「口語」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
1行目: 1行目:
'''口語'''(こうご)とは、
'''口語'''(こうご)とは、
#言語学等における[[会話]]などで用いられる口頭での[[言葉遣い]]のこと。本項で説明する。[[口頭言語]]も参照。
#[[言語学]]等における[[会話]]などで用いられる口頭での[[言葉遣い]]のこと。'''話し言葉'''。本項で[[説明]]する。[[口頭言語]]も参照。
#[[日本語]]の口語体のこと。明治以前に用いられていた[[日本語の文語|文語体]]に対して、1を基盤として[[言文一致]]運動を経て成立した現代的な[[文語]]である。
#[[日本語]]の[[口語体]]のこと。明治以前に用いられていた[[日本語の文語|文語体]]に対して、1を基盤として[[言文一致]]運動を経て成立した現代的な[[文語]]である。
#言語学等における[[w:spoken language|spoken language]](音を媒介とする言語)のこと。[[音声言語]]参照。
#言語学等における[[w:spoken language|spoken language]](音を媒介とする言語)のこと。[[音声言語]]参照。


----
----
'''口語'''(こうご)とは普通の日常的な生活の中での[[会話]]で用いられる[[言葉遣い]]のことである。'''話し言葉'''。[[書記言語]]で使われる[[文語]]と違い、[[方言]]と呼ばれる地域差や社会[[階層]]などによる[[言語変種]]が応じやすく、これらと[[共通語]]などを使い分ける状態は[[ダイグロシア]]と呼ばれる。
'''口語'''(こうご)とは普通の日常的な生活の中での[[会話]]で用いられる[[言葉遣い]]のことである。[[書記言語]]で使われる[[文語]]と違い、[[方言]]と呼ばれる地域差や社会[[階層]]などによる[[言語変種]]が応じやすく、これらと[[共通語]]などを使い分ける状態は[[ダイグロシア]]と呼ばれる。


口語は人間の[[言語]]の基本となる形態である。「[[音声言語]]」という用語がこの意味で用いられることがある。アラビア語や近世日本語など、口語と文語の区別を持つ言語も多いが、言語や方言によっては、[[書記言語]](文語)の体系を持っていないものもある。
口語は[[人間]]の[[言語]]の[[基本]]となる形態である。「[[音声言語]]」という用語がこの意味で用いられることがある。アラビア語や近世日本語など、口語と文語の区別を持つ言語も多いが、言語や方言によっては、[[書記言語]](文語)の体系を持っていないものもある。


文語と違い[[規範文法]]が適用されないことが多く、「[[日本語の乱れ]]」等とされる言語の「ゆれ」、慣用的な言い回し、本来の意味とは違った用法も多く見られる。ただし公式に認められている言語([[公用語]])や共通語にもその口語があり、社会的な受容度で区別される「[[俗語]]」の概念とは多少異なる。
文語と違い[[規範文法]]が適用されないことが多く、「[[日本語の乱れ]]」等とされる言語の「ゆれ」、慣用的な言い回し、本来の意味とは違った用法も多く見られる。ただし公式に認められている言語([[公用語]])や共通語にもその口語があり、社会的な受容度で区別される「[[俗語]]」の概念とは多少異なる。

2011年1月31日 (月) 12:14時点における版

口語(こうご)とは、

  1. 言語学等における会話などで用いられる口頭での言葉遣いのこと。話し言葉。本項で説明する。口頭言語も参照。
  2. 日本語口語体のこと。明治以前に用いられていた文語体に対して、1を基盤として言文一致運動を経て成立した現代的な文語である。
  3. 言語学等におけるspoken language(音を媒介とする言語)のこと。音声言語参照。

口語(こうご)とは普通の日常的な生活の中での会話で用いられる言葉遣いのことである。書記言語で使われる文語と違い、方言と呼ばれる地域差や社会階層などによる言語変種が応じやすく、これらと共通語などを使い分ける状態はダイグロシアと呼ばれる。

口語は人間言語基本となる形態である。「音声言語」という用語がこの意味で用いられることがある。アラビア語や近世日本語など、口語と文語の区別を持つ言語も多いが、言語や方言によっては、書記言語(文語)の体系を持っていないものもある。

文語と違い規範文法が適用されないことが多く、「日本語の乱れ」等とされる言語の「ゆれ」、慣用的な言い回し、本来の意味とは違った用法も多く見られる。ただし公式に認められている言語(公用語)や共通語にもその口語があり、社会的な受容度で区別される「俗語」の概念とは多少異なる。


文語(書き言葉)

文語はある時点で標準化が行われるが、時代が経つと次第に口語と文語の間に著しい差異が生じてくる場合がある。例えば、言文一致運動前の日本語では、平安時代以来の書き言葉を標準にした文語体が使われていたため、庶民が話す言葉と文章に書かれる言葉の間にかなりの乖離が見られた[1]

特徴

口語は、伝統的な文法や統語論に従わないことがある。また、口語は書き言葉である文語に比べて変化が速い。

省略

口語ではしばしば語句の省略が起こり、文法的に見ると不完全と考えられることがある。例えば次の例のように、明白な語句の大きく省略されたものになることはよくある。

A: 今年休暇ドライブに行くんだ。(私は今年の休暇はドライブに行きます。)
B: どこに?(どこにドライブに行くのですか?)
A: 富士山に。(富士山にドライブに行くのです。)
B: 誰と?(誰と行くのですか?)
A: とだよ。(妻と行くのです。)
B: いつ?(いつ行くのですか?)
A: 6月。(6月に行くのです。)

関連項目

脚注

  1. ^ 関連書籍『江戸の声 話されていた言葉を聴く』 江戸東京ライブラリー 25 鈴木丹士郎 教育出版 ISBN 4316359401