「アキュムレータ (コンピュータ)」の版間の差分

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2011年11月19日 (土) 11:33時点における版

アキュムレータ: Accumulator)は、コンピュータCPUレジスタの一種で、演算論理装置の演算結果を一時的に保持するレジスタである。アキュムレータのような役割のレジスタがないと、演算(加算、乗算、シフトなど)の結果を一々主記憶装置に書き込む必要があり、おそらく次の命令で即座にそれを読み出す必要が生じる。主記憶装置へのアクセスはレジスタに比べて時間がかかる。

アキュムレータ利用の典型例として、数列の総和の計算がある。アキュムレータの初期値をゼロにしておき、アキュムレータの値と数列上の各数値の加算結果をアキュムレータに保持する。数列の総和が求められた時点でアキュムレータの値を主記憶装置に書き込んだり、アキュムレータ以外のレジスタに書き込んだりする。

アキュムレータマシン

近年のCPUは多数のレジスタを持ち、そのほとんどを演算結果の格納用に使用できる。古いコンピュータ・アーキテクチャでは、命令セットでアキュムレータをオペランドとして明示的に指定することなく使っている。このようなマシンをアキュムレータマシンと呼ぶ。例えば、次のような命令である。

     ADD memaddress

この命令は、memaddress のメモリ位置にある内容を読み出し、それをアキュムレータ上の値と加算し、結果をアキュムレータに格納する。命令上はアキュムレータは全く指定されていないが、この命令は暗黙のうちに必ずアキュムレータを使用する。アーキテクチャによっては、一部の命令で暗黙のアキュムレータを使用し、別の命令では明示的にレジスタを番号指定する。

現代のプロセッサでもx86プロセッサにはアキュムレータマシン風のところがある。AXレジスタ(8ビットプロセッサ時代のAレジスタに由来する。32ビットではEAX)がアキュムレータ的に扱われており、初期の命令セットでは一部の命令(代表的なものはMULとDIV)のソースの一方およびデスティネーションが暗黙でAXとDXに固定されている、AXを対象とする命令には短縮形がある、などのように、AXレジスタにアキュムレータとしての特別扱いがあった。後に拡張されるに従い、アセンブリ言語レベルでは任意の命令に任意のオペランドが指定できるようになりこの特徴は見えなくなった。しかし、機械語レベルでは後方互換性を保っているのでこの特徴は残っている。

歴史

アキュムレータという名称は、accumulate(累算する)に由来する。

「我々の算術器官の第一の部品は…並列記憶器官であり、数を受け取ってそれを既に格納している数に加算する。また、その内容をクリアすることもでき、内容を他に格納することもできる。我々はこのような器官をアキュムレータと呼ぶ。これは計算機械としては昔からある原理であり、机上乗算器やIBMのカウンタやリレー計算機やENIACなどで採用されている」[1]

(現代風に解釈すれば)実行可能な命令は次のようである。

  • アキュムレータをクリアし、メモリ位置 x にある数を加算する。
  • アキュムレータをクリアし、メモリ位置 x にある数を減算する。
  • メモリ位置 x にある数をアキュムレータの内容と加算する。
  • メモリ位置 x にある数をアキュムレータの内容から減算する。
  • アキュムレータをクリアし、別のレジスタの内容をアキュムレータにシフトさせる。

命令のニーモニックからは、アキュムレータとどう関わるのか(入力なのか出力なのか)はわからないことが多い。ドナルド・クヌースの仮想(抽象)コンピュータ MIX では、アキュムレータへのロードを行う命令(LDA)やアキュムレータから他へのストアを行う命令(STA)がある。

脚注

  1. ^ Goldstine and von Neumann, 1946; p. 98 in Bell and Newell 1971

参考文献

  • Goldstine, Herman H., and von Neumann, John, "Planning and Coding of the Problems for an Electronic Computing Instrument", Rep. 1947, Institute of Advanced Study, Princeton. Reprinted on pp. 92-119 in Bell, C. Gordon and Newell, Allen (1971), Computer Structures: Readings and Examples, McGraw-Hill Book Company, New York. ISBN 0070043574}.

この記事は2008年11月1日以前にFree On-line Dictionary of Computingから取得した項目の資料を元に、GFDL バージョン1.3以降の「RELICENSING」(再ライセンス) 条件に基づいて組み込まれている。