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'''最良証拠主義'''(さいりょうしょうこしゅぎ)とは、日本の[[裁判]]制度において、[[証拠]]収集を主に[[検察]]側が行い、そのなかで、[[被告]]を有罪にするために必要な証拠のみを[[裁判所]]に提出すればよいという考え方のこと。 |
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日本の[[刑事訴訟法]]において、被告人および[[弁護人]]は検察官が提出する予定がない証拠を閲覧する根拠条文がない。ただし、判例によれば、被告人と検察官の立場との実質的対等を図るために裁判所が命令を発することができるとされている。この判例は、刑事訴訟法294条に定められる、裁判所の訴訟指揮権を根拠としている。しかしながら、全面開示は被告人による証人威迫・罪証隠滅のおそれ、弁護活動の低調化が懸念されるため、証拠の開示は個別開示命令にとどめるべきとの判例がある。 |
日本の[[刑事訴訟法]]において、被告人および[[弁護人]]は検察官が提出する予定がない証拠を閲覧する根拠条文がない。ただし、判例によれば、被告人と検察官の立場との実質的対等を図るために裁判所が命令を発することができるとされている。この判例は、刑事訴訟法第294条に定められる、裁判所の訴訟指揮権を根拠としている。しかしながら、全面開示は被告人による証人威迫・罪証隠滅のおそれ、弁護活動の低調化が懸念されるため、証拠の開示は個別開示命令にとどめるべきとの判例がある。 |
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==検察官手持ち証拠開示義務化の動き== |
==検察官手持ち証拠開示義務化の動き== |
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民主党は、刑事訴訟法改正を実現し、マニフェスト・政策INDEX2009において、「刑事裁判での証拠開示の徹底を図るため、検察官手持ち証拠の一覧表の作成・開示を義務付ける」ことを公約の一つとして掲げている。 |
民主党は、刑事訴訟法改正を実現し、マニフェスト・政策INDEX2009において、「刑事裁判での証拠開示の徹底を図るため、検察官手持ち証拠の一覧表の作成・開示を義務付ける」ことを公約の一つとして掲げている。 |
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[[松山事件]]では、任意に検察側が開示した書状の通し番号の欠落から偶然にも重要証人の虚偽証言が明らかになった。[[梅田事件]]では、検察側から出された被害者の頭蓋写真が決定的な反証材料となった。再審事件のみならず、冤罪を訴えて無罪となった数多くの著名事件でも無罪方向の手がかりが得られた[[松川事件]]で被告人らの[[アリバイ]]を証明する第三者のメモ帳が検察側によって秘匿されていた、いわゆる「[[諏訪メモ]]」の例がある。 |
[[松山事件]]では、任意に検察側が開示した書状の通し番号の欠落から偶然にも重要証人の虚偽証言が明らかになった。[[梅田事件]]では、検察側から出された被害者の頭蓋写真が決定的な反証材料となった。再審事件のみならず、冤罪を訴えて無罪となった数多くの著名事件でも無罪方向の手がかりが得られた[[松川事件]]で被告人らの[[アリバイ]]を証明する第三者のメモ帳が検察側によって秘匿されていた、いわゆる「[[諏訪メモ]]」の例がある。 |
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これらのケースでは、いずれも検察が元の裁判では開示しなかった資料を引き出せた結果、やがて再審無罪や逆転無罪に至ったものである。 |
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2011年5月30日 (月) 10:30時点における版
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
最良証拠主義(さいりょうしょうこしゅぎ)とは、日本の裁判制度において、証拠収集を主に検察側が行い、そのなかで、被告を有罪にするために必要な証拠のみを裁判所に提出すればよいという考え方のこと。
判例
日本の刑事訴訟法において、被告人および弁護人は検察官が提出する予定がない証拠を閲覧する根拠条文がない。ただし、判例によれば、被告人と検察官の立場との実質的対等を図るために裁判所が命令を発することができるとされている。この判例は、刑事訴訟法第294条に定められる、裁判所の訴訟指揮権を根拠としている。しかしながら、全面開示は被告人による証人威迫・罪証隠滅のおそれ、弁護活動の低調化が懸念されるため、証拠の開示は個別開示命令にとどめるべきとの判例がある。
検察官手持ち証拠開示義務化の動き
民主党は、刑事訴訟法改正を実現し、マニフェスト・政策INDEX2009において、「刑事裁判での証拠開示の徹底を図るため、検察官手持ち証拠の一覧表の作成・開示を義務付ける」ことを公約の一つとして掲げている。
元の裁判では被告側が触れることのできなかった証拠から、再審無罪や逆転無罪に至った例
松山事件では、任意に検察側が開示した書状の通し番号の欠落から偶然にも重要証人の虚偽証言が明らかになった。梅田事件では、検察側から出された被害者の頭蓋写真が決定的な反証材料となった。再審事件のみならず、冤罪を訴えて無罪となった数多くの著名事件でも無罪方向の手がかりが得られた松川事件で被告人らのアリバイを証明する第三者のメモ帳が検察側によって秘匿されていた、いわゆる「諏訪メモ」の例がある。
これらのケースでは、いずれも検察が元の裁判では開示しなかった資料を引き出せた結果、やがて再審無罪や逆転無罪に至ったものである。
参考文献
- 大コンメンタール刑事訴訟法 第4巻 〔第247条~第316条,藤永幸治/河上和雄/中山善房 編,ISBN 4-417-01103-6
- 最高裁判決昭和34・12・26刑集13巻13号3372頁
- 読売新聞、2002年2月20日朝刊、13面「論点」