「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」の版間の差分

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: ヒルダの父。爵位は[[伯爵]]。カストロプ[[動乱]]の際、親族につながるカストロプ[[公爵]]の説得を試みるが逆に捕らえられ、討伐軍の[[ジークフリード・キルヒアイス|キルヒアイス]]に救出される。[[非主流]]とはいえマリーンドルフ家は歴史ある[[銀河英雄伝説の用語#門閥貴族|門閥貴族]]の一門であり、リップシュタット[[戦役]]では[[中立]]を望みながらもどちらの陣営につくべきか当主として逡巡する。しかし政治センスに優れ、時代の流れを読んだ娘の[[ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ|ヒルダ]]に説得される形で、最終的にラインハルト側につく。これが帝国の貴族社会に与えた影響は少なからぬものがあったと思われる(原作にも貴族たちがマリーンドルフ伯にとりなしを頼んだという描写がある)。
: ヒルダの父。爵位は[[伯爵]]。カストロプ[[動乱]]の際、親族につながるカストロプ[[公爵]]の説得を試みるが逆に捕らえられ、討伐軍の[[ジークフリード・キルヒアイス|キルヒアイス]]に救出される。[[非主流]]とはいえマリーンドルフ家は歴史ある[[銀河英雄伝説の用語#門閥貴族|門閥貴族]]の一門であり、リップシュタット[[戦役]]では[[中立]]を望みながらもどちらの陣営につくべきか当主として逡巡する。しかし政治センスに優れ、時代の流れを読んだ娘の[[ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ|ヒルダ]]に説得される形で、最終的にラインハルト側につく。これが帝国の貴族社会に与えた影響は少なからぬものがあったと思われる(原作にも貴族たちがマリーンドルフ伯にとりなしを頼んだという描写がある)。
: ラインハルトが皇帝に即位すると、その誠実で公明正大な人柄によりローエングラム王朝の初代国務尚書に就任。ほどなく甥のキュンメル男爵によるラインハルト暗殺未遂事件が起こり、皇帝主席秘書官となっていたヒルダと自主的に謹慎。しかしラインハルトはマリーンドルフ親子に一切の類罪を認めず、謹慎をすぐに解かせた。大逆犯の累系は一族処刑か[[流罪|流刑]]が旧ゴールデンバウム王朝での慣例であり、[[パウル・フォン・オーベルシュタイン|オーベルシュタイン]]もそれに沿う処断を求めたが、ラインハルトは一蹴している。
: ラインハルトが皇帝に即位すると、その誠実で公明正大な人柄によりローエングラム王朝の初代国務尚書に就任。ほどなく甥のキュンメル男爵によるラインハルト暗殺未遂事件が起こり、皇帝主席秘書官となっていたヒルダと自主的に謹慎。しかしラインハルトはマリーンドルフ親子に一切の類罪を認めず、謹慎をすぐに解かせた。大逆犯の累系は一族処刑か[[流罪|流刑]]が旧ゴールデンバウム王朝での慣例であり、[[パウル・フォン・オーベルシュタイン|オーベルシュタイン]]もそれに沿う処断を求めたが、ラインハルトは一蹴している。
: 翌年ヒルダが妊娠し、皇帝の世継ぎの祖父と言う立場になるが、そんな人物が[[宰相]]級(国務尚書だが)の地位にいて良い結果を出した例は一つもない事から、娘に国務尚書職を辞任する意向を伝える。新帝国暦3年早々、ラインハルトに辞任を申し出たが、後継者が決まってないとう事もあって留任され、結局ラインハルトの崩御まで国務尚書を務めた。自分の後継に軍人である[[ウォルフガング・ミッターマイヤー|ミッターマイヤー]]を推薦しているが、彼が引き受けたかどうかは不明。
: 翌年ヒルダが妊娠し、皇帝の世継ぎの祖父と言う立場になるが、そんな人物が[[宰相]]級(国務尚書だが)の地位にいて良い結果を出した例は一つもない事から、娘に国務尚書職を辞任する意向を伝える。新帝国暦3年早々、ラインハルトに辞任を申し出たが、後継者が決まってないとう事もあって留任され、結局ラインハルトの崩御まで国務尚書を務めた。自分の後継に軍人である[[ウォルフガング・ミッターマイヤー|ミッターマイヤー]]を推薦しているが、彼が引き受けたかどうかは不明。
: キュンメル男爵家の財産を、病弱な甥に代わり公平に管理した事でも有名。その誠実な人柄がラインハルトのみならず、ミッターマイヤーら軍人からも厚い信頼を受けた。温厚で誠実な以外はやや凡庸な人物として周囲に思われており、国務尚書の地位に就いたのは「娘の七光り」(周囲にも非凡さが知られていたヒルダの能力によるもの)という評判である。作中前半では実際にそのように描かれていたが、有能さで知られたヒルダを帝国の貴族社会の中で貴族令嬢の型に入れず育てあげたのは彼であり、非凡な面もうかがわせる。やがて娘の限界を補い年長者として優しく導く役割を担い、ラインハルトに求婚され動揺するヒルダを優しく諭したり、自分の後任にミッターマイヤーを推してヒルダを驚かせたりと、物語の終盤にかけてヒルダとの立場が逆転気味である。
: キュンメル男爵家の財産を、病弱な甥に代わり公平に管理した事でも有名。その誠実な人柄がラインハルトのみならず、ミッターマイヤーら軍人からも厚い信頼を受けた。温厚で誠実な以外はやや凡庸な人物として周囲に思われており、国務尚書の地位に就いたのは「娘の七光り」(周囲にも非凡さが知られていたヒルダの能力によるもの)という評判である。作中前半では実際にそのように描かれていたが、有能さで知られたヒルダを帝国の貴族社会の中で貴族令嬢の型に入れず育てあげたのは彼であり、非凡な面もうかがわせる。やがて娘の限界を補い年長者として優しく導く役割を担い、ラインハルトに求婚され動揺するヒルダを優しく諭したり、自分の後任にミッターマイヤーを推してヒルダを驚かせたりと、物語の終盤にかけてヒルダとの立場が逆転気味である。



2009年10月2日 (金) 03:40時点における版

銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国(ぎんがえいゆうでんせつのとうじょうじんぶつ・ぎんがていこく)は、田中芳樹の小説、およびそれを原作としたアニメ『銀河英雄伝説』に登場する、架空の人物の内、銀河帝国に所属・分類される人物の一覧である。

ラインハルト・フォン・ローエングラム

ローエングラム陣営

親族

アンネローゼ・フォン・グリューネワルト

ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ(ヒルダ)

アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラム(Alexander Siegfried von Lohengramm)

ラインハルトとヒルダの間に生まれた男子。新帝国暦3年5月14日生まれ。6月1日に誕生予定だった。だが5月14日仮皇宮である柊館が地球教徒に襲撃され騒然とした中でヒルダが産気づきテロが鎮圧された後に病院に搬送され午後10時50分に誕生した。身体的な欠陥は無い(医師の発言)が、誕生から本編終了まで2ヶ月強しか進行しなかった為、人格的な特徴は判別出来なかった。
名付け親はラインハルト。熟考の末、故人となったジークフリード・キルヒアイスのファースト・ネームをミドル・ネームに採用した。ファースト・ネームであるアレクサンデルの出所は不明。この名称によって「アレク大公(プリンツ・アレク)」と呼ばれる様になる。
アニメでは髪の色と瞳の色がラインハルトに近い。

セバスティアン・フォン・ミューゼル(Sebastian von Musel)

(声:矢田耕司星野充昭[黄])
ラインハルトアンネローゼの実父。身分は帝国騎士(ライヒスリッター)。爵位も持たない貧乏貴族とラインハルトが呼んだように、貴族とは名ばかりの下級貴族である。妻のクラリベルと死別して以来人生と子供の養育を半ば放棄し、15歳になったアンネローゼを後宮に納めてラインハルトから父親と認められなくなった。もっとも、後宮入りはライヒスリッターであるセバスティアンが断れるものでもなく、苦悩していた。その後、帝室から下賜された支度金年金に換えて飲み続けたあげく肝硬変を患い、帝国暦484年4月28日19:40、憲兵隊に出向していたラインハルトが幼年学校の生徒変死事件を調査している最中に死亡した。終生、帝国騎士のままで終わったが、それについては生前、男爵位を自ら希望したが拒絶されたとも、逆に授与を固辞したとの噂も伝わっている。ラインハルトは無条件で前者の噂を信じていたようだ。遺体はアンネローゼが母親の為に用意していた墓地に埋葬された。
漫画版(道原かつみ)においては妻であるクラリベルの死亡は家族の眼前で上級貴族の車に跳ねられる描写がなされており、セバスティアンはその事に関して謝罪を求めるも家柄を軽んじられた上に事故そのものを揉み消された事に絶望して酒に逃避した。娘のアンネローゼが後宮に召しだされた際は罵声を浴びせる息子のラインハルトに心の中で“どうせ逆らえないのなら金を貰った方がマシさ…”と自嘲してもおり、彼にとっても必ずしも本意ではなかったことが示唆されている。

クラリベル・フォン・ミューゼル

(声:安永沙都子[黄])
ラインハルトアンネローゼの実母。二人が幼い時に死亡している。道原かつみによる漫画版の「黄金の翼」では、雪の日に外で遊んでいたミューゼル一家に門閥貴族の運転する車が突っ込み、二人の目の前で轢かれるシーンが描かれている。映画版の「黄金の翼」では、雪の日に家族4人で買い物をしている最中、スリップ事故を起こした車から子供を助ける為に身代わりになっている。

ローエングラム陣営軍人(主要提督)

ローエングラム陣営軍人(主要提督以外)

艦隊司令官/幕僚

ブルーノ・フォン・クナップシュタイン
(声:檜山修之
グリルパルツァーと共に次期の帝国軍の「双璧」になるであろうと期待されていた人物。旗艦はウールヴールン。レンネンカンプの元で戦術家として鍛え上げられた。真面目な性格の人物で清教徒のようであると評された。しかし上司であるレンネンカンプのような頑固なまでの生真面目さは無く、優柔不断だったようだ。「第1次ラグナロック作戦」作戦ではレンネンカンプ艦隊に属す(少将)。レンネンカンプの同盟駐在高等弁務官就任に伴い、大将に昇進して彼の艦隊の半分の指揮官となる。第2次ラグナロック作戦 (大親征)ではラインハルト直属となりマル・アデッタ星域会戦ではグリルパルツァーと共に前衛を務めたが、同盟のビュコック元帥に翻弄された。
大親征の終了と共に新領土総督となったロイエンタールの部下となる。ロイエンタールの叛乱時は、最初は真面目に協力を拒否した。しかし友グリルパルツァーの説得(実際は一緒にロイエンタールを裏切るように仕向けられた)を拒みきれず、ともに第2次ランテマリオ会戦に臨む。だが自軍をロイエンタール軍の弱点とみなされ、ミッターマイヤーの猛攻を受け戦死する。叛逆にも裏切りにも釈然としない彼にとって、皮肉でかつ理不尽な死に方であった。グリルパルツァーと違い戦死後の階級剥奪はなかった。
アルフレット・グリルパルツァー
(声:嶋崎伸夫[2期]、咲野俊介[3期])
クナップシュタインとともに未来の帝国軍を担う人物と目された人物。軍人としてだけではなく、「探検家提督」としても知られており、地理学者としても大成を期待されていた。旗艦はウールヴールンの姉妹艦エイストラ。
OVAではクナップシュタインと共にミッターマイヤーにレンネンカンプの復讐戦の申し出をした際、学術論文が認められ、帝国地理博物協会への入会が認められ、一旦退室して喜びをあらわにしていた。
原作での初登場は「大親征」だがOVAでは第1次ラグナロック作戦レンネンカンプ幕僚少将)として登場。クナップシュタインと同じく大将に昇進して旧レンネンカンプ艦隊の半分の指揮官となりラインハルト直属となった。マル・アデッタ星域会戦では「もはや白髪の老人の時代ではない」と豪語し、先鋒として同盟のビュコック元帥に挑むが、その「白髪の老人」にいいように翻弄され、本陣への突出を許してしまった。
その後ロイエンタールの新領土総督就任に伴い彼の指揮下に入る。ウルヴァシー事件の時にロイエンタールから事件の調査と治安の回復を命じられ現地に向かうが、現地の事情(死者の一部に地球教徒がいた事など)を一切報告せず、叛乱を既成事実化してしまう。その後ロイエンタールに従属を申し入れ軍務尚書、帝国元帥の地位を約束させる。その裏ではクナップシュタインをも誘い込みロイエンタールを裏切る計画であった。
そして第2次ランテマリオ会戦に臨むが、ミッターマイヤーに自軍が直接猛攻されてしまったため、裏切りどころか全力で防戦する羽目に陥った。そして裏切りを諦めて単独降伏しようとすれば、今度はロイエンタールの直属艦隊が救援に来てしまった。
ロイエンタール軍が追いついてきたミッターマイヤー軍を反転迎撃しようとした時、ロイエンタールに裏切りの砲火を浴びせる(バルトハウザーとシュラーは原作では会戦時に戦死しているがアニメではこの時死亡)。そのまま同士討ちに雪崩れ込んだが、力及ばず合い討ちにされてしまう。皮肉にも、この時最も果敢に反撃したのは一緒に裏切る予定だったクナップシュタインの残存艦隊であった(クナップシュタイン自身はこの時既に戦死している)。そして憎悪と軽蔑を一身に集め、ミッターマイヤー軍に降伏するがミッターマイヤーを避けてワーレンに降伏した(この姑息な小細工も、元々裏切りの類を嫌っていた諸将の心証を更に悪化させた)。
その後メックリンガーのウルヴァシー事件再調査により彼の意図が明らかになり、メックリンガーから厳しく糾弾された。そしてラインハルトに階級を剥奪され、自殺を命じられる。
かつてはミッターマイヤーですら、バイエルラインにグリルパルツァーの見識の広さを見習うよう言ったほどの非の打ち所の無い経歴の持ち主だったが、一つの悪行によりその経歴が全て否定された人物の典型である。
なお、あまりにも憎悪と軽蔑を一身に背負ったお陰で、相対的にロイエンタールに対して最後まで忠誠を尽くした他の将兵に対して同情的な面が集められた側面もあった。
カール・エドワルド・バイエルライン
(声:大山尚雄林延年[2期])
ミッターマイヤー幕僚。旗艦はニュルンベルク。独特な嗅覚を備えており、ラグナロック作戦の段階でロイエンタールの危険性を本能的に感じていたと思われる行動を採っている。後世の歴史家は「ミッターマイヤーの後継者。有能で誠実で清廉な軍人」と記録する(力量としてはアッテンボローと互角と評されていた)が、回廊の戦いではヤンに弄ばれ、第2次ランテマリオ会戦ではロイエンタールに「青二才」呼ばわりされた上、彼の策に乗って副司令官のレマー中将を失っている(アニメ版では、死亡を告げられた際にバイエルラインが衝撃を受けた様子を表している)事など、ヤン、ロイエンタールら主役級将帥と比較して力量が下回っている事が描かれている。
フォルカー・アクセル・フォン・ビューロー
(声:村山明
ミッターマイヤーの幕僚で、元はキルヒアイスの幕僚。同じく元キルヒアイスの幕僚だったベルゲングリューンとは親友。ミッターマイヤーの幕僚の中では年長の方であり、血気盛んなバイエルラインを抑えたり、ミッターマイヤーと各提督との間を仲介したり、といった調整役に廻る事が少なくない。その人格・見識はミッターマイヤーも一目置き、その進言を重く用いる傾向がある。また、戦場で目立った活躍はないものの、ヤン・ウェンリー暗殺時に暗殺犯を捕捉・撃沈しているなど独自に艦隊を率い、的確に指揮している様子がうかがえる。
物語終盤ラインハルトや帝国幹部がハイネセンを去った後バーラト共和政府の樹立までの間ハイネセンの治安を担当し、「ルビンスキーの火祭り」の後の混乱した治安を回復させた。
ロイエンタール叛乱時はベルゲングリューンがロイエンタール側に付いたという事で彼とは敵同士となってしまう。互いに生き残るものの、戦いの終結後にベルゲングリューンはビューローの必死の説得にもかかわらず自殺してしまう。
ハンス・エドアルド・ベルゲングリューン
(声:田中亮一
ロイエンタール幕僚で、元はキルヒアイスの幕僚。同じく元キルヒアイスの幕僚だったビューローとは親友。アニメでは頬から顎にかけて赤茶色のヒゲを蓄えている。忠誠心旺盛(国や主君ではなく、上官に対する)だが感情に流される傾向があり、キルヒアイスの死に心をいためる一方、その原因を作って平然としている(様に見える)オーベルシュタインに反感と不満を抱き続けている。
ロイエンタールの幕僚となってからは、その野心的な言動をたしなめ、謀反の疑いでロイエンタールが拘禁された時も奔走。ついにロイエンタールが叛乱を決意した際も、最後まで異を唱えている。一方で命に従い、人材の薄いロイエンタール軍の戦略・戦術に副司令官として貢献。ロイエンタールの死後、自殺を遂げる。死の直前、制止するために説得するビューローに向かって告げたラインハルトへの伝言は、皇帝に対してこれほど痛烈な批判は無いとされた。
OVA版では、当初キルヒアイスの能力に懐疑的で、軍事行動中にも関わらず酒びたりになっていた。ロイエンタールが謀反の疑いをかけられた際にビューローに吐いた言動や、死の間際のラインハルトへの批判などを見ても、言動に癖が強い人物である。また、捕虜交換式の時にビューローと共にキルヒアイスに同行しており、バーミリオン会戦以前にヤン・ウェンリーに出会った数少ない提督の一人となっている。
艦隊司令官/幕僚・その他
ケンプ艦隊の分艦隊司令官。少将。ユリアン初陣にもなった、イゼルローン回廊内での小競り合いアッテンボローと戦うが、ヤン艦隊の名前に対し慎重になりすぎて勝機を逃し、ヤンの増援もあって撤退する。その後、要塞対要塞戦に参加するが、同盟軍の挟み撃ちに遭い、艦隊が壊滅した(アニメ版のセリフ。なおアイヘンドルフ本人の消息については描写が無い)。
  • ウェルナー・アルトリンゲン (声:飯田道朗[52])
中将。ラグナロック作戦におけるラインハルトの直属部隊のひとつの司令官。原作小説ではガイエスブルク要塞ワープ実験に立ち会っている。旗艦はブロックル。
  • ヴァーゲンザイル (声:山口健
大将。第2次ラグナロック作戦 (大親征)において、グローテヴォール艦隊の次の位置に配置された艦隊の司令官。旗艦はバレンダウン。新帝国暦3年2月のイゼルローン革命軍との回廊の戦いでは、旧帝国側に布陣していた艦隊の司令官として登場。若手の司令官に多く見られた豪語の悪癖があり、「イゼルローンの捨て犬どもが遠吠えしているうちに自分を狼だと錯覚したらしい」と嘲笑っていたが、ユリアンの術策に翻弄され、良い所無く撤退しただけでなく、ワーレン艦隊に伏兵の所在を知らせる余裕も持てなかった為、後日の検証でミッターマイヤーメックリンガーから批判を受ける。帝国暦801年当時、帝国では上級大将以上と大将以下の将校との能力格差が大きい事が問題になっており、彼はその典型例とされてしまう。
  • ヴァルヒ (声:配役表記なし[71])
少将。ミュラー艦隊の分艦隊司令官。マル・アデッタ星域会戦において、ラインハルトの本営に急迫する同盟軍本隊を阻止するためシュナーベルらとともに艦隊から分派される。
中将。ルッツの幕僚。ヤン一党によるイゼルローン再奪取作戦の時、艦隊で出動したルッツに代ってイゼルローン要塞の守備を担当したが、コンピューターを停止させるキーワードを含んだメッセージを受信して要塞機能が麻痺し、結果としてヤン一党に要塞機能を奪われてしまう。降伏勧告に対して部下の安全な退去を要求し、それをユリアンが受諾して戦闘が終結したが、その後、要塞司令室でピストル自殺体として発見された。その際、シーツを折りたたんで下に敷き、デスクを血で汚さぬよう配慮するなど、非常に物堅い性格であった。
少将ワーレン艦隊幕僚として地球教本部制圧作戦に参加している。
中将。ラインハルト直属の艦隊司令官。旗艦はヘルモーズ。バーミリオン星域会戦ではラインハルトの失策により同盟軍に包囲され窮地に陥る。あまつさえ援軍を要請すれば「余剰戦力なし、そこで死ね」と言われる。憤慨した彼は「よし死んでやる、先に死んで先達になり、雑用でこき使ってやる」とラインハルトを罵りながら一度は包囲網を突破するものの、それはヤンの罠であり、旗艦ヘルモーズごと一点集中砲火を浴びてヴァルハラの先達となった。ボーステック社の「銀河英雄伝説VI」の名将録によれば、「当時の中将級の指揮官の中でも屈指の用兵手腕を持ち、積極果敢な攻撃をその旨としたが、勇猛であるがゆえに防御的作戦には不向きな人物であった。」と評されている。アニメ版ではカルナップ艦隊司令部構成員、旗艦乗員として口髭を生やした副官の中尉と参謀長の准将、通信要員の二等兵が画面上に登場している。
  • クーリヒ (声:なし)
中将第2次ラグナロック作戦 (大親征)において、ヴァーゲンザイル艦隊に次ぐ位置に配置された艦隊の司令官。
中将ラグナロック(神々の黄昏)作戦におけるラインハルトの直属部隊のひとつの司令官。髪型が特徴的である。ヤンのおとり作戦によって重傷を負ったが、長期の療養を経て復帰した。旗艦はヴィーグリーズ。小説版ではグリューネマン受傷後指揮権を委ねられた副司令官がいるが、アニメでは登場していない。
大将。シュタインメッツ艦隊副司令官。ヤンの逮捕に始まる動乱の中、シュタインメッツがハイネセンに乗り込もうとするのを引きとめようとした。その後の消息は不明。回廊の戦いでシュタインメッツは旗艦を撃沈され、司令官以下の幕僚はマルフグラーフ以外戦死しているが、この時艦橋に居合わせたかについては記述されていない。
黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)の参謀長ビッテンフェルトオーベルシュタインによって軟禁されたときに、オーベルシュタインの部下たちと一触即発となった。
  • グローテヴォール(グローテヴァル) (声:なし)
大将。第2次ラグナロック作戦 (大親征)において、クナップシュタイン/グリルパルツァー艦隊とヴァーゲンザイル艦隊の間に配置された艦隊の司令官。また、アンネローゼラインハルトとヒルダの結婚式に出席する為フェザーンまで来た時に、恒星間旅行中の護衛を務めた(原作小説ではこの部分がグローテヴァル大将と記述されているが、アニメ版ではこの箇所にグローテヴォールと表記される。綴りは「Grotewohl」)。
  • ディートリッヒ・ザウケン (声:長克巳[52])
中将。アニメ版では、バーミリオン星域会戦ラインハルトの直属部隊のひとつの司令官(少将)として戦っているが、第1次ラグナロック作戦伝達の場においては、直属部隊を任された5人の中将の中には入っていない。
原作小説では捕虜交換式の時にベルゲングリューン、ジンツァーと共にキルヒアイスに同行している。また、ガイエスブルク要塞ワープ実験に立ち会っている。旗艦はグングニル
  • シュナーベル (声:配役表記なし[71])
少将。ミュラー艦隊の分艦隊司令官。マル・アデッタ星域会戦において、ラインハルトの本営に急迫する同盟軍本隊を阻止するためヴァルヒらとともに艦隊から分派される。
  • シュラー (声:無し)
ロイエンタールの麾下の提督。叛乱の際にもロイエンタールに付き従う。第2次ランテマリオ会戦で戦死。
  • ホルスト・ジンツァー (声:林一夫
キルヒアイス艦隊の幕僚アムリッツァ星域会戦時は大佐、その後提督に昇進し、捕虜交換式の時にベルゲングリューン、ザウケンと共にキルヒアイスに同行している。アニメ版ではガルミッシュ要塞内部の爆発をキルヒアイスに報告する。リップシュタット戦役後にミッターマイヤー艦隊に転属(少将)する。
同僚であるバイエルライン、ドロイゼン、ビューローに比べるとやや見せ場が少ない。(原作小説では要塞対要塞戦のミュラー提督救援の際と双頭の蛇で反撃に転じた際の配置が不明、前記3名はミッターマイヤーの指揮を受けている)
道原版コミックでは中佐時代、カストロプ動乱にワルキューレのパイロットとして参戦していたことが描かれており、部下からの人気の高さを垣間見せるやりとりがある。
ロイエンタールの麾下の提督。叛乱の際にもロイエンタールに付き従う。ハイネセンの総督府でロイエンタールが死んだ後、ミッターマイヤーが駆けつけ建物に入ろうとしたが、その時、警備隊がミッターマイヤーの一行に銃を向ける。ゾンネンフェルスは警備隊の背後から現れてその行為を叱咤し、銃を降ろさせた。
少将第1次ラグナロック作戦中、ウルヴァシーへの物資輸送船団の護衛を志願したが、定時連絡不徹底などの職務怠慢がアダとなってヤン艦隊に襲撃され任務を失敗した。自ら、失敗した時は死で償うと公言して護衛任務を請け負っておきながら、その重要性を軽視し(瑣末な任務であってもできるだけ引き受けて手柄を稼ごうという節がうかがえる)、ミッターマイヤーロイエンタール等にも不快と不安を誘発した為、自裁を命じられた際には誰一人として彼を弁護しなかった。補給部隊の護衛という任務に適性が無かったとも考えられ、原作でもその旨の記述があるが、自分に向かない任務を率先して引き受けた事自体、自己評価能力に欠けていた事を示している。
アニメ版では、帝国暦490年の新年パーティーでの席上、トゥルナイゼンの話し相手として登場し、彼らと同年代のミュラーだけが昇進したことに対して不満や功を焦った発言を口にしている。
  • タールハイム (声:配役表記なし)
中将。ブラウヒッチの幕僚回廊の戦いの当初、陽動を引き受けた艦隊が猛攻にさらされ不安を感じた様子を表している。
登場時は少将、後に中将に昇進。ミッターマイヤー艦隊の参謀長として第1次ラグナロック作戦及び回廊の戦いに参加。
  • ディッケル (声:アニメ未登場)
リップシュタット戦役の時点で中将(従ってミッターマイヤー艦隊参謀長とは別人)。ラインハルト幕僚占領後のレンテンベルク要塞の司令官に任じられた。
  • ディッタースドルフ (声:古澤徹
ロイエンタールの麾下の提督。第2次ランテマリオ会戦において、グリルパルツァーの裏切りが発生した後、負傷したロイエンタールの退却を支援し、その場に踏みとどまり、ロイエンタールが脱出した後に降伏する。
  • イザーク・フェルナンド・フォン・トゥルナイゼン (声:大滝進矢
第1次ラグナロック作戦ラインハルト直属艦隊の司令官の一人として登場した。旗艦はテオドリクス。ラインハルトとは幼年学校の同級生で、首席のラインハルトに次ぐ優等生集団の一人だった。リップシュタット戦役では、同級生の多くが貴族連合軍に身を寄せる中、彼は率先してラインハルト陣営に身を投じ、先見の明を誇った。その昇進速度は、ラインハルト自身やキルヒアイスには及ばなかったものの、ラインハルト陣営の中将以下の諸提督の中では明らかに抜きん出ていた。
しかしながら目立ちたがり屋で上昇志向が強く、ラグナロック作戦進行中の新年パーティーではひときわ大きな声で乾杯の声を上げ、さらにミッターマイヤーミュラーの栄達を羨んでいる。特にミュラーの昇進を暗に非難するといった一幕も描かれている。バーミリオン会戦の前後にミッターマイヤーやロイエンタールがトゥルナイゼンら若手将官の行動を意識した発言をしているなど、バーミリオン会戦時にはラインハルト陣営で目立つ存在であったことは間違いない。しかし、ヒルダは彼がラインハルトの派手さに目を奪われている点を危ぶみ、オーベルシュタインは追従者と軽蔑していた。
そのヒルダの危惧は的中し、バーミリオン会戦では、戦前に派手に追従した挙句功をあせって独断で行動し戦列を乱すという失態を演じる。そのためラインハルトからも能力を見限られてしまう。バーミリオン会戦中は敵が本隊と見せた囮部隊追撃時に大失態にも関わらず意気軒昂な姿が描かれるも、包囲された後は動揺を露にし、会戦後は閑職に移されて目立った功績は立てていない(原作では「精彩を欠く」という表現を用いて、トゥルナイゼンの「その後」を記録している。一部書籍においては、階級が大将と書かれているものがあるが、昇進理由は記されていない)。トゥルナイゼン艦隊の司令部要員では副官がアニメに登場している。
  • ドロイゼン (声:斉藤茂(2期の配役表記。4期では斉藤茂一となっている。))
ミッターマイヤー艦隊の幕僚。旗艦はキュクレイン。第1次ラグナロック作戦の時は少将。アニメ版のサンテレーゼ広場における公開処刑のシーンでは、同僚のバイエルラインにミッターマイヤーの人柄とそのキッカケとなった事件を説明する役を演じている。シヴァ星域会戦の前哨戦では大将。その際、艦隊を巧みに運用し、イゼルローン軍を要塞に撤退させず引き止めておくといった、視野の広さも披露している。
  • ハウシルド (声:配役表記なし[71])
少将。ミュラー艦隊の分艦隊司令官。マル・アデッタ星域会戦において、ラインハルトの本営に急迫する同盟軍本隊を阻止するためヴァルヒらとともに艦隊から分派される。
ケンプ艦隊の分艦隊司令官少将要塞対要塞戦でメルカッツ率いるイゼルローン駐留艦隊とヤン率いる増援艦隊の挟み撃ちに遭い、戦死する。
  • アレクサンデル・バルトハウザー (声:無し)
少将。 ロイエンタールの麾下の提督。2800隻を率いる。第2次ランテマリオ会戦で戦死。大兵力を統率する力量や才幹はないが、戦場では骨惜しみせず働く。少数の艦隊で局面が打開しようとする時、ロイエンタールはバルトハウザーを好んで起用した。
  • ハルバーシュタット (声:茶風林
黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)副司令官。ビッテンフェルトオーベルシュタインによって軟禁されたときに、オーベルシュタインの部下たちと一触即発となった。「階級が上がると司令官の人的影響力が増大する」ようで、上官に似て血の気が多い。程度問題ではあるが、ビッテンフェルトよりは自制心が強いとの評価もある。
  • ビュンシェ
中将。メックリンガーのもっとも信頼する幕僚であり、ウルヴァシー事件の際にはメックリンガーの補佐として調査に当たった。質朴な農民といった風貌の持ち主。
  • ロルフ・オットー・ブラウヒッチ (声:松田重治
キルヒアイス幕僚としてキフォイザー星域の会戦に参加。第1次ラグナロック作戦ではラインハルトの直属部隊の司令官の一人として参加している。この時の階級は中将バーミリオン会戦の直前にはヤン艦隊の偵察隊を発見してこれを追尾、本隊の位置を突き止める功績を立てている。回廊の戦いでは大将の階級を得て参加。この戦いでは回廊の出入り口の機雷を除去して進んだ上、ヤン艦隊と最初に砲火を交えつつ、友軍が別の侵入路から回廊に侵入する為の陽動役を引き受けた。派手さはないものの、重要な役割を何度もこなしているキャラクター。旗艦はシンドゥリ。
中将。当初はファーレンハイト艦隊の幕僚だったが、回廊の戦い序盤以後はビッテンフェルト艦隊に移った。ファーレンハイトの戦死の責任がビッテンフェルトにあると思っている人物の代表として描かれており、回廊の戦いの続きでも、ビッテンフェルト本隊との確執や連携の悪さが目立つ。ただし第2次ランテマリオ会戦では、それが逆に作用して本隊と功を競い合いながら包囲網を食い破り、緻密な策をその場のノリでぶち壊されて意表を突かれたロイエンタールは失笑しかけている。
ルッツ艦隊に所属。ルッツがクララと結婚する事を早くから知らされていた事から、強い信頼関係が築かれていた事がうかがえる。ルッツの死後、自分から志願してミッターマイヤー艦隊に籍を移し、第2次ランテマリオ会戦に参加。激しく戦う。
  • マイフォーハー (声:なし)
中将第2次ラグナロック作戦 (大親征)において、クーリヒ艦隊に次ぐ位置に配置された艦隊の司令官。
  • マルフグラーフ (声:無し)
少将回廊の戦いで唯一生き残ったシュタインメッツ艦隊の幕僚。脱出シャトルからシュタインメッツの戦死を報告した。アニメ版での報告画面では頭部に包帯を巻いている。

参謀/副官

オイゲン
(声:北島淳司
黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)の副参謀長で少将。第6次イゼルローン攻防戦でもビッテンフェルトの副官(大尉)として参加している。ビッテンフェルトの影響力の強い同艦隊の面々でもっとも慎重な男と称される。猪突猛進する司令官をなだめる事が多く、アムリッツァ会戦で全滅の危機を救うなど、文字通り命がけで職務を果たす。また、司令官の誇張されたイメージを逆用して、第2次ランテマリオ会戦での劣勢の危機での自艦隊の不甲斐なさから、思わず出たビッテンフェルトの怒りの声を艦隊の回線にわざと流し、逆に崩壊を防ぐなど機転もきく。ワーレンはオイゲンを見て「ビッテンフェルトには過ぎた部下」と評している。
OVA版では地味な中年という外見だったが、道原かつみのコミック版では青年風の外見(ビッテンフェルトより年上であるが)で、ビッテンフェルトの白兵戦技の訓練に付き合うシーンもあり、ある程度の武勇は持ち合わせているようだ。道原版漫画では「リヒャルト」というファーストネームが与えられている。
アルツール・フォン・シュトライト
(声:戸谷公次
ラインハルト幕僚の一人。登場当初はブラウンシュヴァイク公爵に仕えており、リップシュタット戦役直前にはラインハルトの暗殺を進言した。優れた洞察力と、主君に放逐されてもなお忠節を尽くす誠実な部下。
ブラウンシュヴァイク公爵が首都星オーディンから逃亡後、捕らえられる。暗殺を進言したことを素直に認め、その理由を「無用な戦乱を起こし国を損なうより、一時の汚名を甘受する方がよいから」と発言しラインハルトに認められる(ただしアニメ版だけの発言。原作では、ラインハルト暗殺を具申した事を悪びれもせずに認めた事でラインハルトに感銘を与えたという形になっている)。幕下に加わるように言われるが、敵対するブラウンシュヴァイク公爵陣営に属していた故に一度は固辞する。だが翌年、新体制下で没落した親族に援助を求められ、ラインハルトに嘆願を申し入れる。その際、無能な副官(原作では複数の人間を短期間のうちに更迭した事のみ記載されているが、アニメではひとりだけ「フェルデベルト」という名前のついた人物が登場する)に代わり、ラインハルトの首席副官の任に就く。オーベルシュタインは大方の予想に反し、この人事に「かつての公敵、しかも忠臣だった男がラインハルトに膝を屈する」政治的効果を考えて賛成した。
ブラウンシュヴァイク陣営にいた時もラインハルトの部下になってからも常識論をいう役割が多い。バーミリオン会戦では旗艦ブリュンヒルトの危機にラインハルトに脱出を薦めるが拒否され、親衛隊長キスリングに無言で「無理やりにでもシャトルに連れて行くように」と命令したりしている(ミュラーの来援直前)。
ラインハルトの死の直前、新帝都フェザーンを訪れていたイゼルローン共和政府の面々を仮皇宮に迎えるための使者として出向く。その後、帝国軍の提督達と共にラインハルトの死に立ち会った。
アントン・フェルナー
(声:堀内賢雄
パウル・フォン・オーベルシュタインの副官。登場時はブラウンシュヴァイク公爵の部下で、ラインハルト暗殺を公爵に具申したが却下され、少数の部下だけを率いて独断で行動を起こすが失敗する(これが元でリップシュタット戦役が表面化する)。後にラインハルトの下に出頭し、自分の才覚を売り込んだ。その態度に半ばあきれつつも感心したラインハルトは、これだけ神経が太いのならオーベルシュタインの下でも萎縮しないだろうとして、その場で彼の部下に任じ、以後は彼の元で職務にまい進した。悪びれずに帰順するのは同盟のバグダッシュと同様である。物語終了時の階級は准将(徳間ノベルズ版以外)で軍務省調査局長と官房長を兼任している。
自信家であり、いかなる危機でも自分の才覚で切り抜ける事が出来ると考えているため、しばしば上司であるオーベルシュタインに挑発的な質問を向けたり、オーベルシュタインが他のラインハルト臣下と対立する様子を興味深げに傍観する事があった。しかし指示を忠実に実行する事も自己の裁量で適切と思われる行動をとることもできる柔軟さを持ち、オーベルシュタインの思考、意図、心情をよく理解し、その実力は確かであり、ラインハルトの人事の成功例である。オーベルシュタインの内心は不明であるが、作中においては彼にのみ心を開いたと思わしき台詞が散見される。
前述の通りオーベルシュタインの真意を推測する事や、オーベルシュタインが彼に対して自分の考えを明かす場面は、読者にとって、ほとんど真意を明かさないオーベルシュタインの内面を知る一助となり、作中において狂言回しとしての役割をなしている。
アニメ版での初登場はクロプシュトック事件の時。ブラウンシュヴァイクの指示によって陸戦隊を率いてクロプシュトック邸に攻撃を仕掛けるが、「ルドルフ大帝の像を憚って砲撃できなかった」という口実で攻撃を遅らせ、クロプシュトックに自害の時間を与えている。またラインハルトの暗殺未遂の下りは、原作小説とアニメでは多少展開が異なる。小説では、警護が厳重の為実行前に断念し、そのまま部隊を解散して自分は姿をくらます…となっているが、アニメでは警護隊の存在に気が付かず、シュワルツェンの館に突入する段になって包囲されている事に気がつき、血路を開いて脱出している。そしてラインハルトはこの騒動を口実にして即座に門閥貴族の逮捕と討伐に乗り出し、それによってリップシュタット戦役が始まった事になっている。したがって、物語の進行上は、アニメ版の方が重要な役になっている。
なお、徳間ノベルズ版では彼の階級に奇妙な変動がある(第6巻4章では少将、同5章では准将、第7巻3章では少将、第8巻8章では准将、第10巻では少将)。以降の版における彼の階級は准将で統一されている(OVA版では新帝国の時点で少将)。
OVA版における彼のデザインは、没になったロイエンタールの第一稿の流用である。
テオドール・フォン・リュッケ
(声:松本保典
ラインハルト幕僚の一人で、ラインハルトとは同年齢である。
当初はケンプ艦隊に所属。アムリッツァ会戦に至る戦闘の中、対峙していたヤン艦隊が戦意無く逃走する事を見抜いたのは、艦隊所属士官の中ではリュッケだけだった(ただし小説とコミックのみのシーンで、アニメ版には描かれていない)。リップシュタット戦役後に軍務省の二等書記官となり、その後シュトライトがラインハルトの主席副官になった時点で次席副官として登用された。キュンメル事件の時にはラインハルトに随行し、暗殺者をブラスターで射殺してラインハルトを守った。その功績によって大尉から少佐に昇進したと思われる。
参謀/副官・その他
ミッターマイヤーの副官。常にミッターマイヤーの近くにいる為、頻繁に姿を見るが、あまり活躍した姿は見られない。
中佐ケスラーの副官。キュンメル事件の際に、状況報告を担当している。
ミュラー参謀長要塞対要塞戦でヤンの不在を捕虜から聞き出したミュラーが、ケンプに独断で偵察の網を張ってケンプと揉めた際、ミュラーをたしなめている。
少佐。ルッツの副官。ヤン一党によるイゼルローン再奪取作戦の時に、受信した通信文を読んでルッツに報告していた。再奪取された後、呆然と立ち尽くすルッツに対して、無駄と承知で休息を促した。
准将ワーレン艦隊の情報主任参謀として地球教本部制圧作戦に参加している。
少佐アイゼナッハの副官。めったに喋らない上官の身振り手振りを読み取り、艦隊各位に指示を伝える役。
アスターテ会戦の時点で、既にファーレンハイトの副官だった。回廊の戦いではシュワルツ・ランツェンレイター(黒色槍騎兵艦隊))との連携の不味さから同艦隊を罵り、ファーレンハイトに窘められている。撤退に際して最後尾を守った旗艦アースグリム上で、司令官と運命を共にしている。
  • セルベル (声:配役表記無し)
中佐シュタインメッツの副官。回廊の戦いでフォンケルの艦橋が被弾した時、自らも死に至る重症を負いながら、シュタインメッツの左脚が潰れている事を告げ、その正確な報告はシュタインメッツから賞賛されたが、それと前後して息絶えた。
准将ビッテンフェルトの高級副官としてアムリッツァ星域会戦に参加。第2次ラグナロック作戦 (大親征)の時もハイネセンを発ったケーニヒス・ティーゲルに乗り込んでいる。アニメでは第66話の終了間際に、ビッテンフェルトの背後に並ぶ4人の高級軍人の内、向って一番左側に位置している。
ミュラーの副官。要塞対要塞戦での階級は少佐ヤン不在の噂を耳にしたミュラーが困惑している様子を見て、ヤンはそれほど恐ろしい男なのかと質問している。
ラグナロック作戦の時のシュタインメッツ艦隊参謀長ブラックホールでのヤン艦隊との戦闘に先立って、ヤン艦隊の布陣に対して作戦を進言している。尚、原作小説ではこの場面での階級は中将となっているが、アニメでは少将と表示されている。
ワーレンの副官。ラグナロック作戦では大尉地球教本部制圧作戦以降は少佐。この時ワーレンに暗殺犯が接近しているのをいち早く気がつき、ワーレンに大声で叫んでいる。
中将。当初はケンプ艦隊の参謀長。要塞対要塞で戦死したケンプの遺言をミュラーに伝えた。情報処理などに長けていたようで、ケンプ艦隊が消滅した後に、新帝国軍大本営情報主任参謀となる。アニメ版では、回廊の戦いビッテンフェルトファーレンハイトが戦闘状態に突入した事をラインハルトに伝える役、及び回廊の戦いの後、ミッターマイヤーの「ユリアン・ミンツとは何者か」という質問に答える役を演じている。
少将ラグナロック作戦時におけるファーレンハイト艦隊参謀長ランテマリオ星域会戦では宇宙潮流を渡る作戦は犠牲の増大が著しいという点から中止を進言した。
  • ボーレン (声:無し)
シュタインメッツ艦隊参謀長回廊の戦いでフォンケルの艦橋が被弾した時、シュタインメッツが呼びかけたが、応答が無い為、この時に死亡したと推察される。
ワーレン艦隊参謀長ラグナロック作戦の時は少将地球教本部制圧の時は中将。
シュタインメッツの幕僚、ガンダルヴァ駐留艦隊司令部総書記(少将)。ロイエンタールの新領土総督時代、旧同盟領に関する知識を買われて軍事査閲副総監となった(中将)。
  • エミール・フォン・レッケンドルフ (声:安宅誠
ロイエンタールの副官。ハイネセンでロイエンタールが謀反の嫌疑をかけられた時、エルフリーデ・フォン・コールラウシュと対決するべきだと主張した。後にロイエンタールが叛乱した時、我が事成らず負傷し命をすり減らしていく上官に常に付き従い、いくつかの記録を後世に残した。

陸戦隊/親衛隊/憲兵隊

ギュンター・キスリング
(声:橋本晃一
ラインハルトを護衛する親衛隊長。ラインハルトが即位した時点で皇帝親衛隊長という肩書きと准将という階級を得ている。その挙措の隙の無さや足音を立てない歩き方から、よく猫または豹に例えられる。ヒルダとの関係など、主君の私的な動向を最も良く知る人物の一人だが、口の堅さは折り紙つきであり、外に漏らすことは決して無かった。
キュンメル事件ではキュンメル男爵を取り押さえる。ウルヴァシー事件の発生の際には、ラインハルトの脱出行でドライビングテクニックも披露している。
シヴァ星域の戦いでブリュンヒルトに突入したユリアン達の前に最後の相手として立ちふさがり、オリビエ・ポプランと互角の格闘を演じる。その格闘の間にユリアンは皇帝ラインハルトと面談し、ラインハルトの意を受けたミッターマイヤーが戦闘中止を命じる。尚、アニメ版では、戦闘中止の艦内放送が流れた瞬間に、ポプランとボクシングクロス・カウンターを放ち合って両者ノックアウトというシーンが描かれている。
陸戦隊/親衛隊/憲兵隊・その他
ミッターマイヤー艦隊所属の陸戦隊指揮官。ラグナロック作戦でフェザーンを占領した際、同盟の高等弁務官オフィスに向かったが、ユリアンの策によって足止めされ弁務官を拘禁する事が出来ず、コンピューター・プログラムも消去され接収する事が出来なかった。
准将。キュンメル事件の際に、その地区にいた武装憲兵隊の責任者。実戦の経験が豊富な指揮官であり、現場に駆けつける時に、犯人に行動を気づかせてはならないという判断から軍用車両を使わず、隊員にも足音を立てさせない様に軍用ブーツを脱がせて走らせた。後に少将となり、アンネローゼがラインハルトの結婚式に出席する為にフェザーンを訪れた際には、ケスラーの命令により護衛と宿舎の警護を担当した。
大将。憲兵副総監。ハイネセンの大火に際して、憂国騎士団の残存グループ24,600名を犯人として検挙/射殺した。アニメ版ではこの時は声を出さなかったが、ルビンスキーの死亡報告を受けた時に声を出している。
  • ユルゲンス (声:なし)
大佐。親衛隊副隊長。「鉄の胃袋」というあだ名を持つ。新帝国暦2年8月29日の戦没者墓地完成式において、歓喜する兵士達の中から不審人物(弑逆未遂犯)を発見し、キスリングに報告した。
准将。キュンメル事件の際に、地球教オーディン支部制圧の指揮を担当している。

兵士/その他

エミール・フォン・ゼッレ
(声:置鮎龍太郎
初登場時の配置は不明。ランテマリオ星域会戦の直前、作戦会議を終えたラインハルトに、通路で声をかけた際、容貌がキルヒアイスに似ていた事でラインハルトの知己を得る。その後、ヒルダからの依頼でラインハルト専属の従卒となり、以後、物語の終了までラインハルトにつき従った。
父親は巡航艦の軍医だったが、アムリッツァ星域会戦で戦死。その影響もあってか、彼も軍医を志し、軍医学校へ進むため勉学に励んでいた。
ラインハルトと親しく会話するようになってからも決して驕り高ぶることなく、何事にも直向きな彼に対してラインハルトも信頼を寄せるようになる。ラインハルトからは「例え技術が完璧ではなかったとしても、患者が進んで命を預けたくなるような医者になるだろう」と評され、ゆくゆくは自分の侍医になれとまで言われている(ラインハルトが夭折したため実現はしなかったが)。また彼は、ラインハルトからファーストネームだけで呼ばれる「破格の扱い」を受けている。なお原作中の記述では、しばしば「フォン」を省いて表記されるが、理由は不明である。
  • アルフレット・アロイス・ヴィンクラー (声:無し)
ウルヴァシー駐留軍の司令官、中将。ウルヴァシー事件の後、行方不明となる。サイオキシン麻薬の中毒の症状が見られたと後にカルテから判明する。
ミッターマイヤー艦隊所属の准将。ラグナロック作戦でフェザーンを占領した後、航路局の警備責任者に任じられる。ラインハルトをコンピューター・ルームに案内しようとした時、他の幕僚と共に部屋の外で待つ様に命じられ、理由が解らず不審の面持ちを浮かべていた。
伍長。戦艦の砲手を務める。[我][1]ではブリュンヒルト、[5]ではキルヒアイス艦隊の高速戦艦に配属された。戦いの意義やキルヒアイスの戦術を後輩のトニオに説いて聞かせる…という形で、アニメ序盤の解説者の様な存在を務めている。決め科白は「ラッキー」。[我]では出撃前夜の上陸時にトニオと行動を共にし、若く美人のホステスが「飾り窓」にいるクラブに入ったが、直後、熟女の群れに取り囲まれてしまう。アスターテ会戦時には既に左腕が義手になっていた(いつ負傷したのかは不明)。
  • ジークベルト・ザイドリッツ(声:村田則男
帝国軍総旗艦ブリュンヒルトの4代目艦長で、准将。動く大本営を指揮する艦長ということで、作中で唯一艦長で将官の地位にいる(他の艦長は全員佐官)。生粋の船乗りを自称し、その能力はラインハルトの期待に常に応えるほど高い。反面、酔うと陰気くさい歌を歌って周囲を閉口させる一面も見せる
小説版の新書版7巻の初期版で、シュタインメッツの後を受けた2代目艦長と書かれているが、実際はロイシュナー、ニーメラーの2名の艦長が短期間ながら存在していて、既出のように彼は4代目艦長である(後にそのように修正されている)。
  • シュムーデ (声:配役表記なし[46])
技術大佐。ラグナロック作戦が進行する中、ヤンが放棄したイゼルローン要塞に最初に乗り込んだ爆発物処理の専門家のリーダー。調査の結果、極低周波爆弾を発見して解体した(ただし、この爆弾は別の工作から目を逸らす為の偽装であった)。
  • ホルスト・シューラー
中佐。80機の撃墜記録を持つ、ワルキューレのエースパイロット・編隊長。バーミリオン会戦でヤン艦隊のスパルタニアン部隊と交戦した際に、同盟軍と同様の3機一体で敵機を味方の艦砲の射程に追い込む戦法を用い、イワン・コーネフを戦死させるなどポプラン/コーネフ両戦隊に多大な出血を強いた。ケンプを除き、ワルキューレのパイロットとしては、唯一名前を挙げられた人物。
  • クルト・ジングフーベル (声:桜井敏治[108])
軍曹。ブリュンヒルトに乗り込んで来たシェーンコップが、戦闘が一段落して僅かに油断した時、背後から戦斧を突きたて、致命傷を与えた。その「褒美」としてシェーンコップの「妙技」を見せられ、彼自身は命を奪われる事は無かった。
大佐。ワーレンの旗艦「サラマンドル」の艦長。その操縦技術はワーレンから大きな信頼を得ている。地球教本部制圧作戦では複雑な地形を持ったヒマラヤ山脈の山間をぬうように降下し、尾根の一部に着陸した。
二等兵。戦艦の新米砲手で、クルトの部下。[我]で描かれた、第4次ティアマト会戦では、前夜に遊びすぎて戦闘の最中に眠りこけてしまい、戦闘が終わった途端に目が覚めたという、いわゆる「お約束」の役を担当した。ちなみに現実世界では戦闘中、担当部署での居眠りは厳罰の対象になる場合がある。
  • ニーメラー(声:無し)
ブリュンヒルト3代目艦長。小説版ではガイエスブルグ要塞のワープ実験の際に名前が出てくる。ロイシュナーやザイドリッツと何時交替したかについては明記されていない。OVA版では未登場。一時、原作の初期の新書版で登場した後、ザイドリッツがシュタインメッツの後任の二代目艦長と記述され矛盾が出たが、後にザイドリッツはブリュンヒルトの艦長を短期間務めたと修正されている(ロイシュナーも同様)。
OVAオリジナルキャラでフェルナーの部下。階級はゴールデンバウム王朝時は少佐でローエングラム王朝時は大佐。リップシュタット戦役前夜、フェルナーと共にシュワルツェンの館を襲撃するが失敗に終わる。その後ラインハルトの部下となったフェルナーの命令でガイエスブルク要塞に潜入し、門閥貴族連合軍の一員を装いつつ彼らに揺さぶりをかける。ブラウンシュヴァイク公爵の説得に失敗したアンスバッハの嘆きの独り言を公爵に密告し(原作では「それを密告した者がいる」とのみ記述されている)アンスバッハを幽閉させる。最後の決戦時、要塞の主砲制御室の守備兵を説得し降伏させる。ローエングラム王朝でもフェルナーの部下でありラグプール刑務所暴動鎮圧に来た彼を補佐している。
なお、ハウプトマンとはドイツ語で大尉のこと。
  • マットヘーファー(声:大川透[108])
中佐。ブリュンヒルトの副長兼防御指揮官。イゼルローン軍が強襲揚陸艦イストリアで乗り込んで来た時、ザイドリッツの命令で防御の指揮を任じられた。
中将。皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世が誘拐された時、宮中の警備責任者であり、その責任を取って自殺する。ラインハルトがモルトを犠牲にした事を見抜いたヒルダは、一度は非難するが、それ以上の追及は行わなかった。ラインハルトは彼の名誉を回復し、遺族を厚遇するよう命じた。
原作小説及び道原かつみのコミック版では、リップシュタット戦役開始に先立って、わずか3万人の兵士と共に首都の防衛を任されている。
PCゲーム(銀河英雄伝説IV)にも登場するが、攻撃力や防御力が低く設定されており、提督としてはあまり役に立たない。しかし、原作での能力や役職を考慮してか、統率力のみ主要な提督たちに匹敵するほどの数値を与えられている。同様の処置は上司であるケスラーにも見られる。
大佐。レンネンカンプがハイネセンで高等弁務官の任に当たった時の部下。ヤン家の監視を担当していたが、ヤンに対してその事を正直に説明し、許容を求めるなど、レンネンカンプの命令に対して疑問を抱いている様子がうかがえた。ヤン一党がハイネセンを脱出した後、旧知のミュラーに直接連絡を取り、レンネンカンプの発言と行為を、「平地に乱を起こすもの」だったと伝えている。この証言がミュラーによって帝国の将帥達に伝えられ、ヤンよりもレンネンカンプの方が責任の比重が大きいという見解が有力となった。
第2次ランテマリオ会戦の時点でロイエンタールの従卒を務めていた幼年学校生。ロイエンタールの死を看取り、その最期の言葉を聞こえる限り筆記し、のちにフェリックスと名づけられる乳児を預かっていた。その為ミッターマイヤーの関心を得、被保護者としてミッターマイヤー家の一員となる。なお彼が記録したロイエンタ-ルの最期の言葉については後世その見解について議論の的となったが、彼はその手の議論に参加することがなかった。
OVAオリジナルで第二次ランテマリオ会戦の最中ロイエンタールにコーヒーを持ってきたが、ロイエンタールの「まずいな」という台詞にハインリッヒが謝り、それに対してロイエンタールが「いや、戦況がだ」と言う、視聴者の微笑を誘うやり取りがある。
元はリップシュタット連合軍、リッテンハイム艦隊の補給部隊に所属する大尉。キルヒアイスの別動隊に蹂躙されたリッテンハイム侯爵が逃走(リッテンハイム本人は転進と主張)する航路上にいたため、味方の筈だった部隊に攻撃され右腕を失う(この時コンラート・フォン・モーデルと知り合う)。これによって門閥貴族の本質を思い知らされ、キルヒアイス艦隊に投降しバルバロッサに収容される。
ローエングラム王朝ではワーレン艦隊に所属している。階級は中佐。地球教本部攻撃の先発隊として活躍する。暗殺者に毒の塗られたナイフで刺された左腕を生命に係わるとして手術で失ったワーレンが、医師に義手はいつ出来るか尋ねた時、自分の艦隊に義手の士官が居た事を思い出したのがきっかけである。この時、身分を隠して潜伏していたユリアン達と知り合い、道案内として協力を得ている。
原作で義手はワーレンとリンザーの2人だけであり、軍人がこれだけ多い中で少ないように思われるが、アニメ版ではオリジナルの登場人物のクルトが義手であり、宇宙での戦闘では戦傷者よりも戦死者のほうが遥かに多く、自分のような戦傷を負って生き残る者が稀である事を述べている。
  • ロイシュナー(声:無し)
ブリュンヒルト2代目艦長。小説版ではリップシュタット戦役の際名前だけが出てくる。OVA版では未登場だが、「新たなる戦いの序曲」においてはアスターテ会戦に先立ってシュタインメッツが軍上層部の思惑で異動させられているので、この時に就任したと思われる。ニーメラー同様作者に忘れられていたキャラである。

ローエングラム陣営非軍人

貴族

フランツ・フォン・マリーンドルフ
(声:中村正
ヒルダの父。爵位は伯爵。カストロプ動乱の際、親族につながるカストロプ公爵の説得を試みるが逆に捕らえられ、討伐軍のキルヒアイスに救出される。非主流とはいえマリーンドルフ家は歴史ある門閥貴族の一門であり、リップシュタット戦役では中立を望みながらもどちらの陣営につくべきか当主として逡巡する。しかし政治センスに優れ、時代の流れを読んだ娘のヒルダに説得される形で、最終的にラインハルト側につく。これが帝国の貴族社会に与えた影響は少なからぬものがあったと思われる(原作にも貴族たちがマリーンドルフ伯にとりなしを頼んだという描写がある)。
ラインハルトが皇帝に即位すると、その誠実で公明正大な人柄によりローエングラム王朝の初代国務尚書に就任。ほどなく甥のキュンメル男爵によるラインハルト暗殺未遂事件が起こり、皇帝主席秘書官となっていたヒルダと自主的に謹慎。しかしラインハルトはマリーンドルフ親子に一切の類罪を認めず、謹慎をすぐに解かせた。大逆犯の累系は一族処刑か流刑が旧ゴールデンバウム王朝での慣例であり、オーベルシュタインもそれに沿う処断を求めたが、ラインハルトは一蹴している。
翌年ヒルダが妊娠し、皇帝の世継ぎの祖父と言う立場になるが、そんな人物が宰相級(国務尚書だが)の地位にいて良い結果を出した例は一つもない事から、娘に国務尚書職を辞任する意向を伝える。新帝国暦3年早々、ラインハルトに辞任を申し出たが、後継者が決まっていないという事もあって留任され、結局ラインハルトの崩御まで国務尚書を務めた。自分の後継に軍人であるミッターマイヤーを推薦しているが、彼が引き受けたかどうかは不明。
キュンメル男爵家の財産を、病弱な甥に代わり公平に管理した事でも有名。その誠実な人柄がラインハルトのみならず、ミッターマイヤーら軍人からも厚い信頼を受けた。温厚で誠実な以外はやや凡庸な人物として周囲に思われており、国務尚書の地位に就いたのは「娘の七光り」(周囲にも非凡さが知られていたヒルダの能力によるもの)という評判である。作中前半では実際にそのように描かれていたが、有能さで知られたヒルダを帝国の貴族社会の中で貴族令嬢の型に入れず育てあげたのは彼であり、非凡な面もうかがわせる。やがて娘の限界を補い年長者として優しく導く役割を担い、ラインハルトに求婚され動揺するヒルダを優しく諭したり、自分の後任にミッターマイヤーを推してヒルダを驚かせたりと、物語の終盤にかけてヒルダとの立場が逆転気味である。
ハインリッヒ・フォン・キュンメル
(声:三ツ矢雄二
キュンメル事件を起こした男爵家の当主。フランツ・フォン・マリーンドルフの甥で、ヒルダの従姉弟。先天性代謝異常という難病にかかっており、人生のほとんどをベッドの上で過ごしている。知能は正常であり、学問全般に造詣が深い。英雄崇拝の傾向があり、特にレオナルド・ダ・ヴィンチ曹操、そしてメックリンガー提督といった複数の分野で業績を残した人物にあこがれているが、肉体上のハンデによって、自分がその英雄の列に加わる事は決して無い事を自覚している。
この羨望と嫉妬に苛まれた精神気質により、何かを為して死にたいという欲求にかられ、それにより地球教に利用される事になる。皇帝に即位したラインハルト脅迫して服従させる事で、宇宙を自分の手に握りたいと考えたキュンメルは、悪名を被る覚悟でキュンメル事件を引き起こす。結局ラインハルトを屈服させたいという望みは叶わず、陰謀も最終的には阻止され、その場で残る生命力を使い果たし死亡。19歳。
なお、死に際の会話ではたとえ悪名であれ自分の存在が歴史に残ることを喜んでいた様子も感じられ、彼自身はラインハルトを本気で害するつもりが無かったのではないかとする説もある。
前年、メックリンガーはヒルダの頼みを聞き入れ、キュンメル男爵を見舞った事があった。その時男爵が、自由に動けない身体の代替としての動物を飼っていない事を不思議に思い、その様子に気付いたヒルダに伝えている。後の悲劇を暗示する違和感でもあった。
マグダレーナ・フォン・ヴェストパーレ
(声: 横尾まり
男爵夫人(自身が男爵家の当主)。アンネローゼより2歳年上。才色兼備で精神的な骨格がたくましく、皇帝の寵姫となったアンネローゼが貴族社会で孤立していた時、敢えて接近し友情を成立させた。その為門閥貴族の反感を買っているが、まったく意に介していない。ラインハルトが頭が上がらない数少ない女性のひとり。
恋愛と芸術保護に熱心で、帝国暦485年の時点ではいずれも無名の芸術家である7人の恋人を抱えている。メックリンガーとも交流があるが、既に芸術家としても名声を得ている彼とは良い友人関係に留まっている。
ヒルダ(当時)の母親が、生前、男爵夫人の学校で古典音楽の講師を務めていた事があり、ヒルダとも懇意にしている。第6次イゼルローン攻防戦の直前、同じ日にラインハルトとヒルダに続けて出会った事があり、その時、恋人のいないヒルダにラインハルトを紹介しようと考えた様子が見て取れるが、機会が無く実現しなかった。
気丈というよりは気勢が強い性格で、自宅で演劇の上演の準備をしていた愛人を嘲笑した貴族達を「おだまり!」と一喝して黙らせたり、社交界で彼女を「女のくせに横紙やぶりな。」と詰った貴族に「男のクセに女の悪口を言う事しか能が無いの!?」と反撃して撃退するなど数々の“武勲”の持ち主。ヒルダをして「大元帥の軍服がきっとお似合いですわ。」といわせるほどの女傑で、並みの男性では太刀打ち出来ない。
時系列的にラインハルトが権力の座に就いてアンネローゼが自由を獲得した後は、一切出番が無かった(元々原作では本伝で登場していない)。
ドロテーア・フォン・シャフハウゼン
(声: 佐藤直子[決])
シャフハウゼン子爵の妻。ヴェストパーレ男爵夫人と同様、アンネローゼの数少ない友人。平民の出身であり、シャフハウゼン子爵は彼女との結婚を認めさせる為、典礼省などに対し、財産を半減させるほどの巨額の賄賂を贈ったとも言われる。OVA「決闘者」ではヘルクスハイマー伯爵に鉱山の利権に絡んで夫が決闘を申し込まれ、ラインハルトが代理人を引き受けた。
貴族・その他
子爵ヘルクスハイマー伯爵鉱山の採掘権で争いになる。薬用植物の研究と旅行記の読書が趣味の臆病な人物。ラインハルト決闘の代理人となる。「貴族としては突然変異的に善良な人物」との評も。
なお、夫人と並んで座ると、今ひとつ見分けがつかない 。
  • ウェンツェル・フォン・ハッセルバック (声:河合義雄[91])
ラインハルト侍従長。男爵。シャフハウゼン子爵夫人の義弟。新領土総督となったロイエンタールからの行幸を請う文書を渡した際、ロイエンタールの不穏な噂をラインハルトに知らせた。

行政官

ハイドリッヒ・ラング
(声:高木均/石田太郎
ゴールデンバウム朝では内務省社会秩序維持局長官、ローエングラム朝では内務省内国安全保障局長。内務次官まで務める。旧体制から秘密警察という役割をそのままにして抜擢された。
会議の場でロイエンタールに罵倒されたことを逆恨みし、彼を陥れるためにルビンスキーにまでも協力し策謀を巡らす。シルヴァーベルヒが爆死した爆弾テロではルビンスキーの意を受けたものか、負傷したボルテックを容疑者として逮捕し、獄中で謀殺した。後に幾多の背任や虐殺の容疑で処刑される。
公人としての能力・人格は失格であるが、私生活では長年匿名で福祉関係に寄付する慈善事業を行なうなど慈善家としての一面を持っており、また家庭では良き夫、良き父親であり、夫が処刑されると知った夫人は必死に寛恕を求めるなど、私人としてはラインハルトやロイエンタールより余程恵まれていたとされている。
ハンカチで顔の汗を拭くのが癖(実際は表情を隠す為)。
原作では禿頭だが童顔であるとされるが、その顔と正反対の低い声は、尋問などで相手の意表をつく武器となったと言われる。アニメ版での描写は、童顔にはとても見えない、年齢相応の顔立ちである(肌が年齢不相応に艶々としている所に、僅かばかり原作の描写を引き継いでいる)。
ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ
(声: 山寺宏一
ローエングラム王朝初代工部尚書。同時に、非公式ながら帝国首都建設長官を任じられる。この時点で33歳。新王朝の宮殿、「ルーヴェンブルン(獅子の泉)」の建設を始め、フェザーンにて昼夜を問わず職務に邁進していたが、翌新帝国暦2年4月19日(12日という説あり)19時50分、ワーレンルッツの歓送迎会で発生した爆弾テロに巻き込まれ、23時40分に心臓が停止。
いわゆる天才型の技術官僚(テクノクラート)で、軍事面でのミッターマイヤー・ロイエンタールに匹敵する、政治面でのラインハルトの片腕となるであろう存在と目された。そしてその才能を活用して後世に名を残そうと考えていた。具体的には新王朝の建設、社会資本の整備と産業基盤の整備、征服に続く経済的建設の時代の招来、その中心人物として帝国宰相の地位を望んでいる事を明言し、「それほど大それた望みではない。」と豪語している。彼の死後、ラインハルトは政務の一切を取り仕切ることとなり(政務能力があるヒルダを帝国軍幕僚総監に任じたため、政治的発言権を失わせている)、彼の存在の大きさをラインハルトは改めて知る由となる。そのため後世になって、軍事面でのミッターマイヤー・ロイエンタールに匹敵する存在を、政治面ではラインハルトは得る事ができなかったと評されている。
自他ともに認める野心家だが、権力欲ゆえの野心というより、ミヒャールゼンと類似した芸術的動機に基づくものと考えられている。アニメ版では宰相の地位を望むのは、自分のやりたい事を実現するのに必要だからという台詞がある。
グルック
(声:後藤敦
ローエングラム王朝初代工部尚書のシルヴァーベルヒの下、次官を務める。シルヴァーベルヒが病気の際、職務を代行したが、彼の仕事の鮮やかさ、一方で自分がその職務を滞らせたことから自信を喪失し、辞表を提出したがラインハルトに慰留された。慰留の真意としては帝国が安定した際は国家組織の縮小を考えており、その際の彼の堅実さが必要であるためと述べている。シルヴァーベルヒが死亡した後、工部尚書に任用され、シルヴァーベルヒの死後中断していた「ルーヴェンブルン(獅子の泉)」の建設再開をラインハルトに具申する(その際グルックは「皇帝の私生活が質素すぎると臣下が贅沢出来ない」と進言した。このエピソードは、田中芳樹のアルスラーン戦記でも登場している)。
カール・ブラッケ
(声:藤城裕士
ゴールデンバウム王朝において「革新派・開明派」と呼ばれたグループの指導者の一人。貴族であるが、その政治姿勢からあえて「フォン」の称号を外している。ラインハルトから「社会経済再建計画」の立案を命じられて以降彼に協力するようになり、ローエングラム王朝成立後は初代民政尚書として社会福祉政策の充実を図る。
有能な人物ではあるが、ラインハルトに対し無条件な忠誠を寄せてはおらず、民衆の力によらない上からの改革に疑問を呈し、またラインハルトが権力を握った後には独善的な専制君主になる可能性があることを危惧していた。民政尚書就任後、酒の上ではあるが、帝国軍が外征を繰り返す事に「人命と国費の浪費」と発言するなど度々辛辣な批判をしており、オーベルシュタインに次いで、ラインハルトへの批判を憚らないとも評された。
オイゲン・リヒター
(声: 辻村真人
ゴールデンバウム王朝において「革新派・開明派」と呼ばれたグループの指導者の一人。貴族であるが、その政治姿勢からあえて「フォン」の称号を外している。ラインハルトから「社会経済再建計画」の立案を命じられて以降彼に協力するようになり、ローエングラム王朝初代財務尚書となる。
友人のブラッケと同様ラインハルトを心から信頼してはいないようだが、自分達の改革を進める上では有意義であると割り切ってラインハルトに協力し、ブラッケの態度には逆に批判的である。ブラッケに対しては、むしろ後にラインハルトが反動化した場合に備えるためにも、今の改革を進めて市民の意識改革を推進すべきと、諭していた。
ユリウス・エルスハイマー
(声:鈴木清信
ローエングラム王朝の政治官僚。民政省次官と内務省次官を短期間歴任した後、新領土(ノイエ・ラント)総督府の民事長官としてロイエンタールの内政面の補佐役となる。なお、彼の妻はルッツの妹にあたる。
ロイエンタール叛乱時は、頑として協力を拒否するが、妻の兄たるルッツの死に責任を求めるところをロイエンタールに評価され軟禁に留まる。この時、ロイエンタールは彼に、彼が潔白である事を示すミッターマイヤー宛ての手紙まで持たせており、まるで叛乱が失敗に終わる事を予期しているかのような己の行動に自嘲している。ロイエンタールのハイネセン帰還時に軟禁を解かれ、負傷し瀕死のロイエンタールから後事を託され応諾する。
ブルックドルフ
(声:中江真司
ローエングラム王朝司法尚書。大審院判事時代にベーネミュンデ事件の処理を手がけた際、ラインハルトに知られることとなり、その処理能力と厳正な政治方針を評価され、現在の地位に就く。その信頼度をラングに利用され、ロイエンタール弾劾のきっかけとなってしまう。

皇帝・皇族

ゴールデンバウム王朝の歴代皇帝

フリードリヒ4世

(声:阪脩
第36代皇帝。先帝オトフリート5世の次男であること、また無能な上に放蕩者(権力闘争でマークされる脅威を逃れる為)であり、先帝から勘当寸前であったことから、誰からも皇帝になることはまずないと思われ、何も期待されていなかった。アニメでは酒を飲んで大騒ぎしていた大公時代の姿が油絵風に描かれている。
しかし、有能な兄と活発な弟が帝位を巡る争いの挙句共倒れになり、29歳で即位。即位前、先帝である父親が金銭では締り屋で、その為借金に追われ、平民の酒場の店主に土下座までしたこともあった。これに対して貸し手側はさすがに気まずくなり、「もし帝位に就いたら20倍にして返済する」旨の証文を受け取り、実質的に債権を放棄したが、意外にもこの証文は守られた。
側近に政治をゆだね、国政は専ら宰相代理(正式な宰相は長い間置かれていなかった)のリヒテンラーデに委ねており、自らは放蕩と漁色の果てにバラの栽培に専念する、老成したというより老けて立ち枯れた君主。元遊び人の割には機知も粋もなく、門閥貴族やリヒテンラーデ侯からも半ば老害扱いされ、好かれてはいない。何一つ業績らしいものは残していないが、特に悪政をしたわけでもない、ゴールデンバウム王朝の末期ぶりを象徴する人物。
行動とは裏腹に発言は凡庸とはいえず、ラインハルトを驚かせるほどの思慮深い発言をする事があり、ラインハルトに高い実力があることを認め、高い地位を与えていた(ラインハルトの本心を知り、覇業を成し遂げさせようとしていた描写がある。)。そのことに貴族が反感を持っていることも、また国家が永遠ならざるものであること、貴族や皇帝など大したものではないことを(おそらくは実体験から)理解しており、「どうせ滅びるなら華麗に滅びればいいのだ」という発言をしていることから王朝の末路を感じ取り、ラインハルトに殺されることを望んでいた描写もある。いずれにせよその発言からはどこか悟りきった印象を受ける。
皇后との間に皇太子ルードヴィヒ(早逝)、皇女アマーリエ(ブラウンシュヴァイク公爵夫人)、皇女クリスティーネ(リッテンハイム侯爵夫人)。またベーネミュンデ侯爵夫人との子を4回もうけるがいずれも死産または流産(これはブラウンシュヴァイクまたはリッテンハイムよる謀殺であると巷説では言われている)。他にも多数の側室がおり、アンネローゼをその一人としたため、ラインハルトには骨の髄から恨まれている(コミック版ではまだ少女というより幼女のアンネローゼを、ミイラさえ思わせる皇帝の老いた手がもてあそぶという、洒落にならないシーンが描かれていた)が、アンネローゼとの間に子を儲ける事はなかった。
帝国歴487年(宇宙歴796年)、アムリッツァ星域会戦終了直後、心臓発作にて崩御。自分の手で裁きを下せず、アンネローゼを救い出せなかったラインハルトたちは憤っていた。
原作小説では具体的シーンが無いが、セガサターン版、プレイステーション版のゲームや、道原かつみの漫画版では臨終シーンが書かれている。漫画版においては、即位の頃から自らの治世の間は何もしない、してやらないと決めていた事を独白するシーンがあり、能力に欠けていたのではなく意図して何もしなかったという描写になっている。

エルウィン・ヨーゼフ2世

(声:江森浩子
第37代皇帝。早くに亡くなったルードヴィヒ皇太子の子で、先帝フリードリヒ4世からは直系の孫にあたる。フリードリヒ4世の急死後、利害が一致したラインハルトリヒテンラーデによって擁立。即位時は弱冠5歳であり、その後の策謀と動乱の渦中で翻弄されていく。周囲から甘やかされて育ったため自我の抑制が効かず、即位した時すでにやや狂気の芽が芽吹いていたらしい。後に誘拐された宇宙船の中での暴君ぶりは脱出船の船長をあきれさせた。
リップシュタット戦役の後、フェザーンの策略により門閥貴族残党により誘拐される形で(実行犯は、ランズベルク伯爵とレオポルド・シューマッハ)同盟に亡命し、銀河帝国正統政府の皇帝となる。ただし、そこには本人の意志は全く介在していない。一連の策謀を感知し、むしろ誘拐を黙認状態で行なわせたラインハルトによって廃位。ラインハルトによる同盟侵攻の大義名分に利用される事になった。
銀河帝国正統政府崩壊の際、ランズベルク伯爵と共に姿を消す。2年後、ランズベルクが逮捕された時、エルウィン・ヨーゼフ2世とされる幼児のミイラ化した遺体が発見されるが、別人である事が後に判明。本人はランズベルクの元から逃げ出して行方知れずとなっており(ただしこれもシューマッハの証言以外に証拠は無い)、彼のその後は永遠の謎となった。

カザリン・ケートヘン1世

第38代皇帝。ペクニッツ子爵の娘、即位時は生後8ヶ月。ゴールデンバウム朝にて最年少、初の女帝にして、最後の皇帝。ラインハルトの傀儡であるが、その傀儡としての仕事も(当然の話であるが)乳児には果たす事はできず、父親たるペクニッツ公爵(元は子爵)が親権者として代行している様子である。退位を(親権者たるペクニッツ公爵に対して)強制されるに際し、終身年金を下賜するという交換条件を約束され、その身の安全はローエングラム王朝より保障はされている。
ヤンが作中指摘してる通り、旧王朝の皇族が新王朝で厚遇されるのは、実際の歴史上では珍しいことでは無い。逆に旧王朝を根絶やしにした例も歴史上数多いが、その場合さらなる別王朝がその新王朝を打倒する際の口実にしたり、その別王朝が旧王朝の係累であると騙ったりするなど、新王朝の不安要因になる場合が多い(むしろ新王朝が旧王朝を厚遇するケースは、それを反面教師としたからである)。
なお、厚遇された旧王朝が新王朝を打倒した例はヤンの説明通り皆無であるが、新王朝が何らかの理由で断絶した際に旧王朝が復活した例は存在する。
小説ではオーベルシュタインに「先々帝ルードヴィヒ3世の第3皇女の孫」と紹介されているが、ルードヴィヒ3世なる皇帝は存在しない。オーベルシュタインが記憶違いをするとは思えず(この場面でオーベルシュタインに記憶違いをさせる必然性は無い)、構成上のミスと思われる。この部分についてOVAでは「先々帝オトフリート5世の第三皇女の孫」と書き換えられている。

シュザンナ・フォン・ベーネミュンデ

(声:藤田淑子鶴ひろみ[黄])
またはベーネミュンデ侯爵夫人。元子爵家の娘。フリードリヒ4世の愛人。幻の皇后。フリードリヒ4世からの呼ばれ方はシュザンナ。アンネローゼ後宮に入る以前は皇帝の寵愛を独占しており、(シュザンナの主観では)それを奪い去った下級貴族の出であるアンネローゼと弟のラインハルトを憎悪している。数度に渡って暗殺ないし失脚を工作したが失敗し、最終的にはアンネローゼの暗殺未遂により皇帝から死を賜り、帝国暦486年5月18日、当時の典礼尚書であるアイゼンフート伯爵の館で毒入りの酒を強制的に飲まされて死亡した(記録上は「自裁」。アニメ版では「病死」と公表された)。
原作小説では、死の直前、自分が皇帝の子供を3度身ごもりながら流産したのは(自分の娘以外の後継者を増やしたくない)ブラウンシュヴァイク公爵の仕業だったと告発しているが、真相は不明。さらに、OVA「決闘者」でもリッテンハイム侯爵とヘルクスハイマー伯爵との間で、皇帝の子供を出産後まもなく何者か(ブラウンシュバイクの可能性を示唆している)が、殺した噂についての会話が見られる。
後宮入りした頃はとてもおしとやかだったらしい。銀河帝国皇帝によって人生を狂わされた一人と言っても過言は無い。
ヘビのように執念深い事からラインハルトは当初「ヘビ夫人」と呼んでいたが、キルヒアイスが彼女との対決を例えた言葉から自分が苦手にしているチシャと同列に扱う意味を込めて「チシャ夫人」と呼ぶようになった。なお、チシャはレタスの和名で、アニメ版ではその渾名を反映して髪の毛がレタス色(濃い緑)になっていた。

リップシュタット陣営

門閥貴族

オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク

(声:小林修
ゴールデンバウム王朝末期、権勢を振るったブラウンシュバイク公爵家の最後の当主。リップシュタット戦役における門閥貴族陣営の盟主。反ラインハルトの筆頭の一人であるフレーゲル男爵は、彼の甥にあたる。アニメ版での乗艦はベルリン。なお、この艦には本体部分を守る盾艦なる構造が付属する。
ブラウンシュバイク家は、フリードリヒ4世の即位時にその後ろ盾となり、彼自身皇帝の娘を妻に娶るなど外戚として絶大な権勢を振るった。一方でクロプシュトック侯爵ら政敵を追い落としたため、恨まれ自邸で爆弾テロに遭う事にもなった(クロプシュトック事件)。ベーネミュンデ侯爵夫人の流産と死産にも関係しているとされる。門閥貴族としての選民思想も強く、当然ラインハルトの存在を許容できず、様々な手を回してその排除を狙った。
フリードリヒ4世の死後、娘の皇帝擁立に失敗し、強化されたラインハルト=リヒテンラーデ体制を覆すべく、本来政敵であるリッテンハイム侯爵と組み門閥貴族連合を結成。その盟主となるが、ラインハルトに先手を打たれてオーディンを脱出し、ガイエスブルク要塞に拠るも「賊軍」とされてラインハルト軍の前に敗退を繰り返す。名門貴族の主として尊大で傲慢な性格は、半ば脅迫まがいで陣営に招いたメルカッツらの足を引っ張り続け、貴族連合軍は急速に瓦解していった。オフレッサーらを失い、側近のアンスバッハも遠ざけ、リッテンハイム候とも権力争いから仲違いしている。
甥にあたるシャイド男爵が民衆の蜂起で殺されると、復讐のためヴェスターラントに禁忌であった攻撃を行う命令を下して200万人を虐殺。これを実際は黙認しながら利用したラインハルト陣営の宣伝で、各領地の民衆が一斉に蜂起し、ついにガイエスブルク要塞に孤立。最後は自暴自棄になって無謀な出撃を行い敗れた後、要塞陥落前にアンスバッハにより自殺を強要され、醜態を晒しながら死亡。一時は名門貴族の絶頂を極めた男の、哀れな転落と末路であった。その遺体は、アンスバッハによるラインハルト暗殺計画に使われた。
作戦会議の席上において、メルカッツの作戦案にも理解を示し、リッテンハイム侯よりは戦略を理解する頭脳を持っているようだ。そのためゲームでの能力もわずかながら高くなっている。ただしメルカッツに自分の作戦案を否定された直後の事であるので、恥をかかないために無理をして理解したふりをして取り繕った感が無い訳でもない。道原かつみの漫画版では、むしろリッテンハイム侯に反論する形でメルカッツの作戦に理解を示し、リッテンハイム侯に恥をかかせようという意図がうかがえる。

ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世

(声:寺島幹夫坂部文昭[決])
ゴールデンバウム王朝末期、権勢を振るったリッテンハイム侯爵家の当主。リップシュタット戦役における門閥貴族陣営の副盟主。乗艦はオストマルク。この艦にもベルリンと同様、盾艦が付属している。
リッテンハイム侯爵家もブラウンシュバイク家同様、フリードリヒ4世の即位時にその後ろ盾となり、彼自身皇帝の娘を妻に娶った。似た者同士のブラウンシュヴァイク公とは、次の皇帝候補である娘の後見人を狙い宮廷内でのライバルだったが、対ラインハルトで手を組み門閥貴族連合の副盟主となる。しかし内乱後も見据えた主導権争いからまもなく仲違いし、手勢の5万隻を引き連れガイエスブルク要塞を引き払う。
ラインハルトは、別働隊を率いるキルヒアイスに討伐を指示。赤毛の子分では不十分と大言壮語して臨んだキフォイザー星域会戦では、キルヒアイスの優れた戦術の前に数で勝りながら大敗し、自らの逃走路確保のため前方にいた味方の補給艦隊(この中にコンラート・リンザーとコンラート・フォン・モーデルがいた)を攻撃させた。ガルミッシュ要塞に逃げ込むが、最後は憤った部下による自爆テロ(ゼッフル粒子の爆発)により死亡。最期の日、酒をあおり自暴自棄の中で現実逃避する様は、奇しくもライバルであるブラウンシュバイク公のそれと同じであった。
なお、原作ではエピソードとして、アスターテ会戦の直前に新無憂宮の「黒真珠の間」で開かれた新年のパーティーでラインハルトに皮肉を言い、逆にラインハルトから痛烈な言葉を浴びせられるシーンがあるが、その際の説明として彼の姓名が「ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世侯爵」と明記されている。おそらくリッテンハイム侯爵家の当主としては、「ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム」という姓名は彼が3人目だったのであろう。そのためOVAでも彼の姓名を「ウィルヘルム3世」と記している。

フレーゲル

(声:二又一成
ブラウンシュヴァイク公の甥で男爵。オフレッサーと共にラインハルトを目の敵にしている最強硬派の一人。アニメ版では、元ミュッケンベルガーの乗艦ヴィルヘルミナを自らの旗艦としていた。ミュッケンベルガーが彼を嫌悪していたのに部下として重用していたのは、当主として家を継ぐことができないミュッケンベルガーが退役後のことを考えてのコネづくりのためであった。
早い段階で、ラインハルトが帝国皇帝の地位を奪う野心を持っている事を見抜いたが、これは冷静な分析というよりも悪意と偏見をもった決め付けであった(例えば、ラインハルトに「民衆に寄生する貴族」と言われた際、単純に怒っている。門閥貴族の価値観では、民衆からの搾取は当然の事であり、それを寄生呼ばわりする事は、ラインハルトに叛意ありという傍証になったはずである)。ただしその悪意と偏見をもった決め付けは、皮肉にも彼の死後に的中することになる。
成り上がりのラインハルトを嫌ったり、捕らえた平民のミッターマイヤーを卑怯にも懲罰しようとして返り討ちにあうと、即、部下にミッターマイヤーの射殺を命じるなど、帝国の門閥貴族の選民主義を体現したようなキャラである。というより、実力も爵位も軍での階級もラインハルトに及ばず、ブラウンシュヴァイク公の係累である事だけにすがっているように見える。OVA版では出番が増え、しばしばラインハルトの暗殺計画や、ラインハルトの軍事作戦中の戦死(に見せかけた謀殺)を策するが、全て失敗している。
内戦では、メルカッツの作戦命令を無視して出撃し、軍法会議にかけられそうになると、いっそこの場で名誉ある自殺をさせてほしいなどの演説をしたりブラウンシュヴァイク公爵に直訴するなど、勝手な行動や自己陶酔に走りやすい。最前線で戦うなど死を恐れることはなく、臆病ではなかったが、敗北に際し「滅びの美学」(戦艦同士の一騎打ちの申し出)を切り出すなど、周囲を省みぬ行動の結果、部下に殺されることになる。

アルフレット・フォン・ランズベルク

(声:塩屋翼
リップシュタット戦役の際、門閥貴族陣営に参加した帝国貴族(伯爵)。特に反ラインハルトという事ではなく、単純に主義を是と信じていただけであった。門閥貴族の中にあって、ラインハルトを「金髪の孺子」呼ばわりしない稀有な人物。フレーゲル男爵とは友人である。リップシュタット戦役後はフェザーンに亡命した。ルビンスキーの策略に乗せられ、幼帝エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐の実行犯となる。その後、幼帝と共に同盟に亡命し、銀河帝国正統政府に参加する。正統政府の閣僚は貴族という以外に才能の無い人物の集まりであったが、ランズベルクは要職にはついていない。
銀河帝国正統政府崩壊の際、幼帝と共に姿を消す。新帝国歴2年にハイネセンにて幼帝の白骨化した亡骸、幼帝が死ぬまでの詳細な記録を綴った日記と共に捕えられたが、精神に異常を来していた。しかし、その後逮捕されたシューマッハの証言から、その亡骸は幼帝ではない事、日記はでっちあげである事が判明。エルウィン・ヨーゼフ2世のその後は永遠の謎となった。
リップシュタット戦役以前は貴族達のサロンで詩を発表するなど創作活動に励んでいて、かなりの評判を博していた。ラインハルトからは「上手くもないへぼ詩人」と言われていたが、ラインハルトに詩を批評する能力があったとは思えない。フェザーンに亡命後、出版社(アニメ版では「TOKUMA」)に自信満々に作品を持ち込むのだが、その編集者には出版物として使えないと手厳しい指摘を受け、かなりプライドを傷つけられている。後に新帝国に捕まるまで記していた架空の日記は、幼帝の偽の亡骸を本物だと信じ込ませるほどの創作物であったと評される。

ヨッフェン・フォン・レムシャイド

(声:小林恭治
伯爵。ゴールデンバウム王朝末期のフェザーン駐在帝国高等弁務官。「フェザーンの黒狐」こと自治領主アドリアン・ルビンスキーに対して、「白狐」と呼ばれる。
リップシュタット戦役によってゴールデンバウム王朝が実質崩壊した後も、そのままフェザーンに留り亡命状態にあった。帝国暦489年、ルビンスキーケッセルリンクによる皇帝誘拐の企てに乗じてハイネセンに渡り、8月20日、銀河帝国正統政府の樹立、及びその首相兼国務尚書となる事をテレビで宣言する。だが翌年、帝国軍のフェザーン占領と同盟領侵攻によってメルカッツを除く正統政府の面々から見放され、同盟の無条件降伏後、ロイエンタールが指揮する兵士に私邸を包囲されて毒を飲んで自殺した。
決して無能な人物ではなかったが、帝国不滅の思想から脱却できず、ルビンスキーらに利用される事になった。

門閥貴族・その他

  • アマーリエ・フォン・ブラウンシュヴァイク (声:なし)
皇帝フリードリヒ4世の娘でブラウンシュヴァイク公爵の夫人。名前だけで出番はない。
  • エリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイク (声:なし)
ブラウンシュヴァイク公爵の娘で皇帝フリードリヒ4世の孫娘にあたる。小説、OVAでの出番はほとんどなく、皇帝フリードリヒ4世の死後にOVA第1期でルビンスキーの執務室のディスプレイに登場するのみである。ブラウンシュバイク公が死の直前、ラインハルトと講和しようとして彼女を差し出そうとしている。ラインハルトも覇権を握る前は、皇帝の血を引く女性と形だけの結婚を企図していたことがある。OVA「奪還者」ではサビーネとともに、遺伝的欠陥があることが判明したが2人とも皇位継承者として名前が挙げられたことから遺伝的欠陥(それが何を意味しているかは不明だが)は顕在化しなかった様子(もっとも、「奪還者」は本編より後からリリースされたため、後付の設定として矛盾が生じただけかもしれない)。
  • クリスティーネ・フォン・リッテンハイム (声:佐藤しのぶ
フリードリヒ4世の娘でリッテンハイム侯爵の夫人。小説では名前だけで出番は無い。OVAでは「決闘者」で娘のサビーネと一緒に登場している。道原かつみのコミック版では、フリードリヒ4世の死後ラインハルトとリヒテンラーデ公によるエルウィン・ヨーゼフ2世擁立に際して、夫に対し激しく怒るシーンがあり、かなり気が強く描かれていた。
  • サビーネ・フォン・リッテンハイム(声:榎本温子
リッテンハイム侯爵とフリードリヒ4世の娘、クリスティーネとの間に生まれた娘。OVA「決闘者」に登場。銃声に驚く。
OVA第1期でルビンスキーの執務室のディスプレイでブラウンシュヴァイク公爵の娘エリザベートと後のエルウィン・ヨーゼフ2世と共に顔だけ出ている。門閥貴族敗北の後の処遇は不明。第1期製作時、役の榎本はまだ小学生で声優ですらなかった。OVA「奪還者」ではエリザベートとともに、遺伝的欠陥があることが判明したが2人とも皇位継承者として名前が挙げられたことから遺伝的欠陥(それが何を意味しているかは不明だが)は顕在化しなかった様子(もっとも、「奪還者」は本編より後からリリースされたため、後付の設定として矛盾が生じただけかもしれない)。
  • シャイド (声:なし)
ブラウンシュヴァイク公爵の甥(男爵)。ヴェスターラントを治めていたが、民衆の反乱にあい死亡。激怒した公爵によって、ヴェスターラントは攻撃を受けて壊滅する。パソコン版銀河英雄伝説Vでは、キフォイザー星域のガルミッシュ要塞を攻略する際に、ヴェスターラントが同じ宙域に存在する。
伯爵。アルテナ星域方面におけるリップシュタット戦役初の艦隊戦で、シュターデンに同行している貴族。シュターデンによる挟み撃ち作戦で別働隊の指揮を任されたが、指揮能力の低さゆえミッターマイヤー艦隊と機雷源に挟まれる宙域におびき寄せられ、短時間で全滅した。アニメ版では、上官であるシュターデンの慎重な態度に門閥貴族特有の尊大さで食って掛かり、諦めた様子のシュターデンが急場しのぎの作戦を立案、そこで別働隊の指揮を任されている。
男爵。銀河帝国正統政府宮内尚書。帝国暦490年における新年の閣議ウイスキーの小瓶を持って出席、酒に酔って(たふりをして?)「諸君が心配しているのはうかつにもラインハルトに逆らってしまった自分たちの身の安全だろう」「あなたたちは外聞をはばかって言えないかもしれないが、エルウィン・ヨーゼフ2世をラインハルトに突き出すという考えもある」と発言する。
男爵。銀河帝国正統政府内閣書記官長。アニメ版では、帝国暦490年における新年の閣議で議論の最初に問題提起を口にする役を担っている。
男爵。銀河帝国正統政府内務尚書。帝国暦490年における新年の閣議で、皇帝を引き渡すというホージンガーの提案に罵声を浴びせた。作者いわく「彼が怒鳴っているのはホージンガーではなく自分たちの良心の下の醜悪な打算であることはわかりきっていた」と述べられている。
  • シェッツラー (声:アニメ未登場)
子爵。銀河帝国正統政府財務尚書。帝国暦490年における新年の閣議には欠席している。
  • ヘルダー (声:アニメ未登場)
子爵。銀河帝国正統政府司法尚書。帝国暦490年における新年の閣議には欠席している。OVA「白銀の谷」のヘルダー大佐とはおそらく全く関係ない。

門閥貴族系の軍人

アンスバッハ

(声:井上真樹夫
准将。ブラウンシュヴァイク公の腹心。有能で功績も多く、部下からの人望も厚かったが、尊大な主からは報われていたとは言いがたかった。道原かつみの漫画版では、アンスバッハ家は代々ブラウンシュバイク家に仕えていると設定されている。
クロプシュトック事件において、ラインハルトとフレーゲルが衝突した時にその仲裁を見事になしえた事から、ラインハルトからも覚えは良かった。
ラインハルトによって嵌められたオフレッサーが、ブラウンシュヴァイク公に掴み掛かろうとしたのを阻止、射殺する。
リップシュタット戦役終盤、ブラウンシュヴァイク公を半ば強制的に自殺させ、ラインハルト暗殺を計画するが計略を阻止したキルヒアイスを殺害するに止まる。直後、ラインハルト幕僚達に取り押さえられたところ、服薬自殺する。ラインハルト暗殺には失敗したものの、その半身を奪い、歴史を変えたと言える人物である。
ラインハルトはアンスバッハの忠誠心に美を感じており、キルヒアイスを直接殺害した犯人であるにもかかわらず、彼への恨みは持っていなかった(ただしこれは、キルヒアイスの死に関し、自責の念がより強かった事も理由である)。またヴェスターラントへの核攻撃には反対の意見を唱えたことや、その結果大貴族が民衆の支持を得られなくなったことを理解していたなど、良識も持ち合わせている。

オフレッサー

(声:郷里大輔
上級大将で装甲擲弾兵総監。身長200cmに達する偉丈夫。類稀な白兵戦能力を持つ獰猛な人物で、同盟軍からは「ミンチメーカー」と恐れられ、ラインハルトは「石器時代の勇者」と蔑みをこめて評し、ロイエンタールとミッターマイヤーに至っては「1対1で出会ったらすっ飛んで逃げ帰る。」「人を殴り殺す為だけに生まれてきたような男。」など散々に評している。左頬にレーザーで切られた傷跡があるが、わざと完治させずに「歴戦の勇者」である事を誇示している。
反ラインハルトの最右翼の一人であるが下級貴族出身(原作のレンテンベルグ要塞攻略時の台詞から)であり、門閥貴族ではない。何故、彼が反ラインハルト派になったかについては直接の説明は無いが、外伝においては門閥貴族よりも現体制下でようやく出世した人物のほうこそ、現体制の破壊者であるラインハルトを憎悪する事になるのではないかという説明がある。アニメでは大貴族出身の将官や先任の将官に対して礼節は整えつつも、自らの思った事を憚り無く話す姿が描かれている(ラインハルトの元帥杖授与式におけるミュッケンベルガー元帥との会話等)。アニメ版においてオフレッサーは帝国・同盟を通して唯一パンチパーマの髪型を持つ名有り将官でもある。彼の調髪は非常に強固で、レンテンベルク要塞での長時間(原作では8時間以上)の戦闘を終えヘルメットを外された後も、その特徴的な髪型は崩れなかった。
レンテンベルク要塞攻略作戦では、他者の倍ほどの大きさ(原作での記述)を持つ戦斧を自在に操り、ラインハルト軍の上陸部隊を8度(原作では9回)までも事実上一人で撃退するという、勇猛というより凶暴な戦いぶりを見せるが、ミッターマイヤー、ロイエンタールに挑発され、落とし穴にはまってしまうという間抜けな形で捕らわれる。後にオーベルシュタインの策略により汚名を着せられ、ブラウンシュヴァイク公に弁明しようとするもつい手が出てしまい、公の側近であるアンスバッハにより射殺される。死後裏切者扱いされ、「オフレッサーまでもが裏切ったか」と(オーベルシュタインの狙い通りに)貴族連合軍に動揺を呼んだ。
そのレンテンベルク要塞での戦闘においての作中の記述から、白兵戦の達人でもあるミッターマイヤーロイエンタールの両名に比しても純粋な白兵戦においては圧倒的な実力を有することがうかがえる。ロイエンタールは後に、同盟軍を代表する白兵戦の豪傑たるシェーンコップと戦っており、両者の実力は互角であると考えられる。したがって作中の登場人物の中で最も白兵戦技に優れていた人物と言えるだろう。なお、キルヒアイスはラインハルトにオフレッサーに勝てるか聞かれたときに「自信がありません。」と答えている。また、捕らえられても尚、命乞いもせず傲然としており、フレーゲル同様、良くも悪くも臆病者でないことは確かである。ただ、その戦い振りは「白兵戦で直接流した血の量によって」出世したと言われる程に常人離れした残虐なものであり、尊敬の念をこめて「勇者」と呼ぶには憚りのある人物でもあった。自ら仕留めた猛獣剥製を自宅に飾っていて、外伝で夫と共に訪ねてきたリューネブルク夫人が卒倒する。また、意外にも政治的な物には敏感であり、自分に取り入ろうとしたリューネブルクを「俺は金髪の孺子も嫌いだが、卿も嫌いだ」と一蹴している。またその際に飲んでいた酒のグラスに入っていた大きめのロックアイスを平気で噛み砕く顎力の凄さを見せつけている。

シュターデン

(声:村越伊知郎
元士官学校の教官。ミッターマイヤーの元教官でもある。戦術理論の知識は豊富だが、理論にとらわれる傾向があり、生徒からは「理屈倒れのシュターデン」と呼ばれる。アニメ版での乗艦はアウグスブルグ(映画版2作目では標準型戦艦に盾艦を装備しており、彼の人となりが見てとれる)。
外見は、アニメ版ではいかにも切れ者参謀風の知的でシャープな面立ちをしているが、道原かつみの漫画版では丸眼鏡をかけた小心翼々たる中年男として描かれている。
アスターテ星域の会戦において、中将の階級でラインハルトの幕僚として参加。2倍の敵(同盟軍)を前にし、ラインハルトに対して撤退を具申する。彼以外にもメルカッツら複数の提督が具申に訪れていることから、撤退自体は常識的な判断であったと考えられる。ただし、とりわけ理屈を重ねて主張する描写があり、その性格が見てとれる。会戦はその後、ラインハルトの大胆な作戦によって帝国軍が優勢となったため、判断力の華麗さを見せつけたラインハルトの引き立て役を演じる結果となってしまっている。
帝国内乱では、リップシュタット連合軍に大将の階級で参加(アスターテ星域の会戦の後、中将から昇進したものと思われる)。純軍事的には極めて有効な首都攻略作戦を提示するなど、戦術理論家としての知識を披露している(しかし、この作戦は貴族連合においては政治的な理由で実現が不可能な、まさに理屈倒れのものであった)。アルテナ星域の戦いでは一応形になった戦術を提案してヒルデスハイム伯爵らを感嘆させるシーンがあり、戦術家として一定の能力を有していることが描かれているが、貴族連合軍は緻密な作戦を遂行する能力に欠けていた(戦術以前の問題)ため、ミッターマイヤー艦隊によって一方的に撃破され、大敗を喫する。負傷して(アニメ版では、おそらくヒルデスハイム伯爵ら門閥貴族の突き上げによる過度のストレスが原因で、戦闘の直前にはを患っており戦闘中に外傷の無いまま吐血する。そして引きつった顔でストレッチャーに乗せられ運ばれていく)レンテンベルク要塞に退避した後、同要塞がローエングラム軍に制圧され、病室のベッドで捕虜となる。その後どうなったかは不明である(オフレッサーの直属の部下は、オーベルシュタインの謀略により処刑されているが、シュターデンに関しては特に描写は無い)。

レオポルド・シューマッハ

(声:中田譲治
フレーゲル男爵の参謀。階級は大佐。有能で冷静、ビジネスマンを思わせる顔立ち。30代で平民の出身で、かつ前線で立てた武勲の昇進ではなかった事は、旧帝国体制下ではきわめて稀有な例であり、その経歴を知ったラインハルトは惜しんでいた。
リップシュタット戦役において、フレーゲル男爵に有益な助言を与え、門閥貴族連合軍の敗北が決定的になると男爵に落ち延びて亡命する事を勧める。狂乱状態で滅びの美学を唱える男爵に聞き入れられず、道連れを拒否して男爵に殺されそうになるが、すでに男爵を見限っていた兵士達が男爵を射殺した。恩人である部下たちを見捨てる事はできず、共にフェザーンに亡命し、乗艦ヴィルヘルミナを売却した代金を元手に、部下達と一緒にアッシニボイヤ渓谷で開拓事業を始める。しかし、その有能さに目を付けたフェザーン政府のケッセルリンクによって、部下達の将来を担保に取られる悪辣なやり方で、皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐の実行犯として活動せざるを得なくなる。皇帝の「救出」に陶酔するラングベルグ伯と違い、シューマッハは自分達の行為に一片の価値も見出してはいなかった。
銀河帝国正統政府では准将として提督の称号を与えられるが、同盟降伏後に行方をくらます。後にルビンスキーの火祭りで負傷して帝国軍憲兵隊に拘束され、ランズベルク伯が持っていたエルウィン・ヨーゼフ2世とされる遺体が別人である事、地球教が最後のテロを起こそうとしている情報を提供する。釈放後、フェザーンのアッシニボイヤ渓谷に戻るが、すでにかつての部下達は四散しており、再び静かに開拓に従事したいという希望は実現しなかった。その後、シュトライトの推薦でローエングラム朝銀河帝国軍の准将となるが、宇宙海賊との戦闘中行方不明となった。
極めて有能で視野の広い人物だが、不幸にもその才能を活かす場を与えられなかった。一応ここでは門閥貴族陣営の欄に入れているが、彼にはどちらの陣営に所属するかを選ぶ余地もなかったであろう。その才能を登用し損ねた事は、ラインハルトをして自分の人材登用に穴があったと悔やませている。
アニメのオリジナルシーンとして、尋問の際憲兵が彼の氏名を検索する時、ミハエル・シューマッハラルフ・シューマッハの名前が出てくる。

門閥貴族系の軍人/その他

中佐。ウェーゼル狙撃兵大隊所属。ガルミッシュ要塞に逃げ込んだリッテンハイム侯爵に強引に面会を求め、かついで来た部下のパウルス一等兵の死体をリッテンハイムに投げつけた。その直後にブラスターで射殺されたが、携帯していたゼッフル粒子発生装置を起動していた為に大爆発が発生。リッテンハイムを道連れにした。
  • パウルス (声:なし)
一等兵。リッテンハイムが逃げ出した為に死に(上官のラウディッツの発言)、死体としてラウディッツにかつがれて登場した。アニメでは名前は呼称されない。また、原作小説では腰から下が無かったと記述され、道原かつみのコミック版でもそのように描写されているが、アニメでは身体の欠損は描かれなかった。

その他

その他・貴族

クラウス・フォン・リヒテンラーデ

(声:宮内幸平糸博 [千])
フリードリヒ4世の治世における国務尚書(侯爵)。国務尚書就任前は内務・宮内・財務尚書を歴任。フリードリヒ4世が政治について一切携わらなかったことから彼が帝国の政治の一切を取り仕切っていた。元より高位にあった訳ではなく、かつてはベーネミュンデ侯爵夫人の顔色をうかがうような低い地位にあった事が描写されており、自らの才覚によって急速に出世したと思われ(ベーネミュンデ侯爵夫人は30代であり、それから考えて10年ほどかそれ未満で高位に出世した事になる)、宮廷内工作の能力か政治能力かはわからないが、高い能力を有していると思われる。
それゆえに、ラインハルトに簒奪の意思があると早くから見抜いていたが、その事をフリードリヒ4世に注進した際、簒奪される事が自らも望む所である事を告白され、驚愕する事になる(原作小説およびアニメの描写。道原かつみの漫画では、簒奪される事を望むフリードリヒ4世の台詞は他人には聞こえない独白である)。
一応は彼自身も門閥貴族であるようだが、アンネローゼを非難するベーネミュンデ公爵夫人をたしなめたりと、他の門閥貴族よりも公正な見識を持っている様子。それゆえ帝国の将来に危機感を持っており、ブラウンシュヴァイク公ら強大な門閥貴族が帝国を牛耳る事を阻止すべしと考えて行動し、フリードリヒ4世が崩御すると、強力な門閥貴族の後ろ盾が無く、ただ一人の内孫であるエルウィン・ヨーゼフ2世を擁立し、自らも帝国宰相に就任して爵位も公爵に昇る(宰相は長年の慣習で空位とされており、その地位に昇進した事からも並々ならぬ才能と決意がうかがえる)。門閥貴族に対抗するためラインハルトと連合を結ぶ。だが彼にとってラインハルトは門閥貴族連合を排除するための道具に過ぎず、また前述の通り彼に簒奪の意思ありと見抜いており、門閥貴族連合が片付いた後ラインハルトを勅命で排除するつもりで、門閥貴族連合に加わらず帝都に残った貴族たちと連絡を取り、策謀する。しかしこの事がヒルダからラインハルトに報告され、オーベルシュタインの察知、そしてラインハルト麾下の提督たちの行動により先手を打たれラインハルト一派により排除され、自害させられた模様。

エルフリーデ・フォン・コールラウシュ

(声:富沢美智恵
リヒテンラーデの姪の娘。フェリックス・ミッターマイヤーの実母。流刑地からオーディンに戻って(方法は不明)ロイエンタールを襲撃したが、逆に捕らえられて、そのままロイエンタールの家にいついてしまう。回廊の戦いの直前、ロイエンタールを失脚させる為のラングの策略に加担する結果となる証言を行う。ロイエンタールの子供を生んだ後に逃亡し、ルビンスキーの隠れ家に逗留する。ロイエンタールが死ぬ直前、ドミニクの手筈でハイネセンの総督府に現われ、子供を残して立ち去る。以後の消息は不明。

マクシミリアン・フォン・カストロプ

(声:堀秀行
フリードリヒ4世の治世下に前後15年財務尚書を務めたオイゲン・フォン・カストロプ公爵の嫡男。父親が、悪い意味での政治的才幹を発揮して、職権を濫用して不正蓄財していた。その父が事故死した後、帝国は不正に得た財貨の返還を要求した。しかし、父親の悪い意味での才幹を受け継いでいなかった彼はそれを拒否して、説得に来たマリーンドルフ伯を拘束し、カストロプ動乱を引き起こした。政治的才能とは裏腹に、ある程度の軍事的才能は持っており、討伐に来たシュムーデ提督の艦隊に勝利。さらには隣接したマリーンドルフ伯領を併呑して独立王国を立てる事を目論んだが、キルヒアイス少将(当時)の艦隊運用の前に敗北し、罪が軽くなる事を望んだ部下に殺される。この功績によって、キルヒアイスは中将に昇進する。
アニメでは大きく描写が異なる。原作小説で見せた軍事的才能も持ち合わせておらず、ひたすら傲慢かつ無能な肥満気味の人物として描かれた。フェザーンから購入した「アルテミス首飾り(当時のハイネセンと同じ防宙システム)」を用いて迎撃を画策し、それによって(当人の才能によらず)シュムーデ艦隊を掃滅したが、キルヒアイスがゼッフル粒子を用いて同システムを破壊した為に無力化した。最後にはその傲慢さから、部下に殺された。ちなみにアニメ版においてはマクシミリアンとその取り巻きたちは、古代ギリシア風の衣装を身にまとっていて、領内の建築物もギリシア風である。ただし銀河帝国においてはドイツのみならず、ギリシャ・ローマの文化的影響も多少はある事は、原作小説にも僅かながら言及がある。
コミック版では長髪細面の美形、原作小説同様のある程度の軍事的能力を持つ人物として描かれている反面、年端のいかない少女を慰み者にする等、より退廃的な人物として描かれている。キルヒアイスが小惑星をおとりにした複合作戦を用いて、カストロプ側の迎撃艦隊と地上のビーム発射基地を各個撃破した。敗れたマクシミリアンが部下の手で殺された事は共通している。

ウィルヘルム・フォン・クロプシュトック

(声:あずさ欣平[9])
侯爵。元々は門閥貴族だったが、皇位継承の折、フリードリヒ4世の弟を支持していた為、権力闘争から遠ざかった。約30年後、ブラウンシュヴァイク公爵が開催した皇帝臨御のパーティーで爆弾テロを仕掛けたが、暗殺対象となった相手は全て生き残り、逆に討伐されてしまう。この一連の出来事を「クロプシュトック事件」と称している。
クロプシュトック事件は、時期及び経過が原作とアニメで異なっている。
原作小説では帝国暦486年(3月)第3次ティアマト会戦第4次ティアマト会戦の間の出来事として描かれている。爆弾が仕掛けられていたのは黒いケースで、事件発生直後にラインハルトを事情聴取したのはメックリンガー。クロプシュトックはテロと同時に宇宙船で自分の領地に逃げ込み、討伐に当たったブラウンシュヴァイクの軍も宇宙艦隊として描かれている。この艦隊にミッターマイヤー少将とロイエンタール少将が戦闘技術顧問として参加しており、ミッターマイヤーがブラウンシュヴァイクの縁者を軍規に背いたかどで処刑した事から問題が発生した。ロイエンタールの画策でラインハルトが軍刑務所に出向いて救出し、それ以降、両者はラインハルトの陣営に加わる事になる。従って本作の展開に関して極めて重大な事件として位置づけられている。
アニメでは帝国暦487年、ラインハルトによる元帥府開設とアムリッツァ会戦に至る同盟の侵攻の間の出来事として描かれている。爆弾が仕掛けられていたのはで、事件発生直後にラインハルトを事情聴取したのはシュトライト。クロプシュトックはオーディンの屋敷で結果を聞いて失望し、屋敷に火を放って自殺した。駆けつけた討伐軍は陸戦隊で、指揮はフェルナー大佐だったが、前庭正面にルドルフの銅像があることを理由に砲撃せず、自害の時間を与えて遠巻きにして火災を見るだけに終わっている。尚、第87話のラインハルトの回想シーンで、ミッターマイヤーが門閥貴族によって軍刑務所に監禁されている場面が描かれているが、「クロプシュトック事件の出来事」とは説明されていないので物語上の不整合は生じていない。

エーリッヒ・フォン・ハルテンベルク

(声:佐々木功[千])
内務省警察総局次長。爵位は伯爵。リューネブルクの妻エリザベートの兄。現実的な視野と貴族のプライドを併せ持つ。いずれは警視総監、そして内務尚書の座を占めると噂されていた。エリザベートがフォルゲン伯爵家の四男カール・マチアスとの結婚を真剣に考えるようになるとカール・マチアスにどうやって生計を立てていくかと厳しく追求する。代々の財産で食っていく事を当然とする門閥貴族の中にあって、希有な話である(自身が有能な官僚であった事から、自ら生計を立てるべきという価値観を身につけたと思われる)。カール・マチアスは当時の貴族の子弟にありがちな人物で、まともに生計を立てていく道を知らなかった。そのため生計を立てる手段として、サイオキシン麻薬の密売という犯罪行為に手を染めてしまう。その事を知ったハルテンベルク伯爵は自分の未来と妹を守る為にカール・マチアスの長兄フォルゲン伯爵と共謀して彼を最前線に送り込み戦死させる。しかし残されたエリザベートはひどく悲しみ廃人同然となってしまう。そこで見るに見かねた伯爵は何とか妹を回復させようとリューネブルクと結婚させる(ケスラーは憎む対象を与える事によって彼女の心を救おうとしたのではないかと推測している)。しかし二人の夫婦仲はうまくゆかず破綻寸前になっている所をリューネブルクに厳しく問いただす。のちにグリンメルスハウゼンによりカール・マチアスの死の真相を知らされた妹によって殺害される。死の直前二人は大喧嘩になっていた。

ゲルラッハ

(声:八奈見乗児
子爵。フリードリヒ4世治下の財務尚書。カストロプ公爵一族の不正蓄財の処理を担当した。アニメ版ではリヒテンラーデの腰ぎんちゃくのようなスタンスで幾度か登場しており、アムリッツァ会戦に至る同盟の侵攻に対してラインハルトに迎撃を任せる様にリヒテンラーデに進言する、といった役回りも与えられた。エルウィン・ヨーゼフ2世が即位し、リヒテンラーデ侯が公爵に上って帝国宰相に就任すると、彼も伯爵に上って帝国副宰相に就任する。しかしリップシュタット戦役後はオーベルシュタインの監視下に置かれていたが、エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐の計画が判明した時点で、ラインハルトとオーベルシュタインが、その犯人に仕立てようという提案がなされた(原作小説のみ)。行政官としてはかなり有能らしい。皇帝誘拐事件後自決させられた。

ペクニッツ公爵

銀河帝国・第38代皇帝カザリン・ケートヘン1世の父親。象牙細工だけが趣味で、趣味が高じて借金を抱えていた。それ以外はこれといって特徴も無い平凡な貴族で爵位も子爵だったが、娘が帝位に就いた事から公爵に昇進する(借金もラインハルトが肩代わりした)。バーラトの和約後、親権者として娘の退位宣言書にサインしてゴールデンバウム王朝の最期の幕を引いたのは、彼のペンによるものである。その後は、娘が健在である限り年150万帝国マルクの年金が支払われることになっており、少なくとも公爵本人は安堵のもとに退位宣言書にサインしたようである。

その他・貴族/その他

  • オイゲン・フォン・カストロプ (声:アニメ未登場)
公爵。旧体制下で15年に渡って財務尚書を務め、その間に職権を濫用して不正蓄財を続けていたが、帝国暦487年に自家用宇宙船の事故で死亡した。
  • ルーゲ (声:アニメ未登場)
伯爵。カストロプ公オイゲンが財務尚書を務めていた時期の司法尚書。カストロプ公爵の不正蓄財の巧妙さを「見事な奇術」と皮肉りつつ、手出し出来ないでいた。

その他・軍人

その他・軍人/将官

リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン
(声:槐柳二[千])
中将(後に大将に昇進)。子爵家の当主。ヴァンフリート星域の会戦に参加したグリンメルスハウゼン艦隊の司令官。乗艦はオストファーレン。この会戦の時、ラインハルトキルヒアイスは同艦隊に所属していた。
外見は老耄の人としか見えず、多くの者から軽んじられている。青年時代のフリードリヒ4世の侍従武官を務めていた、というより放蕩仲間だった為、不相応に重用されている、というのが一般的な評価。2人のラインハルト評は「人間にできることで、あの若者に不可能なことはあるまい」という意味深なものだった。「居眠り子爵」「ひなたぼっこ提督」などと呼ばれる。姓が長いため、「グリンメルス」と略される事もしばしばである。
軍人としての才能に乏しい反面、客観的な思考と人を見る目を備えており、門閥貴族の一員でありながら、ラインハルトの才能を高く評価していた。また同時に、その眼でラインハルトの叛意も見抜いたかのようで、その眼で直視されたキルヒアイスは気押されさえした。
キルヒアイスを昇進させる様に推薦した事や、当時部下だったケスラーを通じて、長年居眠りを装いながら聞き集めた数々の秘聞情報を、ラインハルトに門閥貴族に対する武器として提供しようと申し出ている(この資料はラインハルトは受け取らず、代わってケスラーに保管を任せた)。
また、その資料を用いてラインハルトの政敵であるリューネブルクの妻エリザベートに、己の過去にけりをつけさせた。
アントン・ヒルマー・フォン・シャフト
(声:有本欽隆
登場時は56歳。階級は技術大将。職責は科学技術総監。工学博士と哲学博士の学位を有している。指向性ゼッフル粒子の開発責任者として有名だが、それ以外にさしたる功績を挙げていない。
技術力より政治力に長けており、策謀によって巧みにライバルを追い落とし、ゴールデンバウム王朝から6年続けて科学技術総監部のボスに君臨している。さらにルビンスキーと密かに繋がっており、軍事機密を漏洩して金銭等を得ていた。ラインハルトが帝国の実権を掌握した直後、ガイエスブルグ要塞を移動可能にしてイゼルローン要塞への攻撃に使用するという案を提出して採用されたが、作戦が失敗した後、利用価値が無くなったと判断したルビンスキーとケッセルリンクから汚職横領の数々を情報提供され、失脚に至る。
スキンヘッドに極太の眉と口ひげが印象的で、肉付きのいい身体は一見「ビアホールの店主を思わせる」。
トーマ・フォン・シュトックハウゼン
(声:永井一郎
大将。ヤン・ウェンリーが第13艦隊を率いてイゼルローン奪取作戦を遂行した時点での、イゼルローン要塞司令官。この作戦の時点で50歳。要塞駐留艦隊司令官のゼークトとは不仲。要塞と艦隊の司令官の関係は「伝統的」なもので、両者が会議を行なう際は、お互いの執務室の中間の部屋で行なったほどである。
ヤンの計略に気が付かず要塞を奪取され、捕虜となる。その場にいた帝国軍兵が彼もろともシェーンコップを射殺しようとしたのだが、彼が降伏をしたため失陥は確定的なものとなる。その後の消息は不明である。
ハンス・ディートリッヒ・フォン・ゼークト
(声:飯塚昭三
大将ヤン・ウェンリーが第13艦隊を率いてイゼルローン奪取作戦を遂行した時点での、イゼルローン要塞駐留艦隊司令官。要塞司令官のシュトックハウゼンとは不仲。
典型的な軍事ロマンチシズムの持ち主で、客観的な戦略戦術よりも威厳と体面を重んじる。その為、幕僚のオーベルシュタイン大佐の再三の進言を無視してヤンの計略にはまり、艦隊を非戦闘宙域に向けてしまう。さらに同盟軍に占領されたイゼルローン要塞からの降伏勧告(それが嫌なら追撃はしないから逃げろ、という注釈付き)を侮辱と受け取り、全艦突入を命じてヤンの嫌悪と軽蔑を買い、同時にオーベルシュタインから見捨てられる。最後はトール・ハンマーの攻撃により、旗艦もろとも蒸発する。50歳。
グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー
(声:柴田秀勝
フリードリヒ4世治下の宇宙艦隊司令長官。士官学校を首席で卒業し、その後長く軍歴を誇る人物。自身多くの軍人を輩出した伯爵家の次男であり、父ウィルヘルム第2次ティアマト星域会戦の艦隊司令官(中将)。当時の軍務尚書ケルトリング元帥は大叔父。乗艦はウィルヘルミナ(後にリップシュタット戦役時にフレーゲル男爵が使用)。その艦名は彼の母親の名に由来するという。
「皇帝よりも皇帝らしい」と評され、威厳が軍服を纏ったような堂々たる人物。「ただし、堂々たるだけだ」とはラインハルトの評であり、無能な人物であると見なしていた。ただしまるっきり無能という訳ではなく、原作小説ではラインハルトの評価はいささか偏見が入っており、実際にはそれほどは無能な人物ではないと説明がなされている(爵位が幅を利かせる社会とはいえ、それ相応に有能でなければ元帥や宇宙艦隊司令長官の地位に就く事は不可能であると思われる)。とはいえ、ラインハルトのみならず、他の帝国軍の将帥からも「メルカッツと立場を入れ替えるべきだ」という意見もあり、あまり能力や実績を評価されていないのも事実である。
他の貴族や同僚達と同様ラインハルトを毛嫌いし、実際ラインハルトを戦場で消そうとした事もある。それ以前のラインハルトが准将にすぎなかった際には、幕僚に対して何故一准将のことを心にとめなければいけないのか叱責している。しかしラインハルトはその都度それを逆用して軍功と昇進を重ねていく。
アニメ版においては第4次ティアマト会戦以降、ラインハルトの実力を認め、少なくともラインハルトの天才を認める人物鑑定能力がある事を示している。フリードリヒ4世の崩御と同時に司令長官職をラインハルトに譲る形で勇退した。(アニメ版では、ゆっくりと石段を下りていくその脇をラインハルトとキルヒアイスが駆け上っていく様が、象徴的に描かれている)その際、アニメ版のみの描写であるが、来たる内戦に備え陣営入りを勧誘するブラウンシュヴァイク公爵リッテンハイム侯爵に対し、「金髪の儒子」ではない「政戦両略の天才」ラインハルトを甘く見ないよう警告を残している。またその時には「この時期に退役できて幸運」という発言も残している。更にラインハルトを「ローエングラム侯」と尊称して呼んでいた。以上のように、アニメ版においては原作よりも遥かに扱いが上である。
退役後は物語に登場せず、直後のリップシュタット戦役においても全く関与は見られない。彼の旗艦はフレーゲルに譲られている。そのため作中での登場時期は短いが、外伝では前線総司令官として陣頭指揮をとっており、出番が多く用意された。
ヘルマン・フォン・リューネブルク
(声:野沢那智[千])
准将(後に少将に昇進。死後、大将に特進)。白兵戦技の達人。元は同盟軍大佐。第11代ローゼンリッター(薔薇の騎士)連隊長で、シェーンコップ達の上官だった。逆亡命後、ハルテンベルク伯爵の妹のエリザベートと強引な形で求婚を迫り結婚。シェーンコップによると、元々「爵の字」が付くほど立派な家柄出身とのことだが、ヴァンフリート星域の会戦後にフリードリヒ4世の嫡子であるという噂が流布した(結局、噂の出所も真偽も判明しなかった)。第6次イゼルローン攻防戦で薔薇の騎士連隊の挑発に応じる様に命令され、シェーンコップとの一騎打ちで敗北、絶命する。
ヴァンフリート4=2の地上戦で、ラインハルトが同盟軍のセレブレッゼ中将を捕虜にした功績をキルヒアイスが機転を利かせたため横取りし損なった頃からラインハルトを敵視する(ラインハルトが少将に昇進したついでに自分も少将に「昇進させられた」のが気に入らなかった)様になり、オフレッサー邸訪問など、様々な政治的工作で自分の栄達とラインハルトの失脚を目論んだが、成功に至ったものはほとんど無かった。(しかしどの道、第6次イゼルローン攻防戦後も生きていたとしても、妻エリザベートが兄殺しをしたため、栄達は絶望的であった)。
陸戦の指揮官としては優秀であり、白兵戦においてもシェーンコップに「自分以外では倒せない」と評されるほどの達人である(帝国に逆亡命する前、シェーンコップとの試合形式の戦闘で勝利している)。人の才能を見抜く目はそれなりに持っており、ラインハルトに出世したら自分の幕僚に加えたいと誘ったり、キルヒアイスの本質を見抜いていたりした。
ラインハルトは感情を露にして毛嫌いしていたが、後に家庭的に恵まれないことを知ると自分の境遇とも重なり、複雑な感情を抱くようになっていた。
その他・軍人/将官・その他
少将。統帥本部作戦三課所属。亡命したヘルクスハイマーの身柄拘束と、軍事機密である指向性ゼッフル粒子発生装置の試作機奪回を、ラインハルトに命じる。リッテンハイム侯爵の謀略に至る事件の背景は心得ていたと思われる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。帰還後のラインハルトにそれを指摘され、秘密にする代わりに昇進を約束させられる。
フリードリヒ4世治下の軍務尚書。軍人と言うより老軍官僚と言った印象が強い。アニメではモノクルが特徴。イゼルローン失陥時に責任を取って3長官の他の2人と共に辞任しようとするが、ラインハルトの擁護とそれを受け入れた皇帝により慰留される。リップシュタット戦役開戦前夜、ラインハルトの命を受けたビッテンフェルトにより拘束される。当時の年齢は80歳前後だったと思われる(原作に彼の年齢の記述はないが同じく原作の記述に「ビッテンフェルトとの間に半世紀に差があり」という記述がある。当時のビッテンフェルトは30歳だった。そのため彼の年齢と半世紀(50年)を足すと80になる)。その後、退役となる。
少将。アスターテ会戦でラインハルトの直属艦隊の司令官の一人として登場したが、指揮能力及びラインハルトに協力する姿勢はほとんど無かった。
アニメでは、ヤンが指揮する同盟第2艦隊に背後にまわられた時、全速前進というラインハルトの指令を無視して反転しかけ、同盟軍の砲撃をまともに受けて撃沈される。立場上、その直前に同じ行動を採った同盟軍第6艦隊が瓦解する様子を知っていた筈だが、それをまったく生かせずに死んだ為、ラインハルトから容赦無い非難を浴びた。
ラインハルト麾下で最初に戦死した将官である。
  • ミヒャエル・ジギスムント・フォン・カイザーリング (声:川久保潔[汚])
元中将で退役少将。男爵アルレスハイム星域の会戦の敗北の責任を取って少将に降格されて退役。初恋の相手で現在はバーゼル中将の妻であるヨハンナへの思慕から独身を貫いている。
  • クラーゼン(声:なし)
フリードリヒ4世治下の幕僚総監。アニメでは立派な髭を蓄えた人物。三長官と同じく階級は元帥であるがアニメでは顔を何回か少しだけ出しているだけで字幕も出ない。ローエングラム王朝の幕僚総監は統帥本部を自ら統括する事になったラインハルトの補佐役と言う役割を与えられているがゴールデンバウム王朝では事実上の名誉職のようである。セガサターンプレイステーション版では三長官との会話シーンに参加しリップシュタット戦役時にエーレンベルグ、シュタインホフと共に拘束され引退している。また、元帥なのでパソコン版ゲームでは作品によっては彼を三長官職に就けることも可能。作中の元帥で最も影の薄い元帥の1人と言える。
フリードリヒ4世治下の統帥本部総長。ローエングラム王朝での統帥本部総長だったロイエンタールはラインハルトの代理人として国内軍総司令官となったり大親征でラインハルトの首席幕僚になったりしてるが、ゴールデンバウム王朝では特にそのような記述がなく、またフリードリヒ4世が親征をしなかった為彼の役割はいま一つよくわからない。彼の登場場面でもほとんど三長官の他の二人との会話シーンだった。リップシュタット戦役前夜、ラインハルトに拘束される。アニメ版で彼を拘束した人物はルッツ
  • ゲアハルト・フォン・シュテーガー(声:藤本譲[朝])
中将。幼年学校の校長。爵位は男爵ラインハルトキルヒアイスの在校中は副校長。ライフアイゼンの事故死に遭遇して、それを殺人事件に偽装する事で、学校が取るべき管理責任を架空の犯人に転嫁した。さらにそれに乗じて、学年次席のベルツを殺して首席のハーゼを犯人に仕立てる事で、第3位で孫のヴァルブルクを首席に押し上げようとしたが、それをラインハルトに突き止められ逮捕された。アニメ版ではハーゼの色盲の事実を元上官である彼の祖父より聞かされていた。
  • シュムーデ (声:アニメ未登場)
カストロプ動乱が起こった時に最初に派遣された討伐軍の司令官。原作では着陸したところを奇襲されて戦死した。アニメ版ではアルテミスの首飾りと同じ防宙システムによって艦隊が全滅した。階級は不明。ただし艦隊が3,000隻(アニメ版)であり、少将の統率する規模である事から、少将だと推察される。
  • クリストフ・フォン・バーゼル (声:中田浩二[汚])
退役中将。アルレスハイムの会戦に参戦。サイオキシン麻薬の密売を行っており、敗戦後疑惑を持たれるが無罪となる。妻ヨハンナの書いた告発の手紙をカイザーリンクからのゆすりと考え、カイザーリンクの暗殺を目論んだ。
なおアニメ版においては時代劇の悪代官・悪家老役として有名な中田浩二が声優を務めている。
  • ハウプト
中将。軍務省人事局長。いわゆる「灰色の軍官僚」で、ラインハルトには好意も悪意も抱いていない。
ヴァンフリート会戦で、自分は少将に昇進したのに、キルヒアイスは少佐になれなかったことに激怒したラインハルトの怒りの矛先を向けられたが、「少将の副官を少佐が勤めた例はない。昇進させるなら副官をやめてもらう」と切り返し、さらに「キルヒアイスが異動せず、ラインハルトの副官のままでいられること自体、異例の厚遇。いいかげんにしろ」と反撃。ラインハルトから一本取った。
少将。エルラッハと同じくアスターテ会戦でラインハルトの直属艦隊の司令官の一人として登場したが、指揮能力及びラインハルトに協力する姿勢はほとんど無く、またシュターデンのように直言したりエルラッハのように反抗する気概さえなかった。 そのせいかリップシュタット連合軍にも姿を見せず、以後の消息は全く不明。アスターテ会戦に参加したラインハルトの直属艦隊の5人の司令官(メルカッツファーレンハイトシュターデン、エルラッハ、フォーゲル)の中では最も読者・視聴者の印象に残らず、影が薄い。
劇場版第二作では、ロイエンタールから「(エルラッハとフォーゲルは)順送り人事の員数合わせで提督になれた。足手まといにしかならん」と酷評されている。
少将。グリンメルスハウゼン艦隊の参謀長。ラインハルトの言動を批判し、グリンメルスハウゼンに処遇を質問したが、グリンメルスハウゼンがラインハルトを擁護する様な返答をした為返答に窮した。
少将。第3次ティアマト会戦におけるラインハルト艦隊の参謀長。32歳で少将と出世は早いが「子爵家の嫡男だから」とラインハルトは見ている。ラインハルトの意図を全く理解できないばかりか、ラインハルトの逆鱗に触れるようなものの言い方や、進言を却下されたノルデンを庇う演技をキルヒアイスとラインハルトがしたのに当の本人は全く聞いていないなど空気が読めないため、ラインハルトのストレスを蓄積させる一方であった。ラインハルトは「一生の忍耐力を使い果たしてしまいそう」なほど我慢をしていたが、「撤退しましょう。」の一言に怒りが爆発。怒声を浴びせて追い返した。その後、わずか2斉射で会戦の勝利を決定付けてしまったラインハルトの手腕に、ただ呆然とするだけであった。人当たりの良いキルヒアイスでさえ、「ラインハルト様のお役には立てない」と酷評している。
大将。第5次イゼルローン攻防戦における要塞司令官。シドニー・シトレが行った並行追撃作戦でトール・ハンマーを封じられて劣勢に追い込まれ、敗戦の責任を問われることに対する恐怖などから、味方ごとトール・ハンマーで同盟軍艦隊を粉砕するよう命じる。3年後の第4次ティアマト会戦では要塞司令官はシュトックハウゼン大将が就いているが、クライスト大将がその後どうなったかについては描写されていない。

その他・軍人/佐官

アデナウアー
(声:佐々木敏[反])
少佐。駆逐艦ハーメルンIIの艦長男爵家の当主。民間船の船長も経験していたため門閥貴族特有の選民意識はなかったが、それを柔弱と誤解したラインハルトからは、当初軽んじられていた。その後、戦闘で負傷したため、その時ブリッジにいたクルーの中で最上位であったラインハルトに指揮を任せるが、それが艦内での騒動につながる。事態が流血沙汰となる寸前、負傷した体を張ってベルトラム、ラインハルト双方を制止し、ラインハルトの評価は一転することになる。
クリストフ・フォン・ケーフェンヒラー
(声:矢島正明[螺])
登場時の階級は大佐。軍立エコニア捕虜収容所に収容されている捕虜の一人で捕虜の自治委員会長。男爵家の当主で地方行政官のエリートコースを歩んでいたが25歳に入隊。わずか3年後の28歳に大佐となる。第二次ティアマト会戦ではコーゼル大将の艦隊司令部における情報参謀のひとりであり、会戦直前に歴史を揺るがすような体験をする。この戦いで同盟軍の捕虜になってエコニアに収容され、そのまま43年が経過。半ば収容所の主とみなされて所長たちからも一目置かれている。参事官として赴任して来たヤンに、ジークマイスター提督亡命とミヒャールゼン提督の暗殺に関する資料要求を示唆するが、これが、赴任前にヤンが調査していたブルース・アッシュビー提督の暗殺疑惑と繋がる事になる(OVA版ではケーフェンヒラーが暗殺疑惑の投書を軍に送っていた可能性を示唆するシーンがある)。
同じ捕虜のプレスブルグ中尉とその一党によって引き起こされた立てこもり事件の人質になったヤンとパトリチェフを救い、さらにその背後に所長のコステア大佐がいる事をヤン達に教えて事件の解決に協力した為、ムライの計らいによって年金付きで釈放されたが、ヤンとパトリチェフとともにハイネセンに向かう途中、惑星マスジットの宇宙港待合室にて急性の心筋梗塞で死去。71歳。彼が遺した資料はB級重要事項に指定され、25年間封印されることとなった。
ベンドリング
(声:森川智之[奪])
少佐。男爵家の三男。亡命したヘルクスハイマーの追跡を命じられたラインハルトを手伝う為(実際はアーベントロート及びその背後の勢力からの命令によって工作を行う為)巡航艦ヘーシュリッヒ・エンチェンに乗り込む。その場の空気をわきまえない冗談や一言多い言動はあるものの、ヘルクスハイマーの艦の航行距離を正確に言い当て、ラインハルトを感嘆させるなど決して無能な人物ではない。また、幼いマルガレータへの拷問や自白剤投与を躊躇したり私財徴用を否定したりと、良い意味で「誇り高き帝国軍人」の精神の持ち主であるといえる。
当初は軍事機密の奪取或いは消去を目論んでいたが、その過程でリッテンハイム侯爵の謀略に至る事件の真相を知り、ショックを受けて軍務を放棄、孤児となったマルガレータの保護者として同盟に亡命する。ただし、意を汲んだラインハルトによって、記録上は戦闘中に行方不明、とされた。

その他・軍人/佐官・その他

グレゴール・フォン・クルムバッハ
(声:石井康嗣[黄])
憲兵隊少佐。ベーネミュンデ侯爵夫人の陰謀により、ラインハルトの暗殺を企むが、最後は失敗の末イゼルローン要塞内の閉鎖区画で死亡する。
ヘルダー
(声:宮田光[白]、亀井三郎[黄])
大佐。出世を約束されてベーネミュンデ侯爵夫人の陰謀に加担、ラインハルト暗殺しようとする。しかしながらそれに失敗し、おそらくラインハルトとキルヒアイスによって殺された事が示唆されている(原作小説では、ラインハルトがそう決意するところで話が終わっている)。
OVAではラインハルトと対決、熟練兵ならではの正確な射撃で暗殺成功の直前まで追い詰めるが、駆けつけたキルヒアイスによって阻止される。反逆罪で連座制が適用されて一族皆殺しとなることを恐れ狂乱の末、下に転落し死亡した。
原作小説版の続編と言えるコミック版およびOVA「黄金の翼」では「公式記録としては」同盟軍との戦いにおいて戦死したとされている。クルムバッハ少佐は、実はラインハルトとキルヒアイスによって殺されたのではないかと疑っており、原作小説の描写からもおそらくその疑いは真実ではないかと思われる。
レムラー
(声:秋元羊介
中佐。同盟軍第13艦隊によるイゼルローン奪取作戦の時の、要塞司令室警備主任。フォン・ラーケン少佐に変装したシェーンコップがシュトックハウゼン大将人質にとった時、司令官は死よりも不名誉を恐れると発言したが、事実はそうはならず、死を恐れたシュトックハウゼンの命令で降伏し、捕虜となった。ただしアニメ版ではリンツに手錠をかけられる寸前に振りほどき、要塞のコンピューターをロックしたため、シェーンコップ達が中枢コンピュータまで出向くはめになった。なお、アニメ(DVD)版では大佐と表記される。また、アニメ初期版とDVDのリマスター版では、キャラクターの顔が著しく変わっている。

その他・軍人/尉官/その他

ブーゲンベルヒ
(声:関俊彦[白])
ヘルダー大佐の部下、大尉。ラインハルトを暗殺しようとする。ラインハルトとキルヒアイスの逆鱗に触れる一言で殺された。小説版はここで終わる。
プレスブルク
(声:鉄野正豊[螺])
貴族出身の中尉。惑星エコニアの捕虜収容所で、収容所長のコステアがヤンの謀殺を画策し、それに乗せられた形で暴動を起こす。ヤンは『正直で英雄的軍国主義の素朴な信奉者』と皮肉っぽく評している。ケーフェンヒラーを同じ境遇にありながら嫌悪の感情を示しているが、ケーフェンヒラーの方は、親子ほどの年の差のあるプレスブルクを若僧扱いしていた。とはいえ内心で辟易していた様子で、事件終結後に解決に協力したケーフェンヒラーは、プレスブルクの早期送還を希望している。ヤン達がエコニアを離れた後の消息は不明。

その他・軍人/下士官・兵士

その他/民間人・その他

エヴァンゼリン・ミッターマイヤー

(声:山本百合子
ウォルフガング・ミッターマイヤーの妻で元はミッターマイヤー家の遠縁にあたる女性。12歳の時に父親が戦死したため、ミッターマイヤー家に引き取られた。たぐいまれな美少女ではないが、すみれ色の瞳とクリーム色の髪が印象的な少女として、士官学校の寄宿舎から帰省した当時17歳のミッターマイヤーの前に現われる。7年後、黄色いバラの花束と、チョコレートとラム酒入りスポンジケーキを手渡された後にプロポーズされ承諾。なお、黄色いバラの花言葉が(「嫉妬」「気紛れな愛」「薄れゆく愛」などの意味があるとされる)プロポーズに相応しいものとは言えなかったため、後々まで夫婦間の笑い話となった。
物語終了まで子供には恵まれなかったが、ロイエンタールの叛乱後、ロイエンタールとエルフリーデ・フォン・コールラウシュとの間に生まれた子供を引き取りたいという夫の提案に賛同し、「幸福」を意味するフェリックスと名付けて養育する(同時にロイエンタールの従卒だったハインリッヒ・ランベルツの保護者にもなる)。
明るくもの静かで献身的な性格だが、ミッターマイヤーがロイエンタールの叛乱に出征する時の発言などから、芯の強さを持ち合わせている事がうかがえる。作品中の本編において、最後にセリフを発するのは実は彼女である。

フェリックス・ミッターマイヤー

(声:半場友恵
ロイエンタールとエルフリーデ・フォン・コールラウシュの間に生まれた男子。新帝国暦2年5月2日生まれ。瞳の色は両方とも青。ロイエンタールがハイネセンの総督府で死を待っている時、エルフリーデが連れてきた。ロイエンタールの意思によってミッターマイヤーに託され、エヴァンゼリンによってフェリックス(古い言葉で「幸福」を意味している)と名づけられる。
物語本編のラストは、ミッターマイヤー夫妻に抱きかかえられたフェリックスが上空の星を取ろうとして手を伸ばし、その姿を見たミッターマイヤーがフェリックスの行く末を想うシーンが描かれている。一部の読者からは、これはロイエンタールの血統とミッターマイヤーの教育を授かったフェリックスが、成長後にローエングラム王朝を打倒する暗示では無いかという噂が流れた(ただし作者は、時系列上の続編は絶対に無いと断言している)。
ミッターマイヤーが彼が成人して自らの考えと価値観を持った時、実父の姓を名乗らせてもいいと考えたことから大人になった後「フェリックス・フォン・ロイエンタール」と改名する可能性もある。またミッターマイヤーは自分の生涯最大の親友でフェリックスの実父であるロイエンタールがすばらしい男であった事をいずれ教えようとも考えている。

マリーカ・フォン・フォイエルバッハ

(声:久川綾
皇妃となったヒルダの近侍。外見から17歳くらいと推定されている。柊館が地球教徒に襲撃された事件でケスラーと知り合う。自分がチョコレートアイスを買いに行ったから事件が起こったと発言したり、この時点で上級大将だったケスラーを大佐と勘違いしたり(本当は中佐だと思っていた、帝国軍服は特にOVAでは階級が非常に分かり易い)、といった事から、そこそこ「天然」である事がうかがえるが、ヒルダに対する愛情と忠誠心はケスラーにも伝わっていた。事件の後、積極的にケスラーに接近しており、2年後に結婚する事が記述されている。「ホクスポクス・フィジブス、ホクスポクス・フィジブス!」という祖父から教わった呪文を唱えていた。意味は「凶事よ消えうせろ」。

グレーザー

(声:石波義人[白][決][黄])
ベーネミュンデ侯爵夫人の宮廷医師。ラインハルト暗殺の陰謀に加担する。ベーネミュンデ侯爵夫人は家柄を重視しているため決して愛人関係にはない。様々なコネクションがあるのかラインハルトの暗殺者としてヘルダー、クルムバッハ、黒マントの男などを次々と送り込む。基本的にはベーネミュンデ侯爵家の地位と財産を利用しているだけであり、侯爵夫人に忠誠を誓っている訳ではない。事実、侯爵夫人がアンネローゼの暗殺に失敗すると、官憲に侯爵夫人をさっさと売り渡した。その後の処遇については記述が無い。

弑逆(しいぎゃく)未遂犯

(声:配役表記なし。高木渉と推定される[89])
新帝国暦2年8月29日、フェザーンに新設された戦没者墓地の完工式に於いて発生した弑逆(暗殺)未遂事件で逮捕された男。ラインハルトの眼前で「自分の家族はヴェスターラントへの核攻撃によって殺され、その復讐の為にラインハルトの暗殺を企てた」と宣言した。精神的衝撃を受けたと思われるラインハルトに代わってオーベルシュタインがヴェスターラントへの攻撃の黙認を正当化したが、納得しないまま憲兵本部に連行され、その夜獄中自殺を遂げた。
なお、同日夜、ヒルダがラインハルトの様子を見舞いに訪れ、ラインハルトは初めてヒルダを翌朝まで引き止めた(アニメ版では、その翌朝に裸の二人がベッドで抱き合って眠っているシーン他が描かれている)。この一晩の行為によってヒルダは懐妊。翌年ラインハルトと結婚し、5月14日にアレク大公を出産する。したがって、結果的にはラインハルトを憎んでいた彼がローエングラム王朝安定の起因となったという見方が成立する。
  • キルヒアイスの父 (声:屋良有作、表記なし[黄])
司法省の下級官吏。子供はジークフリード・キルヒアイスのみと思われる(それ以外の兄弟姉妹がいると思われる描写は無い)。趣味は食後の黒ビールとバルドル星系産のの一種を育てる事。
「黄金の翼」では、隣に引っ越してきたミューゼル家の娘アンネローゼに一目惚れした10歳のジークフリードが、花束にして渡す為にを切り取られてしまうシーンがある。
オーディンで夫婦で一緒に暮らしている。軍に入隊したキルヒアイスとは月に一度ビデオ・メールを交換しているが、直接会う機会は年に一度あるかないか、という程度(OVA版ではキルヒアイスが幼年学校に入った以後、8年間一度も実家に戻っておらず、面会もしていなかったと推測できる描写がある)。
専業主婦と推定。上記の夫と一緒に暮らしている。軍に入隊したジークフリードの行く末を心配しているごく一般的な気質の母親、として描かれており、ヴァンフリート星域の会戦が終わって一度帰省した息子に、健康と安全と結婚という、母親にしては特に個性的とは言い難い質問を向けている。息子が死亡した時にどういう態度をとったかは描かれていない。
造園技師で、下級貴族や裕福な平民を相手に堅実な商売を営む。「このような身分の定まった社会では、手に職をつけるのが一番」という考えを持っており、息子のウォルフガングも職人か技術者になる様望んでいた。結果として息子は戦争の職人(それも名人)になったが、父親はその分野には疎かったようである(コミック版では、酒の席で軍人という存在に対してかなり批判的と思われる論評を友人に話し、また息子の園芸下手を嘆いている)。ウォルフガングがエヴァンゼリンに求婚するシーンに遭遇したが、息子の軍隊での活躍などを知らないため、その優柔不断さに歯がゆい思いを感じている。
息子の結婚式に参列したロイエンタールが美男子なのを見て、エヴァンゼリンがロイエンタールに気が向かないか心配していた。
専業主婦と推定。上記の夫と一緒に暮らしている。アニメでは息子と同じ髪と瞳の色の持ち主として描かれている。息子がエヴァンゼリンに初対面で好意を抱きながらも、それを誤魔化している事を見透かしていた。
息子の結婚式では、美男子のロイエンタールにエヴァンゼリンの気が向くのではないかとの夫の懸念を、一笑に付していた。
  • ロイエンタールの父 (声:筈見純
下級貴族。財務省官吏を経て鉱山の投資で富を築き、貧窮していたマールバッハ伯爵家の三女レオノラに惚れて結婚するが、年齢差へのコンプレックスから結婚生活は早々に破綻。オスカー・フォン・ロイエンタールが生まれた後にレオノラが自殺すると息子を逆恨みしながら酒に溺れる毎日を過ごすようになる。ただし息子には膨大な財産を遺しており、それによってロイエンタールは、質素なラインハルトよりもよほど貴族らしい生活をしていたと言われる。
  • ロイエンタールの母(レオノラ・フォン・マールバッハ)
元はマールバッハ伯爵家の三女。同家の財政的な事情から、20歳年上の下級貴族であるロイエンタールの父と結婚したが、夫婦関係は上手くいかず、黒い瞳の愛人を作った。ロイエンタールが生まれた時に、その瞳の色の違いから彼が実は愛人の子ではないかと疑い、浮気が発覚する事を恐れてロイエンタールの眼を潰そうとした。最期は自殺を遂げる。アニメ版では、面立ちや髪の色がロイエンタールに似ている様に描かれている。
  • エリザベート・フォン・リューネブルク (声:麻上洋子 [千])
元はハルテンベルク伯爵家の令嬢で、当主であるハルテンベルク伯の。フォルゲン伯爵家のカール・マチアスと恋仲だったが、彼が麻薬密売に手を染めていると知った両伯爵家による工作により、カール・マチアスが最前線に送られ、薔薇騎士連隊(ローゼン・リッター)との戦闘で戦死して以来生ける屍のように人柄が変わる。ハルテンベルク伯の工作により、亡命してきたリューネブルクと結婚したが、愛憎いずれも芽生える事は無かったと言われている。オフレッサー邸を訪れた際は気絶するなど弱い女性かと思いきや、後に述べるようにマチアスの死の真相を知った際の激情ぶりが驚かされる。第6次イゼルローン攻防戦とほぼ同時期に、グリンメルスハウゼンの画策によってカール・マチアスが死に至る真相を知り、首謀者である実兄のハルテンベルク伯を薬物入りの紅茶を飲ませた上で階段から突き落とし、さらに鉢植えを顔面に投げ落として殺害。これにより、夫であるリューネブルクが帝国社会で栄達する事は出来なくなったが、彼自身はその事実を知らないままシェーンコップに敗死した(ミュッケンベルガーの発言より)。なお、小説版の記述ではかなりの美貌を持つとなっているが、アニメ版では青白く陰気な表情をしている。
キルヒアイスの小学校時代の旧友で、18歳の時点で国立オーディン文理科大学で古典文学について研究している。大学の研究者の兵役免除特権が一部を除き廃止されたため、20歳に徴兵される予定であったが、その前(帝国暦485年6月にキルヒアイスと再会し、その半年後と説明があったため帝国暦485年12月前後と思われる)に学生たちの反戦地下組織のメンバーの一人として逮捕され、さらに2年後、キルヒアイスが行方を調査した際、政治犯収容所にて既に死亡(死因は栄養失調)していた。
  • 拷問係 (声:表記なし。江川央生と思われる)
ミッターマイヤーが軍刑務所に入れられた時に、おそらくブラウンシュバイク公爵の意思でなぶり殺しにしようと送り込まれた。これまでは貴族の子弟相手で抵抗することのない人物を一方的にいたぶり続けていただけか、ミッターマイヤーの逆襲で自ら電気鞭を受けてしまう。道原かつみ版コミックにも登場するが彼の名前は不明。なお道原かつみのお気に入りのキャラの一人であり、1月1日の誕生日まで設定されている。コミック版ではパンツ一丁の姿で肉体美を披露した(他のお気に入りにはトリューニヒトがいるが、彼の場合は薔薇の花を持たせるなど、扱いは遥かに穏当である)。
  • モーリッツ・フォン・ハーゼ (声:石田彰[朝])
幼年学校の最上級生。成績は学年首席。校内で発生した生徒の変死事件を調査に来たラインハルトキルヒアイスに協力して事情聴取に応じたが、その回答は一切役に立たず、二人を落胆させた。後に赤緑色盲である事をキルヒアイスに見抜かれ、事件の容疑者として嫌疑をかけられる。捜査の結果、潔白である事が判明したが、劣悪遺伝子排除法によって幼年学校から追放される。なお幼年学校への入学の際、シュテーガー校長の元上官だったハーゼの祖父がシュテーガーに便宜を図るように依頼していた。
  • カール・フォン・ライフアイゼン (声:上田祐司[朝])
幼年学校の最上級生。成績は10位から50位までを上下している程度だが上昇志向が強い。寮の食事の粗末さに不満を感じていた時、ハーゼから食材の横流しの可能性を耳打ちされ、確認の為倉庫に忍び込んだ。だがそこで後頭部を強打され即死。当初は殺人と思われたが、ラインハルトらの捜査によって事故だと判明した。父親は当時のラインハルトと同じ階級の大佐
  • ヨハン・ゴットホルプ・フォン・ベルツ (声:遠近孝一[朝])
幼年学校の最上級生。成績はハーゼに続く学年次席。ライフアイゼンが変死した後、捜査に来たラインハルト達が父親の葬儀に出席する為留守にしていた時、トイレで他殺体として発見される。後にシュテーガーによる犯行と判明。
  • エーリッヒ・フォン・ヴァルブルク (声:太田真一郎[朝])
幼年学校の最上級生。成績はハーゼ、ベルツに続く学年第3位。シュテーガー校長の孫。ただし通常はそれを口外していない様子。幼年学校殺人事件捜査終盤で、シュテーガーの供述をとる為に、ラインハルトによって、一時ライフアイゼンとベルツ殺害の容疑者とされた。
なお、ファミリー・ネームは、登場人物の多くは「ヴァルブルグ」と発音しているが、DVDビデオのスーパーでは「ヴァルブルク」となっており、本項では後者を踏襲している。
  • ヨハンナ・フォン・バーゼル (声:池田昌子[汚])
クリストフ・フォン・バーゼルの妻。カイザーリンクの初恋の人である。夫の悪事に悩みつつも愛した夫のために殉ずる。
クロイツナハIIIでサイオキシン麻薬密売の捜査を担当する警視。ややとぼけた風貌と態度の持ち主だが、捜査に対する姿勢は真摯であり、休暇中のキルヒアイスに半ば無理やり捜査協力させる。まもなく定年であった。バーゼル退役中将との対決の際も臆することがなかった。
フェザーンでの爆弾テロで負傷/入院したルッツを担当した看護婦。ただし原作にはルッツの婚約者の名は記されず、クララという名は(現時点では)アニメ版のみに登場する。後にルッツと婚約したが、ルッツがウルヴァシーで死亡した為婚前未亡人となる。
ラインハルトは年間10万帝国マルクの年金を下賜しようとしたが、自立能力がある事を理由に固辞している。この年金はヒルダの発案によって従軍看護婦育成費と功労金の基金に充てられる事になり、クララが運営委員の一人に就任した。
  • レストマイエル (声:アニメ未登場)
画家。ラインハルトがブリュンヒルトを下賜された時、使者に(慣習としての)謝礼としてレストマイエル作の絵画が贈られた。帝国では高名な画家とされており、使者は贈られたその場で画商に5万帝国マルクで転売した(もっとも、ラインハルトはブリュンヒルトに心を奪われていたため、特に気にしていなかった)。
  • ワイツ (声:アニメ未登場)
リヒテンラーデの政務補佐官。キルヒアイスをカストロプ動乱の任に就かせるかどうかをリヒテンラーデが迷っていた時、ラインハルトに買収され、案に賛同する意見を具申した。アニメ版ではゲルラッハ子爵がその任を担当している。
オーベルシュタイン家の執事オーベルシュタインからも信頼されているようである。作中には登場しないが妻がおり、彼女も夫と共にオーベルシュタインに仕えている。オーベルシュタインは家を空けている事が多いので、ダルマチアン種の老犬は彼が世話をしていると推測される(オーベルシュタインは自分の死に際して、犬には好きにさせるように遺言を残している)。
オーベルシュタインがローエングラム元帥府の前で拾ったダルマチアン。拾った時点ですでに老犬であり、やわらかく煮た鶏肉しか食べない。ミュラーが伝聞形で語ったところによると、オーベルシュタイン自らが夜中に肉屋に鶏肉を買いに行くのだという。名前は不明。
  • 花屋(声なし)
いきなり現れたミッターマイヤーに「女の子に贈る花」を頼まれた時、新品種の黄色い薔薇を勧めて売った人物(原作小説では性別・年齢一切不明)。「花言葉」を知らないのにどうやって花屋を営んでいるのか、甚だ疑問が持たれる所である。アニメ版(初老女性)では別の花を勧めて指差したのに、ミッターマイヤーが勘違いして黄色い薔薇のほうを買っていったという描写になっている。道原かつみの漫画版(中年男性)では、花屋のくせに花言葉を知らない事を、娘から呆れられている。

アニメ版(コミック版)オリジナルの登場人物

貴族

帝国クラインゲルト領の領主。アーベントの実父でフィーアの義父。同盟軍の侵攻にさらされるが、ケスラーからの勧告を拒否して領内に留まり、領民を守る決意をする。『アニメージュ』においてはクラインゲルト伯爵と表記されていた。
  • フィーア・フォン・クラインゲルト (声:玉川紗己子 [13])
ケスラーの幼馴染で元恋人(「ウルリッヒ兄様」と呼んでいた)。ケスラーが恋愛より軍務を優先させたために別れ、クラインゲルト子爵の後継ぎであるアーベントと結婚。一人息子のカールを生むが、その後アーベントが戦死して未亡人となる。同盟軍の侵攻を知らせて退去を勧告しに来たケスラーと再会し動揺するが、最終的にはクラインゲルト家の人間として義父と息子とともに領内に留まる事を選択する。なお役の玉川はのちにケスラー役の池田秀一と結婚する。
  • アーベント・フォン・クラインゲルト (声:高宮俊介 [13])
クラインゲルト子爵の息子。フィーアの夫。カールの父親。登場時は既に戦死しており、フィーアの回想シーンにのみ登場する(その時の階級は、軍服デザインから大尉である)。
  • カール・フォン・クラインゲルト (声:江森浩子 [13])
クラインゲルト子爵の孫。フィーアとアーベントの息子。退去勧告に訪れたケスラーに興味を感じた様子で後を尾けた。
  • ヘルクスハイマー
(声:野島昭生[決])
門閥貴族で伯爵。リッテンハイム侯爵の一門。OVA「決闘者」で、侯爵への点数稼ぎのため、シャフハウゼン子爵家とハイドロメタル鉱山の採掘権について争い決闘を行うこととなる(この決闘は、アンネローゼの数少ない友人であるシャウハウゼン子爵夫人ドロテーアを助ける為、ラインハルトが子爵側の代理人を引き受けた)。
OVA「奪還者」では、政敵であるブラウンシュバイク公爵の娘エリザベートに遺伝的欠陥があり、皇位継承争いに使えることを探りあて、リッテンハイム侯に告げた。だがそれが母方からの遺伝障害であったため、エリザベートと同じくフリードリヒ4世の娘を母とするリッテンハイムの娘サビーネにも該当していた。口封じのための一族皆殺しを企んだリッテンハイムによって妻が毒殺された為、娘や親族、軍事機密(指向性ゼッフル粒子発生装置の試作品)を伴って同盟へ亡命しようとするが、同盟領に入ったところでラインハルトが指揮する巡航艦に追跡/急襲され、脱出時、減圧ミスで事故死する。
  • マルガレータ・フォン・ヘルクスハイマー
(声:大谷育江 [奪])
ヘルクスハイマー伯爵の娘。帝国暦483年に登場した時は満10歳。父親に連れられて同盟領に亡命しようとしたが、ラインハルトが指揮していた巡航艦に追跡/拿捕される。この時に父親及び親族全てが事故死し、彼女一人だけが保護される。ラインハルトから提案された取引に応じ、軍事機密を渡す代わりに亡命用の宇宙船と私財を返還してもらった上で、保護者を買って出たベンドリング少佐とともに同盟に亡命。その後の消息は不明。
10歳とは思えない聡明さと度胸を示してラインハルトを感心させる。また明確には語らなかったが、拘留中の保護を担当したキルヒアイスに対して、好意以上の感情を抱いた様子がうかがえる(持っていたクマのぬいぐるみにジークフリードと名づけている)。

軍人

ヘルダー大佐の部下、中佐。良心的人物だが宮廷内の闘争に巻き込まれることを拒否、ベーネミュンデ侯爵夫人とヘルダー大佐の陰謀を明らかにすることには協力せずに、ラインハルトの功績を報告するに留まる。後に同盟軍の再侵攻を受け、基地は玉砕、戦死したと伝えられる。
大尉。駆逐艦ハーメルンIIの副長で平民出身。ザイデル兄弟達に「平民期待の星」と思われていたが、出世欲の強さは昇進すれば階級が下の貴族にも命令できるからであることが明らかになった。艦長が負傷した際にラインハルトが指揮を代わり、その直後に艦橋に現れるが、指揮権を移譲せずに命令に逆らったラインハルトを拘禁する。名誉を重んじるために艦の自沈を進める。その後ラインハルトの反乱にあい、今度は逆に事を起こし、ラインハルトを殺そうとしたが、ザイデル兄弟の弟、ロルフが身代わりとなって死ぬ。そこで負傷した艦長が登場してラインハルトに正式に指揮権を委譲し、辛うじて最悪の事態は免れた。アルトミュールからの脱出の際、艦の姿勢制御のため灼熱の太陽風の中で船外活動を行い、ザイデル兄を庇って殉職した。彼の才覚に注目し、その本性に失望したラインハルトだったが、その死に様を見て「立派な副長だった」と三度評価を変えた。
少尉。イゼルローン要塞の警備隊員。帝国軍に変装した薔薇騎士連隊(ローゼンリッター)が要塞に到着した時最初に声をかけた。
工兵中尉。駆逐艦ハーメルンIIの機関長。
少尉。駆逐艦ハーメルンIIの航宙主任。
少尉。ハーメルンIIの索敵主任。
  • シャミッソー (声:永井誠[反])
中尉。ハーメルンIIの砲術長。
中尉。ハーメルンIIの水雷長。キルヒアイスに相談してラインハルトの反乱の一因を作るが、肝心の恒星アルトミュールからの脱出の際に恐怖を感じて自分だけ脱出用ポッドで脱出し、同盟に救助してもらおうとする。
少尉。ハーメルンIIの通信主任。ベルトラムを担いで逆反乱を起こす。
中尉。ハーメルンIIの軍医。もともとの専門は小児科医。
伍長。ハーメルンIIの機関員。ロルフの兄。兄弟2人一緒の艦に配属されたことで上層部を恨む愚痴を言っていた。ラインハルトを認めた後は、彼が拘禁された後、副長のベルトラムとの間で迷いながらも反乱に手を貸す。艦の姿勢を制御するため船外作業をベルトラムと行い、大ヤケドを負ったものの助かった。
一般に若くして高い地位に就いた者(特に実力で就いた者)は、低い身分や地位の者を省みない傾向があるが、ラインハルトはそうではなかった。ひとつの原因には、ザイデル伍長たちと接する事によって、下級兵士の苦労を知った事も挙げられる(というよりも、作品の製作順序としては後になる本エピソードで、ラインハルトの行動の説明付けをしている様子である)。
二等兵。ハーメルンIIの機関室員。アラヌスの弟。絵を描くことが趣味である。ベルトラム副長からラインハルトを守り身代わりとなり射殺された。
一等兵。ハーメルンIIの機関室員。天体物理学を専門に大学を出ているが徴兵され下級兵士となっている。恒星アルトミュールから恒星風を利用して離脱する方法を提案、それがラインハルトによって採用された。
一等兵。ハーメルンIIの機関室員。軍隊に入った以上生きては帰れぬと思い詰め、家族には失踪したと思わせている。
キルヒアイス死後のラインハルトの副官。目の前で逮捕されたオッペンハイマーの処理を命じられたが、手際の悪さと機転の無さを露呈してラインハルトを失望させ、程なく栄転の形を取って更迭される。後任はシュトライト。なお原作では、キルヒアイス以後シュトライト就任まで、何人もがラインハルトの副官に就いたが、いずれも長続きしなかった事だけが述べられている。
大将。旧体制下の憲兵総監。伯爵。リッテンハイム侯爵の縁者である為リップシュタット連合軍には仕方なく協力していた(本人の弁明)が、その弁明の局面でラインハルトに賄賂として名画を贈ろうとして一度は無視されるも、重ねて贈ろうとして逆鱗に触れ、その場で贈賄現行犯として逮捕された。
  • マルカード・フォン・ハックシュタイン (コミック版)
少将道原かつみのコミック版でラインハルトの参謀候補として名前だけ登場する。士官学校を首席で卒業したが、それでもバカが直らなかったのかとラインハルトに酷評されている。
  • ルーカス・フォン・レーリンガー (コミック版)
准将。ハックシュタインと同様、道原かつみのコミック版でラインハルトの参謀候補として名前だけ登場する。

民間人/その他

クラインゲルト家の執事。主家に仕えて40年のベテラン。帝国領侵攻作戦の際、主とともに子爵領に残留する。
  • クラインゲルト領の農民(声:若本規夫 [13])
ただのガヤキャラのひとりで台詞も「戦場になるのかな?」の一言しかないが、ロイエンタール役でもある若本が演じたため銀英伝のアニメのファン及び若本ファンの間で話題になる。
同盟軍第7艦隊が進駐した帝国領惑星に住む平民の有力者ワグナーの娘。父親からヴァーリモントに接近する様に命じられたが、その後真剣に愛を感じた様子が描かれている。同盟と地元民が衝突する中で父親と家を失い、ヴァーリモントと姿を消す。
同盟軍第7艦隊が進駐した帝国領惑星に住む平民の有力者。思惑もあり、ヴァーリモント少尉のもとに娘を接近させる。その後、食料を略奪されたため住民のリーダーとして一斉蜂起、しかし抵抗むなしく最後は同盟の装甲車によって彼の家は砲撃され炎上、死亡した。
  • エレールマイヤー (声:アニメ未登場[28])
オッペンハイマーが賄賂としてラインハルトに贈ろうとした絵の作者の名前。アニメで登場した絵で判断した限りではシュールレアリズムの作風を有している。
ベーネミュンデ侯爵夫人が差し向けたラインハルト暗殺のための刺客。銃での決闘はラインハルトの意表をついた動きと、決闘の作法に反してラインハルトの心臓を狙った事が逆に災いして、ラインハルトが勝利した。しかし男は判定に納得いかず、剣での決闘続行を願い出た(決闘のルール上認められる行為であり、拒否できない)ため、続行となった。利き腕を使えなかったにも関わらず、剣での決闘ではラインハルトを窮地に陥れたことから、銃より剣を得意とするようである。皇帝フリードリヒ4世の勅命によって決闘は中止される。ラインハルトと再戦して破れた後、自殺した。
当初、ヘルクスハイマー伯爵に見込まれラインハルトとの決闘相手となった。過去に一度も決闘で負けたことはなかったが、黒マントの男に挑戦され決闘の末、決闘の作法ではない胸を撃たれて死亡した(黒マントの男の右手を、決闘の作法通りに見事に撃ちぬいており、銃の実力は黒マントの男と互角以上だったと思われる)。
  • ベーネミュンデ侯爵家の執事(コミック版)
ベーネミュンデ侯爵家に代々仕えてきた執事。シュザンナの代では20代半ばの若い男であった。シュザンナの命を受けてアンネローゼの暗殺を実行するもロイエンタールやミッターマイヤーに阻まれて失敗し、歯に仕込んでいた毒薬を噛んで自害。シュザンナには忠誠心以上の想いを抱いていたようである。前述の黒マントの男は彼をモデルにしたものと思われる。

歴史上の人物

関連項目