「ITサービスマネージャ試験」の版間の差分

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'''ITサービスマネージャ試験'''( - しけん、[[英語|英]]:''Information Technology Service Manager Examination''、略'''SM''')は、[[独立行政法人]][[情報処理推進機構]] [[情報処理技術者試験センター]]が、[[情報処理技術者試験]]の一区分として行う[[経済産業大臣]](旧通商産業大臣)認定の[[国家試験]]である。{{和暦|2009}}春期試験より、{{和暦|2007}}12月に発表された新試験制度の'''スキルレベル4'''(スキルレベルは1~4が設定されている)に相当
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== 概要 ==
== 概要 ==
[[システムエンジニア]]の中でも主に業務システムの運用管理責任者を対象としている。システム運用管理に関する試験は、最近でこそ[[Information Technology Infrastructure Library|ITIL]]が注目されているが、これまではこの試験がほぼ唯一のものであった。試験には'''リスク管理'''や'''コスト管理'''といった側面が重視されるため、ある程度の経営知識やビジネススキルが要求される。そのためテクニカルエンジニア試験で唯一'''論文'''が課される。合格率は例年ほぼ'''6~8%'''程度と低い。この区分は[[高度情報処理技術者]]に含まれている。
[[システムエンジニア]]の中でも主に業務システムの運用管理責任者を対象としている。システム運用管理に関する試験は、最近でこそ[[Information Technology Infrastructure Library|ITIL]]が注目されているが、これまではこの試験がほぼ唯一のものであった。試験には'''リスク管理'''や'''コスト管理'''といった側面が重視されるため、ある程度の経営知識やビジネススキルが要求される。


'''沿革'''
本試験は、1995年の情報処理試験制度の改定期に登場した'''システム運用管理エンジニア試験'''に起源を持つ。この際には年齢制限(試験実施年の4月1日時点で満'''25歳'''以上であること)と'''業務経歴書'''の提出(業務経歴がない者でも、「経歴無し」とした文書を提出)という必要事項があった。この制限は2001年の試験制度改定期に廃止され、試験の名称も変更された。ただ情報処理試験センターの資料によると、システム運用管理エンジニアと'''テクニカルエンジニア(システム管理)'''は別個の試験であるようである(試験合格者記録などが累計されていない)。それでも、試験範囲や試験形式、試験内容はほぼ同じであり、ほぼすべての企業や受験参考書はこの2つの試験を同じものとして扱っている。
*平成 6年(1994年)'''システム運用管理エンジニア試験'''制定。
*平成 7年(1995年)春期より年一回実施、年齢制限は受験する年の4月1日時点で27歳以上、受験に際し業務経歴書(経歴の無い者は「業務経歴なし」と記した書類)の提出を要した。
*平成13年(2001年)制度改正により'''テクニカルエンジニア(システム管理)試験'''と改称、年齢制限と業務経歴書の提出を撤廃。
*平成17年(2005年)午前の試験時間延長及び出題数増加。
*平成21年(2009年)制度改正により改称。秋期に年一回実施。


==形式==
平成21年度から出題範囲・形式に変更が加えられ、現在の名称に改められた。
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テクニカルエンジニア(システム管理)試験と大きく異なり、ITIL に関する知識や ITIL の実務への適用経験などが問われる。
== 試験・資格の位置付け ==
{{See|情報処理技術者試験#情報処理技術者の位置付け}}


;午前I
== 試験 ==
試験時間50分。四肢択一式([[マークシート]]使用)で30問出題され全問解答。他の高度情報処理技術者試験と共通のスキルレベル3相当の問題が出題される満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前I試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午前II・午後I・午後IIは採点されない。
=== 2008年度以前の試験 ===
年1回、春期(4月の第3日曜日)に実施されていた。


;午前
; 午前II
試験時間40分。選択式マークシート使用)で全25問出題され全問解答。[[ITIL]] に関する用語の理解や、各管理プロセスの達成目標・メリットなどが問われる。また 午前I の内容に加えて、ITサービスマネジメントの観点から理解が必要と思われるITの用語や概念に関する問題が出題される。
マークシート式の四肢択一'''55問'''出題され、100分で全問解答する。IRT([[項目応答理論]])によって、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、'''600点'''以上で合格(午前試験通過)である。


;午後I
; 午後I
試験時間90分。式で、4問のうちから2問を選択して回答。それぞれの問題には設問が3~4問含まれており、すべてに回答する必要がある。それぞれの問題に対しケーススタディが与えられ、その中で指摘されている課題に ITIL の各管理プロセスを適用させた場合のメリット、注意点、実施すべき項目などが問われる。
システム運用管理に関する問題(大問)が4出題される。それぞれの大問は、主題の設定となる文章と、それに対するいくつかの小問からなる。そのうち3を選択し、90分で解答する。素点採点で、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、'''600点'''以上で合格(午後I試験通過)である。ただし、午前試験が600点に満たなかった者は採点されない。


;午後II
; 午後II
試験時間120分。論述式で、3問のうちから1問を選択して回答。それぞれの問題では ITIL の管理プロセスの一部が取り上げられ、そのプロセスを自分の業務でどのように適用したかということを自身の経験に基づき論述する。どの問題も設問が3問含まれており、それぞれの設問に対し600文字~1200文字程度で論述する形式となっている。
3つのテーマから1つを選んで、'''業務経験'''を踏まえて小論文(最低2400字~最大4000字)を120分で書く。採点はA,B,C,Dの4段階で評価され、Aのみ最終的に合格となる。ただし、午後I試験が600点に満たなかった者は採点されない。


'''科目免除'''
=== 2009年度からの試験 ===
年1回、秋期(10月の第3日曜日)に実施され、多肢選択式の午前試験と記述式の午後I試験、論述式の午後II試験と行われる。内容は2008年度までの試験と大きく異なり、ITIL に関する知識や ITIL の実務への適用経験などが問われる。


下記の試験に合格又は基準点を得れば、その年度の4月1日から2年間、午前Iの科目が免除される。
2009年度秋期試験の形式は以下の通り。
*応用情報処理技術者試験に合格すること。
*いずれかの高度情報処理技術者試験に合格すること。
*いずれかの高度情報処理技術者試験の午前Iに基準点以上を得ること。


===参考===
; 午前I
'''テクニカルエンジニア(システム管理)試験'''
選択式 (マークシート回答) 全30問を50分で回答する。内容は情報処理に関する基本的な知識を問うものであり、午前I の問題は同時に行われる [[ITストラテジスト試験]]、[[システムアーキテクト試験]]、[[ネットワークスペシャリスト試験]]、[[情報セキュリティスペシャリスト試験]]と共通である。


; 午前II
;午前
試験時間100分。四肢択一式(マークシート使用)で55問出題され全問解答。IRT([[項目応答理論]])によって、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午前試験通過)である。
選択式(マークシート回答) 全25問を40分で回する。[[ITIL]] に関する用語の理解や、各管理プロセスの達成目標・メリットなどが問われる。また 午前I の内容に加えて、ITサービスマネジメントの観点から理解が必要と思われるITの用語や概念に関する問題が出題される。
*当初から平成16年(2004年)までは、試験時間90分、50問出題。


; 午後I
;午後I
試験時間90分。システム運用管理に関する問題(大問)が4出題される。それぞれの大問は、主題の設定となる文章と、それに対するいくつかの小問からなる。うち3を選択し解答。素点採点で、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午後I試験通過)である。ただし、午前試験が600点に満たなかった者は採点されない。
記式試験で、問題4問のうちから2問を選択して90分で回答する。それぞれの問題には設問が3〜4問含まれており、すべてに回答する必要がある。それぞれの問題に対しケーススタディが与えられ、その中で指摘されている課題に ITIL の各管理プロセスを適用させた場合のメリット、注意点、実施すべき項目などが問われる。


; 午後II
;午後II
試験時間120分。3つのテーマから1つを選んで、業務経験を踏まえて小論文(最低2400字~最大4000字)を書く。採点はA,B,C,Dの4段階で評価され、Aのみ最終的に合格となる。ただし、午後I試験が600点に満たなかった者は採点されない。
筆記式試験で、問題3問のうちから1問を選択して120分で回答する。それぞれの問題では ITIL の管理プロセスの一部が取り上げられ、そのプロセスを自分の業務でどのように適用したかということを自身の経験に基づき論述する。どの問題も設問が3問含まれており、それぞれの設問に対し600文字〜1200文字程度で論述する形式となっている。
[[テクニカルエンジニア試験]]で唯一、論文が課されていた。


== その他 ==
{{節stub}}
*合格又は午前Iに基準点以上を得ればその年度の4月1日から2年間、他の高度情報処理技術者試験の午前Iの科目免除が受けられる。
*[[情報処理技術者試験センター]]の統計資料による累計値
{|class="wikitable" border="1"
!区分!!受験者数(人)!!合格者数(人)!!合格率(%)
|-
|システム運用管理エンジニア
|align="right"|13,793
|align="right"|940
|align="right"|6.8
|-
|テクニカルエンジニア(システム管理)
|align="right"|44,867
|align="right"|3,451
|align="right"|7.7
|-
|}
統計資料の推移表においてテクニカルエンジニア(システム管理)試験にかかる数値を本試験に計上しているが、システム運用管理エンジニア試験にかかる数値は計上していない。
*テクニカルエンジニア(システム管理)試験とシステム運用管理エンジニア試験の試験範囲・内容はほぼ同じであり、ほとんどの企業や受験参考書はこの2つの試験を同じものとして扱っていた。
*科目免除又は任用資格
**[[弁理士 (日本)|弁理士]]試験の科目免除
**[[技術陸曹|技術陸曹・海曹]]及び[[予備自衛官補]](技能公募)の任用資格
**[[警視庁特別捜査官]]の4級職([[警部補]])のコンピュータ犯罪捜査官の任用資格


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://www.jitec.jp/1_11seido/h13/sm.html 2005年現在のテクニカルエンジニア (システム管)試験の解説]
*[http://www.jitec.jp/ 情報処技術者試験センター]
* [http://www.jitec.jp/1_11seido/h6aki_h12aki/sm.html システム運用管理エンジニア試験の解説]
**[http://www.jitec.jp/1_00topic/topic_sinsikenseido_gaiyou.html 平成21年度からの試験体系図](新着情報)
* [http://www.jitec.jp/1_00topic/topic_sinsikenseido_gaiyou.html 平成21年度からの試験体系図]
**[http://www.jitec.jp/1_11seido/sm.html ITサービス試験(SM)](情報処理技術者試験制度 - 制度の概要)
**[http://www.jitec.jp/1_11seido/h13/sm.html テクニカルエンジニア(システム管理)試験(SM) 平成13年度春期から平成20年度秋期まで](同上)
**[http://www.jitec.jp/1_11seido/h6aki_h12aki/sm.html システム運用管理エンジニア試験(SM) 平成7年度春期から平成12年度春期まで](同上)


{{情報処理技術者試験}}
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[[Category:情報技術者]]
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2011年9月25日 (日) 14:55時点における版

ITサービスマネージャ試験
英名 Information Technology Service Manager Examination
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 情報処理
試験形式 筆記
認定団体 経済産業省
認定開始年月日 2009年(平成21年)
根拠法令 情報処理の促進に関する法律
公式サイト http://www.jitec.jp/
特記事項 実施は情報処理技術者試験センター
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
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ITサービスマネージャ試験( - しけん、Information Technology Service Manager Examination、略号SM)は、情報処理技術者試験の一区分である。情報処理技術者試験制度のスキルレベル4(スキルレベルは1~4が設定されている。)で高度情報処理技術者試験に含まれる。

概要

システムエンジニアの中でも主に業務システムの運用管理責任者を対象としている。システム運用管理に関する試験は、最近でこそITILが注目されているが、これまではこの試験がほぼ唯一のものであった。試験にはリスク管理コスト管理といった側面が重視されるため、ある程度の経営知識やビジネススキルが要求される。

沿革

  • 平成 6年(1994年)システム運用管理エンジニア試験制定。
  • 平成 7年(1995年)春期より年一回実施、年齢制限は受験する年の4月1日時点で27歳以上、受験に際し業務経歴書(経歴の無い者は「業務経歴なし」と記した書類)の提出を要した。
  • 平成13年(2001年)制度改正によりテクニカルエンジニア(システム管理)試験と改称、年齢制限と業務経歴書の提出を撤廃。
  • 平成17年(2005年)午前の試験時間延長及び出題数増加。
  • 平成21年(2009年)制度改正により改称。秋期に年一回実施。

形式

テクニカルエンジニア(システム管理)試験と大きく異なり、ITIL に関する知識や ITIL の実務への適用経験などが問われる。

午前I

試験時間50分。四肢択一式(マークシート使用)で30問出題され全問解答。他の高度情報処理技術者試験と共通のスキルレベル3相当の問題が出題される満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前I試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午前II・午後I・午後IIは採点されない。

午前II

試験時間40分。選択式(マークシート使用)で全25問出題され全問解答。ITIL に関する用語の理解や、各管理プロセスの達成目標・メリットなどが問われる。また 午前I の内容に加えて、ITサービスマネジメントの観点から理解が必要と思われるITの用語や概念に関する問題が出題される。

午後I

試験時間90分。記述式で、4問のうちから2問を選択して回答。それぞれの問題には設問が3~4問含まれており、すべてに回答する必要がある。それぞれの問題に対しケーススタディが与えられ、その中で指摘されている課題に ITIL の各管理プロセスを適用させた場合のメリット、注意点、実施すべき項目などが問われる。

午後II

試験時間120分。論述式で、3問のうちから1問を選択して回答。それぞれの問題では ITIL の管理プロセスの一部が取り上げられ、そのプロセスを自分の業務でどのように適用したかということを自身の経験に基づき論述する。どの問題も設問が3問含まれており、それぞれの設問に対し600文字~1200文字程度で論述する形式となっている。

科目免除

下記の試験に合格又は基準点を得れば、その年度の4月1日から2年間、午前Iの科目が免除される。

  • 応用情報処理技術者試験に合格すること。
  • いずれかの高度情報処理技術者試験に合格すること。
  • いずれかの高度情報処理技術者試験の午前Iに基準点以上を得ること。

参考

テクニカルエンジニア(システム管理)試験

午前

試験時間100分。四肢択一式(マークシート使用)で55問出題され全問解答。IRT(項目応答理論)によって、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午前試験通過)である。

  • 当初から平成16年(2004年)までは、試験時間90分、50問出題。
午後I

試験時間90分。システム運用管理に関する問題(大問)が4問出題される。それぞれの大問は、主題の設定となる文章と、それに対するいくつかの小問からなる。うち3問を選択して解答。素点採点で、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午後I試験通過)である。ただし、午前試験が600点に満たなかった者は採点されない。

午後II

試験時間120分。3つのテーマから1つを選んで、業務経験を踏まえて小論文(最低2400字~最大4000字)を書く。採点はA,B,C,Dの4段階で評価され、Aのみ最終的に合格となる。ただし、午後I試験が600点に満たなかった者は採点されない。 テクニカルエンジニア試験で唯一、論文が課されていた。

その他

  • 合格又は午前Iに基準点以上を得ればその年度の4月1日から2年間、他の高度情報処理技術者試験の午前Iの科目免除が受けられる。
  • 情報処理技術者試験センターの統計資料による累計値
区分 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
システム運用管理エンジニア 13,793 940 6.8
テクニカルエンジニア(システム管理) 44,867 3,451 7.7

統計資料の推移表においてテクニカルエンジニア(システム管理)試験にかかる数値を本試験に計上しているが、システム運用管理エンジニア試験にかかる数値は計上していない。

  • テクニカルエンジニア(システム管理)試験とシステム運用管理エンジニア試験の試験範囲・内容はほぼ同じであり、ほとんどの企業や受験参考書はこの2つの試験を同じものとして扱っていた。
  • 科目免除又は任用資格

外部リンク