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== キャッチ・コピー/ポスター宣伝文 == |
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* 「こんどのボンドは危険なくらい野生的。」 |
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* 「危険を生きるニュー・ジェームズ・ボンド」 |
* 「危険を生きるニュー・ジェームズ・ボンド」 |
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** 座った人間を中に閉じ込めてしまうソファ。 |
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* [[ワルサーWA2000]]。ブラチスラヴァでソーンダースがボンドのために用意した狙撃銃。レーザー照準器付き。 |
* [[ワルサーWA2000]]。ブラチスラヴァでソーンダースがボンドのために用意した狙撃銃。レーザー照準器付き。 |
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* ボンドの愛用銃は[[ワルサーPPK]]であるが、この作品と『[[007 消されたライセンス|消されたライセンス]]』では、ワルサーPPKの米国輸出用であるワルサーPPK/Sが使用された。本作の劇中にはウィティカーが「8発、撃ち終わりだ」という |
* ボンドの愛用銃は[[ワルサーPPK]]であるが、この作品と『[[007 消されたライセンス|消されたライセンス]]』では、ワルサーPPKの米国輸出用であるワルサーPPK/Sが使用された。本作の劇中にはウィティカーが「8発、撃ち終わりだ」というセリフが登場するが、関係性はないと思われる(7.65mmのワルサーPPKは.32ACP弾を使用する。この弾の場合マガジン装弾数は7発だが、チェンバーに弾丸が入っている場合、8発撃てる。また、銃のアップのシーンではワルサーPPKが使われている為である)。 |
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* 以下のコスコフが東側に脱出する手段を手配・監督するために、Qがオーストリアまで出向いている。 |
* 以下のコスコフが東側に脱出する手段を手配・監督するために、Qがオーストリアまで出向いている。 |
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** [[脱出ポッド]]。トランス・シベリアン・パイプライン(ロシアが西側へ供給している天然ガスのパイプライン)の中を通って国境を突破。 |
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* ボンドはホテルに着くと、例によってシェークしステアしない[[ウォッカ・マティーニ]]を注文する。 |
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* カーラはこのホテルで[[カルティエ]]のショップに入る。 |
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* ボンドがウィーンでソーンダースとの待ち合わせ場所にしたのは、[[プラーター公園]]の遊園地。映画『[[第三の男]]』で登場した大観覧車のある遊園地としても有名。本作の監督ジョン・グレンは『第三の男』で音声編集助手を務めていた。 |
* ボンドがウィーンでソーンダースとの待ち合わせ場所にしたのは、[[プラーター公園]]の遊園地。映画『[[第三の男]]』で登場した大観覧車のある遊園地としても有名。本作の監督ジョン・グレンは『第三の男』で音声編集助手を務めていた。同作で[[キャロル・リード]]監督の助監督を務めていたのが『[[007 ゴールドフィンガー|ゴールドフィンガー]]』から4作を監督した[[ガイ・ハミルトン]]である。 |
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* タンジールのウィティカーの邸宅は、当時[[フォーブス (雑誌)|フォーブス]]誌の発行人だった[[マルコム・フォーブス]]の邸宅。10万体以上に及ぶ兵士のミニチュアが蒐集されており、劇中でもウィティカの趣味として取り入れられた。現在は、フォーブス博物館となって公開されている。 |
* タンジールのウィティカーの邸宅は、当時[[フォーブス (雑誌)|フォーブス]]誌の発行人だった[[マルコム・フォーブス]]の邸宅。10万体以上に及ぶ兵士のミニチュアが蒐集されており、劇中でもウィティカの趣味として取り入れられた。現在は、フォーブス博物館となって公開されている。 |
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* [[アフガニスタン]]のシーンは、ソ連侵攻下で現地ロケはできず、主としてモロッコのウアルザザテ(Ouarzazate)にあるアトラス・スタジオとその周辺で撮影された。 |
* [[アフガニスタン]]のシーンは、ソ連侵攻下で現地ロケはできず、主としてモロッコのウアルザザテ(Ouarzazate)にあるアトラス・スタジオとその周辺で撮影された。 |
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* アフガニスタンでボンドに協力する[[ムジャーヒディーン]]は、当時ソ連のアフガニスタン侵攻に対する抵抗活動を行っており、アメリカが支援を行っていた。本作の翌年公開された『[[ランボー3/怒りのアフガン]]』にも登場する。しかし、皮肉にもソ連軍撤退後はムジャーヒディーン同士の対立から内戦となり、[[ターリバーン|タリバン]]の台頭を招くことになる。<br />[[2006年]][[12月17日]]の[[日曜洋画劇場]]では |
* アフガニスタンでボンドに協力する[[ムジャーヒディーン]]は、当時ソ連のアフガニスタン侵攻に対する抵抗活動を行っており、アメリカが支援を行っていた。本作の翌年公開された『[[ランボー3/怒りのアフガン]]』にも登場する。しかし、皮肉にもソ連軍撤退後はムジャーヒディーン同士の対立から内戦となり、[[ターリバーン|タリバン]]の台頭を招くことになる。<br />[[2006年]][[12月17日]]の[[日曜洋画劇場]]では1998年のテレビ朝日製作の吹替え版を放送すると発表していたが、1993年放送のTBS版に差し替えられた。経緯は不明ながら、ムジャーヒディーンの名称が出なかったテレビ朝日版に対し、TBS版では「アフガンのレジスタンス」など説明するセリフが残っているという違いはある。 |
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* ボンドがソ連空軍基地で奪った輸送機は、実際はアメリカ製の[[C-130 (航空機)|ロッキード・C-130・ハーキュリーズ]]である。この飛行機が、続く空中スタント・シーンでは、[[フェアチャイルド (航空機メーカー)|フェアチャイルド]]のC-123に変わってしまっている。 |
* ボンドがソ連空軍基地で奪った輸送機は、実際はアメリカ製の[[C-130 (航空機)|ロッキード・C-130・ハーキュリーズ]]である。この飛行機が、続く空中スタント・シーンでは、[[フェアチャイルド (航空機メーカー)|フェアチャイルド]]のC-123に変わってしまっている。 |
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* エンディングでカーラがコンサートを行ったホールの外観は、[[ウィーン楽友協会]]の建物が使われている。 |
* エンディングでカーラがコンサートを行ったホールの外観は、[[ウィーン楽友協会]]の建物が使われている。 |
2014年7月13日 (日) 08:36時点における版
007 リビング・デイライツ | |
---|---|
007 The Living Daylights | |
監督 | ジョン・グレン |
脚本 |
リチャード・メイボーム マイケル・G・ウィルソン |
原作 | イアン・フレミング |
製作 |
マイケル・G・ウィルソン アルバート・R・ブロッコリ |
出演者 |
ティモシー・ダルトン マリアム・ダボ ジェローン・クラッベ |
音楽 | ジョン・バリー |
主題歌 | 「The Living Daylights」a-ha |
撮影 | アレック・ミルズ |
編集 |
ジョン・グローヴァー ピーター・デイヴィス |
配給 | MGM/UA |
公開 |
1987年6月29日 1987年12月19日 |
上映時間 | 130分 |
製作国 | イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | $40,000,000[1] |
興行収入 | $191,200,000 (全世界)[1] |
前作 | 007 美しき獲物たち |
次作 | 007 消されたライセンス |
『007 リビング・デイライツ』(ダブルオーセブン リビング・デイライツ、The Living Daylights)は、1987年公開、ジョン・グレン監督のスパイアクション映画。007シリーズ第15作。
概要
シリーズ誕生25周年の記念作品でもあり、大型予算で製作された。ジェームズ・ボンドをティモシー・ダルトンが演じた初の作品である。原作は、イアン・フレミングの短編『ベルリン脱出』(The Living Daylights)。
前作までのロジャー・ムーアのシリーズとは打って変わり、全編通してシリアスでハードな展開が多い。
ストーリー
00メンバーらによるジブラルタルでのNATOの演習訓練中、「スパイに死を」との標札とともに、004が殺害された。訓練に参加していた007ことボンドは暗殺者を追跡。死闘の末に暗殺者を倒す。
その後、ボンドはソ連が支配する東側のチェコスロバキアにいた。ソ連の重要人物コスコフ将軍から、ボンドを名指ししての亡命の協力依頼が英国情報部に入りその任務のために現地へ潜入していた。先に潜入していた同僚のソーンダースとともに、クラシック演奏会場から脱出したコスコフを援護する。そのとき、会場の窓からコスコフを狙撃する人物を発見したボンドは、それが演奏会にいた女流チェリストだと気づく。ボンドはとっさの判断で彼女が狙撃の素人であることを見抜き、あえて狙いを外し命を奪わなかった。そのことでソーンダースの叱責を受けるが、当初の目的であるコスコフ将軍の亡命はQの天然ガスパイプラインを使うアイディアによって、西側のオーストリアへの亡命に無事成功する。
コスコフがストーナー・ハウスでMたちに明かした事件の黒幕とは、KGBのプーシキン将軍であった。先日の004殺害を皮切りに、プーシキンが「スパイに死を」の合言葉の下、英米のスパイの総抹殺を企んでいるとの告白に驚愕するMたち。その直後、牛乳配達人に化けた殺し屋ネクロスにコスコフ将軍は奪還されてしまう。
この非常事態にMはボンドにプーシキン将軍暗殺の指令を出す。単純にプーシキン将軍が黒幕とは信じられないボンドが異議を唱えると、Mは008に任務交代させると脅しをかける。コスコフ将軍を狙撃しようとしたカーラという女流チェリストに引っかかりを感じたボンドは任務を受け、Mには内緒で正体を隠して独自にカーラと接触する。コスコフの恋人だと名乗るカーラを、雪上の逃走劇の末にオーストリアへ連れ出した。
やがて、ウィーンで落ち合ったソーンダースの報告によって、コスコフとカーラの間に、国際的武器商人のウィテカーの名が浮かび上がる。ボンドはコスコフの亡命もネクロスによる奪還はウィテカーと結託したコスコフの芝居であり、カーラは捨て駒に過ぎなかったと推測する。だがネクロスの手はソーンダースにも延び、ボンドの目前で彼も殺害されてしまう。怒りに燃え、プーシキンがいるタンジールへと向かう。真相を知るべくプーシキンと対決するボンド。そこでコスコフが公金を横領していることを知りウィテカーとコスコフの狙いは、MI6を罠にはめ、ボンドにプーシキンを殺害させて横領の件を闇に葬る計画だと確信し、逆にプーシキンと組んで一芝居打ち、狂言を演じてプーシキン殺害犯となる。
ところが、カーラがコスコフの甘言に乗ってしまい、ボンドはカーラとともに捕らわれてアフガニスタンのソ連空軍基地に連行されてしまう。だが、Qの秘密兵器により脱出。牢屋にいた対ソ抵抗組織「ムジャハディン」の副司令官カムランを助けたことによって彼のところへ身を寄せる。ボンドとカーラはコスコフ達がそこで、地元のアフガン商人「白豹団」から、横領した公金のダイヤモンドでアヘンを仕入れていることを知る。それを阻止するため、カムランの協力を得て、アヘンを満載した輸送機を奪い、息詰まる空中での死闘の末、ネクロスを倒す。そして、CIAのライターとともにウィテカーの屋敷に突入するボンド。ウィテカーを倒したボンドの前にプーシキンが現れ、コスコフを逮捕する。プーシキンはボンドに感謝を表し、カーラの亡命を認めるのだった。
キャッチ・コピー/ポスター宣伝文
- 「こんどのボンドは危険なくらい野生的。」(半裁版先行予告ポスター)
- 「危険を生きるニュー・ジェームズ・ボンド」
スタッフ
- 監督 - ジョン・グレン
- 製作 - マイケル・G・ウィルソン、アルバート・R・ブロッコリ
- 脚本 - リチャード・メイボーム、マイケル・G・ウィルソン
- 音楽 - ジョン・バリー
- 主題歌 - a-ha
- 作曲 - ポール・ワークター、ジョン・バリー
- エンディング・テーマ「イフ・ゼア・ウォズ・ア・マン」 - プリテンダーズ
- 作曲 - ジョン・バリー
- 作詞 - クリッシー・ハインド
- 撮影 - アレック・ミルズ
- 編集 - ジョン・グローヴァー、ピーター・デイヴィス
- プロダクション・デザイン - ピーター・ラモント
- 美術監督 - テリー・アックランド=スノー
- 特殊視覚効果 - ジョン・リチャードソン
- メインタイトル・デザイン - モーリス・ビンダー
キャスト
- ジェームズ・ボンド - ティモシー・ダルトン
- カーラ・ミロヴィ - マリアム・ダボ
- ゲオルギ・コスコフ - ジェローン・クラッベ
- ブラッド・ウィティカー - ジョー・ドン・ベイカー
- ネクロス - アンドレアス・ウィズニュースキー
- カムラン・シャー - アート・マリック
- ソーンダース - トーマス・ウィズリー
- フェリックス・ライター - ジョン・テリー
- レオニード・プーシキン - ジョン・リス=デイヴィス
- M - ロバート・ブラウン
- Q - デスモンド・リュウェリン
- マネーペニー - キャロライン・ブリス
- ワリス・ディリー
興行成績
本作は1987年の映画の世界興行成績で第3位[2]。日本では1988年度の外国映画の配給収入で第9位[3]。
キャラクター、キャストなど
- 4代目ボンドはサム・ニールに決まりかけたが、プロデューサーのブロッコリが却下した。後に5代目ボンドとなるピアース・ブロスナンも有力候補だったが、『探偵レミントン・スティール』の撮影でスケジュールの都合がつかず見送られた。
- ティモシー・ダルトンは、1971年にショーン・コネリーの後任としてボンド役を依頼されたが、ボンドを演じるには若すぎるという理由で辞退していた。また、本作の8年前にもロジャー・ムーアが降板を考えていたため依頼が来たが断っており、今回3度目の依頼でようやく引き受けた[4]。
- 悪役コスコフのキャラクターは実在のKGB将校ヴィタリー・ユルチェンコにまつわる事件を参考に作られた。
- マリアム・ダボは、ボンド役候補のスクリーンテストの相手役をしていて、ボンドガールに抜擢された。
- この作品で悪役の武器商人を演じたジョー・ドン・ベイカーは、後に『ゴールデンアイ』『トゥモロー・ネバー・ダイ』で、ボンドの協力者であるCIA情報員ジャック・ウェイドを演じることになる。
- 本作よりマネーペニー役がキャロライン・ブリスに代わる。ブリスは歴代最年少でマネーペニーを演じた(26歳)。
- ブリス演ずるマネーペニーは、ロングヘアーをひっつめ、鉛筆を耳に挟み、司書のような大きな眼鏡をかけ、バリー・マニロウをコレクションしている。先代のマクスウェルが「鉛筆を耳に挟み、大きな眼鏡をかけるような秘書には魅力を感じない」と提案した容姿とは正反対のものになった。
- 本作では、当初『私を愛したスパイ』以来ウォルター・ゴテルが演じてきたゴーゴル将軍が登場する予定だったが、彼の健康状態が思わしくなかったため、ジョン=リス・デイヴィス演ずるプーシキン将軍がKGB新長官として登場するストーリーに書き換えられた。ゴーゴル将軍は外務省に転任したことになり、エンディングで1シーンのみ顔を見せるが、それを最後にゴテルはシリーズを去っている。1997年に他界。
- ボンドの盟友であるCIAのフェリックス・ライターは、シリーズ第8作『死ぬのは奴らだ』以来の登場。6代目ライターを演じたのは、アメリカの俳優ジョン・テリー。本作と同年公開の『フルメタル・ジャケット』にも出演して注目されていた。『24 -TWENTY FOUR-』シーズン2などにも出演している。
主題歌
- 当初は「ペット・ショップ・ボーイズ」が唄う"This Must Be the Place I Waited Years to Leave"の予定だったが、歌詞の内容が宗教色が濃いという問題で不採用になった。
- 前作の成功から、本作も主題歌はボンド映画ベテランのジョン・バリーと、1980年代中期のポップシーンを代表するノルウェーのバンドa-haのコラボレーションによるものとなった。しかし前回とは異なりバリーと a-ha は意見がことごとく対立し、その結果主題歌 Living Daylights にはジョン・パリーのミックスによる版とa-haのミックスによる版の二つが存在するという異例の事態となった。これを機にバリーは「もはや自分の出る幕ではない」とボンド映画からの引退を表明している。
- 本作ではシリーズで初めて、オープニングとエンディングで異なるテーマ曲が歌われた[5]。エンディングテーマを歌ったのは、イギリスのバンドのプリテンダーズである。
- a-haが担当した主題歌は、イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位5位と健闘したが、アメリカでは発売されなかった為チャート入りを果たせなかった。また、エンディング・テーマだったプリテンダーズの"If There Was A Man"は、イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高49位だったが、こちらも、アメリカではチャート入りしていない。さらに、アルバム・チャートでもランク入りを果たせなかった。
秘密兵器など
- ボンドカーとしてアストンマーチン・V8が登場した。イギリス国内で乗っていたのがV8・ヴァンテージ・ヴォランテ(コンバーチブル・タイプ)、チェコスロバキアでアクションを繰り広げるのがクーペ・タイプのV8 サルーンである。Qの研究室ではハードトップを取り付ける様子が映っている。後者はQの改造により以下を装備している。
- フィリップスのキーホルダー(キーリング・ファインダー)。口笛で「ルール・ブリタニア」の第1節を吹くと、スタン・ガスを噴射。有効範囲は5フィートで、常人を30秒間混乱状態にさせる。「ウルフ・ホイッスル」の吹き方をするとプラスチック爆薬が爆発し、金庫の扉を破壊することも可能。また、万能鍵がついていて、世界の錠の90%を開くことができる。
- その他、Qの研究室では以下のものを開発中。
- ラジカセ型ロケットランチャー。ラジカセのことを英語で "Ghettoblaster" ともいうが、それが兵器のブラスターになっているという洒落。
- 座った人間を中に閉じ込めてしまうソファ。
- ワルサーWA2000。ブラチスラヴァでソーンダースがボンドのために用意した狙撃銃。レーザー照準器付き。
- ボンドの愛用銃はワルサーPPKであるが、この作品と『消されたライセンス』では、ワルサーPPKの米国輸出用であるワルサーPPK/Sが使用された。本作の劇中にはウィティカーが「8発、撃ち終わりだ」というセリフが登場するが、関係性はないと思われる(7.65mmのワルサーPPKは.32ACP弾を使用する。この弾の場合マガジン装弾数は7発だが、チェンバーに弾丸が入っている場合、8発撃てる。また、銃のアップのシーンではワルサーPPKが使われている為である)。
- 以下のコスコフが東側に脱出する手段を手配・監督するために、Qがオーストリアまで出向いている。
- 牛乳瓶爆弾。牛乳配達人にすり替わったネクロスが、手で投げつけて使用した武器。火炎瓶ではなく、手榴弾のように爆発する。ネクロスはこの他に、ヘッドフォンステレオのヘッドフォンのコードを武器代わりにしている(相手の首に巻きつけて絞殺)。
- プーシキンの腕時計は、リューズを押すと部下の受信機に非常信号を発信する。
その他
- ソ連KGB内部の権力闘争やアフガニスタン侵攻など当時の国際情勢を色濃く反映している。
- 原題は「意識、正気」などの意味。公開当時の日本では「生きている日光」などの珍訳も取りざたされた。surprise the living daylights outで「気を失うほど驚かせる」の意味になるが、同様のボンドの台詞に「死ぬほど驚いた」の字幕がつけられたため、「living daylights=死ぬほど驚くこと」との誤解まで生じた。このタイトルは短編からのもの。
- 冒頭のアクションは、ジブラルタルのザ・ロック(ロック・オブ・ジブラルタル)山頂にあるイギリスのレーダー基地に、SASが守備する中、00要員(002、004、007)がパラシュート降下するという演習で始まる。ジブラルタルはイギリスの海外領土で、地中海と大西洋を結ぶジブラルタル海峡に臨む要衝であり、対岸は中盤以降の舞台となるモロッコのタンジールである。ザ・ロックにはバーバリーマカクという猿が生息しており、画面にも登場する。
- 004殺害犯はイギリス軍のランドローバーを奪って逃走し、ボンドはこれにしがみつく。途中でランドローバーがなぎ倒したパラソルには、ジェームズ・ボンドのイニシャルと同じJ&B(スコッチ・ウイスキー)のロゴが書かれていた。
- メインタイトル後の舞台は、チェコスロバキアのブラチスラヴァ(現スロバキア首都)だが、製作当時は冷戦下の東側にありロケはできず、主なシーンは西側のオーストリアで撮影された。コスコフが脱出を決行したコンサート会場は、ウィーンのフォルクスオパー(Volksoper)が使われている。再三登場する路面電車も、ウィーンのものである。
- ブラチスラヴァ市内からパイプラインへの脱出時にはアウディ・200が使用されている。
- パイプラインを通ってコスコフが着いたオーストリア・チェコスロバキア国境のガスタンクは、実際にはウィーンにあるガソメーター(Gasometer)である。撮影当時はすでにタンクとしては使われておらず、その後改装されて現在は商業施設や集合住宅となっている。コスコフは、ここの屋上からハリアーに乗り込む。
- 007シリーズの英国秘密情報部がカムフラージュに使うユニバーサル貿易(Universal Exports)は、本作ではトラファルガー広場に面したマレーシア・ハウスに看板を掲げている。その画面で正面に見える建物は、ナショナル・ギャラリーである。
- コスコフがイギリス国内で匿われた建物は、オックスフォードシャー州のストーナー・ハウス(Stonor House)でロケされた。
- ボンドはMがハロッズに注文していた品物をコスコフに届けるが、独断でシャンパンをボランジェのRDに変更してしまう。
- カーラのチェロはストラディヴァリが1724年に製作した「レディ・ローズ」という設定である。
- ウィーンに着いたボンドとカーラは、馬車でシェーンブルン宮殿の前を通り、ホテル・イム・パレス・シュワルツェンベルグ(Hotel im Palais Schwarzenberg)にチェックインする。
- ボンドはホテルに着くと、例によってシェークしステアしないウォッカ・マティーニを注文する。
- カーラはこのホテルでカルティエのショップに入る。
- ボンドがウィーンでソーンダースとの待ち合わせ場所にしたのは、プラーター公園の遊園地。映画『第三の男』で登場した大観覧車のある遊園地としても有名。本作の監督ジョン・グレンは『第三の男』で音声編集助手を務めていた。同作でキャロル・リード監督の助監督を務めていたのが『ゴールドフィンガー』から4作を監督したガイ・ハミルトンである。
- タンジールのウィティカーの邸宅は、当時フォーブス誌の発行人だったマルコム・フォーブスの邸宅。10万体以上に及ぶ兵士のミニチュアが蒐集されており、劇中でもウィティカの趣味として取り入れられた。現在は、フォーブス博物館となって公開されている。
- アフガニスタンのシーンは、ソ連侵攻下で現地ロケはできず、主としてモロッコのウアルザザテ(Ouarzazate)にあるアトラス・スタジオとその周辺で撮影された。
- アフガニスタンでボンドに協力するムジャーヒディーンは、当時ソ連のアフガニスタン侵攻に対する抵抗活動を行っており、アメリカが支援を行っていた。本作の翌年公開された『ランボー3/怒りのアフガン』にも登場する。しかし、皮肉にもソ連軍撤退後はムジャーヒディーン同士の対立から内戦となり、タリバンの台頭を招くことになる。
2006年12月17日の日曜洋画劇場では1998年のテレビ朝日製作の吹替え版を放送すると発表していたが、1993年放送のTBS版に差し替えられた。経緯は不明ながら、ムジャーヒディーンの名称が出なかったテレビ朝日版に対し、TBS版では「アフガンのレジスタンス」など説明するセリフが残っているという違いはある。 - ボンドがソ連空軍基地で奪った輸送機は、実際はアメリカ製のロッキード・C-130・ハーキュリーズである。この飛行機が、続く空中スタント・シーンでは、フェアチャイルドのC-123に変わってしまっている。
- エンディングでカーラがコンサートを行ったホールの外観は、ウィーン楽友協会の建物が使われている。
- 本作の撮影中、ロンドンのパインウッド・スタジオをチャールズ皇太子とダイアナ妃が訪れた。Qの研究室でラジカセ型ロケット・ランチャーを試射するシーンで、発射の仕掛けのスイッチを押したのは皇太子であった。一方ダイアナ妃は、スタッフに飴ガラスでできた小道具の瓶を渡されて、皇太子の頭を叩いてみたらと勧められ、本当にそうした。翌日、チャールズ皇太子の頭をダイアナ妃が後ろから瓶で殴り、その瓶が激しく砕け散った瞬間の写真が、全世界に配信され大騒動となった。
- チェコからオーストリア国境へボンドとカーラがチェロケースをソリ代わりにして滑走する場面では、チェロケースに改造が施されており、外側に小さなソリ、内側にハンドブレーキが装着されていた。このハンドブレーキはカーラ役のM・ダボが操作する役目だったが、うまくいかずケースが回転して転倒したりすることも。おかげでダボはダルトンに「何やってんだ!」とずいぶん怒られたそうである。
- 最新の銃器を手にしたウィテカーと銃撃戦になり窮地に立たされたボンドは、初代ウェリントン公爵の胸像をキーホルダーの爆弾で吹き飛ばし、ウィテカーを下敷きにする。ウェリントンとボンドに関してはシリーズ第1作『ドクター・ノオ』も参照のこと。
- ネクロスは赤十字社の標章を付けたヘリコプターで支援を装い、コスコフを連れ出す。そのため日本版VHSでは冒頭に赤十字社の活動とは一切関係ないと注意喚起されている。
- 2010年4月、WOWOWにてハイビジョン画質で完全放映された。
日本語吹き替え
役名 | 俳優 | TBS版 | テレビ朝日版 | DVD新録版 | 機内版 |
---|---|---|---|---|---|
ボンド | ティモシー・ダルトン | 小川真司 | 鈴置洋孝 | 大塚芳忠 | 津嘉山正種 |
カーラ | マリアム・ダボ | 勝生真沙子 | 深見梨加 | 魏涼子 | |
コスコフ | ジェローン・クラッベ | 羽佐間道夫 | 江原正士 | 内田直哉 | |
ウィティカー | ジョー・ドン・ベイカー | 内海賢二 | 玄田哲章 | 楠見尚己 | |
カムラン | アート・マリク | 石丸博也 | 小杉十郎太 | 大滝寛 | |
プーシキン | ジョン・リス=デイヴィス | 飯塚昭三 | 有本欽隆 | 辻親八 | |
M | ロバート・ブラウン | 石森達幸 | 大木民夫 | 中博史 | |
マネーペニー | キャロライン・ブリス | 稀代桜子 | 加藤優子 | 吉田陽子 | |
Q | デスモンド・リュウェリン | 北村弘一 | 田口昂 | 白熊寛嗣 | |
ネクロス | アンドリアス・ウイスニウスキー | 中田和宏 | 諸角憲一 | 桐井大介 | |
ソンダース | トーマス・ウィートリー | 秋元羊介 | 宮本充 | 高階俊嗣 | |
ライター | ジョン・テリー | 大塚芳忠 | 成田剣 | 風間秀郎 | |
グレイ国防大臣 | ジェフリー・キーン | 峰恵研 | 塚田正昭 | ||
ゴーゴル将軍 | ウォルター・ゴテル | 小関一 | |||
フィヨードル大佐 | ジョン・ボウ | 稲葉実 | 御友公喜 | ||
看守 | ケン・シャロック | 辻親八 | 手塚秀彰 | ||
ルバビッチ | ヴァージニア・ヘイ | 横尾まり | さとうあい | ||
ロジーカ・ミクロス | ジュリー・T・ウォレス | 斉藤貴美子 | |||
リンダ | ベル・アヴェリー | 種田文子 | 沢海陽子 | ||
スタッグ軍曹 | スコット・ホクスビー | 古田信幸 | 堀川仁 | ||
本部の男性 | マーク・ボイル | 沢木郁也 | |||
兵士 | ポール・ウェストン | 大塚芳忠 | 緒方文興 |
※キングレコードから発売の特別版DVDにはTBS版とテレビ朝日版の2バージョンの吹替を収録。
- プロデューサー - 上田正人、翻訳 - 岩佐幸子、演出 - 伊達康将、制作 - 東北新社・TBS
※「水曜ロードショー」最終回作品となった。
- テレビ朝日版 - 初回放送、1998年12月27日テレビ朝日『日曜洋画劇場』
- 制作 - ムービーテレビジョン、演出 - 福永莞爾、翻訳 - たかしまちせこ、調整 - 山田太平、プロデューサー - 圓井一夫
- DVD新録版 - 2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション
- 翻訳 - 松崎広幸
脚注
- ^ a b “The Living Daylights” (英語). The Numbers. 2009年6月22日閲覧。
- ^ “List movies by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年6月22日閲覧。
- ^ “興行成績一覧”. キネマ旬報DB. 2009年6月22日閲覧。
- ^ Nightingale, Benedict (1987年7月26日). “007:A New Bond Meets a New Woman;Thimothy Dalton Finds a Hamlet in the Hero” (英語). ニューヨーク・タイムズ. 2009年7月4日閲覧。
- ^ 『ロシアより愛をこめて』で主題歌がエンディングで歌われオープニングはインストゥルメンタルだけだったり、『女王陛下の007』で主題歌がなく挿入歌のみだったりしたことはあったが、オープニングとエンディングの歌が異なるのは本作がはじめてである。