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== 概要 ==
タイトルの「陽だまりの樹」は、[[水戸学]]の
万二郎はアメリカ総領事[[タウンゼント・ハリス]]へ幕府側からの護衛として派遣され、友人となる通訳[[ヘンリー・ヒュースケン]]と出会う。一方良庵は幕府の西洋医学への寛容化から提案された[[種痘]]所開設に仙庵と共に尽力することになるのだが、西洋医学を嫌う[[御殿医]]達に様々な嫌がらせを受ける。やがて軍制改革により農兵隊の隊長となった万二郎は
万次郎と情熱を傾けて語り合った西郷隆盛は彼が去った後で流れに逆らっても何にもならないと呟くが、傍観者だったはずの良庵は噛み付いてみせる。時代に合わせるだけが生き方ではないと。良庵自身も患者を守るために、自分の意志を抑えて運命を甘受して新政府軍の軍医となるが、明治に入り今度は政府に逆らって自滅の道を選ぶ西郷を討つための西南戦争に従軍する。無常な人生を回顧する良庵だがあっけなく戦死する。作者の手塚治虫が良庵が自分の曽祖父であったという言葉で物語が閉じられる。
当時の開国、西洋文明と西洋人の流入からやがて続く倒幕、そして戊辰戦争という時代の流れの上で、対照的だが友情で結ばれた2人の人生を綿密に推敲されたストーリーで描いている。手塚作品の中でも『[[アドルフに告ぐ]]』と並んで緻密に作られており、また絵のタッチも劇画的であり、当時の[[大友克洋]]の『[[AKIRA]]』の登場に刺激を受けたとも言われる。良庵の砕けた性格を手塚自身に重ね、対して一方真っ直ぐな武士である万二郎は、一つの作者の男性の理想像とも取れる。途中、[[坂本龍馬]]のような男性的英雄も登場するが、作者も「あまりに男性的な人物を描くのは苦手」と言うとおりキャラクターが余り引き立たず行動だけがから回って豪快に見える。それを考えると万二郎の様な人物がやはり作者が好もしいと思い、共感できる男性像なのであろう。
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