「地域力」の版間の差分

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2006年4月30日 (日) 02:26時点における版

地域力(ちいきりょく)とは、地域社会の問題について市民や企業をはじめとした地域の構成員が、自らその問題の所在を認識し、自律的かつ、その他の主体との協働を図りながら、地域問題の解決や地域としての価値を創造していくための力のことをいう。

地域力の概念

地域力とは、そもそも阪神淡路大震災の発生に伴い生まれた概念である。突如、関西地域を襲った同震災の発生に際しては、35000人も被災者が生じたが、救出に行政のみによる救助活動では間に合わず、被災者のうちの27000人は市民自身の手で救助された実態を踏まえて、災害や地域の問題に対して、行政のみならず、市民をはじめとした地域の力が必要であるという意識が行政、市民双方に生まれることとなった。 その時に、「市民が居住地で抱える生活問題に対して共同で解決していく力」を意味するものとして地域力という概念が生まれることとなったのである。

この地域力という概念が地域社会の問題解決に必要な概念として浮上した背景には、阪神淡路大震災の発生に起因していることは前述の通りであるが、実は現代社会の醸成の変化や市民ニーズの多様化により、防災のみならず防犯や福祉、教育など多様な分野で行政単独では地域の問題解決は不可能であるという認識が、多くの市町村或いは市民の側に認識されつつあることが指摘される。 例えば、近年の少子高齢化の進展は身寄りのない独居老人の孤独死が増加している状況に際して、中々行政単独では実態を把握しづらいという指摘もある他、地域社会における市民間の日常的なコミュニケーションが活発ではない地域においては、犯罪率が高いなどの問題も指摘されている。さらに、高度経済成長期以降、核家族世帯が増加し、小さな子供を育てるにあたり、中々地域として子育てをフォローする環境がないために、子育てに苦悩する若い夫婦がいることも指摘される。このような、様々な地域課題に対して、地域力の向上が期待されるようになってきたのである。

今日、地域力という概念は国や都道府県、市町村、研究者により様々な定義づけがなされ、例えば大分県知事平松守彦などは、「地域の潜在力」と定義している他、神戸市では、「市民としが互いの役割を尊重し、協力して課題解決を図る力」と定義している。 また、岐阜市では、「地域力を地域の魅力、安心・安全な環境、市民の公共マナーやまちづくりへの意識をかもし出し、築き上げることで培われる力」と定義している。また、北海道では、北海道庁による地域力の研究が盛んであり、『地域』における信頼関係や互酬靖の規範を持つ多様な住民や組織のネットワークが、地域の公共的、社会的課題に気づき、各主体が自律的に、もしくは協働しながら、地域課題を解説したり、地域の価値を創出する力」と定義している。 特にこの地域力の概念は、それぞれ地域力を発揮する分野に対して、地域防災力、地域防犯力、地域教育力、地域子育て力などともいわれることもある。

関連項目