「ビスムチン」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Yamatochem (会話 | 投稿記録)
chembox
1行目: 1行目:
{{chembox
{{Infobox 無機化合物
| verifiedrevid = 405221754
| name=ビスム
| ImageFileL1 = Bismuthine-2D-IR-MMW-dimensions.png
| 画像= [[Image:Bismuthine.png|140px|ビスムチンの構造式]][[Image:Bismuthine-3D-sticks.png|100px|ビスムチンの分子モデル]]
| ImageSizeL1 = 130px
| IUPAC名=ビスムタン(系統名)
| ImageFileR1 = Bismuthine-3D-sticks.png
| 別名=水素化ビスマス
| ImageSize =
| 組成式=BiH<sub>3</sub>
| IUPACName = ビスム
| 式量=212.00
| OtherNames = bismuth trihydride <br> hydrogen bismuthide
| 形状=無色気体
| Section1 = {{Chembox Identifiers
| 結晶構造=
| CAS登録番号=[18288-22-7]
| CASNo = 18288-22-7
| PubChem = 9242
| 密度= 0.008665 | 相 =気体
| SMILES =
| 水への溶解度= | 温度=
}}
| 融点= | 融点注=
| Section2 = {{Chembox Properties
| 沸点= 16.8 | 沸点注=(本文参照)
| Formula = BiH<sub>3</sub>
| 出典=<!--en:Bismuthine: density, bp-->
| MolarMass = 212.00 g/mol
| Appearance = 無色気体
| Density = 0.008665 g/mL (20 {{℃}})
| MeltingPt =
| BoilingPt = 16.8 {{℃}} (推定)
| Solubility =
| PubChem = 9242
| ChemSpiderID = 8886
| SMILES = [Bi]
| InChI = 1/Bi.3H/rBiH3/h1H3
| InChIKey = BPBOBPIKWGUSQG-PVKOQVOWAF
| StdInChI = 1S/Bi.3H
| StdInChIKey = BPBOBPIKWGUSQG-UHFFFAOYSA-N
}}
| Section3 = {{Chembox Structure
| MolShape = [[三角錐形]]
}}
| Section9 = {{Chembox Hazards
| MainHazards =
| FlashPt =
| Autoignition =
}}
| Section10 = {{Chembox Related
| OtherFunctn = [[アンモニア]]<br>[[ホスフィン]]<br>[[アルシン]]<br>[[スチビン]]
| Function = [[水素化物]]
}}
}}
}}
'''ビスムチン''' (bismuthine) は、[[ビスマス]]の[[水素化物]]にあたる[[無機化合物]]で、[[アンモニア]]の類縁体としてはもっとも重い分子である。沸点は 16.8 ℃ と予想されているが、それよりも低い温度で分解を起こしてしまう。この分子は H&minus;Bi&minus;H [[結合角]]がそれぞれほぼ 90 ° の、ピラミッド構造をとっていると予想されている。[[IUPAC命名法|IUPAC系統名]]は'''ビスムタン''' (bismuthane)。ほか、'''水素化ビスマス'''とも呼ばれる。
'''ビスムチン''' (bismuthine) は、[[ビスマス]]の[[水素化物]]にあたる[[無機化合物]]で、[[アンモニア]]の類縁体としてはもっとも重い分子である。沸点は 16.8 ℃ と予想されているが、それよりも低い温度で分解を起こしてしまう。この分子は H&minus;Bi&minus;H [[結合角]]がそれぞれほぼ 90 ° の、ピラミッド構造をとっていると予想されている。[[IUPAC命名法|IUPAC系統名]]は'''ビスムタン''' (bismuthane)。ほか、'''水素化ビスマス'''とも呼ばれる。

2012年4月13日 (金) 22:52時点における版

ビスムチン
識別情報
CAS登録番号 18288-22-7
PubChem 9242
特性
化学式 BiH3
モル質量 212.00 g/mol
外観 無色の気体
密度 0.008665 g/mL (20 °C)
沸点

16.8 °C (推定)

構造
分子の形 三角錐形
関連する物質
関連する水素化物 アンモニア
ホスフィン
アルシン
スチビン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ビスムチン (bismuthine) は、ビスマス水素化物にあたる無機化合物で、アンモニアの類縁体としてはもっとも重い分子である。沸点は 16.8 ℃ と予想されているが、それよりも低い温度で分解を起こしてしまう。この分子は H−Bi−H 結合角がそれぞれほぼ 90 ° の、ピラミッド構造をとっていると予想されている。IUPAC系統名ビスムタン (bismuthane)。ほか、水素化ビスマスとも呼ばれる。

合成法

ビスムチンは、メチルビスムチン (BiH2CH3) の不均化により得られる。

3 BiH2CH3 → 2 BiH3 + Bi(CH3)3

性質

ビスムチンは、アルシン (AsH3) やスチビン (SbH3) よりもさらに不安定で、下式のように元素単体への分解を起こしてしまう。

2 BiH3 → 3 H2 + 2 Bi
ΔHf'ogas = −278 kJ/mol

法医学などでヒ素の検出法として知られるマーシュ法 (Marsh test) は、ビスマスの検出にも使える。この検出法は、第15族元素 (As, Sb, Bi) を含む検体を金属亜鉛硫酸で処理して第15族元素の水素化物を揮発させ、続く熱分解で元素単体としてガラス容器へ鏡状に付着させる手法である。この手法で検出される第15族元素のなかで、ヒ素は次亜塩素酸ナトリウムの水溶液に、アンチモンは多硫化アンモニウムの水溶液に溶けることから区別できる。ビスマスはそれらのどちらにも溶けない。

有機ビスムチン

有機化学において、水素化ビスマスを親化合物として一般式が RR1R2Bi(置換基は H または有機基)と表される一連の誘導体をビスムチンと称する。

参考文献

  • Holleman, A. F.; Wiberg, E. "Inorganic Chemistry" Academic Press: San Diego, 2001.
  • Jerzembeck, W.; Bürger, H.; Constantin, L.; Margulès, L.; Demaison, J.; Breidung, J.; Thiel, W. "Bismuthine BiH3: Fact or Fiction? High-Resolution Infrared, Millimeter-Wave, and Ab Initio Studies", Angew. Chem., Int. Ed. 2002, 41, 2550-2552.