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==関係者==
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*[[目黒考]] ([[北上次郎]])
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*[[沢野ひとし]]
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*[[木村晋介]]
*[[木村晋介]]

2008年5月16日 (金) 21:47時点における版

本の雑誌社(ほんのざっししゃ)は、目黒考二椎名誠沢野ひとし木村晋介によって設立された出版社。本社は東京都中野区に所在。書評を中心に本と活字にまつわる様々な話題を扱った月刊誌「本の雑誌」(書籍扱い)を1976年4月より発行している。また、「本の雑誌」の連載内容の書籍化や、連載陣の書き下ろし本、独自に企画した「本に関する本」などを刊行している。

設立当時は、社員が群ようこ一人だった。

また、初期は「本の雑誌」は、関係者による契約書店への自力での持ち込みであった。そのため、「助っ人」と呼ばれる大学生の有志による配本部隊によって助けられていた。

のちのマガジンハウス編集者で、女優本上まなみの夫沢田康彦も助っ人出身。また、伝説のお笑い演芸専門誌『カジノフォーリー』の編集長を勤めた、竹本幹男も助っ人出身。

助っ人出身者は他に、写真家の上原ゼンジ、翻訳家の那波かおり岩本正恵、絵本作家の本下いづみ、ジャズ評論家の富澤えいち、書評家の吉田伸子、イラストレーターの福井若恵小学館の編集者の徳山雅記ステレオ写真本を多数刊行)、編集者・ライターの南陀楼綾繁などがいる。

ちなみに当時の助っ人へはバイト代は出ず、見返りは、好きなときにカツ丼ギョウザラーメンなどを腹いっぱい食べられることであった。(「助っ人」たちの話は、目黒考二の『本の雑誌風雲録』に詳しい)

すべての出版物において、特例を除き書店からの返品を受けない、完全買切制をとっている。

雑誌「本の雑誌」について

小部数の「書評とブックガイド」のミニコミ雑誌としてスタート。椎名のコラムの独特の文体や、従来の書評誌になかったエンタテインメント中心の書評、ユニークな特集、独特の連載陣の発掘などで、人気を博す。1984年から「活字のコラムマガジン」に方針転換し、メジャーな雑誌へと変貌を遂げる。

なお当初は「季刊」と称しながら、不定期刊に近かったが、隔月刊をへて、1988年5月号から月刊化。かつては「別冊・本の雑誌」も発行していたが、月刊化後は発行されていない。「特小号」など、無意味な号を作ったこともある。

同誌の「編集長」は一貫して椎名誠だが、椎名がメジャーな文化人として多忙となったため、「発行人」を2001年までつとめた目黒考二が、長らく実質の編集長役をつとめてきた。現在の「実質編集長」は、二代目発行人の浜本茂

巻頭のコラム「真空飛びひざ蹴り」は長らく椎名が執筆していて、出版業界への辛口な発言で評判を博した。

また、読書投稿欄「三角窓口」も、全国の読書好きが参加して盛り上がり、鈴木輝一郎などプロの作家の「常連投稿者」もいた(初期は、投稿一件ごとに椎名が独特の返答をしていて、それが名物であった)。また、中場利一植上由雄は「三角窓口」の常連投稿者から作家やエッセイストになった例である。

毎年、「『本の雑誌』のベスト10」を発表しているが、普通の雑誌が、他から作家や評論家を呼んでベストを決めるのに対し、「本の雑誌」のベストは、椎名誠目黒考二以下、編集部員、営業部員などの「本の雑誌社の社員全員」で座談会方式で決定するユニークなものである。第一位は、椎名のゴリ押しで、椎名が推した本になることが多い(「この本を一位にしてくれたらいい。あとは任せる。」が椎名の決まり文句)。

「別冊本の雑誌」

本の雑誌に掲載された文章をまとめたものや、独自の企画など。

  • ブックカタログ1000 さあ新しい書物探検の夜明けだ夜明けだ 1982.2. (別冊本の雑誌 ; 1)
  • 読み物作家100人集 1982.6 (別冊本の雑誌 ; 2)
  • ブックカタログ1000 PART2 1982.12 (別冊本の雑誌 ; 3)
  • 恋愛小説読本 ブックガイド&エッセイ 1983.6. (別冊本の雑誌 ; 4)
  • ブックカタログ1000 PART3 1981.12 (別冊本の雑誌 ; 5)
  • 活字中毒者読本 1984 (別冊本の雑誌 ; 6)
  • 「本の雑誌」傑作選 1988.8. (別冊本の雑誌 ; 7)
  • 「本屋さん」読本 1989.6. (別冊本の雑誌 ; 8)
  • 三角窓口傑作選.1991 1991.2. (別冊本の雑誌 ; 9)
  • 活字探偵団 1994.10. (別冊本の雑誌 ; 10)
  • 「本の雑誌」傑作選.風雲篇 1995.11. (別冊本の雑誌 ; 11)
  • 「三角窓口」傑作選.1997 1997.3. (別冊本の雑誌 ; 12)
  • 図書館読本 2000.1. (別冊・本の雑誌 ; 13)
  • 新恋愛小説読本 2001.2. (別冊本の雑誌 ; 14)

「本の雑誌増刊」

おすすめ文庫王国シリーズ
  • おすすめ文庫王国 '99 1999.12
  • おすすめ文庫王国 2000年度版 2000.12
  • おすすめ文庫王国 2001年度版 2001.12
  • おすすめ文庫王国 2002年度版 2002.12
  • おすすめ文庫王国 2003年度版 2003.12
  • おすすめ文庫王国 2004年度版 2004.12
  • おすすめ文庫王国 2005年度版 2005.12
  • おすすめ文庫王国 2006年度版 2006.12
  • おすすめ文庫王国 2007年度版 2007.12
本屋大賞シリーズ
  • 本屋大賞2004 2004.4
  • 本屋大賞2005 2005.4
  • 本屋大賞2006 2006.4
  • 本屋大賞2007 2007.4
  • 本屋大賞2008 2008.4

「本の雑誌編集部」編の本

  • 特集・本の雑誌.1 出版業界篇 1995.11. (角川文庫)
  • 特集・本の雑誌.2 ブックガイド篇 1995.11. (角川文庫)
  • 特集・本の雑誌.3 活字の愉しみ篇 1995.11. (角川文庫)
  • 匿名座談会 業界人が初めて語った舞台裏 1998.2
  • 編集稼業の女たち 1998.9
  • 新・匿名座談会 2000.10
  • 活字探偵団 増補版 2000.1. (角川文庫)
  • 真空とびひざ蹴り 2001.6
  • 日本読書株式会社 2001.9
  • 注文の多い活字相談 新日本読書株式会社 2002.9
  • よりぬき読書相談室 2003.7
  • よりぬき読書相談室.特盛すこぶる本編 2004.6
  • 作家の読書道 本の雑誌社, 2005.10
  • よりぬき読書相談室.どすこい幕の内編 2006.7
  • 作家の読書道.2 2007.8
  • よりぬき読書相談室.みだれ打ち快答編 2007.9

関係者

関連本

  • 椎名誠『本の雑誌血風録』朝日新聞社 1997.5 - サラリーマンだった椎名等が『本の雑誌』を創刊するまでを描く。
  • 椎名誠『新宿熱風どかどか団』朝日新聞社 1998.9 -『本の雑誌』創刊から、椎名他のメンバーがメジャーになっていく様を描く。
  • 群ようこ『別人「群ようこ」のできるまで』文藝春秋 1985.12 - 群ようこが「本の雑誌社」に勤務して、エッセイストになるまでの記録。
  • 目黒考二『本の雑誌風雲録』本の雑誌社 1985.5 - 初期の「助っ人部隊」との交流の記録。

関連項目