「キャスティング・ボート (比喩)」の版間の差分

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本来の意味は[[議会]]において[[法案]]などが可否同数の場合、[[議長]]の職権で可否を決めることをさす。転じて2大勢力が拮抗しいずれも過半数を制することができない場合、第三の勢力が事実上の決定権を行使できる立場になることをさす。
本来の意味は[[議会]]において[[法案]]などが可否同数の場合、[[議長]]の職権で可否を決めることをさす。転じて2大勢力が拮抗しいずれも過半数を制することができない場合、第三の勢力が事実上の決定権を行使できる立場になることをさす。


日本では、[[国会]]において[[二大政党]]の勢力が拮抗している時の少数政党や、[[政党]](主に[[自民党]])内における二大[[派閥 (日本・自由民主党)|派閥]](勢力)以外の派閥(勢力)が、いずれかの陣営に付くことで政局の動向を左右できる場合に「キャスティング・ボートを握っている」という風に使われる言葉である。具体的には、[[55年体制]]下において[[公明党]]、[[民社党]]が、このキャスティング・ボートを握っており、55年体制の崩壊直後は[[日本新党]]・[[新党さきがけ]]が同様存在であった。近年では公明党がこれを握っていると言われる。また、[[国民新党]]もキャスティング・ボートとして扱われるケースがある。
日本では、[[国会]]において[[二大政党]]の勢力が拮抗している時の少数政党や、[[政党]](主に[[自民党]])内における二大[[派閥 (日本・自由民主党)|派閥]](勢力)以外の派閥(勢力)が、いずれかの陣営に付くことで政局の動向を左右できる場合に「キャスティング・ボートを握っている」という風に使われる言葉である。具体的には、[[55年体制]]下において[[公明党]]、[[民社党]]が、このキャスティング・ボートを握っており、55年体制の崩壊直後(宮沢内閣の解散により自民党が過半数を割り、自民党中心の政権か、非自民政権かの選択が分かれたとき)は[[日本新党]]・[[新党さきがけ]]がキャスティング・ボートを握り、[[細川護熙]]が[[首相]]となり、[[武村正義]]が[[内閣官房長官]]ポストを得た。近年では公明党がこれを握っていると言われる。また、[[国民新党]]もキャスティング・ボートとして扱われるケースがある。


このようなキャスティング・ボートを握る政党は拮抗する両勢力に対し非常に強い立場に立ち、しばしば二大勢力から様々な有利な取引の持ちかけが行われる。
このようなキャスティング・ボートを握る政党は拮抗する両勢力に対し非常に強い立場に立ち、しばしば二大勢力から様々な有利な取引の持ちかけが行われる。

2008年8月16日 (土) 11:42時点における版

キャスティング・ボート、キャスティング・ヴォート(英:Casting vote)は、少数勢力が影響力を及ぼすこと。「キャスティングボード」は誤記。

本来の意味は議会において法案などが可否同数の場合、議長の職権で可否を決めることをさす。転じて2大勢力が拮抗しいずれも過半数を制することができない場合、第三の勢力が事実上の決定権を行使できる立場になることをさす。

日本では、国会において二大政党の勢力が拮抗している時の少数政党や、政党(主に自民党)内における二大派閥(勢力)以外の派閥(勢力)が、いずれかの陣営に付くことで政局の動向を左右できる場合に「キャスティング・ボートを握っている」という風に使われる言葉である。具体的には、55年体制下において公明党民社党が、このキャスティング・ボートを握っており、55年体制の崩壊直後(宮沢内閣の解散により自民党が過半数を割り、自民党中心の政権か、非自民政権かの選択が分かれたとき)は日本新党新党さきがけがキャスティング・ボートを握り、細川護熙首相となり、武村正義内閣官房長官のポストを得た。近年では公明党がこれを握っていると言われる。また、国民新党もキャスティング・ボートとして扱われるケースがある。

このようなキャスティング・ボートを握る政党は拮抗する両勢力に対し非常に強い立場に立ち、しばしば二大勢力から様々な有利な取引の持ちかけが行われる。

旧西ドイツでは、自由民主党(FDP)がキャスティング・ボートを握り、保革の二大政党であるキリスト教民主社会同盟(CDU/CSU)、ドイツ社会民主党(SPD)のどちらかと連立政権を組んで、戦後のほとんどの期間政権に参加し続けていた。特にFDPのキャスティング・ボートが顕著に現れたのが1982年にSPD・FDP連立のシュミット内閣が倒された時である。この時FDPはSPDと連立を解消し、CDU/CSUと連立を組むことによって連邦議会内の勢力を逆転させ、コール政権を誕生させている。

関連項目