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'''デスティニー'''(Destiny)は、[[国際宇宙ステーション]] (ISS) の米国製モジュールで、初の実験用モジュールである。[[2001年]]2月の初めに[[ユニティ (ISS)|ユニティモジュール]]に接続され、5日間かけて起動作業が行なわれた。軌道上の実験施設を[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]が運用するのは、[[1974年]]2月に[[スカイラブ計画|スカイラブ]]から撤退して以来、デスティニーが初めてである。 |
'''デスティニー'''(Destiny)は、[[国際宇宙ステーション]] (ISS) の米国製モジュールで、初の実験用モジュールである。[[2001年]]2月の初めに[[ユニティ (ISS)|ユニティモジュール]]に接続され、5日間かけて起動作業が行なわれた。軌道上の実験施設を[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]が運用するのは、[[1974年]]2月に[[スカイラブ計画|スカイラブ]]から撤退して以来、デスティニーが初めてである。 |
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デスティニーは[[アルミニウム]]製で、全長が8.5m(28フィート)、直径が4.3m(14フィート)、質量は14.5トン(16米トン)である。円筒形の区画が3つと、宇宙飛行士がモジュールを出入りするためのハッチが両端にあり、デスティニーの後部が |
デスティニーは[[アルミニウム]]製で、全長が8.5m(28フィート)、直径が4.3m(14フィート)、質量は14.5トン(16米トン)である。円筒形の区画が3つと、宇宙飛行士がモジュールを出入りするためのハッチが両端にあり、デスティニーの後部がユニティの前部に接続されている。 |
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ISS で計画されているヨーロッパや日本の実験モジュールと同様に、デスティニーの内部では各装置が[[国際標準実験ラック]] ([[:en:ISPR|ISPR]]) に格納されている[http://stationpayloads.jsc.nasa.gov/E-basicaccomodations/E1.html#destiny]。各ラックは、それぞれ約540kg(1,200ポンド)の重量である。デスティニーが ISS に運ばれた時は、電力、冷却水、空気浄化、温度・湿度制御の機能を持つ[[生命維持装置]]を格納した5台のラックだけが搭載されていた。[[STS-102]] では[[多目的補給モジュール]]・レオナルドに積み込まれた7台のラックがデスティニーに運び込まれ[http://www.geocities.com/i_s_s_alpha/2001.htm#5A.1]、その後のミッションでさらにもう10台のラックが運搬された[http://www.geocities.com/i_s_s_alpha/science_modules.htm#Desiny]。4つのスタンドオフ(セパレータ)により、個別のラックや実験室全体を出入りする配管や配線が通る空間が確保されている。デスティニーには全体で23台のラックを搭載でき、その内訳は右舷・左舷・上部に6台ずつと、底部に5台である。 |
ISS で計画されているヨーロッパや日本の実験モジュールと同様に、デスティニーの内部では各装置が[[国際標準実験ラック]] ([[:en:ISPR|ISPR]]) に格納されている[http://stationpayloads.jsc.nasa.gov/E-basicaccomodations/E1.html#destiny]。各ラックは、それぞれ約540kg(1,200ポンド)の重量である。デスティニーが ISS に運ばれた時は、電力、冷却水、空気浄化、温度・湿度制御の機能を持つ[[生命維持装置]]を格納した5台のラックだけが搭載されていた。[[STS-102]] では[[多目的補給モジュール]]・レオナルドに積み込まれた7台のラックがデスティニーに運び込まれ[http://www.geocities.com/i_s_s_alpha/2001.htm#5A.1]、その後のミッションでさらにもう10台のラックが運搬された[http://www.geocities.com/i_s_s_alpha/science_modules.htm#Desiny]。4つのスタンドオフ(セパレータ)により、個別のラックや実験室全体を出入りする配管や配線が通る空間が確保されている。デスティニーには全体で23台のラックを搭載でき、その内訳は右舷・左舷・上部に6台ずつと、底部に5台である。 |
2008年5月13日 (火) 12:16時点における版
デスティニー(Destiny)は、国際宇宙ステーション (ISS) の米国製モジュールで、初の実験用モジュールである。2001年2月の初めにユニティモジュールに接続され、5日間かけて起動作業が行なわれた。軌道上の実験施設をNASAが運用するのは、1974年2月にスカイラブから撤退して以来、デスティニーが初めてである。
デスティニーはアルミニウム製で、全長が8.5m(28フィート)、直径が4.3m(14フィート)、質量は14.5トン(16米トン)である。円筒形の区画が3つと、宇宙飛行士がモジュールを出入りするためのハッチが両端にあり、デスティニーの後部がユニティの前部に接続されている。
ISS で計画されているヨーロッパや日本の実験モジュールと同様に、デスティニーの内部では各装置が国際標準実験ラック (ISPR) に格納されている[1]。各ラックは、それぞれ約540kg(1,200ポンド)の重量である。デスティニーが ISS に運ばれた時は、電力、冷却水、空気浄化、温度・湿度制御の機能を持つ生命維持装置を格納した5台のラックだけが搭載されていた。STS-102 では多目的補給モジュール・レオナルドに積み込まれた7台のラックがデスティニーに運び込まれ[2]、その後のミッションでさらにもう10台のラックが運搬された[3]。4つのスタンドオフ(セパレータ)により、個別のラックや実験室全体を出入りする配管や配線が通る空間が確保されている。デスティニーには全体で23台のラックを搭載でき、その内訳は右舷・左舷・上部に6台ずつと、底部に5台である。
与圧された施設内では、宇宙飛行士が幅広い科学分野での研究作業を行なう。そこで得られた実験結果は、医療、工学、バイオテクノロジー、物理学、材料科学、地球科学など、世界中の科学者が研究に応用する。
1995年からアラバマ州ハンツビルのマーシャル宇宙飛行センターで、ボーイング社の最先端技術によりデスティニーの建造が開始された。1998年にはフロリダ州のケネディ宇宙センターに運搬され、打ち上げ前の準備のため2000年8月にNASAに引き渡された。2001年2月7日の STS-98 で スペースシャトル・アトランティスに積み込まれて打ち上げられた。
デスティニーの構造
実験室の内部には、ラック、ラックのスタンドオフ、通路部のジャンパーがある。実験ラックには、取り外し可能なモジュール式ユニットにシステムハードウェアが格納されている。スタンドオフは、個別のラックや実験室全体を出入りする配管や配線が通る空間を作り出している。それぞれのラック位置の底にあるスタンドオフに配管孔と端子があり、ここでラックの配管や配線が接続されている。
ユニティとデスティニーの間にある通路部のジャンパーで、両者の間の配管と配線が接続されている。また、接地用のストラップも取り付け予定である。接地用ストラップの一端はユニティのアクティブ共通結合機構 (ACBM) に接続され、もう一端はデスティニーのパッシブ共通結合機構 (PCBM) に接続される。
デスティニーのその他の装置としては、パッシブとアクティブの CBM 、ハッチ、窓のシャッターがある。デスティニーの前部ポートにある ACBM は、与圧結合アダプタ2 (PMA-2) の PCBM と接続されている。デスティニーの後部ポートにある PCBM は、ユニティの前部ポートの ACBM と接続され、両モジュールを結合している。
デスティニーに2つある結合ポートには、それぞれハッチが付いている。後方のユニティに接続しているハッチは開いていて、モジュールを切り離すようなことにならない限り開いたままである。前方のハッチは、ハーモニー(ノード2)が接続されるまでは、スペースシャトル・オービタのドッキングに使われている。
各ハッチには窓があり、ハッチはどちら側からでも開閉が可能である。ハッチには圧力に連動する機能があり、ハッチ間の圧力が内側よりも外側が高い時には開かないようになっている。
デスティニーには光学的に優れた窓(主に科学的な地球観測に用いられる)があり、ISS の飛行中に衝突の危険があるデブリや流星塵から窓を保護するためのシャッターがある。窓を使う時には、乗員が手動でシャッターを開く。シャッターはデスティニー取り付け時の3回目の船外活動で取り付けられた。
STS-121 では、-80℃冷凍庫 (Minus Eighty Degree Laboratory Freezer for ISS : MELFI) がデスティニーに運ばれた。この冷凍庫は、ISS で試料や試薬を保管したり、試料や試薬の温度を維持したまま地球と宇宙の間を運搬することができる。
仕様
- 全長: 8.53 m
- 直径: 4.27 m
- 質量: 14,500 kg (32,000 lb)