「自主規制」の版間の差分

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*[[天下り]] - 自主規制の審査を目的に組織が新設されると、これが得てして所轄官庁や警察組織の天下りの受け入れ先となる場合がある。
*[[天下り]] - 自主規制の審査を目的に組織が新設されると、これが得てして所轄官庁や警察組織の天下りの受け入れ先となる場合がある。


== 脚注 ==
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[[Category:社会|ししゆきせい]]
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[[Category:社会問題|ししゆきせい]]
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2013年1月9日 (水) 00:55時点における版

自主規制(じしゅきせい)とは、社会的に不具合が生じる恐れがある製品の生産者サービスの提供者などが行う自発的な制限のこと。

概要

何らかの社会問題事件事故の発生、あるいは警察による検挙をきっかけとして、業界全般での製品の安全基準が無いことや無軌道な販売競争や製品開発が暴露されたり、表現物の場合には「表現の自由」を建前とした法令に対する業界の認識の甘さなどが露呈し、社会から問題視されることがある。この場合、現状のまま放置しておくと社会・大衆の批判を集め、やがては公権力の介入を招いて法令行政機関などによる厳格な公的規制が制定されるなどの事態に繋がりかねない。

業界は厳格な公的規制の導入と公権力による継続的な監視により、以降の業界各社の活動停滞や場合によっては業界全体の存続そのものに大きな支障を来たす事態を恐れるわけで、自主規制とはこの様な恐れがある際にその業界の関係者間の同意という形で行われる回避手段の一つである。

自主規制が行われている例

自主規制の限界

自主規制とはその名の通り当該の業界のメーカー各社の総意という形での「自主的な規制」である。概して自主規制を遵守することはさらに厳しい規制が外部から導入されることによる発展の阻害から業界と市場を守る、極端な場合には業界を維持存続させることを目的とした、業界のルールやモラルという一面がある。そのため、自主規制を遵守しないことで業界内部での居心地が悪くなる、業界団体から除外される、流通・小売も自主規制推進の立場に回っている場合には製品流通や入荷に阻害をきたす、すなわち、メーカー・販社が自主規制から離脱した場合には自主規制に加わっている小売店の店頭からその製品が消える、や小売店が自主規制から離脱した場合にはその卸や小売店に対して自主規制に加わっているメーカーの製品が入荷しなくなる、などといった事態が起きる可能性がある。とはいえ、あくまで法律や条例に抵触しない限りは警察に検挙・摘発されるというものではない。

しかし、時として自主規制は下記の様な事情の発生によって有名無実化されてしまうことが起きる。

  • 販売競争の激化により、長期的かつ徐々に自主規制が無意味・無価値のものとなる
  • 自社の利益やユーザーの欲求を優先して、自主規制の間隙を突く行為や自主規制の無視が横行する
  • 業界団体からのメーカーの脱退が相次いだり、業界団体非加盟の後発メーカーが乱立する
  • 業界団体の内紛や業界関係者の対立などから審査を行う業界団体が分裂・並立し、相互に加盟メーカー獲得を競って規制の箍が緩められる
  • 国内の基準の制約を受けない海外メーカーの製品を、業界団体非加盟の商社や小売店が並行輸入の形で国内に持ち込んで独自の流通経路で販売する
  • 表現物の場合には販売競争の激化により、規制対象の表現が過激化の一途を辿る
  • この様な既存団体にとっては「基準不適格」の製品が、メーカー直販の通信販売など既存流通とは全く異なる販路から流通する

この様な形で自主規制のシステムが機能不全に陥った場合、グレーゾーンや“摘発されない限界点”を意図的に狙った商品や、業界団体に非加盟、あるいは業界団体を脱退したメーカーにより自主規制とは異なる独自基準で判定した“規制合格”品が次々と登場してくることも起きる。あるいは、製造メーカーや輸入商社が判別できないなど、明らかに問題のある製品に独自の“規制合格”という意味のマークやシールを付けたものが、ユーザーから素性を問われにくいB級品や素性不明の新ブランドなどの形態で、小売店舗で格安商品として販売されるなどということも起きてくる。この様な商品が横行すると、警察が調査を行い、法令に抵触する様なものを販売したと判断したメーカーや小売店を摘発したり、さらには法令改正という形でより厳格な公的規制を招くことがある。自主規制が実効性を失い公的規制が強化された典型的な例としては、エアソフトガンの威力に関する規制がある(銃砲刀剣類所持等取締法#遊戯銃規制の不備とその対策有害玩具参照)。

一方で、海外では同種製品に自主規制や公的規制が無い、あるいは規制があっても制限が著しく緩い場合、海外市場での競合や国内市場でも海外メーカー製輸入品との競合によって、法規制ではなく自国内の業界の自主規制に基づいた仕様を持つ為に性能面で抑制されている自国メーカー製品のみに市場競争上著しく不利に働く場合がある。この場合、流通なども自主規制団体に加盟し海外製品でも自主規制適応品でなければ市場流通させられないなどの処置が取れるならば国内での自主規制は意味を持つものの、結局は海外市場での海外メーカーへの対抗という理由から徐々に規制の箍が弛められていったり、規制遵守の国内向け仕様と規制の無い海外向け仕様でパーツの多くを別仕様とせざるを得なくなり非効率・不経済となるなどして、自主規制の存在意義が問われてしまうこともある。

また、時には国内の自主規制が国外のメーカーにとっては輸入障壁になっているとして、他国のメーカー団体や他国政府の経済・産業担当の閣僚・官僚などから自主規制撤廃を求めて圧力が掛かるなどということも起きる。

かつて自主規制が行われていた例

(280PSまで、2004年7月1日に解除。ただし、軽自動車は64PSのまま)

これにより、この年以降、280PS超の車が続々登場した[1]。さらに、ミニバンなども280PSに到達している(エスティマ3.5や、アルファード350シリーズなど)。また、日産・GT-Rでは、国産車(市販の状態)では最強の480PSを記録(その後のマイナーチェンジで530馬力に引き上げられた)。400ccの自主規制53psの国産バイクと比較しても静止状態からでも上回る加速力に達している。このように、280PSの到達は各自動車会社もこぞって達成している。さらに、この280PSは自動車好きの間の1つのスポーツカーの基準になっているため、自動車会社がスポーツカーを開発するときはこの280PSが目標にされることが多い。
なお、この自主規制値は当時最もハイパワーだった市販車を基準に決められたといわれている。[2]

自主規制を行う組織等

競争が行われている産業で自主規制ルールが制定される場合には、生産組合や業界団体などの既存組織が取り仕切って実施することが多い。適当な組織が見当たらない場合には、敢えて自主規制やそのチェックを主目的にした組織が設立されることもある。また、エアソフトガン業界やアダルトゲーム業界の様に、業界の歴史的経緯・メーカー間の主導権争い・自主規制の審査や運用・製品回収を巡るメーカーと審査団体のトラブルなどが原因で、同じ目的ながらも微妙に異なる基準や審査方法を持つ自主規制団体が複数存在したり乱立することもある。

関連項目

脚注

  1. ^ ホンダ・レジェンドを皮切りにトヨタではクラウンアスリートレクサス・GSなどの2GR-FSE搭載車、日産ではフーガ450GTなど。
  2. ^ 四輪車の場合…登録車:フェアレディZ、軽自動車:アルトワークス