことがUNIVの目的である。また、UNIV は[[聖週間]]と呼ばれる[[キリスト教]]暦で最も重要な期間と重なるため、参加者は[[ローマ教皇]]との謁見や[[ミサ]]、そして[[復活祭]](イースター)の諸行事に参加することができる。参加対象は男女高校生から青年社会人までであり、宗教や国籍は問わない。また、[[ローマ]]の様々な歴史遺産や美術作品を通して、[[西洋史]]や[[キリスト教の歴史]]に触れることができる


 UNIVという名には、「[[大学]](university)」という意味だけではなく、「[[普遍性]](universality)」という意味も込められている。広い心と普遍的な精神を身につけた人々にこそ、社会に貢献するという挑戦の機会を与えることを目指しているイベントである。日本語の正式名称は「'''UNIV国際大学生会議'''」。
 UNIVという名には、「[[大学]](university)」という意味だけではなく、「[[普遍性]](universality)」という意味も込められている。広い心と普遍的な精神を身につけた人々にこそ、社会に貢献するという挑戦の機会を与えることを目指しているイベントである。英語名は、男子学生向けの集いが「UNIV Forum」、女子学生向けのイベントが「UNIV Congress」であるが、日本語の正式名称はいずれも「'''UNIV国際大学生会議'''」となっている


 2018年春に、UNIVの50周年に祭して、[[フランシスコ (ローマ教皇)|教皇フランシスコ]]がUNIVの若者たちに宛てた手紙にはUNIVの目的が要約されている:「神と[[教会]]と[[教皇]]への愛に動かされて再び皆さんは永遠の都にやって来られました。こうして、多様な文化と経験を持ちながらも、幸福と充実と寛大な献身への同じ望みに動かされている他の若者たちと共に、[[聖週間]]中に[[キリスト]]と出会い、信仰と皆さんの志を成熟させるための絶好のチャンスが与えられます」<ref>{{Cite news|title=教皇フランシスコからUNIVに参加する若者たちへの手紙|url=http://opusdei.org/ja-jp/article/francisco-wakamono-univ/|accessdate=2018-04-07|language=ja}}</ref>。
 2018年春に、UNIVの50周年に祭して、[[フランシスコ (ローマ教皇)|教皇フランシスコ]]がUNIVの若者たちに宛てた手紙にはUNIVの目的が要約されている:「神と[[教会]]と[[教皇]]への愛に動かされて再び皆さんは永遠の都にやって来られました。こうして、多様な文化と経験を持ちながらも、幸福と充実と寛大な献身への同じ望みに動かされている他の若者たちと共に、[[聖週間]]中に[[キリスト]]と出会い、信仰と皆さんの志を成熟させるための絶好のチャンスが与えられます」<ref>{{Cite news|title=教皇フランシスコからUNIVに参加する若者たちへの手紙|url=http://opusdei.org/ja-jp/article/francisco-wakamono-univ/|accessdate=2018-04-07|language=ja}}</ref>。ローマ[[教皇]]は毎年UNIVを代表する数名の学生に一対一でお会いしている


== 発足 ==
== イベント発足 ==
 聖[[ホセマリア・エスクリバー|ホセマリア]]は、自らの信仰を深めると同時に、異文化から学べる普遍的(ギリシア語では「 καθολικός/katolikos/カトリック」は「普遍的」という意)な心を培うために、全てのキリスト者が「videre petrum」([[ラテン語|羅語]]:ペトロ[=[[教皇]]]に会うために)ローマで[[聖週間]]を過ごすことを多くの若者に勧めたのである。
 聖[[ホセマリア・エスクリバー|ホセマリア]]は、自らの信仰を深めると同時に、異文化から学べる普遍的(ギリシア語では「 καθολικός/katolikos/カトリック」は「普遍的」という意)な心を培うために、全てのキリスト者が「videre petrum」([[ラテン語|羅語]]:ペトロ[=[[教皇]]]に会うために)ローマで[[聖週間]]を過ごすことを多くの若者に勧めたのである。


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== 開催地 ==
== 開催地 ==
 開催地は毎年[[ローマ]]であり、会場は[[教皇庁立聖十字架大学]]([[イタリア語]]:''Pontificia Università della Santa Croce'')のメインキャンパスである。
 開催地は毎年[[イタリア]]の首都[[ローマ]]であり、会場は[[ナヴォーナ広場]]近くにある[[教皇庁立聖十字架大学]]([[イタリア語]]:''Pontificia Università della Santa Croce'')のメインキャンパス(Piazza di Sant'Apollinare, 49)である。


== UNIV Forumの参加形式 ==
== テーマ一覧 ==
 聖週間の宗教的行事の他に、一日のアカデミック・イベントがある。それはUNIV Forumと呼ばれるものであり、文系理系を問わず、学生たちがそれぞれの勉強を活かして自分の分野の観点からその年のテーマに沿って研究プロジェクトを行う。この研究プロジェクトによって、研究の仕方を学びながら、複数の学問分野(=[[学際]])から現代社会を考えることができる。当日、学生たちが審査員の前で母国で行われた研究プロジェクトを発表する。


 現在、以下の6つの部門がある(テーマは以下の「各年のテーマ一覧」を参照)。
* 2018年:Rethinking the Future

* 2017年:A World in Movement
* 口頭発表部門(ポスター式)
* 2016年:The Family Impact
* 小論文部門(エッセイ式)
* 2015年:Friendship: model for a New Citizenship
* 動画部門
* 2014年:''Cosmos,'' The Ecology of the Person and his environment
* 社会福祉部門
* 美術部門(音楽、絵画、文学など)
* ビジネス・ケース・コンペティション部門

== 各年のテーマ一覧 ==

* [[2018年]]:Rethinking the Future
* [[2017年]]:[http://univforum.org/en/archive/univ-forum-2017-world-movement A World in Movement]
* [[2016年]]:[http://univforum.org/en/archive/univ-forum-2016-family-impact The Family Impact]
* [[2015年]]:[http://univforum.org/en/archive/friendship-model-new-citizenship-univ-forum-2015 Friendship: model for a New Citizenship]
* [[2014年]][http://univforum.org/en/archive/univ-2014-cosmos-ecology-person-and-his-environment ''Cosmos,'' The Ecology of the Person and his environment]
* 2013年:Reality Check: Discovering Human Identity in a Digital World
* 2013年:Reality Check: Discovering Human Identity in a Digital World
* 2012年:''Pulchrum'': The Power of Beauty
* 2012年:''Pulchrum'': The Power of Beauty
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* [[教皇]]
* [[教皇]]
* [[聖週間]]
* [[聖週間]]
* [[イースター]]
* [[復活祭|復活祭(イースター]]
* [[オプス・デイ]]
* [[オプス・デイ]]
* [[ホセマリア・エスクリバー|聖ホセマリア・エスクリバー]]
* [[ホセマリア・エスクリバー|聖ホセマリア・エスクリバー]]
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* (女子学生向け)[http://www.univcongress.info/en UNIV Congress]
* (女子学生向け)[http://www.univcongress.info/en UNIV Congress]
* (女子学生向け)[http://www.incontroromano.it Incontro Romano]
* (女子学生向け)[http://www.incontroromano.it Incontro Romano]
*  [http://opusdei.org/ja-jp/article/univ-roma-2018/ 2018年の写真集]


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2018年4月7日 (土) 16:01時点における版

UNIV国際大学生会議英語UNIV ForumまたはUNIV Congress)とは、毎年ローマで行われる大学生の大規模国際交流イベントである。カトリック教会の組織の一つであるオプス・デイ属人区を創立した聖ホセマリア・エスクリバー(1902-1975年)の後押しによって1968年に始まったのである。2018年現在まで、参加者は10万人以上であり、日本からも1970年代より毎年十数名の男女学生が参加している。

目的

 世界の150校以上の大学から約3千人の学生がローマに集い、西洋文化・歴史・美術などに触れながら、現代社会における大学の役割や教育システムを考えて語り合うことがUNIVの目的である。また、UNIV は聖週間と呼ばれるキリスト教暦で最も重要な期間と重なるため、参加者はローマ教皇との謁見やミサ、そして復活祭(イースター)の諸行事に参加することができる。参加対象は男女高校生から青年社会人までであり、宗教や国籍は問わない。また、ローマの様々な歴史遺産や美術作品を通して、西洋史キリスト教の歴史に触れることができる。

 UNIVという名には、「大学(university)」という意味だけではなく、「普遍性(universality)」という意味も込められている。広い心と普遍的な精神を身につけた人々にこそ、社会に貢献するという挑戦の機会を与えることを目指しているイベントである。英語名は、男子学生向けの集いが「UNIV Forum」、女子学生向けのイベントが「UNIV Congress」であるが、日本語の正式名称はいずれも「UNIV国際大学生会議」となっている。

 2018年春に、UNIVの50周年に祭して、教皇フランシスコがUNIVの若者たちに宛てた手紙にはUNIVの目的が要約されている:「神と教会教皇への愛に動かされて再び皆さんは永遠の都にやって来られました。こうして、多様な文化と経験を持ちながらも、幸福と充実と寛大な献身への同じ望みに動かされている他の若者たちと共に、聖週間中にキリストと出会い、信仰と皆さんの志を成熟させるための絶好のチャンスが与えられます」[1]。ローマ教皇は毎年UNIVを代表する数名の学生に一対一でお会いしている。

イベント発足

 聖ホセマリアは、自らの信仰を深めると同時に、異文化から学べる普遍的(ギリシア語では「 καθολικός/katolikos/カトリック」は「普遍的」という意)な心を培うために、全てのキリスト者が「videre petrum」(羅語:ペトロ[=教皇]に会うために)ローマで聖週間を過ごすことを多くの若者に勧めたのである。

 また1960年代は、世界中の学生が社会変革を目的とし、現代社会に対する批判・懐疑を公に見せ始め、学生の力が世界的な高揚を見せた時期である。しかし、社会問題を解決するためには、暴力より、相互理解やダイアログが本物の発展や平和への第一歩であるため、UNIVは多数の国・文化から集う学生たちの意見交換の場として始まったのである[2]

開催日程

 開催期間は毎年の聖週間と重なり、枝の主日の前日(土曜日)から復活の主日(日曜日)までの9日間である。なお、カトリック教会の復活祭は年によって日付が変わる移動祝日であるが、「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」が基準であるため、復活祭(UNIVの最終日)は3月22日から4月25日の間に当たる。

開催地

 開催地は毎年イタリアの首都ローマであり、会場はナヴォーナ広場近くにある教皇庁立聖十字架大学イタリア語Pontificia Università della Santa Croce)のメインキャンパス(Piazza di Sant'Apollinare, 49)である。

UNIV Forumの参加形式

 聖週間の宗教的行事の他に、一日のアカデミック・イベントがある。それはUNIV Forumと呼ばれるものであり、文系理系を問わず、学生たちがそれぞれの勉強を活かして自分の分野の観点からその年のテーマに沿って研究プロジェクトを行う。この研究プロジェクトによって、研究の仕方を学びながら、複数の学問分野(=学際)から現代社会を考えることができる。当日、学生たちが審査員の前で母国で行われた研究プロジェクトを発表する。

 現在、以下の6つの部門がある(テーマは以下の「各年のテーマ一覧」を参照)。

  • 口頭発表部門(ポスター式)
  • 小論文部門(エッセイ式)
  • 動画部門
  • 社会福祉部門
  • 美術部門(音楽、絵画、文学など)
  • ビジネス・ケース・コンペティション部門

各年のテーマ一覧

  • 2018年:Rethinking the Future
  • 2017年A World in Movement
  • 2016年The Family Impact
  • 2015年Friendship: model for a New Citizenship
  • 2014年Cosmos, The Ecology of the Person and his environment
  • 2013年:Reality Check: Discovering Human Identity in a Digital World
  • 2012年:Pulchrum: The Power of Beauty
  • 2011年:Living Freedom Decisively
  • 2010年:Can Christianity Inspire a Global Culture?
  • 2009年:Universitas, Knowledge without limits
  • 2008年:Being, Appearing, and Communicating: Entertainment and Happiness in a Multi-Medial Society
  • 2007年:Being, Appearing and Communicating: Lifestyles and Role Models in Film and Television
  • 2006年:Projecting Culture: The Language of the Media
  • 2005年:Projecting Culture: The Language of Music
  • 2004年:Projecting Culture: The Language of Advertising
  • 2003年:Constructing Peace in the 21st Century
  • 2002年:Study, Work, Service
  • 2001年:The Human Face in a Global World
  • 2000年:The Image of Man 2000 Years On
  • 1999年:Solidarity and Citizenship: Challenges for the University of the New Century
  • 1998年:Human Progress and Human Rights
  • 1997年:Multi-Cultural Society: Competition and Cooperation
  • 1996年:Communication: learning to live
  • 1995年:Work: Inventing the Future
  • 1994年:Family and Development
  • 1993年:Suffering and happiness
  • 1992年:A Possible Peace, A Challenge for the University
  • 1991年:The Discovery of a New World
  • 1990年:Creativity in the 90's
  • 1989年:Revolution, Dignity, Solidarity
  • 1988年:Dignity and Progress
  • 1987年:Global civilization and human culture
  • 1986年:The Cultural Foundations of a Project for Peace
  • 1985年:Today’s Youth and the Society of the Future
  • 1984年:The social value of professional work
  • 1983年:Study as Work
  • 1982年:Quality in Study, Quality in Life
  • 1981年:Science and sense of man
  • 1980年:The End of Man and the Future of the University
  • 1979年:Towards a Humane City
  • 1978年:Man in urban culture
  • 1977年:The Foundation of the Future
  • 1976年:In Spite of Everything, Europeans
  • 1975年:Cultural limits of the technological civilization
  • 1974年:Ideologies and Culture in the European University
  • 1973年:Conformity or Creativity: A Dilema for the University
  • 1972年:Responsibility for the university in a society in crisis
  • 1971年:Student-Professor Relations in European Universities
  • 1970年:The Democratization of the University
  • 1969年:Self-government of the university
  • 1968年:University Autonomy and Society

関連項目

外部リンク

脚注

  1. ^ 教皇フランシスコからUNIVに参加する若者たちへの手紙」『』。2018年4月7日閲覧。
  2. ^ History | Univforum” (英語). univforum.org. 2018年4月7日閲覧。