「体験版」の版間の差分

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'''体験版'''(たいけんばん)とは、主に[[パソコン]]の[[ソフトウェア]](特に[[アダルトゲーム]])[[テレビゲーム]]などで、販売促進の為に機能を制限して頒布する[[バージョン]]のこと
'''体験版'''(たいけんばん)とは、主に[[パナルコンピュータ]]の[[ソフトウェア]](いわゆる[[パソコンゲーム]]を含むないし[[コンシューマーゲーム|家庭用ゲーム機]]の[[ゲームソフト]]などで、販売促進の為に機能を制限して頒布するもののこと。多くの場合においては、専用の[[バージョン]]が用意される


[[試供品]]とは異なり、必ずしも「完成済みの作品」である必要はなく、依然開発作品を切り出しても問題ないため、いわゆる[[アルファ版]]や[[ベータ版]]の意味合いでもって体験版とすることもある。
[[日用品]]的な物品を配付する[[試供品]]とは異なり、必ずしも「品」である必要はなく、開発途上のいわゆる[[アルファ版]]や[[ベータ版]]を提供する場合もある。


==概要==
==機能制限の例==
体験版のソフトウェアは、製品版とは異なりそれ自体は機能上で幾つかの制限が設けられていたり、あるいは開発途上で機能そのものがまだ実装されていない部分を含むこともあるソフトウェアである。これらはユーザーにソフトウェアを実際に操作してもらって、その使用感を確かめてもらうため無償配布されるなど[[宣伝]]的な活動ではあるが、中には体験版ソフトウェアを安価に販売することもある。

これらは、コンピュータのソフトウェアが実際に動いているのを目で見ないと、その良し悪しが判断付き難い部分に絡んでの宣伝活動であるが、こと1990年代以降に[[CD-ROM]]など大容量のデータを安価に複製する[[電子媒体|記録メディア]]の発達や、2000年代以降に[[ブロードバンドインターネット接続]]のような高速[[インターネット]]接続回線の普及による大容量データの[[ダウンロード]]が可能な環境が整備されたことにもちなみ、大手から中小のソフトウェアメーカーまでもが体験版ソフトウェアを行っている。

こういったソフトウェアは広義の[[アドウェア]](宣伝広告を目的としたソフトウェア)でもある。

===機能制限の例===
*使用できる期間を設ける(30日等)
*使用できる期間を設ける(30日等)
*一定時間しか実行できない(10分等)
*一定時間しか実行できない(10分等)
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===不完全版・有料体験版===
===不完全版・有料体験版===
製作中の'''[[ベータ版]]'''(βばん)として、実際に販売される内容とは異なる状態で頒布されるケースも多く見られる。中途半端な体験版頒布すは販売促進におい逆効果とってまう場合もあるので消費者・生産者とも注意必要である。
製作中の'''[[ベータ版]]'''(βばん)として、実際に販売される内容とは異なる状態で頒布されるケースも多く見られる。一定の動作行うものが提供されが、製品は不完全未完成であるため、これよってコンピュータ動作不良を起こすなどのトラブルに見舞われたり、或いはその不都合に対するサポートも不十分である場合を含む


体験版のほとんどは無料であるが、これに製品版と比べて安価な料金(媒体の料金や郵送費は含まない)を課す場合も見られる(有料体験版)。
体験版のほとんどは無料であるが、これに製品版と比べて安価な料金(媒体の料金や郵送費は含まない)を課す場合も見られる(有料体験版)。こうした手法は、開発のための資金を得つつ、作品の質を安定させる為に行われる。こちらはユーザーに金銭を求めつつ不完全な製品を提供しているため、これに対して批判するユーザーもいないではないが、その不都合が存在し得る辺りの了解が購入希望者に求められるなど、製品版と比較して非対称の[[ユーザビリティ]]が特徴的である
<!--個人の感想:

こうした手法は、開発のための資金を得つつ、作品の質を安定させる為に行われるが、
*未完成品を売り物として良いのか?
*未完成品を売り物として良いのか?
*完成する見込みがなくなったので出来上がった分だけ売るという魂胆ではないのか?
*完成する見込みがなくなったので出来上がった分だけ売るという魂胆ではないのか?
*完成版は出ないのではないか?
*完成版は出ないのではないか?
という批判が向けられることもある。
という批判が向けられることもある。
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ちなみに、製品版として一度世に送り出されたものであっても質がくな場合には逆に「ユーザに金を払わせてバグしをさせるソフト」という皮肉を込め「有料体験版」と揶揄したりする。
ちなみに、製品版として一度世に送り出されたものであっても製品の品質が悪く[[パッチ]]よる修正が続くなどした場合、「ユーザに金を払わせて[[バグ]]探しをさせるソフト」という皮肉を込め、ユーザーが「有料体験版」と揶揄したりすることもある。


== 頒布形態 ==
== 頒布形態 ==
以前は体験版を記録した[[コンパクトディスク|CD]]等の記録媒体を雑誌や店頭で配布する事が多かったが、[[2000年]]以降、[[ブロードバンド]]の普及に伴い、メーカーの[[ウェブサイト]]を介し、[[ダウンロード]]する形で配布されることが多くなった。また、[[Adobe Flash]]などを使って擬似的に内容を再現することで体験版としている作品もある([[逆転裁判]]シリーズのように、素早いボタン操作を必要としいゲームで見られる)。
1990年代までは体験版を記録した[[コンパクトディスク|CD]]等の記録媒体を[[雑誌]]の付録としてや店頭で配布する事が多かったが、[[2000年]]以降、ブロードバンド通信回線の普及に伴い、メーカーの[[ウェブサイト]]を介し、ダウンロードする形で配布されることが多くなった。また、[[Adobe Flash]]などを使って[[ゲームブック]]のように擬似的に内容を再現することで体験版としている作品もある([[逆転裁判]]シリーズな)。

[[1988年]]より[[コンパイル (企業)|コンパイル]]が販売していた『[[ディスクステーション]]』(雑誌のようにプログラムメディアとなる[[フロッピーディスク]]入りのパッケージを刊行した)では、フロッピーディスクの空き容量に便乗する形で他社ソフトウェアメーカーの体験版ソフトウェアを受け入れていた。これらは実際には遊べない店頭用オートデモ(プレイヤーの操作が無くても自動操作で画面が進む)であったり、ゲームの肝となる技術を利用したミニゲームであったりもしたが、概ねこの[[8ビットパソコン]]([[8ビット御三家]]参照)の時代から、体験版という概念自体はあった。ただしこの頃は「プレイアブルデモ」(遊べるデモ用プログラム)など、あまり明確な呼称は存在しなかった。


== 家庭用ゲーム機における体験版 ==
== 家庭用ゲーム機における体験版 ==
[[1990年代]]以前は製造コストかかる[[ロムカセット]]方式のハードが主流であったため、店頭デモやイベントでの試遊が主で、個人向けに体験版の配布が行われることはほとんどなかった。[[任天堂]]が[[スーパーファミコン]]向けの[[サテラビュー]]を用いて、メディアを伴わないデータのみの体験版を配布したことがあったものの、システム自体の敷居が高く普及は進まなかった。
[[1990年代]]以前は製造コストかかる[[ロムカセット]]方式のハードウェアが主流であったため、カセット自体の単価が高く、これを体験版用のソフトウェアメディアとすることは現実的ではなかった。このためゲーム販売店の店頭やイベントでの先行製造版によるデモプレイやロケテストが主で、個人向けに体験版の配布が行われることはほとんどなかった。[[任天堂]]が[[スーパーファミコン]]向けの[[サテラビュー]]を用いて、メディアを伴わないデータのみの体験版を配布したことがあったものの、[[衛星放送]]に加入している必要があるなど、データ配信を受信するシステム自体が高価で導入ハードルが高く普及は進まなかった。

[[1990年代]]に入り、ソフトウェアの記録メディアにCD-ROMを採用するハードウェア([[PCエンジン]]・[[プレイステーション]]・[[セガサターン]]など)が普及してくると、その製造コストの低さを生かし積極的な体験版配布がなされる様になった。いち早くCD-ROMを導入したPCエンジンでは『[[スナッチャー]]』で「スナッチャーPilotDisk」と題したCDシングルサイズのCD-ROMが[[1992年]]8月7日に1,500円で一般のゲーム販売店を通して販売されている。


[[1990年代]]に入りメディアに[[CD-ROM]]を採用するハード([[プレイステーション]]、[[セガサターン]]など)が普及してくると、そのコストの低さを生かし積極的な体験版配布がなされる様になった。店頭やゲームイベントでの自由配布のほか、雑誌の付録として体験版ディスクが封入されるというケースが一般的だったが、[[スクウェア (ゲーム会社)|旧スクウェア]](現・[[スクウェア・エニックス]])は開発中の大型タイトルの体験版を新作ゲームソフトに[[バンドル]]する手法を取り入れた。『[[ファイナルファンタジーVII]]』の体験版が付属した『[[トバルNo.1]]』、『[[ファイナルファンタジーVIII]]』の体験版が付属した『[[ブレイヴフェンサー 武蔵伝]]』などがヒット作として挙げられるが、これらはソフト本体が体験版の[[おまけ]]のような扱いをされてしまった。
これ以降では、店頭やゲームイベントでの自由配布のほか、雑誌の付録として体験版ディスクが封入されるというケースが一般的だったが、[[スクウェア (ゲーム会社)|旧スクウェア]](現・[[スクウェア・エニックス]])は開発中の大型タイトルの体験版を新作ゲームソフトに[[バンドル]]する手法を取り入れた。『[[ファイナルファンタジーVII]]』の体験版が付属した『[[トバルNo.1]]』、『[[ファイナルファンタジーVIII]]』の体験版が付属した『[[ブレイヴフェンサー 武蔵伝]]』などがヒット作として挙げられるが、これらはソフト本体が体験版の[[おまけ]]のような扱いをされてしまった。


[[2000年代]]以降、携帯ゲーム機の内蔵メモリの容量増加により、店頭やイベント会場においてゲーム機への一時的な体験版のダウンロードを行えるようになった。[[ゲームボーイアドバンス]]向けの[[月刊任天堂店頭デモ]]がその先駆けであるが、2004年末以降は[[無線LAN]]を搭載した携帯ゲーム機([[ニンテンドーDS]]、[[プレイステーション・ポータブル]])向けに店頭端末を用いて体験版を配布するサービスが行われている。(→[[DSステーション]]、[[プレイステーションスポット]])
[[2000年代]]以降、携帯ゲーム機の内蔵メモリの容量増加により、店頭やイベント会場においてゲーム機への一時的な体験版のダウンロードを行えるようになった。[[ゲームボーイアドバンス]]向けの[[月刊任天堂店頭デモ]]がその先駆けであるが、2004年末以降は[[無線LAN]]を搭載した携帯ゲーム機([[ニンテンドーDS]]、[[プレイステーション・ポータブル]])向けに店頭端末を用いて体験版を配布するサービスが行われている。(→[[DSステーション]]、[[プレイステーションスポット]])

2007年12月6日 (木) 11:53時点における版

体験版(たいけんばん)とは、主にパーソナルコンピュータソフトウェア(いわゆるパソコンゲームを含む)ないし家庭用ゲーム機ゲームソフトなどで、販売促進の為に機能を制限して頒布するもののこと。多くの場合においては、専用のバージョンが用意される。

日用品的な物品を配付する試供品とは異なり、必ずしも「製品」である必要はなく、開発途上のいわゆるアルファ版ベータ版を提供する場合もある。

概要

体験版のソフトウェアは、製品版とは異なりそれ自体は機能上で幾つかの制限が設けられていたり、あるいは開発途上で機能そのものがまだ実装されていない部分を含むこともあるソフトウェアである。これらはユーザーにソフトウェアを実際に操作してもらって、その使用感を確かめてもらうため無償配布されるなど宣伝的な活動ではあるが、中には体験版ソフトウェアを安価に販売することもある。

これらは、コンピュータのソフトウェアが実際に動いているのを目で見ないと、その良し悪しが判断付き難い部分に絡んでの宣伝活動であるが、こと1990年代以降にCD-ROMなど大容量のデータを安価に複製する記録メディアの発達や、2000年代以降にブロードバンドインターネット接続のような高速インターネット接続回線の普及による大容量データのダウンロードが可能な環境が整備されたことにもちなみ、大手から中小のソフトウェアメーカーまでもが体験版ソフトウェアを行っている。

こういったソフトウェアは広義のアドウェア(宣伝広告を目的としたソフトウェア)でもある。

機能制限の例

  • 使用できる期間を設ける(30日等)
  • 一定時間しか実行できない(10分等)
  • 一定ステージまでしかプレイできない(1面のみ等)
  • 特別編(本編のシナリオの代わりに、オリジナル展開が用意される)になっている
  • ファイルやクリアを記録出来なくする
  • 解像度が低い
  • BGM効果音がない
  • 画面やデータの一部に体験版を示す表記が出る
  • 動作に予期せぬ不具合が起こってもディスクの交換に応じない

これら様々な方法を組み合わせている場合もある。また、利用料金を支払うことで、そのまま製品版に移行できるタイプの体験版やシェアウェアも存在する。

不完全版・有料体験版

製作中のベータ版(βばん)として、実際に販売される内容とは異なる状態で頒布されるケースも多く見られる。この際、一定の動作を行うものが提供されるが、製品としては不完全ないし未完成であるため、これによってコンピュータが動作不良を起こすなどのトラブルに見舞われたり、或いはその不都合に対するサポートも不十分である場合を含む。

体験版のほとんどは無料であるが、これに製品版と比べて安価な料金(媒体の料金や郵送費は含まない)を課す場合も見られる(有料体験版)。こうした手法は、開発のための資金を得つつ、作品の質を安定させる為に行われる。こちらはユーザーに金銭を求めつつ不完全な製品を提供しているため、これに対して批判するユーザーもいないではないが、その不都合が存在し得る辺りの了解が購入希望者に求められるなど、製品版と比較して非対称のユーザビリティが特徴的である。

ちなみに、製品版として一度世に送り出されたものであっても製品の品質が悪くパッチによる修正が続くなどした場合、「ユーザに金を払わせてバグ探しをさせるソフト」という皮肉を込め、ユーザーが「有料体験版」と揶揄したりすることもある。

頒布形態

1990年代までは体験版を記録したCD等の記録媒体を雑誌の付録としてや店頭で配布する事が多かったが、2000年以降、ブロードバンド通信回線の普及に伴い、メーカーのウェブサイトを介し、ダウンロードする形で配布されることが多くなった。また、Adobe Flashなどを使ってゲームブックのように擬似的に内容を再現することで体験版としている作品もある(『逆転裁判』シリーズなど)。

1988年よりコンパイルが販売していた『ディスクステーション』(雑誌のようにプログラムメディアとなるフロッピーディスク入りのパッケージを刊行した)では、フロッピーディスクの空き容量に便乗する形で他社ソフトウェアメーカーの体験版ソフトウェアを受け入れていた。これらは実際には遊べない店頭用オートデモ(プレイヤーの操作が無くても自動操作で画面が進む)であったり、ゲームの肝となる技術を利用したミニゲームであったりもしたが、概ねこの8ビットパソコン8ビット御三家参照)の時代から、体験版という概念自体はあった。ただしこの頃は「プレイアブルデモ」(遊べるデモ用プログラム)など、あまり明確な呼称は存在しなかった。

家庭用ゲーム機における体験版

1990年代以前は製造コストのかかるロムカセット方式のハードウェアが主流であったため、カセット自体の単価が高く、これを体験版用のソフトウェアメディアとすることは現実的ではなかった。このためゲーム販売店の店頭やイベントでの先行製造版によるデモプレイやロケテストが主で、個人向けに体験版の配布が行われることはほとんどなかった。任天堂スーパーファミコン向けのサテラビューを用いて、メディアを伴わないデータのみの体験版を配布したことがあったものの、衛星放送に加入している必要があるなど、データ配信を受信するシステム自体が高価で導入のハードルが高く、普及は進まなかった。

1990年代に入り、ソフトウェアの記録メディアにCD-ROMを採用するハードウェア(PCエンジンプレイステーションセガサターンなど)が普及してくると、その製造コストの低さを生かし積極的な体験版配布がなされる様になった。いち早くCD-ROMを導入したPCエンジンでは『スナッチャー』で「スナッチャーPilotDisk」と題したCDシングルサイズのCD-ROMが1992年8月7日に1,500円で一般のゲーム販売店を通して販売されている。

これ以降では、店頭やゲームイベントでの自由配布のほか、雑誌の付録として体験版ディスクが封入されるというケースが一般的だったが、旧スクウェア(現・スクウェア・エニックス)は開発中の大型タイトルの体験版を新作ゲームソフトにバンドルする手法を取り入れた。『ファイナルファンタジーVII』の体験版が付属した『トバルNo.1』、『ファイナルファンタジーVIII』の体験版が付属した『ブレイヴフェンサー 武蔵伝』などがヒット作として挙げられるが、これらはソフト本体が体験版のおまけのような扱いをされてしまった。

2000年代以降、携帯ゲーム機の内蔵メモリの容量増加により、店頭やイベント会場においてゲーム機への一時的な体験版のダウンロードを行えるようになった。ゲームボーイアドバンス向けの月刊任天堂店頭デモがその先駆けであるが、2004年末以降は無線LANを搭載した携帯ゲーム機(ニンテンドーDSプレイステーション・ポータブル)向けに店頭端末を用いて体験版を配布するサービスが行われている。(→DSステーションプレイステーションスポット

さらに、2005年以降はインターネット接続機能がある据置型ゲーム機(Xbox 360プレイステーション3Wii)によって、家庭から体験版をダウンロードできるサービスが行われている。(→Xbox LivePLAYSTATION StoreWiiConnect24

関連項目