「韻母」の版間の差分

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2006年3月7日 (火) 21:08時点における版

韻母(いんぼ)とは、中国語の漢字音の構成要素の一つ。1音節内の声母(頭子音)の後に続き声調を除いた母音を中心とした部分(声調も韻母に含める場合がある)。音の分節は介音半母音)・主母音尾音(鼻音か二重母音を構成する補助的な母音)で構成される。また部位を表す用語として、介音を韻頭、主母音を韻腹、尾音を韻尾と呼ぶ。

特徴

例として、「東」字の発音は現代中国語の北京語では dōng (dong1) と表記されるが、このうち d は声母、-ong(1) が韻母である。この場合、介音はゼロで、-o-が主母音、-ngが尾音である。なおこの韻母は注音字母にしたがって分けると、介音 -u- と、韻腹と韻尾 -eng からなる。

音節
声母 韻母 声調
韻頭 韻腹 韻尾
介音 主母音 尾音
g u a ng 1

伝統的な音韻学では韻母を四呼によって4つに分類する。

現代中国語の韻母

現代中国語(普通話)では39の韻母が設定されている。

開口呼 斉歯呼 合口呼 撮口呼
単韻母 i u ü
a ia ua
o uo
e
ê ie üe
-i
er
複韻母 ai uai
ei uei
ao iao
ou iou
鼻韻母 an ian uan üan
en uen
in ün
ang iang uang
eng ueng
ing ong iong

古代中国語

韻書」で使われる韻字には平・上・去・入の声調の違いによって異なる字が使われた。語尾子音のうち[p][t][k]は尾音[m][n][ŋ]の入声とされ、[m]と[p]、[n]と[t]、[ŋ]と[k]はそれぞれ同じ尾音と考えられている。

なおと韻母は正確には同じではなく、韻とは韻母のうち主母音と尾音、それに声調を加えたものである。このため、漢詩押韻する場合、韻母をそろえることが必要であるが、介音は必ずしも一致する必要は無く、主母音と韻尾、声調が一致していなければならない。

『広韻』では206韻が設けられ、その内訳は、上平声28韻、下平声29韻(平声を表す字が多いので上下2巻に分けられた)、上声55韻、去声60韻、入声34韻であった。その後、漢詩の押韻の規範となる「平水韻」では、これを106韻に整理し、上平声15韻、下平声15韻、上声29韻、去声30韻、入声17韻の韻目が建てられた。

元代北曲をもとに作られた『中原音韻』では入声が消滅しており、また平・上・去声の区別なく韻目が建てられ、19韻にまとめられた。

関連項目