友よ、静かに瞑れ

『友よ、静かに瞑れ』（ともよ、しずかにねむれ）は、北方謙三原作の小説、及び日本映画。

映画

友よ、静かに瞑れ
監督	崔洋一
脚本	丸山昇一
製作	角川春樹
出演者	藤竜也 倍賞美津子 高柳良一 六浦誠 室田日出男 佐藤慶 宮下順子 林隆三 原田芳雄
音楽	梅林茂
撮影	浜口毅
編集	鈴木晄
配給	東映セントラルフィルム
公開	1985年6月15日
上映時間	103分
製作国	日本
言語	日本語

1985年6月15日、映画公開。角川映画。東映セントラルフィルム配給。藤竜也主演、監督は崔洋一。

併映は、渡辺典子主演「結婚案内ミステリー」。

ストーリー

沖縄の多満里地区に東京からはるばる旧友に会いに来た男がいた。新藤剛（藤竜也）は、ホテルフリ－インの経営者であり、旧友の坂口（林隆三）に会いに来る。しかし、地元の住民にフリーインの場所を聞いただけで変な目で見られ、フリーインの客と言うだけで嫌われる始末。坂口は警察の留置場に入っていた。下山建設の社長下山（佐藤慶）は、刑事の徳田（室田日出男）らと共謀して、坂口を留置場に入れたのだ。坂口は多満里地区でたった一人だけ立ち退きに反対してた。それから下山はヤクザを使い、フリーインの窓ガラスを壊す、息子竜太（六浦誠）の飼っていた犬を殺したりと嫌がらせをする。フリーインにも、前はもっと住人がいたのだが、下山の嫌がらせで、逃げ出した人がいたという。竜太も同級生のいい笑い者になり、嫌がらせを受け、ヤクザに脅される。寂れるばかりの多満里の将来を考え、住民の移転先の面倒も見る。地価が安い多満里地区を、より高い値段で買い取る、温情のある会社で通っている下山建設。実際は多満里の人間も最初は立ち退きに反対したが、下山建設は、多満里地区の住民を、現金で買収したり、ヤクザや警察を使い、立ち退きを強要したという。それでも住民は、下山は面倒見がいいと言う。多満里にいる間に、新藤は徳田や下山から決定的な証拠を聞きだそうとするが、徳田からは聞きだせず。下山は、ヤクザを使って竜太を誘拐した事実などをつきつけるが全く動じず、収穫は無い。フリーインの住人も徳田の脅し、イヤミに屈せず、牙を向ける。その後、町中をヤクザがうろつき始め、多満里の住民亀井（草薙幸二郎）、石森（常田富士男）がフリーインに来て、新藤に多満里から出て行けと言うが、新藤は出て行く気はないとつっぱね、新藤のもとにヤクザ（中西良太）が送られる。そして新藤は下山建設の高畠（原田芳雄）と殴り合い、下山の机から徳田の金銭借用書を手に入れ、徳田に突き出す。それが決定的な証拠になり、徳田は坂口を釈放する。新藤と竜太は坂口に再会する。つかの間の再会。馬鹿みたいと父親をけなしていた竜太も、なにか言いたそうにはにかみ、笑みをうかべる。少し経ってから下山の乗った車が来る。下山と握手を交わす多満里の住民（飯島大介ら）。坂口は新藤と竜太を見つめ、その横を通り、下山の前に立つ。坂口に「このたびはどうも」とあいさつする下山。だが坂口は黙ったまま懐に手をいれる。すべてがスローモーションになる・・。恐怖におののいた下山は拳銃を構え、引き金を引く。下山の放った弾丸は坂口を直撃、それに驚く住民。竜太はその瞬間新藤の胸に顔を埋めるが、父親の死の瞬間を見せるかのように、新藤は胸から竜太の顔を引きはがす。消防車のベルの音、そして走る刑事たち。坂口は懐に手を入れたままその場に倒れる。坂口が握っていたのはレモンだった。レモンが坂口の手から離れ、道路の上に転がる。

新藤は、そのレモンを拾い、坂口の死体の近くでじっと立っている竜太の手にレモンを握らせ、フリーインの宿泊費を精算し、その場を後にする。新藤が去った後、竜太は父親の死体を見つめ、自分の好物でもないレモンをかじるのだった。

キャスト

新藤剛 - 藤竜也

最初はフリーインの住人に、下山が抱えているヤクザと誤解され、クラブKENDOに来たときは、時枝たちに警戒される。坂口とは大学が一緒で学部は別だった。大学病院の元医者で、3年前医療ミスを起こし、クビになる。坂口が肺がんで、もってあと3ヶ月の命、モルヒネが効かなくなると知ってるから、まだ動けるうちに好きなことをさせたいと言う。現在は船医。

赤井志摩 - 倍賞美津子

坂口の愛人で、フリーインの住人。クラブKENDOを経営してる。坂口は、多満里の開発を止めるために、殺されにいった。坂口が死ねば下山が犯罪者になり、開発を止められるし、竜太に男の生き様を見せたかった、しかしせっかくめぐりあった男に死なれ、竜太を押し付けられ、残された自分はどうなるんだと言う。

坂口竜太 - 六浦誠

坂口の息子。実の母親はすでにいないので、志摩が母親代わり。坂口が多満里で一人立ち退きを反対して、問題を起こしたから学校でいじめを受け、ヤクザに脅され、坂口を「馬鹿みたい」と罵る。実は、新藤が沖縄に来る前にヤクザに誘拐されてた。父親と違ってレモンは好物ではない。

坂口隆一 - 林隆三

フリーインの経営者で竜太の父親。フリーインの住人からは社長と呼ばれている。大学時代は新藤と一緒に剣道をやっていて、練習後には、よくレモンを分け合って食べていた。多満里で一人立ち退きを反対している。刃物を振り回し、下山に襲い掛かったと新聞には載ったが、本当は誘拐された竜太を助けるためにしたことだった。しかし多満里の住民は真相を知らない。

原作小説、映画ともに最後にのみ登場し、台詞もない。

下山大志 - 佐藤慶

下山建設社長。クリーンな環境・開発を売り物にしているが、実際はヤクザと警察を抱えてる。坂口が立ち退きに応じないから、竜太を誘拐し、坂口を徳田らと共謀し、留置場に入れる。その後もヤクザを使ってフリーインに嫌がらせをし、いろいろとかぎまわる新藤を追い払おうとする。

原作小説においては、下山は坂口を射殺し、すぐに逮捕されたということになってるが、映画版では、逮捕されたかどうか明確ではない。

高畠治郎 - 原田芳雄

下山建設部長。慶應義塾大学卒の元ボクサーで、昔不良数名を不具にした。下山らと組んでいる。

古賀三郎 - 清水昭博

下山建設社員。

石井仙一 - 中西良太

下山が抱えているヤクザの一人。新藤に殴りかかろうとするが殴られ、その後も新藤を狙い、射殺しようとするが、それも高畠に食い止められる。

徳田乙松 - 室田日出男

刑事。下山から金をもらい、共謀して、坂口を立ち退かせようとしてる。借用書を新藤から突き出され、坂口を釈放する。

亀井順一 - 草薙幸二郎

多満里の住民で、道具知ストアの店主。多満里の住人は元々のんびりしていて性悪な人間がいないのに、問題を起こし、多満里でただ一人立ち退きを反対している坂口を恥さらしと言い、よく思ってない。

石森健 - 常田富士男

多満里の住民で、イタリアンレストランの店主。食事に来た新藤がフリーインの宿泊客だから、水一杯やりたくない、もう来るなと言う。坂口が値段を吊り上げないから立ち退きに反対してると言う下山の言葉を信用している。

上原吉徳 - 椎谷建治

多満里の住民。

安里秀行 - 飯島大介

多満里の住民。

小宮豊 - 高柳良一

フリーインのフロント係。冴子と仲がいい。

小坂時枝 - 宮下順子

フリーインの住人で、クラブKENDOの従業員。結婚していて子どももいる。

今村静子 - 中村れい子

フリーインの住人で、クラブKENDOの従業員。もともと横浜にいたが、いろいろあって沖縄にくる。

桃原留美 - 伊藤麻耶

フリーインの住人で、クラブKENDOの従業員。後に沖縄を去る。

柴村冴子 - ジル・ジェイド(PERSONZ)

フリーインの住人で、クラブKENDOの従業員。豊と仲がいい。

スタッフ

• 製作 - 角川春樹
• プロデューサー - 黒澤満、紫垣達郎
• 脚本 - 丸山昇一
• 撮影 - 浜田毅
• 照明 - 井上幸男
• 美術 - 小川富美夫
• 録音 - 北村峰晴
• 編集 - 鈴木晄
• 助監督 - 成田裕介
• キャスティング - 飯塚滋
• 音楽 - 梅林茂（EX）
• 音楽プロデューサー - 石川光
• 擬斗 - 國井正廣
• 車両 - 富士映画
• 現像 - 東映化学
• 協力 - 全日本空輸、沖縄県名護市役所、名護市辺野古区公民館、名護市辺野古商工社交業組合、沖電気工業株式会社
• 製作協力 - セントラルアーツ